最凶のダンジョンで宿屋経営

藤雪たすく

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勇者の凶行の話

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「ぅっ……ぁぐ……っ」

声を押し殺す。
声を出すとヒュウガが立ち上がろうとするから……もう何度斬られたよ?もう立ち上がらないでくれ……ヒュウガ。

息が……出来ない……。

喉にかけられた指がギリギリと肉に食い込んで来る。
圧迫感、頭に血が上り、こめかみが脈打つのがリアルにわかる……。

朦朧としていく意識……

殺される……

殺されるなら……

彼がいい……

「…………ア……ス」

愛しい者の名を口に出した響きに……口元が緩んだ。

ーーーーーー

目を覚ますと、勇者の姿は無かった。
殺されはしなかったみたいだ。

急いでヒュウガ達の元に駆け寄った。
息はしている……。

タブレットで調べながら生命の泉の場所へ向かい、水筒の中に水を汲んで、急いでヒュウガ達の元へ戻った。

触手の口はわからないので体にかけてやる。

ヒュウガの口にも注ぎ込むが、全てこぼれ落ちて……呼吸が小さくなっていく……。

死なないで、死なないでヒュウガ!!
一口づつ、一口づつヒュウガに口移しで飲ませていく……。

何もしてないのに……勝手にここに入って来たのはあっちなのに。何でこんな目に遭わされなきゃいけないんだ。

ヒュウガの目がうっすらと開いた。

「……カラ……ス……マ……」

「ヒュウガ……良かった……」

ヒュウガの体に負担をかけない様に抱きついて、唇を重ねた。
水を飲ませる為じゃなく、命の熱を確かめる為のキス。

舌を差し入れた、ヒュウガの口の中は熱い……生きてる。舌先で命の熱を感じとる。

舌にヒュウガの犬歯が触れた。

人とは違う生き物……それでもヒュウガは優しい。暖かい……生きている。

「……カラスマ……無事で良かった」

俺の頬に手を添えてヒュウガが嬉しそうに微笑んだ。

良かったのは、こっちだよ。
もう駄目かと思ったよ。
もう2度と会えなくなるって怖かったよ。

ボロボロ流れる涙をヒュウガが舐め取っていく。体を反転させられて地面に降ろされた。

覆い被さるヒュウガの首に腕を回して、キスをねだった。

「んん……ヒュウ……ガ……ぅんん……」

音を立てて貪る様な口づけを交わす。

「不思議だ。カラスマとキスする度に……力が溢れてくる……」

熱の帯びた目が誘う様に笑った。

死の恐怖から逃げられた安心感から、このまま流されても良いと思ってしまった。

………いや。
この恐怖心ごと誰かに抱き締めて貰いたいと求めている……ヒュウガの好意を利用しているんだ。

ここにはいない彼の代わりとして……心の中で何度も謝りながら、ヒュウガのモノを受け入れた。
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