最凶のダンジョンで宿屋経営

藤雪たすく

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固有スキルの話

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「カラスマの絵が描いてある。凄いな、そっくりだ!!本物みたい!!この文字みたいのは何が書いてあるんだ?」

ヒュウガは覗きこんでいるが文字は読めないようだ。

「俺のステータスだよ。レベルとか色々……」

「さすがカラスマだな!!不思議な技を使うと思っていたが、こんな事も出来るのか!!普通自分のレベルはレベル鑑定士に見てもらわないとわからないのに、俺のは見れないのか?」

興奮するヒュウガにちょっと得意気になってヒュウガのページを開いてやる。

「あぁ!!俺が描いてある!!レベルは!?」

ヒュウガは随分と素直な様で、自分の姿に無邪気にはしゃいでいる。

「レベルは359だって」

「結構上がってるな。ダンジョンに入る前が284だったから……やっぱこのダンジョンの魔物は強いから、死ぬ確率も高いがレベルが上がりやすいな」

やっぱり、死ぬ覚悟をしてきてるんだ……。
わざわざ死ぬ様な場所へ自ら足を踏み入れるなんて、平和な国に生まれた俺にはよく分からない心理だな。

「これは誰のステータスでも見れるのか?」

「いや、俺と会った……」

会った人……?
違う、ヨハンとジョセフは出てきていない……俺と……体の関係を持った奴だ。

今さらのエロゲー仕様に愕然として固まっているとヒュウガが「この赤く光ってるのは?」と『映像』に触れた。

「あっ!!勝手に触るな!!」

……何も反応しない。

指紋認証システム?
俺が『映像』をタップすると画面は移動した。
俺じゃないと反応しないようだ。
ほっと息を吐いた。

『NEW』のマークの付いた……『No.001 恍惚の謝礼』

……なんてタイトルだ。
誰のセンス?

急いで戻るボタンを押した。

ヒュウガが俺の手を掴んできた。

「アストラウスは……ヤツのレベルも見れるのか?」

鋭い瞳に見つめられてアストラウスのレベルを伝えた。

「かぁ~マジか!?やっぱり化けもんだな。悪魔族の中でも恐れられてるぐらいだもんな。敵うわけ無いわ」

やっぱりそうなんだ。
クラウス達が弱いんじゃなくて、このレベルが凄いんだ。

ヒュウガの耳がピクリと動いて、鼻を引くつかせた。

「何か、入ってきた……」

ヒュウガの言葉にマップを開くと、緑の点が近づいてくる。

冒険者だ。
ヒュウガとは急だったし、獣だったからあれだけど……馴れない人の前に出るのやだな。またクラウスみたいな事になると嫌だし、他人に出来るだけ会いたくない。
よし、ここはヒュウガに応対をお願いしよう。

その時チリンチリンと入り口の方で音がした。

「ヒュウガ、誰か来たみたい……お願いしても良い?」

ギュッとヒュウガの袖を引っ張るとヒュウガは頬を染めながら任せろと意気込んで出ていった。

少しすると、外から爆音が聞こえ地響きもする。

この場所には俺に危害を加える魔物は来ないはず。

任せとけって言ったのに……何をやっているんだ、ヒュウガ。

昨日の面……はお土産の棚か。
何か……何かないかな?

周りを見渡すと黒い面がテーブルの上に置いてある。
それをつけると入り口に向かって走った。
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