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セバスチャンの正体の話

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「カラスマ……」

言われた事を頭の中で整理する為に固まっていた俺を心配したのか、ヒュウガが抱き締めてきてくれた。


「……俺がアスの力になれるの?」

『そうでございます』

「……俺だけ?」

『はい』

「…………」

「カラスマ?大丈夫か?」

再び黙りこんだ俺をヒュウガが覗きこむ。
心配してくれている。

「大丈夫……アスの……力に為になれるなら頑張る!!どうしたら効率良く力を貯められるかな?スクワットかな?腹筋かな?」

筋力の前に持久力かな?

「はぁっ!?」

「……?体の心配してくれたんじゃないの?」

ヒュウガはガクンと項垂れた。

「いや……体……体も心配だけど……違う……心をな……あぁっ!!もう良い!!惚れた弱味だ!!トコトン付き合ってやる!!」

ヒュウガは俺をギュ~と力いっぱい抱き締めた。

うん。俺も頭の中で何を馬鹿なと思うんだけど、同時に俺がアスの為に出来る事があるって事が嬉しくて……冷めた心を追い出していくんだ。

『そう言ってくれると思っていたわ、ヤマトちゃん。私たちも魂を懸けた甲斐があるわね』

セバスチャンの口調が急に変わった。

「私たちって……誰?」

『私たちはアストラウス様の為、このダンジョンに生きる魔物の為、貴方を召喚する贄として魂を捧げた淫魔』

アスが前に言ってた贄になった魔物?

『ふふふ……ヤマトちゃんがキツいときは私たちが手伝ってあげるから。安心して意識飛ばしてね』

爺さんの時のあれか……。
勇者の時のあれもそうなのか?

『そこの人狼。ヤマトちゃんが体内に男の精を受けていない時にアストラウス様と交わると、ヤマトちゃんの精気が吸われてしまうの。だからアストラウス様もヤマトちゃんに手が出せないでいる。アストラウス様に間男の座を許されたのだから存分にヤマトちゃんを可愛がりなさい!!ヤマトちゃん、もっともっと良い男を見繕ってあげるから頑張ってね!!じゃあね~』

ブツッと画面が暗くなった。


「…………だって」

ヒュウガと顔を見合わせる。

「だって……じゃないだろ……カラスマは良いのかよ?」

良いか悪いかで言えば良くない。
でも……。

「アスの役に立てるんなら嬉しい」

幸い?な事にレベルが上がる毎に心が強くなっているのか、心は前ほど傷つかない。

ヒュウガは頭をポンポンと叩き、微妙な顔をした。

「淫魔達の魂に大分引かれてるな……」

やっぱり、そう……なのかな……?

確かに……アスの為とはいえ……体を誰にでも開くって普通じゃないよな。でも、アスの力になれる事にこの上ない幸せを感じるのは、アスを崇拝する淫魔達の魂のせいなのかも。

「俺、おかしい?」

「おかしい」

……はっきりと言い切られると、心に刺さるな。

ヒュウガに手を引かれてベッドの上に倒される。

「おかしいけど可愛い……カラスマ、俺のことアストラウスの次にぐらいには好きだろう?俺には甘えてくるもんな?」

そうなの?そうなのか。
ヒュウガにはアスとも爺さん達とも違う感情が芽生えている気はする。

「昨日は客も無かったし……アストラウスとやれて無いんだろう?今夜は抱いて貰える様に、俺がいっぱい中に出してやるな?」

ニヤリと笑って唇を舐められる。
尻尾をブンブン振って楽しそうだ。

ーーーーーー

リビングで待っているとアスが帰って来た。

「おかえりなさい」

「ただいま」

アスに抱き上げられてキスをする。
毎日の日課。
アスの顔を両手で挟んで瞳を見つめる。

「セバスチャンに聞いた。俺とスキルとアスの事……」

アスの瞳が一瞬だけ動揺して揺れた。

「……そうか。ヤマトは?どう思った?」

アスの体に手を回して体を密着させる。
体が熱い……誰かとやった後に籠もるこの熱がアスへと渡す為の力なのだろうか。

「アスの力になれるのが嬉しいと思った」

「ヤマト……ありがとう」

ホッとしたように笑顔を見せたアスと唇を合わせて、寝室へと向かった。
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