最凶のダンジョンで宿屋経営

セバスチャンの話の話

「ど……どうしたの?傷だらけじゃん」

次の日の朝、旅館に来てみるといつもの出迎えが無い。
心配になって部屋に行ってみると満身創痍なヒュウガがベッドに伏していた。

「カラスマを送ってからダンジョンへ出たらこの様だ……この間まで余裕だったのにレベルが格段に上がってやがった」

こういう時は不死鳥だろう。
ヒュウガのポケットに手を突っ込んで探る。

……あ。

固いモノに触れた瞬間、小突かれた。

「お前は怪我人に何をするんだ!!……そういう事は元気な時にしてくれよ」

「いや……粥を買ってこようかと思って……お金頂戴?」

「そこの引き出し。昨日キリュウのジジイもはずんだって言ってたしカラスマの方が金は持ってるだろ?」

そうなんだけどねぇ。
引き出しからお金を借りると粥を買いに食堂へ向かった。

「お金の使い方がわからない?」

そう、タブレット上には所持金が増えていってるが、それをどう使ったら良いのかわからない。

「セバスチャンに聞いてみたらどうだ?いろいろ教えてくれるんだろう?」

「ん～……」

セバスチャン、ちょっと苦手なんだよなぁ……人のこと小馬鹿にしてるし。
アスばっか見てるし……。

「確かに、いけすかない奴ではあるけど……ちょっと俺も奴に確認したいことがあるんだ……」

ヒュウガに頼まれてセバスチャンを呼び出す。

『お呼びですか?ご主人様』

「お金の使い方を知りたいんだけど……」

『お金ですか?タブレット内のショッピングをご利用でしたらそのままお使い頂けます。自販機をお使いになられる場合は、フロント、土産屋のカウンターにある招き猫の裏に引き出しがあるのでそちらからお取り下さいませ。こちらはご主人様しか開けられぬ仕様になっておりますので、防犯も万全です』

なるほど、なるほど。

「おい、セバスチャン。このダンジョンの事についてだが……カラスマが性交すると魔物のレベルが上がるのか?」

『…………………』

ヒュウガの言葉にセバスチャンは無視を決め込む。

「そうなの?セバスチャン」

『正確には違います』

ぶちギレそうなヒュウガを抑える。
やっぱり苦手だ、セバスチャン。
ヒュウガにも優しくしてやってよ。

『ご主人様が不特定多数の方とセックスをしまくってその体に何度も中出しされて受け入れた精子は、ご主人様の体内に精力として宿ります。それを旦那様と交わることにより、旦那様に効率的に力をお渡しすることが出来るのです。旦那様のお力が高まればこのダンジョンの全体のレベルが上がるのは必然』

……幼い見た目で卑猥に俺をディスってきた。

「何だよそれ!?アストラウスの力をあげる為にカラスマに男とヤラせてるって事か?カラスマは道具じゃねぇんだぞ!?それがアストラウスの望みかよ!?」

セバスチャンは相変わらずヒュウガの言葉に反応しない。

アスの力をつけるために……俺は男達に抱かれ続けるって事か?