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異変
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「うわさをしていたら来ましたよ。はい、いますよ。ゆいもここに」
スタスタと靴下の擦る音が忙しそうにして、おじいちゃんがリビングへと入ってきた。細身のおじいちゃんはこの前のお正月に会ったときより、また一段と老けてやせたようだった。おじいちゃんはあたしを見ると、ほっと大きく息をついた。
「よかったよかった。一人でさみしかったろう」
お盆やお正月にあった時はいつもやってくれていたけれど、あたしの頭をなでたり、抱きしめたりすることはしてくれなかった。それどころではなさそうな忙しさがおじいちゃんから伝わってくるのだ。おばあちゃんより落ち着いてはいそうに見えるが、お茶を飲んでまったりしている時間はないと瞳が訴えていた。ソファにもたれかかっているおばあちゃんに厳しい視線を送っていた。……表情はぐったり疲れているものの。
「ばあさん、携帯に留守電が入っておった。すぐ来てくれって……」
どこからとか何のとかは、一切言ってくれなかった。その短い言葉でおばあちゃんはソファから飛びあがった。なぜだかくちびるがブルブル震えはじめた。
「じゃあ、まさか……」かき消えて聞こえない。
「まだわからん!」
頭に浮かんだものを振り払うように首を左右に振るおじいちゃん。
おじいちゃんは今にも動き出しそうに言葉を続けた。
「今すぐ行こう。ゆいも連れてな」
声もなくおばあちゃんはうなずいた。
二人とも口をつぐんで、教えてはくれなかった。それがあたしのことを気にかけてなのかも、とも思う。でも何が何なのか知りたい。あたしはおばあちゃんに手を引っぱられてリビングを出たあと「家の鍵はあるか」と言われてすぐに持ってくると、そのまま扉の外に連れていかれた。おばあちゃんが家の電気を消し、鍵を閉め、あたしの腕をしっかりつかんでエレベーターへと乗った。おじいちゃんはというと、老人とは思えないほどすばやく歩いていて、いつのまにか車に向かっているらしかった。落ち着いてなんかいなかった。ピリリと痛いほど伝わる緊張と先を急がせるような空気がここに流れている。
マンション一階のエレベーターホールにおじいちゃんが待っていた。合流すると何もいわずにスタスタ歩きはじめる。辺りはとても静かだった。こんな深夜に外に出たことなんか、これまで一度たりともない。おじいちゃんの後を追いかけ車を発見した。
車に乗りこむと、あたしはシートベルトを着けおわらないうちに発進した。おばあちゃんがあたしの隣、おじいちゃんが一人で運転する。車は滑るように道路に出ると、あっという間にマンションから離れていった。
「ねえ、どこに行くの?」
スタスタと靴下の擦る音が忙しそうにして、おじいちゃんがリビングへと入ってきた。細身のおじいちゃんはこの前のお正月に会ったときより、また一段と老けてやせたようだった。おじいちゃんはあたしを見ると、ほっと大きく息をついた。
「よかったよかった。一人でさみしかったろう」
お盆やお正月にあった時はいつもやってくれていたけれど、あたしの頭をなでたり、抱きしめたりすることはしてくれなかった。それどころではなさそうな忙しさがおじいちゃんから伝わってくるのだ。おばあちゃんより落ち着いてはいそうに見えるが、お茶を飲んでまったりしている時間はないと瞳が訴えていた。ソファにもたれかかっているおばあちゃんに厳しい視線を送っていた。……表情はぐったり疲れているものの。
「ばあさん、携帯に留守電が入っておった。すぐ来てくれって……」
どこからとか何のとかは、一切言ってくれなかった。その短い言葉でおばあちゃんはソファから飛びあがった。なぜだかくちびるがブルブル震えはじめた。
「じゃあ、まさか……」かき消えて聞こえない。
「まだわからん!」
頭に浮かんだものを振り払うように首を左右に振るおじいちゃん。
おじいちゃんは今にも動き出しそうに言葉を続けた。
「今すぐ行こう。ゆいも連れてな」
声もなくおばあちゃんはうなずいた。
二人とも口をつぐんで、教えてはくれなかった。それがあたしのことを気にかけてなのかも、とも思う。でも何が何なのか知りたい。あたしはおばあちゃんに手を引っぱられてリビングを出たあと「家の鍵はあるか」と言われてすぐに持ってくると、そのまま扉の外に連れていかれた。おばあちゃんが家の電気を消し、鍵を閉め、あたしの腕をしっかりつかんでエレベーターへと乗った。おじいちゃんはというと、老人とは思えないほどすばやく歩いていて、いつのまにか車に向かっているらしかった。落ち着いてなんかいなかった。ピリリと痛いほど伝わる緊張と先を急がせるような空気がここに流れている。
マンション一階のエレベーターホールにおじいちゃんが待っていた。合流すると何もいわずにスタスタ歩きはじめる。辺りはとても静かだった。こんな深夜に外に出たことなんか、これまで一度たりともない。おじいちゃんの後を追いかけ車を発見した。
車に乗りこむと、あたしはシートベルトを着けおわらないうちに発進した。おばあちゃんがあたしの隣、おじいちゃんが一人で運転する。車は滑るように道路に出ると、あっという間にマンションから離れていった。
「ねえ、どこに行くの?」
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