38 / 139
31.
しおりを挟む
「あっけないわ、戸籍部に行ってピッてヴァイで通して終わったわ」
片付けをしながらヨモは言った。ヨモの休日に夫の物を片すのを手伝うと約束していたリアはヨモの家に来ていた。
戸籍部の部長は以前からヨモに手続きをするように促していたらしい。実は魔の森に入って戻らない場合は1年以内に手続きが出来るのだ。部長は「よかった、ようやく前を向いてくれたようだ」と喜んでくれたらしい。
「ずいぶん、ヨモを気にかけているのね。その部長さん」
「父の部下だった人だから、ずっと気にかけてくれてたの。父は私が結婚してすぐに亡くなったから。母も」
「そうなの」
「ええ、今では父のような存在ね。だからたまにお茶しに来るのよ。フフ」
「リアのご家族の事を聞いた時、どうして気にするのかって聞かれたの。そりゃそうよね。部長はリアの事知らないんだから。でもリアの事抜きにしてもそのご家族の事は私の胸に刺さったわ。死んでしまった娘の事を思って貴族という手札を捨ててまで償おうとしているんだもの。娘を愛していたのよ。父も母も私を愛してくれてたし、もちろん夫もね。だから前を向くって決めたの。トイおじさんも納得してくれた。あ、部長の名前ね。トイって」
「そっか、それなら良かった」
「今の仕事も辞めようかと思っているのよ」
「え?」
「今の仕事は夫が戻って来る前から務めているの。前の住まいは家賃が払えないから引っ越してしまったし。だから職場まで変えてしまうと夫に会えないじゃない?だから安くても務めていたんだけど、さすがに本当に給金が安いのよ。将来の事を考えるなら仕事を換えないと、と思ってるの」
「そっか、でも何か当てがあるの?」
「ないわ」
「えー、じゃあどうするのよ」
「いずれの話よ。今すぐには辞めないわ。トイおじさんに相談するから大丈夫よ」
「何か出来る事があったら協力するからね」
「ありがとう、リア」
1日か掛けて部屋の整理をした。ヨモの夫の持ち物はすべて売った。部屋は夫の物が大半だったようで部屋が一気に広くなった。
「いやだ。こんなに広かったのね。一つ部屋が余ったわ。ねぇリアが住まない?家賃と生活費は折半で」
「それいいわね。私もずっと宿はって思っていたの。安い宿だったけど部屋が以上に狭いから、でもそれ以上出すのはもったいないかなって」
「リアは貴族なのに庶民派なのね」
「親が商売人だから節約は当たり前なの」
「じゃあどこかでベッドを買ってこないと。古家具屋に中古のベッドがあると思うから」
「マットが中古は嫌よ」
「そこはお嬢なのね」
二人仲良く古家具屋に向かった。
ベッドが入った直後から二人のシェア生活は始まった。森のツリーハウスにもヨモを招待した。もちろんすべては教えてはいないがヨモはツリーハウスを気に入った。
春になったらヨモの部屋を作ってもいいかもしれない。
「森のツリーハウスなんて素敵ね。魔獣が怖いけど」
「結界があるみたいなの」
「すごい。兵士のおばあさんは腕のいい魔術師だったのね。助けてくれた兵士さんには感謝ね」
「そうね。いつか顔を見せに来るとは言っていたけど…」
移動してしまているので会う手掛かりがもうない事は言わない。
「モグリベルから距離があるから無理かもね。まあいいんじゃない?ずっと借りていても。たまに空気の入れ替えに来るとかしていれば」
冬は基本的にシシリーのヨモの家に住むことにした。冬の森は厳しいらしい。
「たまに戻って来るからね」とヨモに聞こえないようにモジャに伝えた。
『待っとるよ』と、モジャもこっそりと言った。
片付けをしながらヨモは言った。ヨモの休日に夫の物を片すのを手伝うと約束していたリアはヨモの家に来ていた。
戸籍部の部長は以前からヨモに手続きをするように促していたらしい。実は魔の森に入って戻らない場合は1年以内に手続きが出来るのだ。部長は「よかった、ようやく前を向いてくれたようだ」と喜んでくれたらしい。
「ずいぶん、ヨモを気にかけているのね。その部長さん」
「父の部下だった人だから、ずっと気にかけてくれてたの。父は私が結婚してすぐに亡くなったから。母も」
「そうなの」
「ええ、今では父のような存在ね。だからたまにお茶しに来るのよ。フフ」
「リアのご家族の事を聞いた時、どうして気にするのかって聞かれたの。そりゃそうよね。部長はリアの事知らないんだから。でもリアの事抜きにしてもそのご家族の事は私の胸に刺さったわ。死んでしまった娘の事を思って貴族という手札を捨ててまで償おうとしているんだもの。娘を愛していたのよ。父も母も私を愛してくれてたし、もちろん夫もね。だから前を向くって決めたの。トイおじさんも納得してくれた。あ、部長の名前ね。トイって」
「そっか、それなら良かった」
「今の仕事も辞めようかと思っているのよ」
「え?」
「今の仕事は夫が戻って来る前から務めているの。前の住まいは家賃が払えないから引っ越してしまったし。だから職場まで変えてしまうと夫に会えないじゃない?だから安くても務めていたんだけど、さすがに本当に給金が安いのよ。将来の事を考えるなら仕事を換えないと、と思ってるの」
「そっか、でも何か当てがあるの?」
「ないわ」
「えー、じゃあどうするのよ」
「いずれの話よ。今すぐには辞めないわ。トイおじさんに相談するから大丈夫よ」
「何か出来る事があったら協力するからね」
「ありがとう、リア」
1日か掛けて部屋の整理をした。ヨモの夫の持ち物はすべて売った。部屋は夫の物が大半だったようで部屋が一気に広くなった。
「いやだ。こんなに広かったのね。一つ部屋が余ったわ。ねぇリアが住まない?家賃と生活費は折半で」
「それいいわね。私もずっと宿はって思っていたの。安い宿だったけど部屋が以上に狭いから、でもそれ以上出すのはもったいないかなって」
「リアは貴族なのに庶民派なのね」
「親が商売人だから節約は当たり前なの」
「じゃあどこかでベッドを買ってこないと。古家具屋に中古のベッドがあると思うから」
「マットが中古は嫌よ」
「そこはお嬢なのね」
二人仲良く古家具屋に向かった。
ベッドが入った直後から二人のシェア生活は始まった。森のツリーハウスにもヨモを招待した。もちろんすべては教えてはいないがヨモはツリーハウスを気に入った。
春になったらヨモの部屋を作ってもいいかもしれない。
「森のツリーハウスなんて素敵ね。魔獣が怖いけど」
「結界があるみたいなの」
「すごい。兵士のおばあさんは腕のいい魔術師だったのね。助けてくれた兵士さんには感謝ね」
「そうね。いつか顔を見せに来るとは言っていたけど…」
移動してしまているので会う手掛かりがもうない事は言わない。
「モグリベルから距離があるから無理かもね。まあいいんじゃない?ずっと借りていても。たまに空気の入れ替えに来るとかしていれば」
冬は基本的にシシリーのヨモの家に住むことにした。冬の森は厳しいらしい。
「たまに戻って来るからね」とヨモに聞こえないようにモジャに伝えた。
『待っとるよ』と、モジャもこっそりと言った。
65
あなたにおすすめの小説
平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした
タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。
身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。
だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり――
それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。
【完結】令嬢は売られ、捨てられ、治療師として頑張ります。
まるねこ
ファンタジー
魔法が使えなかったせいで落ちこぼれ街道を突っ走り、伯爵家から売られたソフィ。
泣きっ面に蜂とはこの事、売られた先で魔物と出くわし、置いて逃げられる。
それでも挫けず平民として仕事を頑張るわ!
【手直しての再掲載です】
いつも通り、ふんわり設定です。
いつも悩んでおりますが、カテ変更しました。ファンタジーカップには参加しておりません。のんびりです。(*´꒳`*)
Copyright©︎2022-まるねこ
母は何処? 父はだぁれ?
穂村満月
ファンタジー
うちは、父3人母2人妹1人の7人家族だ。
産みの母は誰だかわかるが、実父は誰だかわからない。
妹も、実妹なのか不明だ。
そんなよくわからない家族の中で暮らしていたが、ある日突然、実母がいなくなってしまった。
父たちに聞いても、母のことを教えてはくれない。
母は、どこへ行ってしまったんだろう!
というところからスタートする、
さて、実父は誰でしょう? というクイズ小説です。
変な家族に揉まれて、主人公が成長する物語でもなく、
家族とのふれあいを描くヒューマンドラマでもありません。
意味のわからない展開から、誰の子なのか想像してもらえたらいいなぁ、と思っております。
前作「死んでないのに異世界転生? 三重苦だけど頑張ります」の完結記念ssの「誰の子産むの?」のアンサーストーリーになります。
もう伏線は回収しきっているので、変なことは起きても謎は何もありません。
単体でも楽しめるように書けたらいいな、と思っておりますが、前作の設定とキャラクターが意味不明すぎて、説明するのが難しすぎました。嫁の夫をお父さんお母さん呼びするのを諦めたり、いろんな変更を行っております。設定全ては持ってこれないことを先にお詫びします。
また、先にこちらを読むと、1話目から前作のネタバレが大量に飛び出すことも、お詫び致します。
「小説家になろう」で連載していたものです。
悪役令嬢に転生したので、ゲームを無視して自由に生きる。私にしか使えない植物を操る魔法で、食べ物の心配は無いのでスローライフを満喫します。
向原 行人
ファンタジー
死にかけた拍子に前世の記憶が蘇り……どハマりしていた恋愛ゲーム『ときめきメイト』の世界に居ると気付く。
それだけならまだしも、私の名前がルーシーって、思いっきり悪役令嬢じゃない!
しかもルーシーは魔法学園卒業後に、誰とも結ばれる事なく、辺境に飛ばされて孤独な上に苦労する事が分かっている。
……あ、だったら、辺境に飛ばされた後、苦労せずに生きていけるスキルを学園に居る内に習得しておけば良いじゃない。
魔法学園で起こる恋愛イベントを全て無視して、生きていく為のスキルを習得して……と思ったら、いきなりゲームに無かった魔法が使えるようになってしまった。
木から木へと瞬間移動出来るようになったので、学園に通いながら、辺境に飛ばされた後のスローライフの練習をしていたんだけど……自由なスローライフが楽し過ぎるっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
薄幸ヒロインが倍返しの指輪を手に入れました
佐崎咲
ファンタジー
義母と義妹に虐げられてきた伯爵家の長女スフィーナ。
ある日、亡くなった実母の遺品である指輪を見つけた。
それからというもの、義母にお茶をぶちまけられたら、今度は倍量のスープが義母に浴びせられる。
義妹に食事をとられると、義妹は強い空腹を感じ食べても満足できなくなる、というような倍返しが起きた。
指輪が入れられていた木箱には、実母が書いた紙きれが共に入っていた。
どうやら母は異世界から転移してきたものらしい。
異世界でも強く生きていけるようにと、女神の加護が宿った指輪を賜ったというのだ。
かくしてスフィーナは義母と義妹に意図せず倍返ししつつ、やがて母の死の真相と、父の長い間をかけた企みを知っていく。
(※黒幕については推理的な要素はありませんと小声で言っておきます)
【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!
天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。
魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。
でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。
一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。
トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。
互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。
。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.
他サイトにも連載中
2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。
よろしくお願いいたします。m(_ _)m
魔法使いとして頑張りますわ!
まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。
そこからは家族ごっこの毎日。
私が継ぐはずだった伯爵家。
花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね?
これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。
2025年に改編しました。
いつも通り、ふんわり設定です。
ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m
Copyright©︎2020-まるねこ
【完結】男爵令嬢は冒険者生活を満喫する
影清
ファンタジー
英雄の両親を持つ男爵令嬢のサラは、十歳の頃から冒険者として活動している。優秀な両親、優秀な兄に恥じない娘であろうと努力するサラの前に、たくさんのメイドや護衛に囲まれた侯爵令嬢が現れた。「卒業イベントまでに、立派な冒険者になっておきたいの」。一人でも生きていけるようにだとか、追放なんてごめんだわなど、意味の分からぬことを言う令嬢と関わりたくないサラだが、同じ学園に入学することになって――。
※残酷な描写は予告なく出てきます。
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムに掲載中です。
※106話完結。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる