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第2章

頼れる大人たち

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「大丈夫だ、リリス。ジョセフは絶対に見つけ出すよ」

 父は国の騎士だ。王都の騎士は王都を守る為の騎士だ。王家を守る親衛隊だの近衛隊などがあるが、父はどちらかと言うと王都の住民を守る側だ。
 第1部隊 魔法や剣術や優れている部隊
 第2部隊 魔法が優れている部隊
 第3部隊 剣術が優れている部隊
 第4部隊 弓が優れている部隊
 第5部隊 腕力が自慢の部隊

 からあるが、キースは第5部隊の隊長らしい。怪力部隊だ。大柄な荒くれ者が多い部隊だと聞いている。そんななのでリリスは絶対に見学に来るなと言われている。そんな中で隊長とはキースは本当に怪力なのだなと思う。

 キースは金髪碧眼のイケメンだ。精霊は風と水だ。瞳もそんなに濃くない。リエは金髪で紫の瞳、周りには精霊が数体いる。契約は時ちゃんのみで他の精霊とは特にしていないようだ。でも7体の精霊はリエの周りを飛んでいる。

 そういえば、キシやセドも王都の騎士だよね。知っているかな今度聞いてみよう

『これ、ワシはどうなったのじゃ、父と母に会えたのじゃ早くわしを伐らんか』

 キースとリエにレイジュ様の事を話す。伐らねば世界樹が腐り魔素が増えこの世界の魔素濃度が上がり魔獣がますます増えてスタンピードが起こること、そして世界樹が無くなってしまうことも。

 だから、私が伐ろうと思う。そう言うと

 キースとリエはそんな事を勝手にしてよいのか判断できないと言う。

 バルも知っているし、手紙を送っている。返事が来たら伐るよ。

 しかし、父も母も納得しない。国家レベルの問題だと言う。

 きっと昔もそうだったのだろう。先延ばしになってレイジュ様は一人残された。本人が伐られたいと言っているのだから伐ればいいのだ。どうせ今はリエかリリスしか来られない。

 温泉は世界樹がある限り湧いているとのことだ。レイジュ様がいなくなるのは寂しいが世界樹が枯れる方が問題なのでは?と言うがやはり父と母は納得しない。娘がなにかの罪になるかもしれないと思っているようだ。

 レイジュ様にはもうちょっと待ってもらってバルの返事を待つ。

 次の日にバルからメール便が届いた。
「少し待て」

 それから数ヶ月以上も音沙汰なしであった。どこが少しなのだ。

 レイジュ様にはまだ夏になったばかりだと、抑えている。

 夏が過ぎ、秋になる頃。

「リリス、成人のお祝いをしよう」
 また成人のお祝いをしようとキースが言う。春にもラベンダー色のドレスを身に纏い成人のお祝いをしてもらった。その時に滑らかな高価なチェーンを新しく作り直したスズカとともに首にかけてもらった。

「無くさないように」と、10年越しの習わしだ。

 そして秋になってまたお祝いをすると言う。なぜかと聞くと、
「リリスは秋が誕生日だと思っていたんだろう。だからお祝いをしよう」
と言ってくれた。

 キースは何かにつけてお祝いをしようと言っては、その度に色々と買ってくる。可愛い娘に14年分のプレゼントをしたいようだ。

 春は豪勢にお祝いをしてもらったが今回は邸の料理人に少し豪華な食事を用意してもらって立食パーティー形式で食事をすることにした。ルキやキキも招待をして楽しんでもらう。バルも招待をしたが来なかった。

 今日のリリスはラズベリー色のドレスを身に纏っている。アップにしてドレスと同じ色の大きなリボンをしている。すいぶんと甘やかせている。

 その光景にキキもルキも安心する。

「すいぶん変わったわね。ロゼ…リリスは」
ルキは赤い髪、瞳をしている勝気な女の子だ。
「ロゼの頃はなんとなく、投げやりな感じがしてたわ。自分の人生なんてどうでもいいって」
「確かに、そんな感じ」
「今はご両親に囲まれて本当に幸せそう」
キキはハンカチで目を拭う
「やだ、親戚のおばさん見たい」
「弟子だもの!」
「お父さんに報告しよう。今のロゼを見たらびっくりするわね。後、私と一緒に王都に来てるカヤも紹介しよう。今度結婚するんだけど、そのだんなになる人は元冒険者だって言ってたからロゼと知り合いかもしれないわ。ふふっヤキモチ焼くかしら、カヤったらロゼに告白までしたんだから」
面白そうに笑うルキ

「あ~あんまり言うと可哀そうよ。けっこうロゼにお熱だった子はいるんだから、あの無頓着がたまらなぁ~いとか言って。でも女性の恰好をしたロゼも素敵って熱が再燃してたわよ。私が作った裾の広いパンツルックにしたスカートがあったでしょ?」
「ああ、ロゼがガウチョパンツって言ってた奴ね」
「ガウチョパンツ?そうなの?まぁそれね、私が作ったのにロゼが着たらカッコいいってなって冬の間注文が殺到したのよ!私は服屋じゃないっての!私は何年も着てたのに誰からも注目されなかったわ!」
「ああ…」
 ルキは気の毒そうにキキを見る。キキは小柄でとても54歳には見えない濃い青の瞳を持っている可愛らしい顔つきの女性だ。でも憧れる感じではない。

「その権利?っていうのなんか服屋が売ってくれって言うから売ったわ。いい値段で買ってもらえてよかったわ」
「春にガウチョパンツって売られていたわね。こっちではまだないだろうから多めに買ってきたもの」
「冬は大変だったわ。色んな人からスカートをパンツにしてくれって言われて。だから私は錬金術師だっての!」
「ふふっロゼさまさまじゃない」

 両親がなかなかリリスを離したがらず、少し食事をして解放してくれた。やっと話が出来るとリリスは2人の方に近寄った。
「ルキ、久しぶり。こっちで店をオープンしたんだって?」
「そうよ。忙しかったわ」
「なんか食器屋なんでしょ?私、食器好きなんだよね~お母さんも見たいって。今度遊び行くね」
リリスは少女らしくにっこりと笑う。
「あら、ロ、リリスは食器なんて興味があったの?」
「好きだよ。でもボロのギルドアパートにキレイな食器を置くなんて変だし。王都に来てから揃えようと思っていたんだぁフフ」
前世から好きである

「…いつでも来て、私と共同経営者のカヤも紹介するわ」
「ああ、おの醤油の店!忘れてた。王都に来たら醤油を1番に買おうと思ってたんだった」
 なんだか涙が出ちゃう、とルキはイージュレンの事を思い出していた。
「えっなに、どうしたの?」
「ロゼが楽しいそうだから、嬉しくて」
キキのようにハンカチで目を拭う
「…いつでも楽しかったよ。レオンやムカイにも世話になったし学校を卒業出来たら遊びに行ってもいいかもな」
 本当はいつでも行けるけど
「ダメよ。ロゼって言うと言葉が戻ってるわ。ちゃんとリリスに統一しないと」
「あら、本当だ。気を付けるわ」
「…どっちでもいいよ」

 キースとリエも加わり楽しい夜の宴に花が咲く。
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