家族のカタチ~旦那さまと息子ができました~

reina

文字の大きさ
2 / 5

2

しおりを挟む

 「なるほど、そういうことでしたか」

 彼らの(まぁ、ほとんど東さんからだったけど)説明によると、少年は橘くんというらしく、東さんの恩師の息子さんらしい。
しかもその恩師は亡くなっていて、お母さんは小さい頃に亡くなっているから橘くんは一人ぼっちになってしまった。
 親戚が引き取る、という話になっていたんだが、そこで問題が起こる。
 即ち、誰が引き取るか、という問題が。
 橘くんのお父さんはなかなか権威ある方だったようで、その遺産の全てが橘くんのものになったことにより、彼の目の前で大人同士の醜い争いが行われた。
 思春期の子供を引き取っても十分に魅力的なだけの遺産があったんだそうな。
それを知った東さんが、あらゆる手を使って橘くんを引き取ったらしい。
 元々知り合いだったらしいが、そのゴタゴタとそれ以降の生活で徐々に引かれあったのだとか。

 「そうなんですか。大変だったね、橘くん」

そういうと、橘くんは何かを言おうとするが結局は口を閉ざし視線をそらす。

 「まぁ、それなりの事情はわかりました。それで?どうして東さんが結婚を、なんて話になったんですか?」

 婚活パーティーの会場で、東さんは結婚を前提にしてのお付き合いを希望していたはずだ。
でも彼には橘くんという恋人がいるわけで。
 素朴な疑問だよね。
そもそも恩師の息子さん、普通は手を出さないはず。

 「その、この家は元々、祖父からの財産分与の一つとして受け取っていたんですが、しばらく放置していまして。橘を引き取る際、どうせなら環境も変えようかとおもってこちらに引っ越してきたんです。私の以前住んでいたのはマンションでしたし、二人で住むには何かと手狭だったもので」

ほうほう。
というか、財産分与の『一つ』って、なんかさらっと怖い事言ったな・・・。
まぁ、それはおいといて。

 「しばらくはそれでよかったんですが、その・・、よくない噂が広まってしまって」
 「噂」
 「・・・・橘が、援助交際をしている、というものです」
 「・・・は?」

 思わず橘くんに視線を向けると、彼は俯いていた視線をなお下に向け、ぎゅっと手を握った。

 「えっと、その噂って?」
 「最初は近所の方たちに、それから徐々に広まっていって、彼が通っている高校でも広がってしまったようです」
 「失礼ですけど、お相手は?」
 「おそらく、私かと・・・」

なるほどねぇ。
つまり、絶賛結婚適齢期に男性とかわいらしい男の子が一緒に住んでいる。
でも血縁関係はないらしい。
もしかして?
もしかして?
もしかすると?

そんな感じで噂が独り歩き、尾ひれも背びれも胸ひれもついて広まっていったんだろう。
 気づいた時には噂は広がりきっていた、と。

 「先日、高校の方から指摘がありました。私たちは血縁関係、戸籍上の関係はありません。後見人としての書類は提出してきましたが、どうにも・・・。なので、いっそ私が結婚してしまえば、ということだったんですが」
 「だから!・・・だから、僕は高校行かなくたっていい、やめればいいんだ。別にいまどき高校ぐらい通信制でいくらでも卒業資格取れるし、大学行かなくたって・・・」
 「それはだめだ。橘、さんざん話し合ったじゃないか。君は学年1位を取れるほど優秀だ。このまま順調に進めば大学だってどこにでも行ける。なにより、君にそんなことをさせたら、橘先生に顔向けできない」
 「でも、僕は、僕の存在が東さんを苦しめてる。父さん言ってたよ?東さんは他の誰よりも優秀で、自慢の教え子だって」
 「はいはい、そこまでにしましょう!」

 声をかけると、またはっとこちらを見る。
う~ん、私、もしかして存在感薄いのかな?

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

奪った代償は大きい

みりぐらむ
恋愛
サーシャは、生まれつき魔力を吸収する能力が低かった。 そんなサーシャに王宮魔法使いの婚約者ができて……? 小説家になろうに投稿していたものです

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

婚約者を寝取った妹に……

tartan321
恋愛
タイトル通りです。復讐劇です。明日完結します。

ヤクザのお嬢は25人の婚約者に迫られてるけど若頭が好き!

タタミ
恋愛
関東最大の極道組織・大蛇組組長の一人娘である大蛇姫子は、18歳の誕生日に父から「今年中に必ず結婚しろ」と命じられる。 姫子の抵抗虚しく、次から次へと夫候補の婚約者(仮)が現れては姫子と見合いをしていくことに。 しかし、姫子には子どもの頃からお目付け役として世話をしてくれている組員・望月大和に淡い恋心を抱き続けていて──? 全25人の婚約者から真実の愛を見つけることはできるのか!?今、抗争より熱い戦いの幕が上がる……!!

すべてはあなたの為だった~狂愛~

矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。 愛しているのは君だけ…。 大切なのも君だけ…。 『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』 ※設定はゆるいです。 ※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。

とめどなく波が打ち寄せるように

月山 歩
恋愛
男爵令嬢のセシルは、従者と秘密の恋をしていた。彼が従者長になったら、父に打ち明けて、交際を認めてもらうつもりだった。けれども、それを知った父は嘘の罪を被せて、二人の仲を割く。数年後再会した二人は、富豪の侯爵と貧困にあえぐ男爵令嬢になっていた。そして、彼は冷たい瞳で私を見下した。

処理中です...