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初めての従者
ぷるぷるぷる
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「勝利君ズルい!!」
仲間になったスライムに恐る恐る手を伸ばすと……。
ぴょ~んと跳ねて勝利君の頭の上に乗っかった。
勝利君は手を上げて頭の上のスライムの体を触る。
ぷにょんとして気持ち良さそう。
勝利君がスライムの体を掴んで引っ張るとぷに~と伸びて、手を離すとパチンと元に戻ってプルプル揺れてる。
ウズウズと手を伸ばしてスライムの体に触れようとすると、またぴょ~ん飛び跳ねて逃げてしまう。
追いかけても、追いかけても、跳ねて勝利君の腕の中へ……。
「なんで勝利君ばっかり……」
「俺の従魔だからねぇ……弱点を知ったらそこを攻めなきゃだよね」
勝利君はそう笑うとスライムとお風呂に行ってしまった。
バチャンバチャンと楽しそうに水が跳ねる音がする。
くそぅ……勝利君め……仕返しか。
ーーーーーー
「勝利君、お願いします。触らせて下さい」
お風呂から上がってきた一人と一匹に深々と頭を下げた。
念願の生スライム……その魅了的な誘惑を前にしてプライドなど必要ない。
「じゃあ……俺のお願いも聞いてくれる?」
腰を抱き込まれて顎をクイっと持ち上げられる。
「お……お願い?」
録な想像しか湧いてこないけど……何を言われる?
勝利君の言いそうな事を想像しながら妥協点を探した。
「お願い。俺と同じベッドで一緒に寝ても警戒しないで……ゆっくり体を休めてくれる?」
俺の予想に反した……至極真面目で寂し気な笑顔で発せられた、そんな細やかなお願い。
言動はアレだが俺の事を本当に心配してくれている事だけは感じられる……勝利君を傷付けていたことを反省した。
「……わかった」
勝利君の命令で、スライムは俺の腕の中で俺の自由を許してくれている。
ぷるぷるの体をギュッと抱き締めるとムニ~と体が変形していく。
腕の力を弱めると、ぽよんと気持ちよい反発力で元に戻る。
ぷにぷにの感触を思う存分楽しみながら……段々うとうとしてきた。
寝てるか寝てないか朧気な意識の中……
「ねぇ……宮尾?」
「ん?……なに?」
勝利君に話しかけられた……。
「これから旅を進めていく上で……確認しておきたい事が有るんだけど……」
明日じゃ駄目なのだろうか?
……でも宮尾って呼んだ……真面目な……大事な話?
今はあまり頭が働いてないよ?
「宮尾が……俺と体を重ねた事をどう思ってるのか知りたい。俺の事を嫌がってるのに責めてこないし、宮尾の中では無かった事になってる?」
「無かった事に……というか……あの時は頭も体もふわふわしてて現実味が無かったていうか……」
自分でも消化しきれていない気持ちをどう伝えたら良いものか……難しい。
頭に浮かんできた言葉をそのまま伝えた。
「嫌じゃ……なかったからかな?勝利君の事、忘れよう、嫌いになろうって必死になってた……でもやっぱり無理で……気持ち悪いって思われるのが怖かったけど……触れてもらえた事は嬉しかった」
「俺とセックスしてもいいくらい好き……て、事だと思っても良いのかな?」
好き……?
………うん、好き。
「恥ずかしいし…変な事、言わないなら……好き……」
「ありがとう……俺も好き……宮尾」
ギュッとスライムごと抱きしめられて、頬に柔らかいものが触れる。
口に……キスして欲しいな……あぁ、そっか、出来ないのか……面倒だなぁ……。
腕の中でプルプルと震えたスライムを抱く腕に力を込めて……そのまま意識は遠のいていった。
――――――
眩しい朝日が顔を直撃して……不快感の中、目が覚めた。
屋根がある場所で眠りたい。
「おはよう、ミャオちゃん」
目の前が急に暗くなったと思ったら勝利君が太陽の光を遮って立っている。
「おはよ……あれ?スライムいない……」
抱いて寝てた筈なのに……。
周囲を見回すと勝利君の横にいた。
「おはよう」と言うようにぽよんぽよん跳ねている。
「おはよ~」
捕まえて抱き締めると、ぷるんっと抜け出して勝利君の横に戻った。
「ミャオちゃん、俺と接し方が違い過ぎ……ちょっと傷付く」
そう言いながら勝利君はカバンから取り出したお皿を差し出してきた。
お皿の上にはサンドイッチ。
やっぱりあの鞄の中には食べ物が入っていたか……。
「さすがに朝からドラゴンの素揚げは重たいからね」
「いただきます……」
俺の横に腰を下ろして勝利君が自分の分のサンドイッチを口に運んだのを確認して俺も一口齧った。
昨日のドラゴンもあれはあれで美味しかったけど、ハム、野菜、チーズがたっぷりのサンドイッチは安心の美味しさだった。
スライムは近くの草をむしゃむしゃ食べている。
経済的な子だ。
「ねぇミャオちゃん。エストリカに進路をとったけどさ……ちょっと遠回りして『グラキエスの洞窟』に行ってみない?」
勝利君の話を聞いてマップを表示させ洞窟の場所を確認してみた。
エストリカがここから北東で、グラキエスの洞窟は北にあって街へ行くためにはかなりの遠回りだ。
「グラキエスの洞窟に何かあるの?」
「実はね……」
二人きりなので内緒にする必要はないと思うんだけど、勝利君は俺の耳元でこそこそと話した。
「モフルキャットの棲息地?……もふもふの毛玉のモンスター?……行くっ!!もふもふを仲間に出来るの!?行きたいっ!!」
「でしょう?そう言うと思った。じゃあ目的地はグラキエスの洞窟で決定だね」
キャットというぐらいだから猫だろう。
もふもふ毛玉の猫型モンスターを妄想しながら目的地をグラキエスの洞窟に変更する。
「見ず知らずの世界で不安を感じてるだろうから……ミャオちゃんの癒しに少しでもなってくれると嬉しいな」
勝利君の笑顔を……この時の俺は素直に受け止めていた。
仲間になったスライムに恐る恐る手を伸ばすと……。
ぴょ~んと跳ねて勝利君の頭の上に乗っかった。
勝利君は手を上げて頭の上のスライムの体を触る。
ぷにょんとして気持ち良さそう。
勝利君がスライムの体を掴んで引っ張るとぷに~と伸びて、手を離すとパチンと元に戻ってプルプル揺れてる。
ウズウズと手を伸ばしてスライムの体に触れようとすると、またぴょ~ん飛び跳ねて逃げてしまう。
追いかけても、追いかけても、跳ねて勝利君の腕の中へ……。
「なんで勝利君ばっかり……」
「俺の従魔だからねぇ……弱点を知ったらそこを攻めなきゃだよね」
勝利君はそう笑うとスライムとお風呂に行ってしまった。
バチャンバチャンと楽しそうに水が跳ねる音がする。
くそぅ……勝利君め……仕返しか。
ーーーーーー
「勝利君、お願いします。触らせて下さい」
お風呂から上がってきた一人と一匹に深々と頭を下げた。
念願の生スライム……その魅了的な誘惑を前にしてプライドなど必要ない。
「じゃあ……俺のお願いも聞いてくれる?」
腰を抱き込まれて顎をクイっと持ち上げられる。
「お……お願い?」
録な想像しか湧いてこないけど……何を言われる?
勝利君の言いそうな事を想像しながら妥協点を探した。
「お願い。俺と同じベッドで一緒に寝ても警戒しないで……ゆっくり体を休めてくれる?」
俺の予想に反した……至極真面目で寂し気な笑顔で発せられた、そんな細やかなお願い。
言動はアレだが俺の事を本当に心配してくれている事だけは感じられる……勝利君を傷付けていたことを反省した。
「……わかった」
勝利君の命令で、スライムは俺の腕の中で俺の自由を許してくれている。
ぷるぷるの体をギュッと抱き締めるとムニ~と体が変形していく。
腕の力を弱めると、ぽよんと気持ちよい反発力で元に戻る。
ぷにぷにの感触を思う存分楽しみながら……段々うとうとしてきた。
寝てるか寝てないか朧気な意識の中……
「ねぇ……宮尾?」
「ん?……なに?」
勝利君に話しかけられた……。
「これから旅を進めていく上で……確認しておきたい事が有るんだけど……」
明日じゃ駄目なのだろうか?
……でも宮尾って呼んだ……真面目な……大事な話?
今はあまり頭が働いてないよ?
「宮尾が……俺と体を重ねた事をどう思ってるのか知りたい。俺の事を嫌がってるのに責めてこないし、宮尾の中では無かった事になってる?」
「無かった事に……というか……あの時は頭も体もふわふわしてて現実味が無かったていうか……」
自分でも消化しきれていない気持ちをどう伝えたら良いものか……難しい。
頭に浮かんできた言葉をそのまま伝えた。
「嫌じゃ……なかったからかな?勝利君の事、忘れよう、嫌いになろうって必死になってた……でもやっぱり無理で……気持ち悪いって思われるのが怖かったけど……触れてもらえた事は嬉しかった」
「俺とセックスしてもいいくらい好き……て、事だと思っても良いのかな?」
好き……?
………うん、好き。
「恥ずかしいし…変な事、言わないなら……好き……」
「ありがとう……俺も好き……宮尾」
ギュッとスライムごと抱きしめられて、頬に柔らかいものが触れる。
口に……キスして欲しいな……あぁ、そっか、出来ないのか……面倒だなぁ……。
腕の中でプルプルと震えたスライムを抱く腕に力を込めて……そのまま意識は遠のいていった。
――――――
眩しい朝日が顔を直撃して……不快感の中、目が覚めた。
屋根がある場所で眠りたい。
「おはよう、ミャオちゃん」
目の前が急に暗くなったと思ったら勝利君が太陽の光を遮って立っている。
「おはよ……あれ?スライムいない……」
抱いて寝てた筈なのに……。
周囲を見回すと勝利君の横にいた。
「おはよう」と言うようにぽよんぽよん跳ねている。
「おはよ~」
捕まえて抱き締めると、ぷるんっと抜け出して勝利君の横に戻った。
「ミャオちゃん、俺と接し方が違い過ぎ……ちょっと傷付く」
そう言いながら勝利君はカバンから取り出したお皿を差し出してきた。
お皿の上にはサンドイッチ。
やっぱりあの鞄の中には食べ物が入っていたか……。
「さすがに朝からドラゴンの素揚げは重たいからね」
「いただきます……」
俺の横に腰を下ろして勝利君が自分の分のサンドイッチを口に運んだのを確認して俺も一口齧った。
昨日のドラゴンもあれはあれで美味しかったけど、ハム、野菜、チーズがたっぷりのサンドイッチは安心の美味しさだった。
スライムは近くの草をむしゃむしゃ食べている。
経済的な子だ。
「ねぇミャオちゃん。エストリカに進路をとったけどさ……ちょっと遠回りして『グラキエスの洞窟』に行ってみない?」
勝利君の話を聞いてマップを表示させ洞窟の場所を確認してみた。
エストリカがここから北東で、グラキエスの洞窟は北にあって街へ行くためにはかなりの遠回りだ。
「グラキエスの洞窟に何かあるの?」
「実はね……」
二人きりなので内緒にする必要はないと思うんだけど、勝利君は俺の耳元でこそこそと話した。
「モフルキャットの棲息地?……もふもふの毛玉のモンスター?……行くっ!!もふもふを仲間に出来るの!?行きたいっ!!」
「でしょう?そう言うと思った。じゃあ目的地はグラキエスの洞窟で決定だね」
キャットというぐらいだから猫だろう。
もふもふ毛玉の猫型モンスターを妄想しながら目的地をグラキエスの洞窟に変更する。
「見ず知らずの世界で不安を感じてるだろうから……ミャオちゃんの癒しに少しでもなってくれると嬉しいな」
勝利君の笑顔を……この時の俺は素直に受け止めていた。
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