もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

文字の大きさ
67 / 139

追放者 その後

しおりを挟む
 冬が近づきリアがヨモとのシェア生活を解消した頃、シシリアキングスの王都に在る城から数台の馬車がある所に向けて出発した。

「どこへ行くのだ?これから冬のシーズンになるというのに」
 一人の若き美麗な男が文句を垂れている。そして美麗な男の隣にいるのはこの国の王子モロッコスだ。二人は仲良く一緒の馬車に乗りある所に向かっているのだ。

 これから王都では冬のシーズンが始まろうとしていた。男女が夜会を開き、夜な夜な遊びまわるという恒例の行事だ。貴族は夏に少々働き冬は物凄く遊ぶ事を徹底していた。

「ユリウス、君はモグリベルからの留学生という事で我が城の滞在を許していた。しかし、複数人の女性と関係を持ち、婚約者持ちの女にまで手を出している。君がいると城の風紀が乱れるのだ」
「仕方あるまい。私は君と違って好まれるようだ。私は罪深い男なのだそうだよ。モグリベルでは次期国王なのだからとうるさく言われていたものだが、ここの女性達は私だけを見てくれている」
「女問題で追放されたのでは?」
「あれは私を取り合って二人の女たちが争った結果だ。どちらも相応しくなかったのだろう」
「…詳しくは知らんがその二人の女性が犠牲になったようだね」
「そうだね。私のこの美しさに魅了されて人生を狂わしてしまったのは本当にすまないと思うが、ひと時でもこの私に愛されたのだから誇りに思っていい」
 
 話が通じない人と話をするのは苦痛だ。モロッコスは話を変える事にする。
「ときにユリウス、君のその瞳に関しての能力は解明できたのかね?」
 ユリウスは物理的に瞳がキラキラしている。金色の瞳の中にいつも何かが舞っているのだ。それは稀な能力の兆し、しかしどこの国にも実例がなく成長するまで待つようになっていた。

「いやまだだ。属性が分かれば能力も開花するかと言われたが何の兆しもない。学者の言う事など当てにならない」
「属性は水だったかな?」
「そうだ。私の能力は水を雪にも氷にも出来る。なかなか珍しいだろう」
「魔力が多いとそのような事が出来る人もいるようだな。戦時では脅威だが。では、その瞳の能力がそうなのでは?」
「学者言うのは、水を雪に変化する時に魔力は使われているが瞳に変化が見られないらしい。だからまだ能力が隠されている可能性があるようなのだ」
 先ほど、学者の言う事は当てにならないと言っていたが。
「そうか。早く能力が開花して我が国に利益を生んでほしいのだがね」

「金の話をしているのか?滞在費は母が出しているはずだ」
「それはもちろん、しかしそれ以上に使い込まれた金に関しては別の話だ。その金はモグリベルに請求しているが、支払いが出来ないと返事が来ている」
「俺は次期国王だぞ。あんなはした金、なんだと言うのだ」
「ユリウス、君は今王位継承者から外されている。お忘れか?」
 モロッコスは呆れてため息を吐く。

「一時的に父上がそういう事にしているだけだ。父上の息子は私しかいない。他に誰が王位を継ぐのだと言うのだ」
「国王様は沢山のご兄弟がいらっしゃる。その中の誰かでは?現に今の王位継承者は甥のベルナル様と正式に発表されているのだが」
「…今だけだ」
「しかし、金は返してもらわなければならん。しかし君は金を使う事に長けていても金を稼ぐ事は皆無のようだ。そこでだ。君にぴったりな職務をプレゼントをしようと思う。これから行く所は我が国自慢の鉱山だ。ミスリルやダイヤモンドなど多くの高価な石が取れる鉱山だ。おっと安心しろ、掘るのはもちろん犯罪者や借金奴隷の者たちばかりだ。しかし、それを監視するものが必要なのだ。監視するものもなかなか鉱山から降りて来られない、家族に会えないと不満が出てな。半年の任期でいつも任期が終了しては交代してしまうんだ」

「鉱山だと?監視だと?この俺が?次期国王の俺に?バカを言うな!」

「君は今の所、次期国王ではない。君の母君から許可は得ている。金が支払えないなら、こちらで仕事をさせると、母君はきちんとした手紙で愚息をお願いしますと寄越したぞ」
「な…」
「君の能力を聞いてますます適任だと思ったよ。鉱山には荒々しい男どもの巣窟なのだ。弱い監視者は舐められる。君のように戦いに恵まれた能力の持ち主が監視者であれば鉱山も落ち着くだろう」

「そ、それは確かに戦いに恵まれている能力かもしれないが、訓練をしたわけじゃない。今の世は平和だ」
「しかし、留学生と言いながら勉学をしないのであれば働いてもらうしかない」
「しかし…」

「ああ、鉱山には君の好きな女性もいるよ。人殺しの罪や姑息な詐欺師行為で鉱山送りになった女もいる。しかし鉱山の女は気を付けろよ。金も体も食い尽くされるぞ」
「…そ」
「甘い言葉で近づいて、いつの間にかまた借金を繰り替えし奴隷になるバカな男を何人も見てきた。今の君には金はない。母君からの援助も君が使い込んでいる金で消える。母君に今以上の援助は期待しない方がいいぞ。母君は父君に内緒で支援しているのだ。王妃の資金でな」
 モロッコスは青い顔をしているユリウスにたたみ掛ける。
 
「王は、君を見放したんだよ。懸命なご判断だよ。じきに国の英断になるだろう。そろそろ誰かに甘えてないで自分で身の振り方を考えてはどうだい。ユリウス」

「で、話は戻るが幼い頃から知っている君に私からのプレゼントと言うのが鉱山の監視員って訳だ。安心したまえ、きちんと国から給金が出る。しかも役職だ。ただし給金の中から使い込んだ金は引かせて貰う。君はただ言われた通りにしていたら、それでいい。ああ、そうそう君には任期なんてない。国に帰れないのなら鉱山が君の居場所だ。ま、頑張りたまえ」

 ユリウスの顔は青から白になっていく。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

キズモノ転生令嬢は趣味を活かして幸せともふもふを手に入れる

藤 ゆみ子
恋愛
セレーナ・カーソンは前世、心臓が弱く手術と入退院を繰り返していた。 将来は好きな人と結婚して幸せな家庭を築きたい。そんな夢を持っていたが、胸元に大きな手術痕のある自分には無理だと諦めていた。 入院中、暇潰しのために始めた刺繍が唯一の楽しみだったが、その後十八歳で亡くなってしまう。 セレーナが八歳で前世の記憶を思い出したのは、前世と同じように胸元に大きな傷ができたときだった。 家族から虐げられ、キズモノになり、全てを諦めかけていたが、十八歳を過ぎた時家を出ることを決意する。 得意な裁縫を活かし、仕事をみつけるが、そこは秘密を抱えたもふもふたちの住みかだった。

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

雨の少女

朝山みどり
ファンタジー
アンナ・レイナードは、雨を操るレイナード家の一人娘。母キャサリンは代々その力を継ぐ「特命伯爵」であり、豊穣を司る王家と並び国を支える家柄だ。外交官の父ブライトは家を留守にしがちだが、手紙や贈り物を欠かさず、アンナは両親と穏やかな日々を送っていた。ある日、母は「明日から雨を降らせる」と言い、アンナと一緒に街へ買い物に出かける。温かな手を引かれて歩くひととき、本と飴を選ぶ楽しさ、それはアンナにとってかけがえのない記憶だった。 やがて雨が降り始め、国は潤ったが、異常気象の兆しが見え始める。キャサリンは雨を止めようと努力するが、うまくいかず、王家やサニダ家に助けを求めても返事はない。やがて体を壊し、キャサリンはアンナに虹色のペンダントを託して息を引き取った。アンナは悲しみを胸に、自らの力で雨を止め、空に虹をかけた。 葬儀の後、父はすぐ王宮へ戻り、アンナの生活は一変する。ある日、継母ミラベルとその娘マリアンが屋敷に現れ、「この家を任された」と告げる。手紙には父の字でそう記されていた。以来、アンナの大切な物や部屋までも奪われ、小屋で一人暮らすことになる。父からの手紙はミラベルとマリアンにのみ届き、アンナ宛てには一通も来ない。ペンダントを握って耐える日々が続いた。 「なろう」にも投稿しております。

魔法使いとして頑張りますわ!

まるねこ
恋愛
母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね? これからは母方の方で養女となり、魔法使いとなるよう頑張っていきますわ。 2025年に改編しました。 いつも通り、ふんわり設定です。 ブックマークに入れて頂けると私のテンションが成層圏を超えて月まで行ける気がします。m(._.)m Copyright©︎2020-まるねこ

【完結】回復魔法だけでも幸せになれますか?

笹乃笹世
恋愛
 おケツに強い衝撃を受けて蘇った前世の記憶。  日本人だったことを思い出したワタクシは、侯爵令嬢のイルメラ・ベラルディと申します。 一応、侯爵令嬢ではあるのですが……婚約破棄され、傷物腫れ物の扱いで、静養という名目で田舎へとドナドナされて来た、ギリギリかろうじての侯爵家のご令嬢でございます……  しかし、そこで出会ったイケメン領主、エドアルド様に「例え力が弱くても構わない! 月50G支払おう!!」とまで言われたので、たった一つ使える回復魔法で、エドアルド様の疲労や騎士様方の怪我ーーそして頭皮も守ってみせましょう!  頑張りますのでお給金、よろしくお願いいたします!! ーーこれは、回復魔法しか使えない地味顔根暗の傷物侯爵令嬢がささやかな幸せを掴むまでのお話である。

婚約白紙?上等です!ローゼリアはみんなが思うほど弱くない!

志波 連
恋愛
伯爵令嬢として生まれたローゼリア・ワンドは婚約者であり同じ家で暮らしてきたひとつ年上のアランと隣国から留学してきた王女が恋をしていることを知る。信じ切っていたアランとの未来に決別したローゼリアは、友人たちの支えによって、自分の道をみつけて自立していくのだった。 親たちが子供のためを思い敷いた人生のレールは、子供の自由を奪い苦しめてしまうこともあります。自分を見つめ直し、悩み傷つきながらも自らの手で人生を切り開いていく少女の成長物語です。 本作は小説家になろう及びツギクルにも投稿しています。

王女殿下のモラトリアム

あとさん♪
恋愛
「君は彼の気持ちを弄んで、どういうつもりなんだ?!この悪女が!」 突然、怒鳴られたの。 見知らぬ男子生徒から。 それが余りにも突然で反応できなかったの。 この方、まさかと思うけど、わたくしに言ってるの? わたくし、アンネローゼ・フォン・ローリンゲン。花も恥じらう16歳。この国の王女よ。 先日、学園内で突然無礼者に絡まれたの。 お義姉様が仰るに、学園には色んな人が来るから、何が起こるか分からないんですって! 婚約者も居ない、この先どうなるのか未定の王女などつまらないと思っていたけれど、それ以来、俄然楽しみが増したわ♪ お義姉様が仰るにはピンクブロンドのライバルが現れるそうなのだけど。 え? 違うの? ライバルって縦ロールなの? 世間というものは、なかなか複雑で一筋縄ではいかない物なのですね。 わたくしの婚約者も学園で捕まえる事が出来るかしら? この話は、自分は平凡な人間だと思っている王女が、自分のしたい事や好きな人を見つける迄のお話。 ※設定はゆるんゆるん ※ざまぁは無いけど、水戸○門的なモノはある。 ※明るいラブコメが書きたくて。 ※シャティエル王国シリーズ3作目! ※過去拙作『相互理解は難しい(略)』の12年後、 『王宮勤めにも色々ありまして』の10年後の話になります。 上記未読でも話は分かるとは思いますが、お読みいただくともっと面白いかも。 ※ちょいちょい修正が入ると思います。誤字撲滅! ※小説家になろうにも投稿しました。

平民に転落した元令嬢、拾ってくれた騎士がまさかの王族でした

タマ マコト
ファンタジー
没落した公爵令嬢アメリアは、婚約者の裏切りによって家も名も失い、雨の夜に倒れたところを一人の騎士カイルに救われる。 身分を隠し「ミリア」と名乗る彼女は、静かな村で小さな幸せを見つけ、少しずつ心を取り戻していく。 だが、優しくも謎めいたカイルには、王族にしか持ちえない気品と秘密があり―― それが、二人の運命を大きく動かす始まりとなるのであった。

処理中です...