混じり合い淘汰されるモノ

未知 道

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虚実

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「じゃあ、あんたは今、どんな状態なの? 話からだと、寄生しないと死ぬことになるはずだけど? 変異体になったから大丈夫ってこと?」
『はい。以前もたまに、そういった存在になるツインがいて……。つまり、上手く寄生が出来る状態じゃないからか、生存本能により。この状態で細胞分裂しながら、永遠に生きていけるように変化したということです。繁殖は別で出来るみたいだけど、こうなったなら特に必要性は感じられません』

 ゆるタヌキをたくさん揺らしまくったら、まるでケータイにある【シリスギ】のように、聞かれたことを何でも話すようになった。

「……なら、お前たち個人個人で何とかしろー!! 地球人を巻き込むなーー!!」

 ブンブンブンと振る。『ぷぎゃ~~~!!』と間抜けな声を上げてるのも、なんか苛つく。

「はぁ、茜……。こいつが、隠し事してないか聞き出しといて。ちょっと、トイレ行ってくる」
「ほいほ~い」



 ♢◆♢


 ~ゆるタヌキside ~


 ――茜に見下ろされる。

「……エスエ。今の話を聞くに、お前はまだこちら側だ……と考えて良いか?」
『……う、うん。まぁ、言ったこと全てが嘘ではないし……大丈夫だよね?』
「ははは! お前、嘘つけない性分だもんな。お前がついた嘘のような誤魔化しは『3日後に寄生を完了して、覚醒する』ということだけ。だが、これで……お前がまだこちら側だと分かった。寄生を上手く出来なかった仲間達は、にして3日後に寄生と覚醒を同時完了するが――通常は、のように寄生を完了させてから、3日間を経て覚醒するからな」

 先程とは打って変わった雰囲気で、茜は男らしくニッと笑う。
 見た目は茜だが――中身は【スイ】だと、初めから分かっていた。寄生したら、記憶も全て引き継ぐ。だから、茜の喋り方やクセなど……細かいことを真似るのも問題なく出来るのだろう。

『……よく思い付いたね。ダミーを用意して、それを破壊させるなんて……。人間を上手く騙すため?』
「ああ、あれは――あの女じゃなく、お前の様子を見るためだ。お前が裏切ったのか否かが分からなかったから。一度、ちゃんと話をしようと思ってな。変異体が人間側につくと、非常に困ることになる……お前も知ってるだろ?」
『あ~……。うん、そうだね』

 僕達は、寄生しようとする時――生物の拒否反応を最小限に止めるよう、その対象に同調シンクロしてから寄生する。とはいっても、洗脳=シンクロだから、自然に行っていることだ。
 そして、僕のような変異体は――最終的な寄生はせず、をシンクロしていた対象のみに与えることが出来る。効果は、一過性のものだが……。何度もそうしているうちに、与えられる時間も長くなり、能力も上がるのだ。

 何故それが分かるのかは……――過去、元の世界を壊したのは“裏切った仲間”だったからだ。

 前の星にも、この星にいる人間のように【シュリル】という知的生物がいた。
 仲間は寄生が上手く出来ず、変異体となり……。そして、過ごしているうちに情が湧いたのかもしれない。気が付いた時には、仲間だった者はシュリルの味方となっていた。

 たくさんの仲間が殺され、生物が住めない程に星をボロボロにされた――。

 その破壊が止まったのは、2人が死んだ時だった。

 2人の最期は、多勢に無勢の言葉の通り。大勢の僕達に囲まれ、討ち取られた形となったのだ。

 ……もしかしたら、僕達を絶滅させるにはそうするしかないと思ったからこその、といった行動だったのかもしれないが……。本人たちに聞いていないので、真実は分からない。

 僕は、その残劇を目の前で見て、関わり……よく知っている。

 だから、僕は人間の味方になることは出来ないのだ――。

 暫くして、トイレから帰って来た鈴鹿に、再び尋問のようなことをされた。
 その時、スイは――茜という人間の皮を、違和感なく綺麗に被り。鈴鹿と、本当の姉妹のように仲良く話していた。


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