最凶のダンジョンで宿屋経営

藤雪たすく

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飼い主の責任の話

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朝「行ってくる」と天井に消えていく旦那様を見送った。

旦那様の仕事内容?
知らぬが花だな。

そうして俺は旅館……あるいは娼館?の前に立つ。

うぅ……正直、顔を会わせづらい。
アスが変な提案するから……いや!!気をしっかり持て!!あれは犬。いざ勝負だ!!

気を引き締めて旅館の入り口をくぐろうとした矢先、扉が開いて狼に押し倒された。
ベロベロ顔を舐められて尻尾は千切れて飛んでいきそうな程勢い良く振られている。

「待って、待って!!」

俺の体の上で人間になるヒュウガ。
せめて人の上から退いてからにして欲しい。

「昨日は一日中カラスマ家に籠ってただろ?やっと来てくれた!!と思って入り口の前でずっと待ってたのに、中に入ってこないし!!カラスマがいないからお腹空いて死にそう……」

「はうっ!?」

人間の姿でペロリと顔を舐められた。

「何で……冷蔵庫の中にお肉入ってただろ?」

「飼い主の許しも無いのに勝手に食べられないだろ?カラスマは俺の飼い主なんだから責任もって飼ってよ……」

頬に手を添えられて唇を寄せられる……このままでは朝食の前に俺が食べられる!!

「わかった!!わかったから!!朝ご飯急いで用意するから、舐めないで!!」

今日の朝ご飯は……。
あれ?
レシピで調べようと思った時、変な機械の様な箱を食堂との間に見つけた。

見てみると券売機の様にボタンが並んでいる……。

不死鳥の中華粥、不死鳥の唐揚げ定食、ベーコンとスクランブルエッグのモーニングプレート……俺が今まで作った料理だね。

「これ何?」

「さぁ?昨日からあったけど?」

俺のスキルの仕業らしく、当然ヒュウガに分かるわけがなかった。

お金を入れるっぽい穴がある。

「お金持ってる?」

ヒュウガから金色のコインを受け取り、投入。
モーニングプレートを押してみる。

食堂と厨房の間のカウンター上にある機械から伸びたベルトコンベアーの上を、トレーに乗ったモーニングプレートが押し出されてきた。

返却口から銀色のコインが大きいのと小さいのと出てきた。お釣りかな?
ヒュウガにお釣りをジャラジャラ渡す。

「…………朝食出来たみたい」

ヒュウガもどういう仕組みになっているのか、機械を見回している。
これもスキルか?レベルが上がったから?

「たぶん考えても無駄だよ……ほら、食べて?」

ヒュウガのお金で買ったけど。

「う……うん。でもカラスマといっしょに食べたい」

俺はもう家の冷蔵庫にあったものをアスと食べたんだけどなぁ……クゥ~ンと喉を鳴らして甘える犬……ヒュウガに勝てず、タブレットのレシピから簡単なモノを選んだ。

『ヨーグルトのジュエルベリーソースがけ』

瓶に入ったヨーグルトを器に出して、小瓶に入った赤いキラキラしたソースをかける。本当に簡単な物だ。
ジュエルベリーって名前も綺麗だなぁ……どんな実なんだろう。

ヨーグルトを持ってヒュウガの元へ向かうと興味津々に身を乗り出した。

「カラスマのそれはなんだ?」

ヒュウガは好奇心旺盛だよね。
でもそんなに興味深そうに見て来られると食べづらい。

「一口食べる?」

コクコク頷くヒュウガの口に一口入れてやる。

「う……うまぁ~い!!なにこれ!?」

ヨーグルト食べた事無いのかぁ……でも大袈裟だな。

「ヨーグルトのジュエルベリーソースがけだってさ」

「ぶふぉっ!!」

ヒュウガが吹き出した。俺の方に向いてなくて助かったよ。
俺も一口、ヨーグルトを食べてみた。
ヨーグルトも味が濃厚で美味しいけど、このソースがベリーの香りが強く、蕩ける様な甘さなのにしつこくなく、ス~ッと消えていく。甘すぎず食べやすいなぁ。

「カラスマ……ジュエルベリーって……一粒50Gするんだけど……」

へぇ50Gってどれぐらい?50円くらい?

「ちなみに……俺のこの朝食が35S」

S?
今度はSが出て来た?

「アストラウスが、カラスマにこの世界の常識を教えろと言ってたけど……そこからか……」

そんな事まで頼まれてたんだ。可哀想にヒュウガは大きく溜め息を吐いた。
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