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しおりを挟む「やっぱり駄目だよ東さん!僕さえ我慢すればそれでいいんだから!」
「橘、言っただろう?もうこれしか方法がないって。さんざん二人で話したじゃないか」
「それは!・・・でも、僕は大好きな東さんが僕みたいなお荷物ために無理をするところなんて見たくないよ」
「無理じゃないさ。お前と生きていくためだ。こんなこと無理でもなんでもない」
「東さん」
「橘」
そして二人はお互いを離すものかとぎゅっと抱きあったのでした。
はい、こんにちは。
向瀬実來、32歳。
絶賛婚活中で、先日婚活パーティーでいい感じになった彼、東新一さんとの初デート中です。
いや、でした、が正解かな?
なんといっても、彼は今とてもかわいい『男の子』と、熱いハグをされていますので。
えっと、まぁとりあえず。
「東さん」
「・・・向瀬さん」
あきらかにしまった!て顔しましたね?
忘れてましたね、私の事。
「とりあえず、場所を変えましょう。ここでは目立ち過ぎます」
うん、なんといってもここ、野外だからね?
平日の昼間の公園でそんなに人いないけど、だからって誰もこない場所でもない。
事実ランニング楽しんでいる人がぎょっとしながら何人か通りすぎてるし。
「・・・では私の家でも、構いませんか?この近くですので」
「はい。そこの君、もちろん一緒に来るよね?」
「は、はい」
にっこり笑って確認したのに、少年は怯えたように東さんの着ているシャツを握って彼の後ろに隠れた。
「おお~」
連れてきていただいた家は、それはもうおっきな家だった。
なんていうか、豪邸っていうのはこういう家だよね?っていうのを現しているおうち。
何部屋ぐらいあるんだろう。
「おおお!?」
促されて一歩家の中に入ったならば・・・。
ゴミ屋敷一歩手前?なリビングがありました。
「申し訳ない、男二人暮らしなもので」
「二人?」
「あ、ああ」
振り返ってみると気まずそうな東さんと少年。
ああ、なるほど。二人、ね。
「すいません、こんなものしかなくて」
「あ、おかまいなく」
東さんが出してくれたのは缶コーヒー。
それを飲みつつちらっとゴミ箱をみるとレトルト食品やコンビニ容器の山。
なるほど、男の二人暮らしだ。
「それで、どういうことか説明してもらえますよね?」
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