最凶のダンジョンで宿屋経営

藤雪たすく

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俺の職業の話

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あまり良い目覚めとは言えない目覚めだな。

すっきりしない重い気持ちを追い出して、布団からもそもそと抜け出した。

顔を洗って冷蔵庫を開けて、中にあった冷製パスタを……。
あ~……ヒュウガがいるんだった……。

面倒くさいなぁと思いながらクローゼットへ向かい、適当なシャツとズボンを取り出し着替えを済ますと旅館へ向かった。

入り口が開いた途端に大きな狼に飛びかかられ、押し倒されて顔をペロペロ舐められた……もしかしてこれから毎朝これなのだろうか……軽く体を押すとあっさり離れて人間の姿になる。

「おはよう!!カラスマ!!寂しかった」

ギュウギュウと抱き付いてくるヒュウガを無視して厨房へ向かう。歩きづらいことこの上ない。

一人で今まで旅をしていたんだろう?寂しくなんて無かろうに。

朝ご飯は……レシピを開いて「朝食」を検索する。

調理台に出てきた物をレシピ通りに調理していくだけだ。

良かったよ。
パンを粉から捏ねるんだったらどうしようかと思ったけど、食パンが出てきてくれた。ベーコンもベーコンとして出てきた。

トースターにパンをセットして、かなり厚切りになってしまったベーコンを焼いていく。

玉子を溶いてミルクと塩コショウで味付けをしたらフライパンへ流し込み、スクランブルエッグを作る。

出来たものを盛り付けるとヒュウガに食堂へと運ばせて、サラダとヨーグルトを持って俺も食堂へ移動すると二人で向かい合って食事を始めた。

「いただきます」

いただきますって何?と聞くヒュウガに作った人への感謝と食材への感謝だよ。と適当に答えるとヒュウガも手を合わせて「いただきます」と真似をした。

比較的穏やかな朝だ。

「成人の儀ってのは続けなくて良いのか?」

「ん?まぁ……もう人狼の国に帰る気無いし、良いかな?」

にこやかに言うけど、良いのか?
何で帰らないんだと聞くのは、なんとなく面倒そうだ……。

「成人の儀って何するもんなの?」

「人狼の王になるには力が無ければいけない。巫女により指示された魔物の素材集めをしながらレベルをあげる旅に出るんだ」

聞こうと思っていた話題が出てきた。

「レベルはどうやって上がるんだ?」

「俺は格闘家だからもっぱら魔物なんかと戦うと上がるな。その職業や性質によって変わる。例えば冒険者の奴等は戦いの他に、財宝を見つけた時とかも上がるし、料理人なんかは料理を作ると上がる」

料理か……。
タブレットを取り出して、ステータス画面を確認してみた。
何それ!!と興味津々で覗きこんでくるヒュウガ。

これはやはりこの世界の物ではなく、俺のスキル特有の物なのか。

経験値は……。
レベル.7 0200/5000
変わってない……俺は料理人では無いようだな。

ヒュウガをちらりと見る。
ん?と首を傾げるヒュウガから何でもないと目を逸らした。

やっぱりレベル上げはセックス?

ああ、ベーコンが美味いな。

試してみる……気にはなれなかった。
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