【R18・番外編】来世でも一緒に

霜月×ティオ

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満月の夜の交わり 2/3 ※

【Side アレク】


「――っ、ふぁ、……ぅぅ、んっ、……んうぅっ」

 静かな図書室に、僅かな衣擦れの音とマリの漏れ声が小さく響く。

 彼女の耳や首筋を、痕が残らないよう優しく、それでも羞恥を掻き立てられるよう音を立てながら舐めて吸い上げる。

 ゆっくりとスカートをたくし上げれば、マリの腰が揺れた。

 緊張しているのか、少し震える彼女の内腿を宥めるように撫で、下着の隙間から指を差し込む。すると、すぐに湿った気配がして。薄い恥毛を掻き分けて秘裂をなぞれば、そこはしとどに濡れていた。

「……濡れてるじゃないか」

 彼女が声を我慢しているのをいいことに、声に愉悦を混ぜて囁けば、彼女の体がビクリと震える。

「あっ、……あぁ……」

 ちゅっと耳を吸えば、甘い吐息が零れた。

 そのまま私は、蜜をまぶすようにゆっくりと指を秘裂に往復させた。花芯にも蜜を塗り付け、小さく円を描くようにゆるゆると刺激する。するとマリが、誘うようにその細腰を私の雄の部分に擦り付けてきた。

(……これが無意識なのだから……)

 すごいものだと苦笑する。

 いつも思うが、マリは私を誘うのが上手すぎるのだ。もう少し余裕を持ってじっくりと愛でたいのに、無意識に無自覚に煽ってきては私の理性を焼き切ろうとしてくるのである。

 故に、私はいつも呑まれないよう必死で。
 今だって本当は、すぐにでも突き入れたいのを我慢していてズボンの前が痛い程なのだ。服越しとはいえその肌と擦れ合えば、衝動的にマリを犯すイメージが脳にチラつく。

(だが、まだ駄目だ……)

 それでも先ずは仕置きだと、畳みかけるように赤く染まった耳殻を舐めしゃぶる。

「んあぁ……っ、やっ、も、アレ、ク、ぅぅ」

 溢れる嬌声。それを合図とし、彼女の快感をり出すように花芯を触るスピードを上げ、もう片方の手で胸の頂を擦った。

「んんっ、んっんっんっ、ふ、っ、んんんっ」

 彼女の体が何かに耐えるように強張こわばりだす。
 漏れる声が切羽詰まったものになり、合間に喉を鳴らして息を吸う。

 そのタイミングに合わせ、

「……イけ」

 胸の頂をきりりと摘むと同時に耳孔にその言葉を流し込めば、内腿をブルリと震わせて彼女が達した。

 慰めるように花芯を優しく撫で続ければ、ビクビクと体を跳ねさせ、花から大量の蜜を溢れさせる。

「は……っ、は、……はぁ、ぁ、んぁぁ……っ」

 荒い息を吐きながら弛緩する彼女の体を片腕で支え、指をゆっくり引き抜く。

 糸を引く程に指に絡んだ蜜。
 それを舐め取れば、雄を誘う、甘い雌の香りが鼻腔をかすめた。

(……ああ、今夜こそ。抱き潰そう)

 ――彼女のココが、甘美な匂いを放ち蜜を垂れ流して雄を、……私を誘っている。

 そう思っただけで、この場所で彼女を組み敷き思いのままに犯したい衝動に駆られたが、今夜こそ枯れるまで抱いてしまおう、そう思い直して我慢した。

(仕置きという名分も手に入れたしな……)

 自分が勝手に言い出したという事実も、本と一緒に棚に上げてしまえばいい。

 そう思って、寝室へ帰る為に私は彼女を抱き上げた。



 *



「どうかなさいましたか?」

 耳を染め、私の胸に顔を押し付けたまま何も言わないマリ。そんな彼女を、私も黙ったまま横抱きに抱え寝室へと続く廊下を歩いていると、またしてもジルに会った。

 ジルの声を聞いて、マリの私の服を掴む手がキュッと締まる。
 おそらく、今の姿を見られたくないのだろう。

「いや? 何でもないよ。……少し、疲れたみたいだったからな。まぁ、今から寝室に戻るし、問題はない」

「……左様でしたか」

 なんとなく私自身も今のマリを見られたくなく、少し体をずらし彼女が私の影に隠れるようにしてそう言えば、ジルは若干訝しむ表情をしながらも納得の声をあげ、頭を下げた。

「……ああ、そうだ。ジル」

 ジルの横を通り過ぎる際、もう一度声をかけた。

「はい」

「明日の朝はすこししたい。……呼ぶまでそっとしておいてくれ」

「……かしこまりました。……ですが、あまり無……、いや、何でもございません」

 ジルが何か言いかけたのを飲み込む。

「ははっ。…………分かっているさ」

 それをニヤリとして一瞥いちべつし、私たちはその場を後にした。



 *



「アレク! あのっ!」

「……何?」

 寝室に戻り、照明も点けず、そのままマリをベッドに下ろせば慌てたようにマリが声をかけてきて。私はそれに自身のシャツのボタンを外しながら答えた。

「……ま、だ、怒っているの?」

 暗い部屋の中。
 今夜は満月なのか、すこし開けられた窓から明るい月明かりが差し込み、不安気に瞳を揺らすマリの顔を照らす。

「……どうだろうね?」

 そう答えながらシャツを脱ぎ、私はズボンのボタンにも手を掛ける。

「……どうしたら、許してくれる?」

 涙で滲んだその瞳が、月の光を浴びて不意に煌めいた。
 先ほどの余韻か、それとも、この部屋を満たす空気に当てられたのか、まだその耳も頬も赤い。

 眉を寄せるその表情は、また愛しくも、可愛くて。

「……もう怒ってないよ」

 安心させるように少し微笑み、彼女の頬に触れながら優しくそう囁けば、明らかにホッとしたように頬を緩ませて。

「でも、仕置きは別だ。マリ」

 ……その表情は、私の支配欲を煽るものだった。

「やっぱり怒っ、んんんっ! ふぁ、ぁ、んっ、ッ……!」

 彼女の体をベッドに沈め、唇を塞ぎ、親指で口を割って舌をねじ込む。

 柔らかい舌を舐め、絡め、吸って。
 歯列をなぞり、上顎をくすぐって。

「君の芯に、君の奥深くに、私が刻み付けられるまで。……止めないからな」

 濡れた親指で、濡れた唇を撫でながらそう囁けば、切なげに、一瞬、眉を寄せた。

 上体を起こしてガウンの前を開くと、初夜の時のものに似た、レースがあしらわれた白のネグリジェが現れる。

「……マリは白が似合うね」

 その薄布の上から体の線をなぞれば、初めて彼女を手に入れた夜を思い出した。

 痛みに耐えながらも微笑んで、ずっと私が欲しかったのだと言ってくれた、甘い夜。

 ――あの夜から、私は彼女に溺れているのだろう。

 胸を肌けさせ、柔らかい乳房を揉みしだき。紅く色付きぷくりと膨れたその頂を貪れば、あの時よりも更に甘いものとなった声で彼女が鳴く。

 その声に煽られるまま、脚に手を這わせてスカートをまくり、秘裂を探れば下着ごと濡れていて。それを指先に感じただけで喉が鳴った。

 胸の頂をかじりながら指で押し撫でれば、じゅわりと蜜が染み出てくる。

「……びしょびしょだな」

「やっ、ちがっ!」

 下着のきわから指を入れ、すこし蜜を纏わせれば何の抵抗もなくナカへと誘われる。それでも、私の言葉に、目に涙を溜めてイヤイヤと首を振る、そんな彼女を何故だか無性に虐めたくなって。

「ちがう? 何が? こんなにすんなり指を咥え込むのに?」

 追い詰めるように、煽るように。
 言葉を吐きかけながら指で大きく掻き混ぜれば、ぐちゅぐちゅと卑猥な音をたてて、涙を零しながら彼女が鳴いた。

 いつもと違う雰囲気に戸惑っているのだろう。
 その戸惑いと、体の快感が綯交ないまぜになりせめぎ合って、彼女の中で渦巻いているのだろう。


(……あと少しか?)

 快感が理性を凌駕りょうがするのはと、マリの様子を伺いながら思考する。

(……もうあと少し……)

 そう思いつつ、無遠慮に下着を剥ぎ取る。蜜で濡れそぼる薄い恥毛を掻き分ける。

 ぷくりと腫れ主張する花芯。そこに舌を這わし、無心で彼女の弱いところを指先で押し撫で、溢れた蜜を吸い上げて。

(あともう少し追い詰めれば……)

 ――快感に呑まれ、彼女はどうしようもなく私を求めてくれるだろうかと。

 そう、思っていたのに。

「ああっ! アレク! や、あっ、お願いよ! やだっ! ねぇ! こんなの、嫌ぁ……っ!!」

 その先で待っていたのは、愛しい人からの激しい抵抗だった。

「…………マリ?」

 顔を手で覆い泣く彼女を見て、ザッと血の気が引いてゆく。

「……マリ、……マリ。すまない。……やりすぎた」

 彼女の頬に手を添えて、頭にキスをして、謝罪の言葉を口にするが、彼女は泣き続けたままで。
 やってしまったという後悔と、嫌われてしまっただろうかという不安。それらに襲われて、息が詰まったその瞬間。

 戸惑いを浮かべて泣く彼女が、ゆっくりと顔を上げた。

「……どうしたの? アレク」

「…………」

「ねぇ、アレク。……好きよ。愛しているわ。私が怒らせてしまったのでしょう? 呼ばなかったこと、本当に謝るわ。……でも、こんなのは嫌なの」

「……すまなかった」

 先に理性を失っていたのは私のほうだったのか。

「……っ、…………君に、私を求めて欲しかったんだ……」

「アレク……?」

「今まで、がむしゃらに君を求めてきて。その君をやっと手に入れて、幸せなんだ。……でも、幸せ過ぎて。……っ、幸せ過ぎて、たまに怖くなるんだよ。私は、君を失う怖さを知ってしまっているから」

 抱いても抱いても足りなくて、抱けば抱くほど欲しくなる。
 夜毎抱いて刻み付けてるつもりでも、結局、刻み付けられているのは私のほうで。気付いた時には既にマリの存在は大きくなりすぎていて、もしまた失ったらと思うと、息もできないほどにゾッとするのだ。

「……君に私の存在を求めてもらえれば、確かめられると思った。……君の中にきちんと私がいるのだと」

 決してマリを信じていない訳ではない。
 只々ただただ、求めてもらえれば、安心できる気がして。

「……お願いだ、マリ。些細ささいな事でもいい。…………私を呼んで。私を求めて」

 それは、我ながら重いなと思ってずっと言えなかった気持ち。

「君が好きすぎて……、どうにかなりそうだ……」

 それをとうとう吐露とろした時、彼女の手が優しく頬に添えられ、キスをされた。

「……アレク。ごめんなさい。私、貴方を怒らせたのではなく、傷つけていたのね?」

 瞬きをする度に涙を零しながらマリが言う。
 その眉は申し訳なさそうに寄りつつも、その口元は嬉しそうに微笑んでいて。

「ああ、でも、どうしましょう。嬉しくて堪らないわ。……好きよ、アレク。言った筈でしょう? 私、貴方がいないと生きていけないの。……あの時、……貴方を失うと思った時。……一人残されるくらいなら一緒に連れて行って欲しいとすら願ったわ。……だからきっと、私はここにいるのよ?」

 そう言った彼女の腕が、私の首に回される。

「私がどれだけ貴方を愛しているか、貴方を求めれば伝わるの?」

 ――息がかかる距離で囁かれる言葉。

「……アレク、たくさんキスして。息もできない程、たくさん。そしていっぱい抱いて。貴方以外何も考えられなくなる程、いっぱい抱いて、甘く溶かして」

 それは静かにつむがれる、彼女の激情だった。

「全部あげるから、全部ちょうだい。……貴方は私のモノよ。私に溺れる貴方が欲しいわ」
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