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14.紀伊羅 満
しおりを挟む『今日の若頭は機嫌悪そうだから、絶対に怒らすなよ』『イロと喧嘩したんすかね』『俺は空気だ』なんて声が耳に入り、うんざりする。
朝方まで光樹としていたせいで、寝不足なだけだ。
そんなことこいつらに言えるわけもなく、俺に聞こえていないと思いながらこそこそと話している奴らに「おい」と声をかけた。
バタバタとしたあと、シャキッと姿勢を正す舎弟どもに呆れ、半目になる。
「ハ、ハイーッ! なんでしょうかっ!?」
「なんでも聞いて下さい!」
「イロへの機嫌取りッスか?」
「馬鹿っ、その話題だすな!」
「アホッ! 地雷だぞ!」
「すんません! イロへの機嫌取りのことなんて言ってません! とりあえず、甘いものがいいと思いますっ!」
「だから、この馬鹿ハゲっ!」
「お前は喋るなっ! アホハゲ!」
金髪と銀髪の双子がスキンヘッドの奴を叩き、ペシペシといい音が部屋の中に響く。
……こいつらは、俺にコントでも見せてんのか?
「アレは、どうなった?」
ため息をつき――低い声で問う。
「アレ――……ああ、あの男ですね? 色んな奴らに回して、今は喜んで股を開いてますよ」
「ヤッてんのを経過観察してる俺に『お兄さんのも一緒に入れて』って誘ってきたくらいですから、あれは男の棒が何本もなきゃ生きていけなくなってますね。流石に、あんな色々な奴ので汚れた中には入れたくないので、辞退しましたが……」
「自分のは喜んで入れさせてもらいました! 緩かったッス! だからいけませんでした!」
「……」
「……」
「……」
3人から同時に叩かれたスキンヘッドの頭からは、いい音が鳴った。
♢◆♢
「ああ~! 満さ~ん! 来てくれたんですねっ!」
砂糖を大量にまぶしたような甘い声で上目遣いをしてくる男に、顔をしかめる。
「おい、てめぇ……。言ってること違ぇじゃねぇかよ。光樹とどうやったか聞いた時、『たくさんキスや口淫してもらった。今までした人の中で一番気持ち良いって言われながら、5回も奥に出してもらった』って……言ったよな?」
そう、久しぶりに光樹に抱かれたあと直ぐ――再びこいつに会って聞いた。
『光樹にどうやって抱かれたんだ』……と。
光樹への当て付けで抱こうとした時はそれは考えず、ただ光樹を焦らせようとしただけだった。
だから、こいつを部屋に呼んだが、ちゃんと会話はしていなかった。
しかし光輝に抱かれたことで、過去の記憶が掘り返され、こいつに再び会ってそう聞き――光樹に劇薬を使うことを決めた。
自分が予想していたように、光樹は様々な奴らを大事に抱き。しかも、この男が一番だと言ったのだと――それで、もう許せないと思った。
男は首を傾げ、キャッキャッと笑う。
「満さんが来なかったらそうなってたはずなんですよ~! この僕を相手にするんですから当たり前じゃないですか! だから僕、間違ったこと言ってませんよね?」
「…………」
――怒りで声が出せなくなった。
こいつを風俗に落とす前にも、俺はわざわざ会い『俺は学生時代に、光樹と付き合ってた満だ』と、そう面と向かって教えた。
けど、こいつは『満……? まさか、あんなダサかった男っ!? うっそ~! こんな格好良くなるなら、あの時に一緒に混ざってさせれば良かったぁ~。あっ、そうだ! 僕を囲わない? いっぱいサービスするよぉ~! 僕のナカ、すごいんだから!』なんて、普通の顔して言いやがった。
もともと俺みたいなのは、他人の一生を捻り潰すことを何とも思ってはいないし、そんなのは日常茶飯事だ。
だから、こいつだけは――苦しませて殺してやろうとその時に決めた。
そして、今……さらにそう思っている。
「で、満さん。僕を抱きに来たんですよね? やっぱり、初めて会った時から僕が気になって仕方なかったんじゃないですか~! 光樹さんに遠慮しないで、好きならハッキリ言ってくれて良かったのに! 今の満さんなら恋人になってあげてもいいですよ」
俺に手を伸ばしてきた勘違い男を、近くに控えていた舎弟に引き倒させた。
「ふふふ~! そういったシチュですか? いいですよぉ~! たくさんの人に抱かれるの大好きですから!」
「ほんっと、気持ちわりぃ奴だ……」
興奮しているのか息を荒くしている気持ち悪い奴から目を逸らし、扉の方に視線を向ける。
「良かったな、お望み通りになって」
扉が開き、ぞろぞろと入って来る――汗をダラダラと垂らす巨漢や、ボサボサなフケだらけの不潔な男、ニヤニヤと涎を流しているガリガリな男など……一般的に、見た目が良くないと言われる人間が列をなし、この部屋に入ってくる。
部屋の外にも行列は続き、50人はいるだろう。
「え? なに!? なにっ!? こいつら……キモッ!!」
「はっ、てめぇ以上にキモい奴はいねぇよ」
こいつは見た目だけは良いから、高級風俗に入れて金を稼がせていた。
身元がしっかりした紳士の人達が相手だったからか、まったく精神的な打撃を受けることはなく、むしろ喜んでいた。
こいつが喜んで生きているだけで虫酸が走る。
だから、もうさっさと処分することにした。
最初からどうやって処分するかは決めていて、それは――こいつが一番嫌悪する『見た目の良くない人』に延々と抱かれ続けることだった。
「やっ、止めて! 僕に触らないでっ! こんな試すようなことしなくても、僕は満さんが一番です! 満さんをこの世で一番愛してますからーーー!!」
「黙らせろ」
「ん"ん"ーーッ!!」
これ以上ここにいたら、今すぐに俺が殺してしまいそうだった。
だから後のことは舎弟達に頼み、光樹のいる所へ早急に戻ることにした。
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