最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく

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20話目 初仕事

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ついに銀月の迷い猫の拠点に足を踏み入れてしまった。
玄関扉を抜けるとそこにはソファーとテーブルがあって、そこに座って待つように指示を受け大人しく待っててと釘を刺されたが、落ち着かずソワソワキョロキョロ周囲を見回してしまう。

ここで依頼の受注のやり取りをしているのだろうか。本棚には紙の束や魔物などの資料や地図が並べられていて、棚には薬草や魔物の素材などが並べられている。華美な装飾はないが代わりにドラゴンの素材やダンジョン産の装備や魔導具がここのギルドが持つ力を誇示するかのように飾られていた。

玄関以外にドアが二つ……遠くからバタバタドスドスと音が響いてくる。俺の部屋の為に物置を掃除してくれていると言っていたな。

『時間稼げって言っただろうが!!なんでもう連れてきてんだよ!!』

『これ以上待たせてご機嫌損ねるのよくないんちゃう?いったんノーランの部屋に押し込んじゃいません?』

『なんで俺の部屋なんだよ!!もう窓から全部中庭に避難させちまおう。ゼノスとアルカとマイカは下で受け止めろ』

『俺達は力仕事向いてませんって……それにもし庭木にぶつけたらリオルさんに怒られますよ』

申し訳なくなる会話が聞こえてくる……俺の合格は本当に急遽決まった事なんだろうな。

『ハヨルも見てないで手伝えって、ほとんどお前のガラクタだろ?』

『僕が力仕事できないの知ってるだろ?それにガラクタじゃない……これは口を開けるだけで食事を口に運んでくれる魔導具……素晴らしさを実感できるようにお前の腕を切り落としてやろうか?』

『もう全部アイテムバッグに全部詰め込んじゃお!!次の依頼までに整理すればなんとかなるって!!』

『そう言って整理せずにまた直前に慌てるんですね。目に浮かびます』

みんな仲が良いな。掃除をしているだけでも楽しそうだ。
盗み聞きをしている様で申し訳ないが聞こえてくるんだから仕方ない……よな。

『まあまあ……だからこそルディさんを連れてきたんですよ。彼の力を直接見る良い機会でしょ?』

急に自分の名前が出てきて背筋が伸びた。銀月の迷い猫での初仕事?俺が早くギルドに馴染めるように……ナディルよ、なんて良いやつなんだ。そこまで面倒をみてもらってしまうと期待に応えたくなる。

想像するに、1部屋に皆の持ち物が雑多に積み上げられていると思われる。マサカズなんかもアイテムボックスを持っているにも関わらず、部屋にダンジョンで見つけてきたアイテムやらを積み上げてよくリナに叱られていたな。
見える様に積み上げておいたら俺すげぇが目で見て分かるのが気持ちいいとかなんとか言いながら……。

ハヨルの魔導具の実験品の数々は興味あるが、まずは荷物を片付けてもらわなければ……俺のマジックボックスに入れておいてもいいが、個人の物を勝手に預かって良いものか?

どう片付けようかと思案しているところにナディルが戻ってきた。

「ルディさん、来て早々悪いんだけど片付けるの手伝ってくれるかな?」

出ていった扉とは別の扉から戻ってきた。その先はどうやら中庭に続いている扉の様だ。

「もちろん、よろこんで!!」

いそいそとナディルの側に寄ると、こっちこっちと手招きされて中庭へ出た。高台から見た木が庭の真ん中に植えられている。側に寄るとますますあの木に似ている……記憶の中の木はもうあやふやだけど、懐かしさが込み上げてくる。屋敷にあの木は残っていただろうか?庭も見ておけば良かった。

庭を挟んで奥の建物は四階建てで最上階の窓からノーランがこちらを見下ろしていた。

「悪いね、急な事で部屋の用意が出来てなくてさ」

「是非お手伝いさせてください!!掃除は得意なんです!!」

「掃除ね……確かに一掃するの得意そうよね」

ノーランの横からユマも顔を出してぽつりと呟いた。得意そうと言われてしまったら完璧に綺麗にしてみせなければなるまい。

「ルディさん、この渡り廊下のとこにある扉がお風呂になってます。渡り廊下をさっきいた建物へ進めば階段とトイレ、こっちの建物は各々の個室になってます」

庭から一段上がった渡り廊下に移動して、居室のある建物へ進み階段を登っていく。

「一階はゼノスさん、アルカさん、マイカさんとユマさんです。二階はギュンダーさん、リオルさん、フィラノーラさん、ヨハルさん。三階はガイさん、ノーマンさん、シシルさん、俺の部屋ですね」

四階が俺の部屋か……一人?

「ルディさんの部屋は屋根裏なんですけど……天井が低い分広さだけはあるんで……」

説明を受けながら四階に到着すると……うん、広い。階段を登ると扉なども無くただ広い空間に物が山積みにされていた。
それでも……四部屋分なのでメンバーが集まっても余裕のある広さがある。

「今日からお世話になるルディです。私の為に皆さんありがとうございます。私が触れても良い物であれば是非お手伝いさせてください」

深く礼をして……無反応。顔を上げるとなんとなく視線を逸らされているような……あまり歓迎されてなさそうだな。しかし、こうして部屋を用意してくれているという事は合格者として受け入れてはもらっている。これからの俺の頑張り次第ってことか。

「皆さん人見知りなんですよ。ここにあるのは使わなくなった武器とか壊れたけど素材としては良い物だったりで取っておいた防具や魔導具なんで好きに動かしてもらって良いですよ」

「……捨てては困る。何かの素材としていつか使えるかもしれない」

ぼそっと小さな声で呟いたのはハヨルだった。初期メンバーの3人を除いて一番の古株で確か本職は薬師をしているエルフで無類の魔導具オタク、戦闘では魔導具を主に使っていたはずだったな。趣味で独自の魔導具を作っている……それなら素材として使えるものは多いに越した事はないだろうが、この積み上げ方だとどこに何があるのか探すので一苦労だろうに。

「素材ですか……この剣とか刃こぼれがもう致命的なんでもう武器としては修復不可能ですよね」

一番近くにあった剣を手にした途端に皆の空気に緊張が走った気がした。いきなり壊したりとか暴挙に出たりはしないのに……信用はまだまだこれからだよな、うん。

「そうだが……その剣は蒼鋼製だ。捨てるには惜しいが武器鍛治に持っていっても大した金にはならない……それなら僕が何かに使えないかと思ってる」

なるほど、ノーランにハヨルのガラクタばかりと言われていたのはここにあるほとんどがそういう理由で溜め込まれたものなんだろう。俺のアイテムボックスにしまってもいいが、そうなると皆が自由に取り出せなくなる……そうだ!!いい事を考えた。

「それならちょうどいい物がありました……昔ダンジョンで拾った物なんですけど……」

偽装アイテムバッグの中に手を突っ込んで目的の物を探るふりをしてボックスの中でクリエイト魔法を使って加工を始める。ミミックの外殻を空間魔法で加工して中をアイテムバッグ……この場合はボックスか?収納の魔導具化したところで取り出してみせた。

「箱型の収納魔導具です!!広さはかなりあるんでここの家丸ごと詰め込んでも余裕ですよ」

「「「は?」」」

一般的に出回っている収納魔導具はカバンの形をしていて容量もそこまで大きくない。それは製作者である魔導具師の力量によるのだが聖女で魔導具師としても規格外だったリナに技術を叩き込まれた俺にとっては無制限ぐらい朝飯前……しかしリナに教えてもらったなどと言えるはずもなく、ヤスさんと生活していて覚えた最強の逃げ道『ダンジョンで拾った』で片付けた。
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