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シンのはなし 3
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それから9日後、シンは業務ギルドに顔を出した。
「あ、シンさんですね。刺繍の」覚えてくれていたようだ。
「はい」
「たくさんの応募が来ていますよ。シンさんの刺繍を見た方がぜひ習いたいって」
「本当ですか、よかった」
「全部で57名です」
「え!」
「すごいでしょう!私たちもびっくりですよ。教室は20名しか入りませんから午前と午後に分けませんか?それと週2・3回ほど開いて貰うとその日に来られなかった人達も違う日に来られますから」
「ええ、私は毎日でも大丈夫です」
「ありがとうございます。ただ、貸し教室は何室かあるのですが他の方も教室を使うので毎日は出来ないのです」
「そうですか。じゃあ週3でお願いします」
「はい、よろしくお願いしますね」
それからは週3、午前と午後で刺繍教室が開かれる事になった。ユグンの街は王都に近いせいか裕福な家が多かった。男爵や準男爵などの貴族だが平民と同じように生活している家も多々あった。この業務ギルドが成功しているのもユグンの街が都会である事が要因のひとつだった。
シンは美人でキレイな所作に加え、プロ並みの刺繍の腕前とあって、あっという間に人気の教室になった。お金が入るようになった事により安さが売りだけの宿から、防犯もしっかりしているキレイな宿に移り変わる事も出来るようになった。
シンはこの街にいるときは女性のままで過ごすようになっていた。昔のくせが出てしまったのか、古着屋ではあるもののたくさんのドレスやオシャレ着を買うようになった。
「シン先生は普段からオシャレで所作もキレイで本当に素敵よね」
「どこかの貴族だったのでは?」
「そうだったとしても今は関係のではないかしら。シン先生の所作をまねているけどなかなか身に付かないのよね」
「確かに、美しい所作ですわ。見た目が美しいだけじゃないのよね」
ほんの数週間でシンの刺繍教室は一度も行った事がないと言うと一回は行きなさいと言われるほどになっていた。男性がシンに声を掛けようものなら街中の女性がじゃまをした。変な男に引っかからないように街中で監視、守っているようだった。それほどシンは街中に浸透に多くの女性の憧れの的になっていた。
「シン先生、今日もご盛況ですね。業務ギルドが出来て以来の盛況ぶりなんですよ」
午後の帰りに業務ギルドの職員から声を掛けられた。
「ありがとうございます。先生なんて恥ずかしいですね」
「いいえ、みなさんシン先生から教えを受けて尊敬をしています。ですので先生で間違いないです」
「ありがとう」
「それと提案なのですが、もう一つ教室を開きませんか?」
「もう一つ?私になにが出来るかしら?」
「シン先生のその所作です」
「所作?」
「先生の過去などは色々噂をされている事は知っているかもしれませんが、多く方はそんな事は関係と考えています。そしてその美しい所作を自分も身に着けたいと思っている女性が多くいます。もし先生が嫌でなければ…その所作をマナーの教室として開いて下されば、この街のたくさんの女性が美しくなると思います」
シンにグイグイとキラキラした目を向けて来るその職員はニナという若い女性職員だ。刺繍教室にも足しげく通うシンのファンだった。
「あ、シンさんですね。刺繍の」覚えてくれていたようだ。
「はい」
「たくさんの応募が来ていますよ。シンさんの刺繍を見た方がぜひ習いたいって」
「本当ですか、よかった」
「全部で57名です」
「え!」
「すごいでしょう!私たちもびっくりですよ。教室は20名しか入りませんから午前と午後に分けませんか?それと週2・3回ほど開いて貰うとその日に来られなかった人達も違う日に来られますから」
「ええ、私は毎日でも大丈夫です」
「ありがとうございます。ただ、貸し教室は何室かあるのですが他の方も教室を使うので毎日は出来ないのです」
「そうですか。じゃあ週3でお願いします」
「はい、よろしくお願いしますね」
それからは週3、午前と午後で刺繍教室が開かれる事になった。ユグンの街は王都に近いせいか裕福な家が多かった。男爵や準男爵などの貴族だが平民と同じように生活している家も多々あった。この業務ギルドが成功しているのもユグンの街が都会である事が要因のひとつだった。
シンは美人でキレイな所作に加え、プロ並みの刺繍の腕前とあって、あっという間に人気の教室になった。お金が入るようになった事により安さが売りだけの宿から、防犯もしっかりしているキレイな宿に移り変わる事も出来るようになった。
シンはこの街にいるときは女性のままで過ごすようになっていた。昔のくせが出てしまったのか、古着屋ではあるもののたくさんのドレスやオシャレ着を買うようになった。
「シン先生は普段からオシャレで所作もキレイで本当に素敵よね」
「どこかの貴族だったのでは?」
「そうだったとしても今は関係のではないかしら。シン先生の所作をまねているけどなかなか身に付かないのよね」
「確かに、美しい所作ですわ。見た目が美しいだけじゃないのよね」
ほんの数週間でシンの刺繍教室は一度も行った事がないと言うと一回は行きなさいと言われるほどになっていた。男性がシンに声を掛けようものなら街中の女性がじゃまをした。変な男に引っかからないように街中で監視、守っているようだった。それほどシンは街中に浸透に多くの女性の憧れの的になっていた。
「シン先生、今日もご盛況ですね。業務ギルドが出来て以来の盛況ぶりなんですよ」
午後の帰りに業務ギルドの職員から声を掛けられた。
「ありがとうございます。先生なんて恥ずかしいですね」
「いいえ、みなさんシン先生から教えを受けて尊敬をしています。ですので先生で間違いないです」
「ありがとう」
「それと提案なのですが、もう一つ教室を開きませんか?」
「もう一つ?私になにが出来るかしら?」
「シン先生のその所作です」
「所作?」
「先生の過去などは色々噂をされている事は知っているかもしれませんが、多く方はそんな事は関係と考えています。そしてその美しい所作を自分も身に着けたいと思っている女性が多くいます。もし先生が嫌でなければ…その所作をマナーの教室として開いて下されば、この街のたくさんの女性が美しくなると思います」
シンにグイグイとキラキラした目を向けて来るその職員はニナという若い女性職員だ。刺繍教室にも足しげく通うシンのファンだった。
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