どうやら、自然消滅した元カレに復讐されるようだ

未知 道

文字の大きさ
14 / 15

14.紀伊羅 満

しおりを挟む
 


『今日の若頭は機嫌悪そうだから、絶対に怒らすなよ』『イロと喧嘩したんすかね』『俺は空気だ』なんて声が耳に入り、うんざりする。

 朝方まで光樹としていたせいで、寝不足なだけだ。
 そんなことこいつらに言えるわけもなく、俺に聞こえていないと思いながらこそこそと話している奴らに「おい」と声をかけた。

 バタバタとしたあと、シャキッと姿勢を正す舎弟どもに呆れ、半目になる。

「ハ、ハイーッ! なんでしょうかっ!?」
「なんでも聞いて下さい!」
「イロへの機嫌取りッスか?」
「馬鹿っ、その話題だすな!」
「アホッ! 地雷だぞ!」
「すんません! イロへの機嫌取りのことなんて言ってません! とりあえず、甘いものがいいと思いますっ!」
「だから、この馬鹿ハゲっ!」
「お前は喋るなっ! アホハゲ!」

 金髪と銀髪の双子がスキンヘッドの奴を叩き、ペシペシといい音が部屋の中に響く。

 ……こいつらは、俺にコントでも見せてんのか?

「アレは、どうなった?」

 ため息をつき――低い声で問う。

「アレ――……ああ、あの男ですね? 色んな奴らに回して、今は喜んで股を開いてますよ」
「ヤッてんのを経過観察してる俺に『お兄さんのも一緒に入れて』って誘ってきたくらいですから、あれは男の棒が何本もなきゃ生きていけなくなってますね。流石に、あんな色々な奴ので汚れた中には入れたくないので、辞退しましたが……」
「自分のは喜んで入れさせてもらいました! 緩かったッス! だからいけませんでした!」
「……」
「……」
「……」

 3人から同時に叩かれたスキンヘッドの頭からは、いい音が鳴った。



 ♢◆♢


「ああ~! 満さ~ん! 来てくれたんですねっ!」

 砂糖を大量にまぶしたような甘い声で上目遣いをしてくる男に、顔をしかめる。

「おい、てめぇ……。言ってること違ぇじゃねぇかよ。光樹とどうやったか聞いた時、『たくさんキスや口淫してもらった。今までした人の中で一番気持ち良いって言われながら、5回も奥に出してもらった』って……言ったよな?」

 そう、久しぶりに光樹に抱かれたあと直ぐ――再びこいつに会って聞いた。
『光樹にどうやって抱かれたんだ』……と。

 光樹への当て付けで抱こうとした時はそれは考えず、ただ光樹を焦らせようとしただけだった。
 だから、こいつを部屋に呼んだが、ちゃんと会話はしていなかった。

 しかし光輝に抱かれたことで、過去の記憶が掘り返され、こいつに再び会ってそう聞き――光樹に劇薬を使うことを決めた。

 自分が予想していたように、光樹は様々な奴らを大事に抱き。しかも、この男が一番だと言ったのだと――それで、もう許せないと思った。


 男は首を傾げ、キャッキャッと笑う。

「満さんが来なかったらそうなってたはずなんですよ~! この僕を相手にするんですから当たり前じゃないですか! だから僕、間違ったこと言ってませんよね?」
「…………」

 ――怒りで声が出せなくなった。

 こいつを風俗に落とす前にも、俺はわざわざ会い『俺は学生時代に、光樹と付き合ってた満だ』と、そう面と向かって教えた。
 けど、こいつは『満……? まさか、あんなダサかった男っ!? うっそ~! こんな格好良くなるなら、あの時に一緒に混ざってさせれば良かったぁ~。あっ、そうだ! 僕を囲わない? いっぱいサービスするよぉ~! 僕のナカ、すごいんだから!』なんて、普通の顔して言いやがった。

 もともと俺みたいなのは、他人の一生を捻り潰すことを何とも思ってはいないし、そんなのは日常茶飯事だ。

 だから、こいつだけは――苦しませて殺してやろうとその時に決めた。
 そして、今……さらにそう思っている。


「で、満さん。僕を抱きに来たんですよね? やっぱり、初めて会った時から僕が気になって仕方なかったんじゃないですか~! 光樹さんに遠慮しないで、好きならハッキリ言ってくれて良かったのに! 今の満さんなら恋人になってあげてもいいですよ」

 俺に手を伸ばしてきた勘違い男を、近くに控えていた舎弟に引き倒させた。

「ふふふ~! そういったシチュですか? いいですよぉ~! たくさんの人に抱かれるの大好きですから!」
「ほんっと、気持ちわりぃ奴だ……」

 興奮しているのか息を荒くしている気持ち悪い奴から目を逸らし、扉の方に視線を向ける。

「良かったな、お望み通りになって」

 扉が開き、ぞろぞろと入って来る――汗をダラダラと垂らす巨漢や、ボサボサなフケだらけの不潔な男、ニヤニヤと涎を流しているガリガリな男など……一般的に、見た目が良くないと言われる人間が列をなし、この部屋に入ってくる。
 部屋の外にも行列は続き、50人はいるだろう。

「え? なに!? なにっ!? こいつら……キモッ!!」
「はっ、てめぇ以上にキモい奴はいねぇよ」

 こいつは見た目だけは良いから、高級風俗に入れて金を稼がせていた。
 身元がしっかりした紳士の人達が相手だったからか、まったく精神的な打撃を受けることはなく、むしろ喜んでいた。

 こいつが喜んで生きているだけで虫酸が走る。
 だから、もうさっさと処分することにした。

 最初からどうやって処分するかは決めていて、それは――こいつが一番嫌悪する『見た目の良くない人』に延々と抱かれ続けることだった。


「やっ、止めて! 僕に触らないでっ! こんな試すようなことしなくても、僕は満さんが一番です! 満さんをこの世で一番愛してますからーーー!!」
「黙らせろ」
「ん"ん"ーーッ!!」

 これ以上ここにいたら、今すぐに俺が殺してしまいそうだった。
 だから後のことは舎弟達に頼み、光樹のいる所へ早急に戻ることにした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「これからも応援してます」と言おう思ったら誘拐された

あまさき
BL
国民的アイドル×リアコファン社会人 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 学生時代からずっと大好きな国民的アイドルのシャロンくん。デビューから一度たりともファンと直接交流してこなかった彼が、初めて握手会を開くことになったらしい。一名様限定の激レアチケットを手に入れてしまった僕は、感動の対面に胸を躍らせていると… 「あぁ、ずっと会いたかった俺の天使」 気付けば、僕の世界は180°変わってしまっていた。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ 初めましてです。お手柔らかにお願いします。 ムーンライトノベルズさんにも掲載しております

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

悪辣と花煙り――悪役令嬢の従者が大嫌いな騎士様に喰われる話――

BL
「ずっと前から、おまえが好きなんだ」 と、俺を容赦なく犯している男は、互いに互いを嫌い合っている(筈の)騎士様で――――。 「悪役令嬢」に仕えている性悪で悪辣な従者が、「没落エンド」とやらを回避しようと、裏で暗躍していたら、大嫌いな騎士様に見つかってしまった。双方の利益のために手を組んだものの、嫌いなことに変わりはないので、うっかり煽ってやったら、何故かがっつり喰われてしまった話。 ※ムーンライトノベルズでも公開しています(https://novel18.syosetu.com/n4448gl/)

脱落モブ男が人気アイドルに愛されるわけがない

綿毛ぽぽ
BL
 アイドルを夢見るも、デビューできずオーディション番組に出演しても脱落ばかりの地味男、亀谷日翔はついに夢を諦めた。そしてひょんなことから事務所にあるカフェで働き始めると、かつて出演していた番組のデビューメンバーと再会する。テレビでも引っ張りだこで相変わらずビジュアルが強い二人は何故か俺に対して距離が近い。 ━━━━━━━━━━━ 現役人気アイドル×脱落モブ男 表紙はくま様からお借りしました https://www.pixiv.net/artworks/84182395

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

処理中です...