最凶のダンジョンで宿屋経営

藤雪たすく

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同族にしか見えない話

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勇者と呼ぶと他の客が来たときに面倒くさい事になりそうなので、ジークと呼ぶことになった。

「ここが食堂で、あっちが調理場」

取りあえず旅館内の案内をしていく。

「こっちがお風呂……」

移動する間、ヒュウガに怯えて俺にずっと引っ付いている。

歩きづらい事この上ない。しかも力が強いので、腕も痛い……。

ヒュウガはヒュウガでまだジークの事を警戒しているからか、ことさら目つきが鋭い。お互い早く馴れてもらわないと俺の自由が奪われる。

チリンチリン……

軽やかな鈴の音。
誰か来たみたいだな。
ヒュウガを見るとスゴく嫌そうな顔をしている。

「面倒くさい奴が来たな……」

知っている人物なのか?
誰だろう……逆に面倒くさくない奴なんていただろうか?

顔を合わせづらいやつらもいるので、一応スキルに出して貰っていた新しい面をつけて、皆で入り口に向かうと入り口に立っていたのは……。

あぁ……確かに面倒くさいな……。

「おぉ、カラスマ殿。旨そうに成長されておるなぁ……これは愉しみだ」

昨日はのんびりできたのに今日は千客万来だね……嵐が来る。遠い目で爺さんを見つめた。

ーーーーーー

「今日はカラスマ殿に土産があってなぁ……」

そう言って手招きする爺さんについて外に出ると、ドラゴンの死体が横たわっていた。

「…………土産?」

爺さんは嬉しそうにほくほくと笑う。

「最近、ダンジョン内の魔物や魔獣が進化をしておってのぅ、珍しい奴を仕留めたのでカラスマ殿に調理をお願いしようと思うて立ち寄ったのよ」

え!?食べるの!?
同族食いじゃ……?

「何じゃ、その目は……よもや、ワイバーン等という低俗な魔獣と高貴なるドラゴン族の我を同族と思うておる訳ではあるまいな……」

爺さんの目が妖しく光った。

「いえ、全く!!爺……ドラゴンとは似ても似つきません!!」

慌てて首を横に振ってなんとか事なきを得たが、ワイバーン……どう見ても同じドラゴンじゃん。ダンジョン内で翼は必要なのかと、翼を触ってみている俺の後ろでジークは泡を拭いて倒れていた。

「ん?初めて見る顔が居るな。カラスマ殿の相手には我らだけでは足りんかったか?」

爺さんは倒れているジークを掴みあげて顔を覗いた。

「ほぅ……人間のくせにレベルは中々……勇者とな……」

「流石。わかるんだ……いろいろあって、ちょっと記憶があやふやになってるから、刺激しないでやってくれよ」

ヒュウガにお願いしてワイバーンを調理場に運んで貰う。

「凶禍の悪魔の魔力の残滓か……操作されておるな……ふふふ……楽しみよのぅ……」

翡翠の瞳を覗かせながら笑う爺さんの笑みに悪寒が走った。

料理が楽しみ……なんだよね……?

ゾクゾクと背筋に悪寒が走った。
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