冬迷宮

関谷俊博

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時計塔を出ると、僕はNORIKOのいる森へと急いで戻った。
 NORIKOは、またピアノを弾いていた。肩で息をしながら、僕はNORIKOの前に立った。
「思い出せたんでしょ」
 演奏を止めると、NORIKOは、僕を見上げて言った。
「ああ、全てを思い出したよ」
 時計塔の鍵を、NORIKOに返しながら、僕は言った。
「そして記憶を取り戻したら、きみの抱えている問題が、本当は何なのかもわかったんだ」


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