もしかして私ってヒロイン?ざまぁなんてごめんです

もきち

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ユリウスの逆襲―ブロンエクレトンにて

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 秋に近づく頃になるとモロッコス王子とマオリエッタ王子がアンガーに現れた。門は閉まったままだ。武装した騎士や兵士が門を開けるように言う。

 モロッコス王子とマオリエッタ王子と数人のお供を連れてアンバーに入るのを許された。そしてユリウスの白い城に通された。

 通された先には真っ白な衣装を来たユリウスと真っ白なドレスにダイヤで輝かせたシンの姿があった。

「ユリウス、久しぶりですね」
「モロッコス、待っていたよ。マオリエッタかい?精悍な若者になったね。僕の事覚えているかな。昔、あった事あるよね?」
「もちろんです、ユリウス王子」
「今は王だよ、マオリエッタ」
「まだ独立を許した訳ではないよ、ユリウス」
「許しなんていらないよ」
「…率直に聞こう。カネはどこから調達しているんだ?」
「その話はあとだよ。それより食事にしないかい?毒なんていれてないから」
 テーブルには豪華な食事が用意されたが二人は食べる気にはなれない。

「シン、元気そうだね?またユリウス王子の婚約者になったのかい?」
 マオリエッタはシンに聞いた。
「ええ、無実の罪を着せられて鉱山に落とされましたがユリウス様が救ってくださいましたの」
「無実ではないだろう?」
「私は何もしてないわ」
「ときにユリウス、アリアナが生きているのは知っているかい?」
 モロッコス王子がユリウスに話を振った。
「…」
「あの魔の森から生還したのだよ。今は王都で平民として暮らしているようだがね」
「…」
「会いたくはないかい?」

「…アリアナの事、君は知ってたの?」
 ユリウスはシンに聞いた。
「いいえ、私も今知りました。魔の森から生還出来たなんて運がよろしいのね」
「そうか、シンは知らなかったのか…君が斬り付けた女性がいたよね?」
 今度はマオが言った。
「…」
「君が鉱山に送られる事になった娘の事だよ」
「ああ、あの嘘つき娘ね。地味ななりの女でしたわね。その娘がなにか?」
「その娘がアリアナだ」
「はあ?」
「アリアナはどこで手に入れたのか容姿が地味になるアイテムを持っているようなんだ。それを毎日付けていた」
「な、なんですって…」
「奇しくも君は2度もアリアナを殺そうとした事になる」
「知らないわ…」
「まぁアイテムをしていたから、君が気付かなかったのは仕方がない」
 シンは食事の手を止め、ワナワナと震えた。

「ふーん、ではこちらに連れて来てくれるかい?アリアナと僕は愛し合っていたんだ。シンフォニーに壊されてしまったけどね」
 シンの食事をしていた手が止まる
「それは連れてきたら独立を撤回してくれると言う事かい?」
「考えてもいい」
「…連れて来てどうするんだい?」
「妻にするよ」
「シンフォニーは?」
「魔の森にでも捨てるさ」
「!」
「なんて嘘だよ。シンフォニー、君はこの国のためによくしてくれた。第二夫人くらいには置いてあげてもいいよ」
「…」
「まぁ正妃でもいいけど、アリアナとの邪魔だけはしないでくれると助かるね」
「…」
「目の前でひどい事を言うんだね」
 マオは哀れにシンを見た。
「元々気が合わない」
「シン…」
 シンはガチャンと音を立て、席を立ち部屋を後にした。

「プライドだけは高いんだよなぁ」
「あんな事を言われたら誰だってああなる…」
「へぇマオリエッタ、シンフォニーを庇うの?あの女は傲慢で人殺し未遂をした女だ。なにがいいの?」
「君も加担したんだろう?」
「それがねぇ分からないんだ。シンフォニーの言う事が正しいってその時は思ってしまった。魔法に掛かっていた気がするよ。まっそんな話はいいさ。アリアナを連れて来てよ。本人であるならその時考えるから」
「本当に連れて来たら独立を撤回するんだな?」
「本人を連れて来て貰わないとなんとも…」
 ユリウスはモロッコスを小馬鹿にしたような仕草をした。

「いい加減にしてくれ!ここはシシリアキングスの真ん中だぞ。独立なんか認められない!」
「大丈夫だ。ロイズも入っている」
 ロイズは鉱山の間裏に位置している街だ。
「はっ?!」
「ロイズは僕が準備したカネで武装の準備をしているよ。今の僕にはカネは溢れるほどあるんだ」
「ロイズまで手を回したのか…しかしアンバーの次の街シシリーはシシリアキングスの玄関だ。絶対に渡せない!」
「今はいらないよ。道だけは通してあげる。それでいいだろう?王に伝えて。僕になにかあるとロイズが動くってね。あそこは優秀な魔法魔術師がいるからね。カネがあれば揃えられるものも色々出来るからって、もう何億っていうカネが…」
「…」
「そんなわけだから、よろしく」

 二人の王子は結局何も得られるものもなく退散した。
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