68 / 106
招かれざる客の話
しおりを挟む
『ヤマトちゃん、気をつけて……私たちの結界を破ろうとしている者がいる』
突然、緊急地震速報の様な音がしてタブレットの中から話しかけられた。
『気をつけて……良くない者が来る……術に長けてる……私たちの……力が……封じ……逆に……利用さ……』
雑音のような音が混じって途切れ途切れの言葉の意味を理解しようとしているうちに、そこまで言ってタブレットは起動しなくなった。
初めての出来事に緊張が走る。
「ヒュウガ……どうしよう?」
アスはこの中で起きる事は察知できないと言っていたので、何かあっても夜まで帰らない。
良くない者が来るってことは、こちらに悪意のある人だよね……ジークの時も死にかけたけどそれとは違う……もっと悪い……。
俺とヒュウガだけで解決できる問題なのか否か?
スキルの力が封じられたら自分に出来る事は何だ?
「何が起こるかわからないなら対策のしようが無いだろう?向かって来るものを全力で叩き潰すしか無いだろ」
戦闘になると脳筋なんだな……。
武器になるもの……武器になるもの……。
調理場で包丁を手に入れた。
冷蔵庫の中には不死鳥やワイバーンの素材があった。
リーダーが冒険者としては夢のアイテムだと言っていたので分けてあげた残り。
不死鳥のオレンジ色な小さめの羽、役に立つのかな?ワイバーンの毒針とか、とりあえず入りそうな物をヒュウガのポケットに突っ込んだ。
全く自分が戦う事なんて想定していなかったからどうして良いかわからないからヒュウガにいろいろ持たせてみる。
他には……面。鍬。
入り口に家具を置いてバリケード?
ジークは入り口を吹き飛ばしていた……意味なさそうだな。
俺の家にヒュウガ入れないかな。
物は試しとヒュウガの手を引いて外に出た。
バチバチと空気が震えている。
「な……何これ……」
ピリピリと肌に刺す様な痛みを感じる。
洞窟との扉の方からゆったりと歩いてくる影が見えた。
「カラスマ……家の中に入ってろ……アレは俺の客だ」
俺を庇う様にヒュウガが一歩前に出た。
ヒュウガの客……?
「お久やねぇ、ヒュウガ」
「何故お前がここにいる……タマモ」
タマモと呼ばれた人物……。
真っ白な髪……真っ白な9本の狐の尻尾。
すらりと背の高い、つり目がキツイ印象を与える美人。
男か女かわからないけど……。
「嫌やわぁ、そない恐ろしい顔しんといて?……許婚が行方不明やのに、のうのうとなんてしてられんへんやろ?探しに来たんよ?」
「お前みたいな性悪と許婚になった覚えは無いぞ」
ヒュウガが後ろ手で、家に入れとジェスチャーしている。
ヒュウガの許婚……?そんな話聞いた事無かった……そんな人がいると知っていたら、意地でも追い出したのに。
とりあえず修羅場は勘弁して欲しいので、一歩、一歩……後ずさり、距離を取って行く。
「こないな所にちんけな結界張って隠れとって……いつまでも国へ戻ってきいひんのは、そこのガキのせいなん?」
タマモと呼ばれた、ヒュウガの許婚が手招きをしすると、次の瞬間には気付くとタマモの腕の中にいた。
「な……何で……?」
「カラスマっ!!」
顎を掴まれて無理やり上を向かされると、冷たい瞳に見下ろされる。
「真っ黒な髪、真っ黒な垂れ下がった目ぇ、ちんちくりんな体……いつから宗旨替えしはったん?それともこんな卑しい魅了の魔法にやられはったん?」
ギリギリと顎が締め付けられる。
「やめろっ!!」
「なんやの?こんなこまい体がそんなにええの?」
いきなり地面に投げつけられて、うつ伏せに頭を地面へと押し付けられた。
どんなのと付き合ってんだよ、ヒュウガの奴……趣味を疑うレベルにヤバいぞ、コイツ。
「タマモ!!カラスマから離れろ!!」
ヒュウガの爪が空を斬ってタマモへ振り下ろされた。
「近寄らんといて!!」
ヒュウガの爪は、タマモの扇子一本で受け止められて、逆にヒュウガの体が吹き飛ばされた。
何度も何度も立ち向かうヒュウガを軽くいなす。
「そない真剣になってほんまに大切なんやねぇ……ヒュウガとならと、人狼なんて脳まで筋肉な低俗な国と婚姻を結んでやったのに……屈辱やわぁ……」
ザワザワとタマモの尻尾が揺れる。
「もうええ……もうええわ……貴様等、二人とも殺してやるっ!!」
尻尾がズドンッとヒュウガの胸に刺さった……。
「……あっ……がぁ……」
ドサリと地に落ちたヒュウガの体に次々に尻尾が突き刺さる。
「ぐああぁぁぁぁぁっ!!」
「なまじ丈夫だと、なかなか死ねず哀れだよなぁ!!ヒュウガ!!」
ヒュウガ……。
もう……悲鳴も呻きも聞こえない……。
手を伸ばして……掴んだ柄に力を込めた。
突然、緊急地震速報の様な音がしてタブレットの中から話しかけられた。
『気をつけて……良くない者が来る……術に長けてる……私たちの……力が……封じ……逆に……利用さ……』
雑音のような音が混じって途切れ途切れの言葉の意味を理解しようとしているうちに、そこまで言ってタブレットは起動しなくなった。
初めての出来事に緊張が走る。
「ヒュウガ……どうしよう?」
アスはこの中で起きる事は察知できないと言っていたので、何かあっても夜まで帰らない。
良くない者が来るってことは、こちらに悪意のある人だよね……ジークの時も死にかけたけどそれとは違う……もっと悪い……。
俺とヒュウガだけで解決できる問題なのか否か?
スキルの力が封じられたら自分に出来る事は何だ?
「何が起こるかわからないなら対策のしようが無いだろう?向かって来るものを全力で叩き潰すしか無いだろ」
戦闘になると脳筋なんだな……。
武器になるもの……武器になるもの……。
調理場で包丁を手に入れた。
冷蔵庫の中には不死鳥やワイバーンの素材があった。
リーダーが冒険者としては夢のアイテムだと言っていたので分けてあげた残り。
不死鳥のオレンジ色な小さめの羽、役に立つのかな?ワイバーンの毒針とか、とりあえず入りそうな物をヒュウガのポケットに突っ込んだ。
全く自分が戦う事なんて想定していなかったからどうして良いかわからないからヒュウガにいろいろ持たせてみる。
他には……面。鍬。
入り口に家具を置いてバリケード?
ジークは入り口を吹き飛ばしていた……意味なさそうだな。
俺の家にヒュウガ入れないかな。
物は試しとヒュウガの手を引いて外に出た。
バチバチと空気が震えている。
「な……何これ……」
ピリピリと肌に刺す様な痛みを感じる。
洞窟との扉の方からゆったりと歩いてくる影が見えた。
「カラスマ……家の中に入ってろ……アレは俺の客だ」
俺を庇う様にヒュウガが一歩前に出た。
ヒュウガの客……?
「お久やねぇ、ヒュウガ」
「何故お前がここにいる……タマモ」
タマモと呼ばれた人物……。
真っ白な髪……真っ白な9本の狐の尻尾。
すらりと背の高い、つり目がキツイ印象を与える美人。
男か女かわからないけど……。
「嫌やわぁ、そない恐ろしい顔しんといて?……許婚が行方不明やのに、のうのうとなんてしてられんへんやろ?探しに来たんよ?」
「お前みたいな性悪と許婚になった覚えは無いぞ」
ヒュウガが後ろ手で、家に入れとジェスチャーしている。
ヒュウガの許婚……?そんな話聞いた事無かった……そんな人がいると知っていたら、意地でも追い出したのに。
とりあえず修羅場は勘弁して欲しいので、一歩、一歩……後ずさり、距離を取って行く。
「こないな所にちんけな結界張って隠れとって……いつまでも国へ戻ってきいひんのは、そこのガキのせいなん?」
タマモと呼ばれた、ヒュウガの許婚が手招きをしすると、次の瞬間には気付くとタマモの腕の中にいた。
「な……何で……?」
「カラスマっ!!」
顎を掴まれて無理やり上を向かされると、冷たい瞳に見下ろされる。
「真っ黒な髪、真っ黒な垂れ下がった目ぇ、ちんちくりんな体……いつから宗旨替えしはったん?それともこんな卑しい魅了の魔法にやられはったん?」
ギリギリと顎が締め付けられる。
「やめろっ!!」
「なんやの?こんなこまい体がそんなにええの?」
いきなり地面に投げつけられて、うつ伏せに頭を地面へと押し付けられた。
どんなのと付き合ってんだよ、ヒュウガの奴……趣味を疑うレベルにヤバいぞ、コイツ。
「タマモ!!カラスマから離れろ!!」
ヒュウガの爪が空を斬ってタマモへ振り下ろされた。
「近寄らんといて!!」
ヒュウガの爪は、タマモの扇子一本で受け止められて、逆にヒュウガの体が吹き飛ばされた。
何度も何度も立ち向かうヒュウガを軽くいなす。
「そない真剣になってほんまに大切なんやねぇ……ヒュウガとならと、人狼なんて脳まで筋肉な低俗な国と婚姻を結んでやったのに……屈辱やわぁ……」
ザワザワとタマモの尻尾が揺れる。
「もうええ……もうええわ……貴様等、二人とも殺してやるっ!!」
尻尾がズドンッとヒュウガの胸に刺さった……。
「……あっ……がぁ……」
ドサリと地に落ちたヒュウガの体に次々に尻尾が突き刺さる。
「ぐああぁぁぁぁぁっ!!」
「なまじ丈夫だと、なかなか死ねず哀れだよなぁ!!ヒュウガ!!」
ヒュウガ……。
もう……悲鳴も呻きも聞こえない……。
手を伸ばして……掴んだ柄に力を込めた。
34
あなたにおすすめの小説
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
ギルド職員は高ランク冒険者の執愛に気づかない
Ayari(橋本彩里)
BL
王都東支部の冒険者ギルド職員として働いているノアは、本部ギルドの嫌がらせに腹を立て飲みすぎ、酔った勢いで見知らぬ男性と夜をともにしてしまう。
かなり戸惑ったが、一夜限りだし相手もそう望んでいるだろうと挨拶もせずその場を後にした。
後日、一夜の相手が有名な高ランク冒険者パーティの一人、美貌の魔剣士ブラムウェルだと知る。
群れることを嫌い他者を寄せ付けないと噂されるブラムウェルだがノアには態度が違って……
冷淡冒険者(ノア限定で世話焼き甘えた)とマイペースギルド職員、周囲の思惑や過去が交差する。
表紙は友人絵師kouma.作です♪
悪役令嬢の兄、閨の講義をする。
猫宮乾
BL
ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
魔法学園の悪役令息ー替え玉を務めさせていただきます
オカメ颯記
BL
田舎の王国出身のランドルフ・コンラートは、小さいころに自分を養子に出した実家に呼び戻される。行方不明になった兄弟の身代わりとなって、魔道学園に通ってほしいというのだ。
魔法なんて全く使えない抗議したものの、丸め込まれたランドルフはデリン大公家の公子ローレンスとして学園に復学することになる。無口でおとなしいという触れ込みの兄弟は、学園では悪役令息としてわがままにふるまっていた。顔も名前も知らない知人たちに囲まれて、因縁をつけられたり、王族を殴り倒したり。同室の相棒には偽物であることをすぐに看破されてしまうし、どうやって学園生活をおくればいいのか。混乱の中で、何の情報もないまま、王子たちの勢力争いに巻き込まれていく。
【完結】国に売られた僕は変態皇帝に育てられ寵妃になった
cyan
BL
陛下が町娘に手を出して生まれたのが僕。後宮で虐げられて生活していた僕は、とうとう他国に売られることになった。
一途なシオンと、皇帝のお話。
※どんどん変態度が増すので苦手な方はお気を付けください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる