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第88話
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「ユリウス、能力が開花したというけど、それは本当なの?」
リアは鳥籠の檻からユリウスに話しかけた。
「もちろんだ。私はそれでこの地位までのし上がったのだ」
「能力でお金が湧いて来るの?」
「…カネがものをいう世界だ。君も王妃になれるよ」
「ユリウス、あなたは気が付いている?」
「え?」
「私は学生の頃からずっとあなたのその美しい姿を近くで見て来たのよ。久しぶりに会ったあなたは姿は…」
リアは頬に手を添えて顔を傾けた。
「な、なんだと…言うんだい?」
「あら、やはり気が付いているのね」
「…リア、そんな事より宴の…」
「すごく老けたわね。ユリウス」
ユリウスは固まった。そしてゆっくりとリアを睨んだ。
「ご自慢の白銀の髪はまるで白髪頭の老婆のよう、くぼんだ目元、頬もコケているわ。肌もカサカサ、それはシミ?シワ?」
「な、なにを…」
「一生けん命メイクで隠しているけど全然ムリよ。隠れてない」
「や、やめろ…」
ユリウスはわなわなと震え、顔を隠すような仕草をしてリアを見た。どこか怯えている表情にリアはユリウスは自分自身でも分かっている事が知れた。
「あの零れ落ちそうなキラキラ輝いていた瞳も半減している。それはその開花した能力に関係しているのではなくて?」
「だ、黙れ!」
ユリウスは膝をつき赤子のように丸くなった。
「ユリウスの開花した能力というのは、鉱山にある石を本物のダイヤモンドや宝石に変えられる能力?鑑定士も本物と見間違うほどの宝石を作り出せるという…」
リアは小さく蹲《うずくま》っているユリウスを見た。
「見間違うなどと…僕が作り出している本物の宝石だ!」
「やはりそうなのね」
「な、なぜ知っている?まぁいい、わかっているなら話が早いね。これでわかっただろう?僕はカネが生まれる能力を身に着けたのさ!」
「でもあなたはその能力で若さを失っている」
「そ、そんなことは…」
「ユリウス自身が気が付いてるのでしょう?あなたのその瞳…能力を使ってから輝きが減少している事を。瞳だけでなく若さも失われている。その事を総合すると…もう少しでその能力は枯渇するのでは?」
「俺の能力が枯渇する…」
「さすがに可哀そうだから忠告してあげる。もう宝石は作らない方がいいわ。十分な資金は調達出来たでしょう?あなたは自分の命と引き換えに宝石を作っているの。そして老化が進んでいるからその瞳の輝きが失われたら死んでしまうわね。本当にもうやめた方がいいわよ」
リアは躊躇もなく言い放った。最大限の親切である。
そして、ボワッと大きな炎がリアを包み込んだ。その炎でユリウスのチンケな鳥籠の檻は破壊された。リアの前には炎の中から美しい黄金の輝きを放つ、大きなキングダムウルフが城の中に現れた。
初めて見たものは腰を抜かすほどの驚きだろう。
「な、な!!」
キングダムウルフは炎を鎮めると黄金の美しい毛並みに戻りリアを背中に乗せた。
「ユリウス、それじゃあ私は帰るわね。生きていたらまたどこかで会うかもね、ではお元気で」
と、リアは笑顔で手を振った。そして炎と共に消えた。
ユリウスはしばらく動けずに茫然としていた。
「これは驚きましたね。あなたの元婚約者はあのキングダムウルフの使い手でしたか。我々ではとても敵いませんでしたよ。帰って頂いてよかった」
そこには広間の陰からひょっこりとロイズとオードスルスの要人が現れた。
「君たち…」
「宴をするお約束でしたな」
「ええ、そうです…」
ユリウスは震える手足を必死に立たせようとした。
「ああ、それどころではない?我々も気が付いていましたよ。あなたのその能力…美しかった容姿は今では影を潜め、お会いする度に別人のようになられていた。最初はご病気なのかとも思いましたがね」
「あなたのおかげで国を守る事が出来た。お礼はしますよ」
ロイズとオードスルスの要人たちは優し気にユリウスに近づいた。
「な、なにを…」
「もうその能力は使わない方がいいでしょう」
ロイズとオードスルスは協力して、意気消沈のユリウスに変わりアンバーを取り込んだ。結局「ブロンエクレトン」は幻の国となったのだった。
リアは鳥籠の檻からユリウスに話しかけた。
「もちろんだ。私はそれでこの地位までのし上がったのだ」
「能力でお金が湧いて来るの?」
「…カネがものをいう世界だ。君も王妃になれるよ」
「ユリウス、あなたは気が付いている?」
「え?」
「私は学生の頃からずっとあなたのその美しい姿を近くで見て来たのよ。久しぶりに会ったあなたは姿は…」
リアは頬に手を添えて顔を傾けた。
「な、なんだと…言うんだい?」
「あら、やはり気が付いているのね」
「…リア、そんな事より宴の…」
「すごく老けたわね。ユリウス」
ユリウスは固まった。そしてゆっくりとリアを睨んだ。
「ご自慢の白銀の髪はまるで白髪頭の老婆のよう、くぼんだ目元、頬もコケているわ。肌もカサカサ、それはシミ?シワ?」
「な、なにを…」
「一生けん命メイクで隠しているけど全然ムリよ。隠れてない」
「や、やめろ…」
ユリウスはわなわなと震え、顔を隠すような仕草をしてリアを見た。どこか怯えている表情にリアはユリウスは自分自身でも分かっている事が知れた。
「あの零れ落ちそうなキラキラ輝いていた瞳も半減している。それはその開花した能力に関係しているのではなくて?」
「だ、黙れ!」
ユリウスは膝をつき赤子のように丸くなった。
「ユリウスの開花した能力というのは、鉱山にある石を本物のダイヤモンドや宝石に変えられる能力?鑑定士も本物と見間違うほどの宝石を作り出せるという…」
リアは小さく蹲《うずくま》っているユリウスを見た。
「見間違うなどと…僕が作り出している本物の宝石だ!」
「やはりそうなのね」
「な、なぜ知っている?まぁいい、わかっているなら話が早いね。これでわかっただろう?僕はカネが生まれる能力を身に着けたのさ!」
「でもあなたはその能力で若さを失っている」
「そ、そんなことは…」
「ユリウス自身が気が付いてるのでしょう?あなたのその瞳…能力を使ってから輝きが減少している事を。瞳だけでなく若さも失われている。その事を総合すると…もう少しでその能力は枯渇するのでは?」
「俺の能力が枯渇する…」
「さすがに可哀そうだから忠告してあげる。もう宝石は作らない方がいいわ。十分な資金は調達出来たでしょう?あなたは自分の命と引き換えに宝石を作っているの。そして老化が進んでいるからその瞳の輝きが失われたら死んでしまうわね。本当にもうやめた方がいいわよ」
リアは躊躇もなく言い放った。最大限の親切である。
そして、ボワッと大きな炎がリアを包み込んだ。その炎でユリウスのチンケな鳥籠の檻は破壊された。リアの前には炎の中から美しい黄金の輝きを放つ、大きなキングダムウルフが城の中に現れた。
初めて見たものは腰を抜かすほどの驚きだろう。
「な、な!!」
キングダムウルフは炎を鎮めると黄金の美しい毛並みに戻りリアを背中に乗せた。
「ユリウス、それじゃあ私は帰るわね。生きていたらまたどこかで会うかもね、ではお元気で」
と、リアは笑顔で手を振った。そして炎と共に消えた。
ユリウスはしばらく動けずに茫然としていた。
「これは驚きましたね。あなたの元婚約者はあのキングダムウルフの使い手でしたか。我々ではとても敵いませんでしたよ。帰って頂いてよかった」
そこには広間の陰からひょっこりとロイズとオードスルスの要人が現れた。
「君たち…」
「宴をするお約束でしたな」
「ええ、そうです…」
ユリウスは震える手足を必死に立たせようとした。
「ああ、それどころではない?我々も気が付いていましたよ。あなたのその能力…美しかった容姿は今では影を潜め、お会いする度に別人のようになられていた。最初はご病気なのかとも思いましたがね」
「あなたのおかげで国を守る事が出来た。お礼はしますよ」
ロイズとオードスルスの要人たちは優し気にユリウスに近づいた。
「な、なにを…」
「もうその能力は使わない方がいいでしょう」
ロイズとオードスルスは協力して、意気消沈のユリウスに変わりアンバーを取り込んだ。結局「ブロンエクレトン」は幻の国となったのだった。
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