Overnight dream..*

霜月

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魔女の鳴き声は甘く、その心絡め取る。

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Overnight dream..*Ⅲのレオ視点。







 ――――それは、満月が綺麗に輝く祭りの夜のことだった。


 祭りの盛り上がりがピークを迎えしばらくして、ようやくその熱気も落ち着いてきた頃、俺は辺りを見回した。

(後は任せても大丈夫か……)

 ピークの時より人の波も落ち着き、後は減っていく一方の筈で、ここから先は特に俺の指示が必要になるようなこともないだろう。そう思って。

「オイ。俺は下がるぞ。執務室にいるから、何かあれば呼びに来い」

 俺は部下にそう告げると、その場から離れたのだった。



 *



 騎士団の隊舎に着く。
 もし万が一、俺にしか対処ができないような問題が発生した場合、すぐに駆けつけなければならない事を考えると屋敷に帰ることはできず、かと言って、会場の近くで待機していて下手に女に絡まれても面倒だったためここまで戻ってきたのだった。

 いつもならば隊員の男たちで溢れガヤガヤとうるさいこの場所も、今日は祭りのためにそのほとんどが警備に出ており、非番のヤツも遊びに行っているのか人気がなく、珍しく静かだった。

(少し書類を片付けて、ソファで寝るか……)

 そんなことを考えつつ、窮屈な上着の前ボタンを外しながら自分に与えられた団長用の執務室へと向かい、いつものようにその鍵を開けて扉を開いたのだが、その室内へと足を一歩踏み入れたその瞬間。

 肌に、僅かな空気の揺らぎを感じた。

(……何だ?)

 カーテンも閉められ、照明も落とされた暗い部屋。
 鍵はかけていた筈だが……。

(……誰かいるな)

 殺気等は感じないが、人がいる気配がする。

(まったく、どうやって入り込んだんだか……)

 俺はそう思うと小さく息を吐き、後ろ手で扉を閉めると、ゆっくり鍵を掛け直した。

「……そこにいるのは誰だ」

 腹に力を込め、すぐに抜けるよう愛剣の柄に手を添えながら、俺の執務机の後ろにある窓、それにかけられたカーテンに向かって声をかける。

 本人は息を潜めているつもりなのかもしれないが、気配はダダ漏れな上に、暗闇に目が慣れてしまえばカーテンの裏に人が隠れていることなどすぐ分かった。

「…………誰だと聞いている」

(賊にしてはお粗末だが……)

 おそらく一人で、気配も消せず、隠れ方も下手。ザッと見たが部屋を荒らされた形跡もない。

(荒らす前に俺が来てしまった、といったところか……?)

 声を掛けつつそんな事を考えながらゆっくりと近づくも、答えは返ってこない。

(だがまぁ、……いい度胸ではあるか)

 この部屋に忍び込むのも、この俺を無視するのも。

 そう思い、脅しの意味も含めて愛剣を抜こうかと柄に添えていた手に力を入れた時、執務机の奥、そのカーテンの下から、白く華奢な脚が見えている事に気が付いた。

「……その足……女?」

 裸足で、何も纏っていない艶かしい女の生脚。

(賊かただの盗人かと思ったが、……なるほど、か。)

 それならば、気配が消しきれないのも頷ける。

 そう考えながらツカツカとカーテンへと近づき、その正体はどんな女だろうかと一気にカーテンを開いた時、俺は思わず目を見開いた。

「……祭りの夜に俺の執務室にまで忍び込み、俺に抱かれにきた女はどんなやつだろうかと思ったが……」

 カーテンの影にはたしかに1人の女が立っていたのだが、見つかってしまったと焦る雰囲気で恐る恐るといった風に俺を見上げたその女が纏っていたのは、この世界にある筈のない『漆黒』。

 そう、月光を浴びて艶めく、美しい漆黒の髪だった。

「その髪……お前、眩惑の魔女だな?」

(ようやく俺のところに来たか……)


『眩惑の魔女』
 異国の肌と、この世界に存在しない漆黒の髪を持ち、どこから来たのか分からないが『突然現れ』、夜を共にした男の心を絡めとり骨抜きにして、その男がどう繋ぎ止めようとしても『突然消えてしまう』、そして且つ、1度現れた男の前には2度と現れないと言われている存在。


(……1度会ってみたいと思っていた)

 騎士団として、その怪しい存在に。
 男として、その妖しい存在に。

(たしかに、突然現れるというのは本当のようだな……)

 そう思いつつ、俺はずっと狙っていた獲物が目の前に現れた嬉しさに口端を歪めた。

「おっと」

 その瞬間、その女が俺の脇を抜けて逃げようとしたので、その腕を掴み、隠していたナイフをその喉元に突きつける。

「…………逃すかよ」

「……っ!!」

 突然消えるとの話の筈なのに、その動きは散漫で、取り押さえるのは容易くて。

「その格好では何も持っていないと思うが。……手を挙げて窓に背を付けろ」

 俺がそう言うと、しぶしぶという感じで大人しく従った。

 そして俺はというと。
 愉しい気分のまま目の前の女が窓に背を付けたところまで見届けてから、ナイフをその存在に向けつつ愛剣を机の上に置き、椅子を回して座ると足を組んで。

(まぁ、たしかに不思議な色気を持つ女ではあるな……)

 女を見上げ、観察しながらそう思った。

 滑らかな肌に、髪色と同じ黒く長いまつ毛に縁取られた瞳は大きく、その瞳の色も黒に近い色をしているようだった。
 顔立ちは一見すると初心な少女のようなのに、その体は華奢ではあるがたしかに大人の女のそれで。
 髪色と同じ黒の上着の隙間から覗くのは、体のラインがはっきり分かるほど透けている淡い色をした下着と、月光を弾く白い肌。

 暗闇の中、月の光を浴びて浮かび上がるその姿は、まるで夜露を含んで開いた瑞々しい花のようで、その異国感のある色も相まって不思議な色香を放っていた。

「一応確認するが、お前は魔女だな?」

「……ええ」

「名前は?」

「……レナ」

(変な女……)

 暗い部屋に知らない男と2人きりで、且つ、自身は下着だけを纏った姿だというのに。
 そんないつ襲われるかも分からないような状況で、しかもナイフまで向けられているのに。
 目の前の女は怯えた様子を見せるどころか、どこか不満げに俺を睨みつつ質問に答えてくる。
 その様子を見て、俺はそう思った。

 そしてそれは、明らかに男を誘うような態度ではなく。
 魔女は男を誘い、夜を共にしてくれる存在ではないのかと疑問に思ってしまうほどだった。

(……格好だけは上出来だかな)

「くくくっ。……眩惑の魔女の存在は聞いた事があったが、……イメージと違ったな」

「すみませんね。絶世の美女とかじゃなくて」

 あどけなさすら感じる顔立ちに対して、魅惑的な肉体。
 男を知らなそうな瑞々しい肌に対して、纏う空気に混じる色香。
 男を誘う装いとは裏腹な、素っ気ない態度。

 その全てにおいてアンバランスな様子が面白く、笑いを漏らしつつそう言えば、すこし不貞腐れたようにそう返された。

「ははっ。いや、そんな格好をしているヤツに言うことではないが、なんと言うか、もっとこう……男慣れしたギラつく目をした女を想像していただけだ」

「…………」

 聞いていた噂の内容から、そう、例えば、この俺の騎士団団長という地位やこの容姿に群がってくる女どものような目をした女を想像していたが、目の前で黙りこくった女の瞳にはそんなギラつきは一切感じない。

(……目的の対象は俺じゃないのか?)

 むしろ、そのセックスする気が全くみえない態度に、だんだんと目の前の女がここにいる理由が分からなくなってくると同時に、初めてと言ってもいいほど女から素っ気ない態度をとられている事実にプライドが刺激され、無性に目の前の存在に興味を引かれた。

「では、魔女。俺の名を知っているか?」

「……レオ・ルフェーブル」

「他には?」

「えっと、たしか28才で騎士団の団長さんでしょ?」

「やはり、対象は俺か?」

 未だ誘ってくる気配のない魔女に問う。

「黒髪を持ち、相手の名前や年齢を言い当て、その相手を一夜で骨抜きにして消える女。……眩惑の魔女、今夜骨抜きにする相手は俺かと聞いている」

「…ええ。そうよ」

(……たしかにこれは、今まで相手にしてきた女たちとは少し違うようだな)

 扇情的な格好をしながらも、その態度は媚びることなく、堂々とこの俺を骨抜きにすると言いきる魔女。

「なるほど。面白い。誘うだけ誘っておいていざとなると受け身な貴族女には飽きていたところだ。……わざわざそんな格好で現れる程だ、魔女殿は……俺を愉しませてくれるんだろうな?」

「……愉しませてあげられるかは分かりませんよ。……ただ、ナイフを向けられていては何もできない事ぐらいは分かりますが」

 未だジトりと睨んでくる魔女にそう言い放てば、そう返されて。

「はは! ……それもそうだな」

 ああ、魔女殿の不機嫌そうな理由はこれだったかと思いながら、俺があっさり床にナイフを投げ捨てると、すこし怪訝そうにそのナイフを見た後、俺に視線を戻しヒタと見下ろしてきた。

(さてと。……どう骨抜きにしてくれるのか、お手並拝見といこうか)

 そう思いつつ、口元を期待に歪ませて魔女を見上げれば、魔女もまた俺を見てきた訳だが。
 その瞳は、他の女のようにネットリと俺を舐め回すことなく、ただ淡々と俺を観察しているだけのようだった。

「積極的な女がいいの……?」

 不意に魔女の手が伸びてきて俺の頬に触れ、その細い親指で俺の唇を撫でながらそう尋ねてきた。

「まぁ、な。閨事とはそういうものだと教えられているのもあるのだろうが。……声も反応も押し殺し、気持ちいいのかどうかも言わずにただ男が果てるのを待つ。そういう女を抱くのは流石に飽きた」

 男を愉しませる手練手管を期待するなら夜の街に出ればいいのだとも分かっているが、あの蝶どものネットリ這い回る手や声も、化粧と香油でくさい体も好きにはなれず、だから女を抱きたくなった時は、言い寄ってきた貴族女に適当に相手させてきたのだが。

 閨ではそうするようにと教えこまれているから仕方ないとはいえ、どの貴族女たちを相手にしても似たような態度を返され、さらにその女たちも、まるで競うように化粧と香油の匂いが強く、正直辟易していた。

(しかもそのくせ、どの女も目だけは俺の子種を求めてギラついているんだからな……)

 そんな女たちが相手では手ほどきする情も湧かないし、一夜以上の関係を持つ気にもならない。そう思った時、何故か呆れた様子で「それなら……貴方が手ほどきすれば良いのに」と言われ、思わず鼻で笑ってしまった。

「……一夜しか相手にしない女に手ほどきするなど面倒だろうが」

 そしてそう言い返すと。

「……貴方こそ面倒ですね」

 魔女は何故かすこし怒ったように眉を寄せてそう言い放つと、反論は許さないと言わんばかりに唇を塞いできた。

 一瞬呆気に取られたが、俺の肩に手をついて俺の唇に触れる魔女の唇の感触は、想像以上に柔らかく気持ちがいいもので、不思議と押し返す気にはならなかった。

(……まぁいい)

 面倒と言われて少々ムッとする気持ちはあるが、これでようやく魔女との夜が始まったのだ。

(愉しまなければ損だろう)

 そう思っていると、ゆっくりと何度か唇を喰まれた後に促すように唇を舐められたので、その柔らかな舌を招くために俺は口を開けた。

 舌を舐められ、絡められ、吸われて。
 丁寧で的確なのにどこか淡々と口内を這われた後、これでいいかと言わんばかりに舌を擽られた。

(あくまでも俺に媚びるつもりはないらしい……)

 なるほどやはり面白い女だなと思いつつ、舌を舐め返して。
 組んでいた足を解き、その細い腰に手を添えた。

「……そう言えば、レオ様とお呼びすればいいですか?」

 しばらく互いに舌を絡め合った後魔女がそう聞いてきたので、一瞬、考えを巡らせる。

 今まで相手にしてきた女たちには、その名を呼ばせることは許してこなかった。
 あくまでも一夜だけの相手だと分からせるため砕けた雰囲気は作らせず、俺も女の名前も呼ばなかったのだが、この女の場合は今までとはすこし状況が異なる。

(ならば、……これもまた一興かもしらんな)

 そう思い至り。

「……レオでいい。敬語もいらん」

 気付けばそう答えていて。

「……魔女の名はレナだったか?」

 そして俺は初めて、情交の相手の名を呼ぶ気になっていた。

 そのまま目線を合わせていると、「はい」と返事をしたかと思えば少し首を傾げレナが微笑む。

「……できれば魔女ではなく名を呼んで? そして、私もするから。……レオ、貴方もして?」

「……ああ、レナ。いいだろう」

 その初めて見せた笑顔は思いの外可愛いもので、柄にもなく心がドキリとしたのを感じつつ、その後続けられたおねだりに、俺はその名を呼びながら承諾をした。

 誘うようにレナが口を開け舌を差し出してきたので、応えるために舌をベロリと舐め、そのまま舌を押し入れる。

「んっ、んん。……っ、んっ」

 脳に響くレナの甘い声を聞きつつその口内を探れば、舌同士を合わせた時により甘くなるようだったので、時折他の部分に舌を這わせながら、入念に舌を絡め合わせた。

(……いい反応じゃないか)

 深いキスをしながら、腰に添えていた手をゆっくり撫で滑らせて、その先にある柔らかな双丘を優しく揉めば、くすぐったそうに腰を揺らす。
 その反応に満足しながら、手に感じる柔らかさと脳に響く甘い声を愉しんでいれば、ふと、レナの手が俺のシャツのボタンに掛けられた。

 プツリプツリとボタンが外され、それが外し終ればレナの指が俺の体をなぞりつつシャツの前を開いてゆく。
 その触れるか触れないかのところを滑る指先の感触は、ゾクゾクと俺の官能を煽るもので。

(レナから触れられるのは悪くはないな……)

 他の女のベタベタ触ってくる手とはまるで違うと思っていれば、レナが唇とともに体を離し、俺の状態を確認するように見下ろしてきた。

 唇を濡らし、キスだけで頬を上気させたその顔は、紛れもなく情欲を知る女のそれで。
 月光に陰る顔にとろりとした瞳が妖しく煌めくその様は、俺の中の劣情に火をつけるのには十分すぎるものだった。

「……っ!」

 首筋にレナの唇が降りてきて、思わず息を飲む。

 僅かなリップ音を響かせながら、レナの唇とレナの舌が、俺の体を舐めて吸い。
 レナのサラサラとした黒髪とレナのその白く細い指先が、俺の体を撫で滑る。

「……ふっ、、っ、……はっ」

 その気持ちよさに、息を飲むたび火がチリチリと焚きつけられ、その唇と指先が下に降りていくにつれて息が乱れた。

 レナが上体を起こしたので、じわじわと霞みだした意識で彼女を求めるように手を伸ばせばそのサラサラとした黒髪に触れる。

(病みつきになりそうな手触りだな……)

 そう思いながらその髪を撫で梳けば、嬉しそうに頭をすり寄せてきたのだが。
 それはまるで、生意気だった猫がすこし懐いて甘えてきた時のような感覚を思い起こさせ、つい、……可愛いなと思ってしまった。

 レナの手がそのまま俺のベルトやズボンのボタンも外す。
 そしてその指先で誘うように下着越しになぞられれば、思わず息を止めてしまうほどの快感が背筋を走った。

「……少しは愉しんでもらえてるって思っていい?」

 少し満足そうな顔でキスをしてきたかと思えば、挑発するように首を傾げてそう言ってくる様もまた可愛くて。

「ああ、……上出来だ」

 俺はそう言うと、目の前の生意気で可愛い猫を愛でるため、その体へと手を伸ばした。

「あぁっ……、んっ」

 その薄い下着の上からやわやわと胸を揉み、頂も可愛がればすぐにぷくりと立ち上がって反応を返してきて、その口からは甘く可愛い鳴き声を零す。

「ああ。レナ、いい声だ。……もっと鳴け」

「……んんっ、あっ、あっ、あぁあっ」

 コリコリとした頂を指先で愛でながら、その声をより聞きたくてそう促せば、素直に鳴き続けて。

 存外素直で可愛い猫じゃないかと思いつつ、レナは邪魔なドレスも着ていないし、また、化粧や香油を塗っていないと思われるその肌は無臭に近く、これなら匂いや脱がせる面倒くささで不快な気持ちになることなく、心ゆくまで愉しめそうだなと思った。

「んっ、ゃああっ!!」

 完全に立ち上がり、その薄い布の下から存在を主張する頂に舌を這わせれば、ピクリと体を跳ねさせる。

 宥めるように、手懐けるように。甘く、優しく。
 てらてらと唾液で透けるその頂を舐めしゃぶり、舌を突き出しいたぶって、ただひたすらにその瞳に求めるものは。

 俺への懇願。

(……ああ)

 来た。

「……レオ」

 待ち続けた、俺の名を呼ぶその声と、引き寄せ塞いだその唇は、期待以上に甘く、可愛く、俺の嗜虐心を引き起こす。

「……なんだ?」

 愉悦に口端が歪むのを感じつつ、その続きを言わせるため間近で目線を合わせてそう促せば、未だ僅かに悔しさを滲ませキュッと眉を寄せながらも、差し出すように自ら衣服を肌けさせた。

「……直接して?」

「くくっ。そう可愛くねだられては仕方ないな」

「ぁあ……っ!」

(快感には従順なんだがな……)

 直接その頂を舐めれば、素直に喜悦の声を上げ体を跳ねさせるのに、先ほどの表情から察するに、だからと言って俺に屈している訳ではないらしい。

「んん……、ふ、んぁ、ぁっ、気持ちぃ……んぁあ」

 その体に優しく快感を与えれば、俺の頭を掻き抱いて甘い鳴き声を上げる。

 その様も確かに可愛いが。

(ハッキリ言って、足りないな……)

 俺はそう思うと、胸の先を貪りながらレナの腰と脚に腕を回して抱きあげ、執務机の端に座らせて。
 そのままレナの体を支えつつゆっくりと押し倒し、その姿を見下ろした。

 上体を起こし、ゆっくりと自分の上着とシャツを肩から落としながら考える。

(せっかく俺の名を呼ぶ事を許しているんだ……)

 どうせならもっと甘く呼ばせたい。
 どうせならもっと強く求めさせたい。

 そう、例えば、めちゃくちゃに、泣き乞うほどに。
 未だどこか淡々と俺を観察する瞳を、ドロドロに、溶かすほどに。

 この可愛くも生意気な女を手懐けて、俺のこの手に堕としたい。

 ああだから、特別に。この俺が……。

(……本気を出してしてやろうではないか)

 そう思いながらその白い首筋を舐め、歯を立てれば、レナが小さく叫び声をあげた。

 喉。胸。腹。腰。

 その薄く簡易な布を剥ぐように脱がせながら、その柔らかく滑らかな皮膚から芯に向け。
 舐めて歯を立て強く吸い、指を食い込ませるように強く揉む。

「んんんっ。……ふぁっ、あっ! ゃ、んんっ!」

(まさかここまで甘く鳴かれるとは……)

 乱暴にしている自覚はあった。ワザとそうしていたから。

 レナを支配するため、表面から侵食し、体を通して心まで。
 痛みと快感の狭間を縫い、酔わせ惑わせ刻み付けるため。

 そうしてその先に求めるものは、ただの一夜の快楽だけだった筈なのに。

 その荒々しさすら呑み込むように甘く鳴くレナを見て、健気さと可愛さを感じるとともに、チラリと一瞬だけ、支配欲以外の不明瞭な感覚が心を掠めた気がした。

(…………まぁいい)

 せっかく今からが本番なのだ。
 些細な事を気にしている暇はない。

(ここも、こんなに溢れさせているしな……)

 膝裏を持ちレナの脚を大きく割り開けば、月明かりを反射して、卑猥にヌラめく秘裂が見える。

「可愛いやつだな……。レナ、……すげぇ、濡れてるぞ」

 片足は持ち上げたままで、手を伸ばし指でなぞれば、こぷりと蜜を吐き出して。
 熱くぬかるむその中は、ほどよく締め付けつつもすんなりと俺の指を咥え込む。

(……何故、鳴かん)

 今まで散々鳴いてきたのだ。中を刺激してやれば、より高く鳴くと思っていたのに。
 喉をひくつかせながらも、何かに驚いたかのように目を見開き唖然としているレナを見て、俺は少し眉をひそめた。

(これは少々、気にくわんな……)

「ダメっ! あ! んんっ! …っ、や、んっんんっ!」

 そう思って、その花芯に舌を這わせれば、堰をきったように鳴き出した。

「……ッ、レオ! ひっ、やめ……ッ!!」

 慌てたようにレナの手が伸びてきて俺の頭を押したが、その力は既に弱くグズグズで、制止の声すら甘い響きを孕む。

(ココが弱いのは魔女も一緒のようだな……)

 そう思いながら、花芯を舐め突きつつ、指を動かす度にぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てるその中を押し撫でて解し、溢れた蜜を吸い上げる。

 やがて、鳴き声が高く切迫詰まったものへと変わり、達する前の緊張だろう全身が強張ってきて、その中が指を締め付けるように蠢いた、そのタイミングで。

 俺は指の動きをピタリと止め、舌を離した。

「……はっ、はぁ、……ふ、、な、んで? ……、っ?!」

(まだ堕ちきらんか……)

 ひどく息を乱れさせ、顔だけでなく胸元まで色付かせながら、非難するような態度で俺を睨むレナを見て、その顎を掴み、そう思った。

(ここは泣いて懇願するところだろうに……)

「レナ。……イく時は、ちゃんとそう言え」

 そしてそう思いながら顔を寄せ、教えるように言葉を紡ぐ。

「……え?」

 そう、これは手ほどき。

「お前の鳴き声はイイよ。とことんイかせて喘がせて、泣き叫びながらねだらせたくなる」

「……んぁっ。……んん」

 ギリギリまで昂った体を、焦れさせ、勿体ぶって、いたぶって。

「レナ、……イきたいか?」

「イき、たいっ」

 本能を引き出すように、言葉で煽り。

「……このまま、指で?」

 その揺れる瞳を見つめ、いいわけないと分かりつつ追い詰めて。

「……ちゃんとねだれ」

 誘導するように耳元でその言葉を囁く。

 その中に求める熱があるだろう。
 その奥に望む激しさがあるだろう。

(……さあ)

 その体に叩き込んでやるから。

(……声に出せ)

 芯まで刻んでやるから。

(……俺の名を呼んで)

 その声が枯れるまで侵してやるから。

(……早くお前を)

 犯せとねだれ。


「お願い。……レオが欲しいの。ココに入れて、奥まで犯して?」


 それは、脳まで痺れそうなほどの甘い誘い。

 自ら股を開き、秘裂に手を添えて。
 零さんばかりに涙を滲ませるその瞳に見えたのは、求めた女が、この手に堕ちた瞬間。

「……上出来だな」

 俺はゾクゾクするほどの愉悦が背筋を走るのを感じつつそう言うと、下着の前を寛げ取り出して、肉欲を求めてヒクつく秘裂に押し当てた。

「もうイくのも止めん。……枯れるまで鳴け」

「んんっやぁぁ!! ひぁっっ!」

 その中は狭く、苦しそうに眉を寄せる様さえ可愛くて。
 衝動のままに俺の熱を捻じ込めば、レナが甘い甘い鳴き声をあげた。

「……く、ぅ、……っ!! ひっ、あっ! ああっっ!」

(ああ、これはソソるな……)

 生意気だと思っていた女が、俺のペニスで喘ぐ姿は。
 初めて可愛いと思った女が、俺に突かれて鳴く姿は。

 異常な程に滾らせる。

「レオ! レオ! だめっ、気持ちいいの! ……っ、あっ! ……ひぅっ、ッッーーー~~……っっ!!」

「……っ、はっ。……おい、レナ。イく時はちゃんとそう言えと言った筈だぞ?…………やり直し」

「ひっ!! やっ! ん、んんんっ!! ふぁ、んんっ!!」

 抑え付け、口付けて。
 徐々にスピードを上げて、打ち付ける。

「ふぁっ! はっ! レオっ! も、ダメっ! ……ぁあっ!! またっ、……っ、く、ふ、んん……イ、くッーー……っ!!」

「……はぁっ、くくっ、イイ子だ。……ご褒美をやろう。…………ああ、……その顔もいい…」

 涙を溢れさせながらも必死に俺を受け止めて、教えたとおりに鳴く、可愛い可愛い、俺のレナ。

 ゾワゾワと、ゾクゾクと。
 レナのその喘ぎ声が耳朶を打つたび愉悦と快感が混ざり合い、身体中を駆け巡る。

「やっ! もう許して!! ……ひ、ああっ! もう、やめっっ!!」

「……そう言うな。……それに。レナが手ほどきをすればいいと、はっ、……っ、言ったんだぞ?」

 上体を起こし、見下ろして。
 レナの体に落ちる己の汗を見れば、思いの外自分も興奮しているようだと可笑しくなった。

「……ここまでイくのが惜しいと思う夜は初めてだな。だがそろそろ……」

(俺も、限界だ)

 昂まる吐精欲を抑えつつ、1度中から引き抜いて。
 レナをうつ伏せにし腰を引き寄せ、蜜でヌルつく俺のペニスを再びその蜜口へと当てがった。

「……仕上げといくか」

 そして今度こそレナの中を味わい尽くそうとした、その瞬間。

 ……コンコンッ!  

 急に響いたノック音に、時が止まる。

(……チッ。……なんだ?)

「団長、いらっしゃいますか?」

 内心で舌打ちをしながら様子を伺うと、シンと静まり返った室内に部下の声が響いた。

 落ち着いた声の様子から緊急的な用事ではなさそうだが、わざわざここまで呼びに来たのであれば、十中八九、上からの呼び出しだろう。

(……陛下か?)

 それか殿下かと、呼び出しの主に当たりをつけながら突き入れれば、レナが抑えきれない声を上げた。

「……ああ。どうした?」

「え? 鍵? ……あのっ?」

 レナの熱が落ちないようゆっくりと動きながら部下に返事をすれば、入ってこようとしたのだろう、ガチャガチャとノブを回す音と共に部下の戸惑う声が聞こえた。

「悪りぃが、今取り込み中でな。手短に頼む」

「……っ?! ………ふぅっ! んっ………ふっ!」

 必死に声が漏れないよう口を手で押さえてはいるが、ゆっくりと引き抜き一気に突き入れれば、ガツリと奥を穿つ度にくぐもった声を漏らし、中がキュッと締まる。

 一瞬、その手を外してやろうかとも考えたが、流石にそれは怒らせてしまうだろうと思い、思い止まった。
 その代わりにと、見えているその白い肩をレロリと舐めれば、更にキュッと締め付けて。

(……たまらんな)

 愉悦に口端が歪み、更に欲が熱を孕んだ。

「……? ああ……、はい。休憩中申し訳ありません。第一王子殿下がお呼びです。あの、御急ぎではないとの事でしたが、えっと、……その、用事が終わられましたら御戻り下さい」

(ライアン殿下だったか……)

 その部下の連絡を聞いて、殿下の姿が頭をよぎった。

 美しく、聡明で、政務にも真面目な我が国の第一王子。
 少々堅物な面もあったが、最近では、何かふっきれたかのように前にも増して明るくなったように思う。
 その変化と時を同じくして、殿下が寝所に女性を連れ込んだとの噂がたったが、結局相手が見付からず、表面上はその噂は立ち消えた。
 ちなみに俺としては、先日お会いした時にそこはかとなく男の色香を感じたので、あの噂もあながち嘘ではなかったのではないかと思っている。

 その殿下も今度めでたく王太子となられるので、おそらくだが、その立太子式の警備面の確認での呼び出しだろう。

「……ああ、わかった」

「失礼しますっ」

 俺がそう答えると慌てた様子で部下が去って行き、再び部屋に一時の静寂が訪れた。

 再びレナに意識を戻せば、羞恥だろう、レナの肩が震えているのが分かり、それが可愛くも可笑しくて思わず笑ってしまった。

「悪い。……待たせたな」

「……んああっ! やっ! レオ!!」

 再び肩にキスをしてそう囁き、早い抽送を再開させる。

「くくっ、……レナはああいうのが好きか? ……アイツと俺が話す間、すげぇ締め付けたが?」

「ぁあっ! そんな、ことっ!」

「では、後ろから突かれるのが好みか? ……ああ、いいぞ。……よく締まる」

 腰を掴んでガツガツと突き上げつつ煽る言葉を吐き掛ければ、口では否定するような言葉を発しながらも、きゅうきゅうと締め付けてきて。

(体は素直なんだがな……)

 そう思うと同時に、その言葉と裏腹な反応こそが可愛いのかもしらんと思い始めている自分に気付いた。

「……それにしても、殿下のお呼びか……」

 ふと、意識が先ほどのやりとりの内容へと戻り、無意識に呟く。

(一晩じっくり抱いてやろうかと思っていたが、さすがに殿下からのお呼びとなれば行かない訳にもいかんな……)

 惜しいが、そろそろ終いにしなくては。そう思った、その瞬間。

「んんんっ、ライアン、様?」

 不意にレナがその名を口にして。

 ああ、お前だったか。と理解した。

(なるほど。……どおりで相手が分からない訳だ……)

 腕を掴み、その細く白い喉に手を掛けて、今では俺の移り香が香るその柔らかい体を引き寄せる。
 そして、確認のためその名を呼ぼうと口を開いたその刹那、何故だか喉の奥にジワリと苦いものが広がって。

「…………レナ、お前。殿下に抱かれたか」

 その苦味とともに吐き出した声は、自分でも驚くほど怒気を孕んでいた。

「……ッ?! ひっっ!! やっ! あああっ!」

 何故か膨らむ怒りに、意識が侵食される。

 こんな風に他の男の腕に抱かれ、鳴いたのか。
 こんな風に他の男の熱に突かれ、鳴いたのか。

 あの笑顔を見せ、蜜を零して、その声で。

 俺以外の名を呼んだのか。

 想像しただけで目の奥がジクジクと疼いて視界が霞み、抑えきれない衝動に息が乱れて脳が痺れる。

「くっ! たしかに魔女は、はっ、3人の男に抱かれると聞いたが……っ。ああ、これはクる」

「レオ?!」

「知らんヤツならまだ良かったんだろうが……、腕の中で知ってる男の名前を出されるっていうのは……。くくっ、久々に、……キレそうだ」

「んんんっっ! あっ、ん、やぁぁっ!!」

 犯しても犯しても、犯し足りない。
 この奥に渦巻くドス黒い快感は、ああ一体なんと呼ぶのだろう。

「……レナ、今お前を犯しているのは俺だ。他の誰でもない。……奥に出してやるから、消える前にしっかり俺の熱を覚えろ」

 獣の様に組み敷いて、獣の様に中を突き。本能のまま。
 耳を舐めつつ全てを塗り替えさせるよう俺の声をその身に注ぐ。

「……今度こそ仕上げといこうか」

(可愛く愛しい、俺のレナ)


 ――――手ほどきは、最早ここまで。


 闇夜が満ちるその部屋で。
 背中に満月のその白く静かな光を浴びながら、俺は引きずり出された己の欲のままに、目の前の生意気で可愛い女を食べ尽くす。

 うなじに噛み付き、肩を吸い、耳を犯して、奥を突き。

 息が止まりそうなほどの快感を、息が止まりそうなほどの激しさで、その身に植え付け、爆ぜさせて。

 ただひたすらに、堕ちろと願う。

「や、だっ、やだっっ! 許して、レオ! も、壊れ、るっっ!!」

「はぁ……っ、……いいから、イけ」

 泣き叫ぶ制止の声も、今ではただただ可愛くて。
 跳ねる体も、今なお溢れるその蜜も、今ではただただ愛おしい。

「もっ、ダ、メッッーーーー…………っっ!!!」

「ーーッッ、……くっっ! は、っ!」

 そしてとうとう、レナがその背をしならせ一際甘く高く鳴いた時。
 その締め付ける気持ち良さに屈するように、俺もそのドス黒い欲を最奥へとぶち撒けた。


「……はぁ、はぁ、っ、は、……はぁ、っ。……んんっ?」

 机に突っ伏しながら荒い息を吐くレナの腕を引き、その体を後ろから抱き締めて。

「んぁ……、ふ、ぁんっ。……あっ」

 吐き出した欲を塗り付けるようにゆるゆると奥を突けば、レナが掠れた声を小さく漏らす。

「まだ抱いていたいところだが……お互い時間切れのようだな」

「時間……切れ……?」

「ああ。時間切れだ。……ちゃんと覚えたか?」

「……こんなの……んんっ、嫌でも覚えます」

「くくっ、どうやら魔女は捕まえておけんというのは本当のようだからな。……そう言うな」

 じわじわと温かくなるその体温とは裏腹な、徐々に霞ゆくその存在感に、思わず抱き締める腕の力を強くする。

(逃したくないが、……きっとレナは逃げてしまうのだろうな)

 この腕の中から、スルリとすり抜け消えてしまうのだろう。

「……レオ」

「なんだ?」

 不意にレナが俺の名前を呼んだので、耳にキスをしながら問い返せば、くすぐったそうにレナがその身を捩らせた。

「私、……少しは貴方を愉しませられた?」

「……ああ。上出来すぎて、骨抜きだ」

 クスクスと笑いながらそんなことを聞いてくるその様がまた可愛くて、答えながら目を閉じ、首筋へとキスを落としたその次の瞬間には。

「ふふっ。それは良かった」

 その言葉と俺の移り香だけをその場に残し、レナの存在は消えていた。

(……この俺から逃げるとは。……まったく……)


『眩惑の魔女』
 異国の肌と、この世界に存在しない漆黒の髪を持ち、どこから来たのか分からないが『突然現れ』、夜を共にした男の心を絡めとり骨抜きにして、その男がどう繋ぎ止めようとしても『突然消えてしまう』、そして且つ、1度現れた男の前には2度と現れないと言われている存在。


 どうやら、その噂は本当だったようで。
 俺とした事が、見事に骨抜きにされた上に、まんまと逃げられてしまった。

(……どこまでも生意気な女だ)

 初めて愛しいと思った女との交わりは、かつてないほどの快楽を俺に植え付け、僅かな切なさを心に残した。

「……さて、どうしたものかな」

 静寂に包まれた部屋で1つ大きくタメ息をつき。
 今から殿下の元に向かわねばならないというのに未だ臨戦態勢を保つ己の下半身を見下ろして、俺はそうひとりごちたのだった。
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