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28.星の守護者

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「……コール! 待っ、待って……!」

 鋭い刃を避けるが、全ては避けられない。
 だから、急所は絶対に守り。他の傷は、俺の能力【リミッター解放・絶対治癒】を使用し続ける。
 勿論、カラフルさんに対しても使用していた。いくら丈夫な身体であっても、傷を庇う少しの時間だけで止めを刺されてしまうからだ。

 だから、連続の能力使用で。頭がクラクラしてきている。

 愛し人が死ぬには、お母さんの血族から殺されるか、自らでの死、そして――神の化身から殺されることだ。
 普通であれば、能力解放をした俺に対し、傷をつけることは出来ないはず。
 なのに、コールの攻撃によって傷を負っていくから……。きっと、能力を使う暇もないくらいの攻撃を受けたなら、俺は死ぬのだろう。

 けど、いつまで能力を使用出来るか……。そろそろ、限界のラインに到達しそうだ。

 俺では、まったく近付けないが。カラフルさんは、コールに近付けている。

 しかし、近付けたとしても――カラフルさんでは、神の化身であるコールに傷を負わせることは不可能だ。
 可能性があるのは、愛し人の俺だろう。
 コールが俺を傷つけられるなら、俺だって同じかもしれないからだ。

 だからって、カラフルさんが俺を抱えながらは絶対に無理だ。今だって、寸での状態なのだから……――。


「カラフル、さん……逃げて……!」
「で、でも……」
「お願、い……! もう、2人には、能力を使えない、から……」

 カラフルさんは、グッと顔をしかめ「応援を、呼んで来ますわ」と、コールから離れる。

『――逃がすと思うか?』
「……きゃあっ!」

 カラフルさんが、コールに首を掴まれ。ギリギリと締め上げながら、切り刻まれる。

「カラフルさん!」

 カラフルさんを治癒するが、傷が出来ては治し、また治しを繰り返す。
 コールがずっと傷をつけているからだ。

 カラフルさんは、途中から気絶してしまったようで、グッタリとしている。けど、俺の能力が発動しているから、生きていることは分かる。

「……コール! 止めてくれっ!」

 能力を使用し続け、視界がぼやけていく。

『貴様は、この女を好いているのだったな?』

 コールが、攻撃の手をピタリと止め。カラフルさんに興味を無くしたのか、ベチャリと床に投げ捨てた。

「……え?」

 急に、問いかけられ。すぐには答えられなかった。

『あちらで、抱いたか?』

 コールは目を細め、笑う――。

「は?」

(抱く? カラフルさんを……?)

 そんなこと、するわけがない。
 確かに、彼女にするならカラフルさんが……と思ったことはあった。けど今なら、何故そう思ったのかが理解出来た。

 カラフルさんは――お母さんに似ている。

 特に、人のために動くところが、非常に似ていた。
 初め、俺に対して良い感情を持っていなかった。なのに、そんな人間のため、己が傷つこうが助けようとしてくれている。

 きっと、カラフルさんに向けていた想いは『親愛』なのだろう。

 そういうものを知らなかった俺は、それを恋だと思っていた。


「抱くわけないだろ! 俺には、お前が――」
『ならば、なぜ逃げた』

 ぐっと言葉に詰まる。
 色々と伝えたいことはある。けど、今それを言ったとして……ただの言い訳にしか聞こえないはずだからだ。

『……まぁ、良い。聞いたとして、貴様を殺し――神華を破壊することに変わりはない』
「なっ……」

 神華――神の化身、愛し人の生まれてくる場所であり。この世界を保つために必要な“星の循環器官”。

 神華という大きな花は、常に花びらが閉じていて、蕾の状態だ。
 記述には……。大昔、その花びらが開いていたようだが。ちょうど、神華から【淀み】が発生し始めた頃に、花びらが閉じたようであり。更に、神の化身や愛し人も、その時期から生まれたという。

 それによって、神の化身、愛し人が、この星を守る絶対的な存在となった。

 神の化身が、神華から出る淀みを吸い取り、星を安定させる。だから、神の化身の体内に淀みが溜まってしまう。

 それを、愛し人と身体と交えることで、溜まった淀みを消去することが出来る。
 要するに、本当の意味で――神の化身と愛し人は、半身として存在しており。ふたりでひとつの存在なのだ。


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