溺愛BL童話【短編集】

藤雪たすく

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赤ずきんはオオカミさんに食べられたい

第1話

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「そんなに急いで、何処へ行くんだ?赤ずきん」

周りを見回すが、僕一人。
赤ずきんって僕の事?

「友達に頼まれて……体育倉庫まで」

辺りを見回しながら目的地を告げる。

「何をしに?」

キョロキョロと辺りを見回す。

「友達に頼まれて……荷物を置きに」

僕は友達に渡された鞄を持ち上げた。

「中身は知ってるのか?」

声は上から聞こえる。

「いいえ……開けるなって言われてるから」

上を向くと、黒ずくめの大きな人と目があった……多分。

制服の上に黒いパーカー。
真っ黒な髪は前髪がもっさり伸びていて目は見えない。シャープな顎と通った鼻筋で雰囲気イケメン。

二階の窓から飛び降りて来ると僕の前に立ち、僕のパーカーのフードをずらすと……息を飲んだあと口がへの字に結ばれた。

「この赤いパーカーの意味は知ってる?この先に何があるかわかって向かっているのか?」

はて?
赤いパーカーは、友達に着せられた物だし、この先は体育倉庫と……他に何かあったっけ?


「いや……知らない奴なんていないか……」

黒ずくめの人は僕の持っていた鞄を徐に開けた。

「あ……開けるなって……」

随分自由な人だ。
見えた中身は、小さな箱やらチューブやら……棒の様な物。何だろう?

「……カモネギ」

黒ずくめの人はボソリと呟くと、チューブと箱を自分のポケットにいれた。
あ、持ってっちゃうんだ。

あぁ……友達に怒られてしまう。
殴られるのはもう嫌なんだけど……。

「ちょっ!?大神さんっ!!何してんすか!?そいつ『mother』のモンっすよね?」

先程黒ずくめの人が顔を出していた窓から別の黒ずくめの人が叫んでいる。

マザー?

「ん~可愛い赤ずきんがいたから、花でも摘みに行って来る」

黒ずくめの人が僕の腰に手を回し密着してきたので、黒ずくめの人の体温が伝わってくる。

暖かい。

「僕……荷物を届けろと言われているので……」

黒ずくめの人は僕の持っていた鞄を取ると二階の人へ向けて投げ飛ばした。

「motherの奴らの寝床に投げこんでおけ」

「ちょっ!!マジっすか?奴らの供物に手ぇ出したら……」

「真っ向勝負だな……あいつら調子に乗ってたし丁度良いんじゃないか?」

「……響……言い出したら……聞かない」

なんか黒ずくめの人がいっぱい顔を出してきた。

「これで用事は無くなっただろう?赤ずきん、名前は?」

僕の肩を抱いて歩き始めた黒ずくめの人が顔を覗き込んできた。

髪の隙間から見える瞳がとても奇麗で……。
あれ?………ドキドキする。

まさかこれが……世に言う一目惚れと言うやつか?

彼の顔を覗き見る……こんな綺麗な顔の人がいるんだなぁ……ポ~ッと見惚れてしまう……。

「そんなに睨むな……名前くらい聞いてもいいだろ?」

僕……睨んでた?
無表情だとか、リアクションが薄いとはよく言われるけど……あまり目付きの事では言われたこと無かったなぁ……。

「花宮 皐月……」

「皐月か……俺は大神 響だ。お前、うまそうな匂いがするな……」

大神さんは僕の髪に鼻先をつけてスンッと息を吸い込んだ。

……大神さんに手を引かれて、あまり来た事の無い薄暗い場所へと連れてこられた。

人気のない場所へ来たと言うことは……。
今日は彼から殴られるのか……いつもの事が友達から大神さんに変わるだけの事。

ただ……手加減してもらわないと、この体格差だと死活問題だな……立ち止まった大神さんの後ろで体を固くして痛みに備えた。

「………?」

いつまで待ってもやってこない痛みの代わりに唇に柔らかいものが触れた。

えっと……コレは俗にいう……。

「……何でキス?」

ま……まさか、大神さん、ぼ……僕の事好きなのか?

……なんて……あり得ないか。


「ん?いきなり突っ込まれる方が好みだったか?まぁ今日は俺のやり方に付き合えよ」

何を突っ込まれるんだ?
???微妙に会話がズレてるような……?

大神さんの膝の上に座らされて抱きしめられて、首筋を舐められる。
ゾクゾクして体が震えた。

「ん……殴んないの……?」

「殴んねぇよ……いつもどんなプレイしてんだ……」

大神さんの口元が薄く笑った。
殴られない……ホッとして僕もつられて笑う。

そうか……彼は僕を殴らないのか……。
それだけの事が嬉しい。

「……お前……大人しそうな顔してんのに、motherの供物が俺の腕に抱かれて笑ってられるなんていい度胸してんじゃねぇか……気に入った」

1人で言って、1人で納得し、1人で結論が出たらしい。

「この胸クソ悪いのはもういらねぇだろ」

パーカーを脱がされたかと思うと、大神さんはそのパーカーにライターで火をつけた。
友達の物なのに……なんと言い訳しよう。

「燃えちゃった……」

「もうお前には必要ない物だ……お前には黒をやる」

吐息のかかる距離で囁かれ、一度目より濃厚なキスを交わした。
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