最強推し活!!推しの為に転生して(生まれて)きました!!

藤雪たすく

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21話目 ゆっくり馴染んで

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「なんて美しいんだ……この装飾はエルダーデビルミミックの物……それがこうして収納魔導具化しているなんて……」

「今まで幾多のダンジョンに潜ってきたがこんな魔導具は見た事ない……それにエルダーデビルミミックの宝飾となれば金貨200枚、いや300枚で売れるか?」

「ハヨルさんもノーマンさんも邪魔です!!そんなんとこに引っ付いてられたら片付けられないですよ!!」

はぁはぁと荒い息遣いで箱を愛でるハヨルの横ではノーマンがブツブツと値踏みを始めている。2人を押し退けながら皆で荷物を箱の中へしまっていき、大量にあった荷物は全て箱の中へしまい込むことができた。ここからは掃き掃除と拭き掃除になるだろうが……本当に広いな。広すぎて落ち着かない。

「ルディくん、君のおかげであっという間に片付いた。ありがとう、君みたいな優秀な人材が仲間になってくれて嬉しいよ!!」

ノーマンにがっしりと手を握られてぐっと顔を近づけられる。

「それで!!ぜひ!!君のアイテムバッグの中身をもっと見せて欲しいな!!仲間だしな!!」

「あ!!ずるい!!僕も!!僕も見たい!!」

「いいですよ、でも片付けが落ち着いてからでいいですか?」

手のひらを返したような態度の豹変、単純だがその単純さは助かる。信頼なければ雑用係は務まらない。打算的な信用でも今は欲しい。こんな事で喜んでもらえるならいくらでも……リナ風に言えばチョロい。

「ハヨル、ノーラン……お前らは本当に……」

目が金のマークになっていたノーランをため息を吐きながら引き離してくれたシシルがゆっくりと手を差し伸べてくれた。

「緊張していたもので、ごめんねルディ君。俺はシシル、得意魔法は水属性だが基本四属性は一通り習得している。改めてよろしく」

「マルカです」

「アイカです」

「ガイだ、よろしくな」

チームを組んで行動する時にリーダー役を務めることの多いシシルが丁寧に挨拶をしてくれたおかげか、他のメンバーもにこやかな挨拶をしてくれた。

「私の名前はぁ……言わなくてもわかるよね!!」

「当然です!!ユマさんよろしくお願いします!!スイーツも作れるので今度ぜひ味をみてください!!」

「スイーツッ!!本当!?実は君の映像見ながらずっとお腹鳴らしてたんだぁ」

最初警戒をしていた表情をフニャッと緩ませたユマは可愛い、さすが銀月の迷い猫のアイドル……俺の推しはリオル様一択だが、ユマの愛嬌は見事だと感心しているし、その演技力は尊敬すらしている。

「そうですね。そろそろ冒険者協会に手続きに行っていたリオルさんもフィラノーラさんも戻ってくる頃だと思うんで昼ご飯でも作って待ってます?掃除の続きはそれからってことで……」

ナディルの言葉に皆同意して、連れ立って食堂まで移動することとなった。食堂と厨房はロビーの上だということで、2階まで降りて連絡通路を渡る。

「ねぇねぇ、君の強さならさ。わざわざギルドに所属しなくてもソロの方が数倍稼げるんじゃない?リオルさんのファンだとは聞いてるけどギルド同士の共闘とかだってあるんだしさ」

「金よりも推しの……お側でリオル様の役に立ちたいというのが長年の夢でしたから、その為に生きてきたので」

「ほへえぇぇぇ……ガチなんだねぇ。でもだからって雑用である必要ないんじゃ……」

「俺は別に戦闘が好きなわけじゃないですから、皆さんの留守中に拠点を守っている方が向いてるのかなって思ってます」

「……うちの拠点、王城以上に難攻不落になりそうね」

依頼から疲れて帰ってきたリオル様を温かなご飯で迎え、たっぷりのお湯でお風呂に入ってもらって清潔な部屋でゆっくり休んでもらう……最高だ。書類仕事中にお茶をお淹れして持っていった時にはその真剣な眼差しに涙するんだ。ぼっちゃん座学は出来ないわけではないのに嫌っていたからな。数刻も経てば遊ぼう遊ぼうって甘えてきて……そんなわがままなぼっちゃんも可愛かったなぁ。

「……だからね?って聞いてる?」

ユマに顔を覗き込まれて自分の世界から呼び戻される。

「すみません、リオル様の事で頭がいっぱいで聞いてませんでした」

幼き日のリオル様の思い出の世界へ旅立っていて、全く誰の言葉も聞こえていなかった。無意識でついてきたけれど気がつくと食堂を通り越して厨房に立っていた。

「うん、もう清々しいね」

「綺麗に片付けられてますね、今はどなたが担当されているんですか?外部から料理人を雇っているのでしょうか?」

今まで銀月の迷い猫の配信で調理する場面は出てきたことがない。食事はいつも市販の携帯食で、せいぜい湯を沸かしていたぐらいだったと思う。だから料理の担当がいないのならぜひ全任させてもらいたい。しかし料理人や家政婦を雇っているとなるとその人の仕事をいきなり奪ってしまうのは忍びない。交代で担当させてもらうとか月に数回でも……。

「綺麗なのは使ってないからですよ。基本的にそれぞれ好きな様に外食してますからね」

オーブンの中を覗き込んでいた俺の上からナディルが俺の顔を覗き込んできた。
ん、じゃあ厨房は俺が自由に使ってしまってもいいって事?こんな立派な厨房なのに使ってないとか勿体無い。
その辺の細かい話はリオル様と面談して話し合ってと言われたからそれからなんだろうけど。

「今日はさ、ルディさんの実力を知るって意味でもお昼の準備を頼みたいと思ってるんだけどどうかな?」

「本当ですか!?ぜひお願いします!!」

「お願いしてるのはこっちなんだけどね。皆さんもいいですよね?」

反対する人はおらず、早速リオル様に食事を振る舞う機会をいただいてしまった。ナディルには本当に感謝しかないな。リオル様に笑っていてもらいたいという願いも応援してくれると言ってくれた、ナディルにも恩返しをしたいものだ。

「必要な物があるなら俺とマイカで買ってくるけど?」

アルカとマイカがお使いを申し出てくれたけど……。

「ありがとうございます。でも森で獲った物がまだ残ってるので大丈夫ですよ。皆さんにお茶を淹れたんでゆっくり飲みながら待っていてください」

「そ……そっか、そうだよね。あれだけの大物の肉を1人で消費とか出来ないよね!!」

乾いた笑いを浮かべるアルカとマイカに紅茶の乗ったトレーを手渡しお願いするとアイテムボックスに手をいれた。

何を作ろうかな……昼ごはんだからそんなにボリュームのある物ではなくていいと思うんだけど、唐揚げはリオル様も好物ということで外せない。スープはアイスロックバードのスープが残っているから森で採取したミナギル草を刻んで……野菜の在庫は少ないな……マンドラゴとエリキャロットのサラダでいいか。後はリオル様も好きなお米を炊いて、食後のデザートの代わりにミルク芋も作ろう。
ユマが好むような派手なスイーツではないけれど……最初はリオル様に喜んでもらいたい。
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