溺愛BL童話【短編集】

藤雪たすく

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人魚姫は海の泡の中でどんな夢を見るのか

第3話

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「なぁ~教えろよ~それだけじゃ無いんだろ?」

「しつこい!!ついてくるな!!」

昼飯の時も放課後も出海はやってきて、こうやって俺にしつこくつきまとう。

昨日、俺が江里に告白して振られたと話をしてから、しつこく聞いてくる。
悪いヤツじゃないがデリカシーの無い鬱陶しいヤツ。

「知ってどうする?お前には関係ない事だろ?」

「だって……気になるんだもん……」

シュンとうな垂れて見せても話せるような内容では……。

「央司にも聞いてみたけど……」

江里にも聞いたのか、この馬鹿。

江里は……何て説明をしたんだ……全部話したのか?

いや……だとしたらこんなにしつこく聞いてこないよな……なにを何処まで話した……?
探る様に出海を見ると……。

「そんな顔して……やっぱ何かあったんだろ?央司もいきなりデカい声だして何も無いって怒るし……」

「江里に俺の話はするな……」

口がカラカラに渇いて、それだけ言うのがやっとだった。

ーーーーーー

「何処までついて来る気だ……」

俺と出海の帰路が分かれる曲がり角を過ぎても出海はついて来る。

「魚住が教えてくれるまで」

出海の事は無視する事に決めた。

いつも通りスーパーに寄って夕飯と明日のお弁当の食材をカゴに入れていく。

「家の手伝い?魚住えらいなぁ……」

「母親が助産師で時間が不定だから……出きる限りはな……」

「もしかしてお弁当も自分で作ってる……とか?」

「悪いか?」

こういう事で苦労してるとか大変だとか思われるのは嫌だな……作るのは俺だが金は親だし、別に苦労してないし、不幸でもない。

「悪くない……むしろ……」

むしろ……何だ?待ってみたけど続きは無かった。

「俺ね、アスパラの肉巻きが食べたい」

「だから?」

勝手にカゴにアスパラを入れてくる手をはたく。

「お金払うから~」

アスパラを持っておねだりするイケメン。
思わず笑ってしまって、アスパラをカゴに入れてレジを通り、家に向った。

「キレイにしてるね……何も無い」

出海は図々しくも俺の部屋まで押し掛けてきた。キョロキョロしている出海。

「お前早く帰れよ……遊ぶものなんて何も無いぞ」

「だって魚住が教えてくれないんだもん」

またそれか……。

「何だってそんなに知りたいんだ?男同士の話なんて聞いて楽しい話じゃないと思うけど……」

手首を強く掴まれて

「じゃあ……一つだけ教えて………央司との間に……肉体関係はあったのか?」

「そんな事聞いてどうす……」

思いのほか真面目な目を向けられていて……
まだ関わり合って3日だが……こいつなら……話しても良いかと思ってしまった。

「……誰にも……言うなよ」

前置きをして、出海が頷いたのを確認してから誰にも話した事の無い秘密を打ち明けた。

ずっと……心に突き刺さっていた刺を……。

「一度だけ……江里と寝た」

嫌悪されるかと思ったが、出海は変わらぬ顔でさらに続ける。

「一度?ここで?」

「いや……江里の家……もうこれ以上聞くな……思い出したくないんだ」

腕を振り払おうとして逆に腕を引かれ、出海に抱きしめられていた……。

「な……何……?」

「……俺も……魚住としたい……」

耳元に囁かれた言葉に体が固まる。
何を言ってるんだ……こいつは……。

「やめとけ……好奇心は身を滅ぼすぞ。興味だけで男とやったって後悔するだけだ……」

江里の姿を思い出して、また喉が潰された様に圧迫される。

出海から顔を背けると、顎を掴まれ顔を上げさせられ熱を帯びた瞳とぶつかる……。

「後悔なんてしない……魚住……」

あぁ……ダメだ……と思いつつ……近づいてくる出海の瞳から目が離せなかった。
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