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第2章
ピクニック
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闇の日、邸の前には馬車が用意されていた。
今は夏という事もあり、今日のリリスは水色のブラウスと白いふわりとしたスカートだ。メイドから髪を結ってもらうときには、大きな水色のリボンを付けられた。似合わないと言うリリスに母リエは「とても可愛い、似合っている」と笑い掛ける。
どうしよう転移したいんだけど
「お、お母さん、あの転移して行きたいんだけど」
半年ほど一緒にいるが「お母さん」とまだ言い慣れない。2・3ヶ月はあの~とかあ~など誤魔化していた。父も母もなにも言わなかったが、初めて「お母さん」と呼んだ日は泣かれてしまった。
「まぁそうなのね。いいのよ馬車なんてキャンセルすればいいんだから」
馬車は借馬車だ。ユロランの頃のようなボロではなく、黒の光沢の貴族用馬車だ。庶民がかりてもいいのかい?
「ごめんなさい。先に言えばよかったね」
「まぁいいのよ。じゃあ本当に3人なのね。どこかしら楽しみ。一人で大丈夫?」
魔力の事を言っているようだ
一同は貴族用の転移専用の場所まで転移する。そしてスズカを見せた後、王都の外の目的地まで転移する。
「じゃあお願いね」
「うん」
2人を連れて転移した。
場所はレイジュ様の泉
レイジュ様の神木である世界樹は葉を青々と茂らせ、白かった幹はリリスの魔力でハリを取り戻しつつある。最近は魔力を移すのをやめているがそれでも、青々とした世界樹は魔素を薄め、今では広範囲で魔素が薄くなっている。しかし、それも危険な兆候だとレイジュ様は言う。あまり泉の近くだけ魔素を薄めると今度は魔獣が街の方に向かってしまうそうなのだ。
一気に魔素を薄めるためにはやはり、若い木が必要で古木は伐らねばならない。
2人は、予想外のことで固まっている。
「えっと…ここは、え~精霊たちに教えてもらった場所なの。お湯に浸かりたいって言ったらお湯が出ている泉があるよって」
バルの時とは違い正直に話す。
キースとリエは周りを見渡している。
さすがにこんな森深く人里離れているような場所に連れて来られるとは思っていなかったようだ。
キースは精霊が見えていない。見えているのはリエだけだ。そのリエさえも意思疎通は出来ない。精霊におしえてもらったと言うリリスの事を信じるしかないのだがなんとも不思議な場所だと思わずにはいられない。
ここの主、レイジュ様がすっと、世界樹の根っこに現れた。
「あっお父さん、お母さんあそこの根っこの所にいるのが、世界樹の精霊のレイジュ様よ。なんか精霊王ヒース様とも呼ばれているらしいよ」
両親に紹介をする。
「レイジュ様、私の父キースと母リエです」
『おぉそうか。よろしゅうな。ではそろそろかな』
伐られることかな
リエはさすがにびっくりしていた。
「まぁすごいまぁまぁ、わ、わたくしはリリスの母でございます。ニールヴァンス王国の元王女ジュリエットです。今は廃してリエと名乗っております。どうぞ、お見知りおきを」
美しいカーテシーをする。
さすが元王女美しい所作である。リリスに至ってはリエのそばでぼけっと立っているだけである。
それを見たキースも片足を付き、真っ直ぐにどこかを見ながら挨拶をする。
「私はリリスの父キースであります。ルクセルボルン大国の第5部隊、隊長を務めております」
『気楽にせい、ふぉふぉふぉふぉ』
「お父さんどこ向いてるの?」
キースはやや変な方向を向いている。
「え?いや、俺は全然見えていない。でも精霊王様がいらっしゃるんだろう?」
え?見えてない?レイジュ様はみんな見えるんじゃないの?
『まぁそうじゃろうて、魔力の多いもんしか目には見えん』
お父さんは魔力が少ないのね…
「キースは王族ではないのよリリス。王族の家系は魔力が多いのよ。だからジュリエッタが大国のルクセルボルン王国に嫁ぐことが出来たの」
魔力が多いもの同士掛け合わせるのね
「リリス、俺は普通なんだ。リエやリリスがモンスターなんだよ」
「あらっモンスターなんてひどいんじゃない!」
「あはは、ごめんごめん」
なんかイチャ付いている。なるほど、王族の血が魔力を多くしているのか。
あれ?転生チートどこ行った?
「レイジュ様お母さんの魔力って樽何杯なの?」
『ん?そうじゃのう…樽3杯かの』
「私と同じくらい!」
いずれなる魔力量
あれ?全然チートじゃない。ただの遺伝だ。
「樽ってなあに?」
リエが聞いてくる。今までの会話や内容などを話て行く。そして、ここに来た経緯や生まれ育った事や出来事、今までは大きな邸で執事さんやメイドさんたちがいた所では話せなかった。今はレイジュ様しかいない。すべて話すことが出来た。
辛かった事、精霊たちが居てくれた事、どうやって逃げ出したか、イージュレンでの出来事など、キースとリエは泣いたり笑ったりして聞いてくれた。
「よく頑張ったわね」
「えらいぞ」
父と母は褒めてくれた。
今は指名手配中だというジョセフの事も話した。その事はキキが王都に来た時に父と母には報告をしていたようだ。
キースとリエは、リリスを育ててくれたことに対してジョセフにお礼が言いたかった。罪を犯すほど生活が苦しいのだとしたら支援するつもりでもあったようだが、リリスの話を聞いてそんな思いもなくなった。
そういえば指名手配とは聞いていたが詳しい事は聞いてない。なんの罪だろう?
「そのジョセフはギルドのアパートの女性を騙してお金を持って逃げたと聞いたわ。そして、王都に向かった事ことまでは聞いているわね」
キキから詳しい罪状を伝えられていたリエが教えてくれた。キキはリリスには未成年の女の子には刺激が強かろうと両親に伝えるかの判断を任せた。
ギルドのアパートの女性ってアミしかいなかったよね?あいつあんないい子を騙したのか!なんて奴!
アミとは会った時に立ち話をするぐらいの仲だったが、明るくて頑張り屋のいい子だった。そんな子が置いて行かれて今度は騙されるなんて!でもジョセフの魔石代が3分の1入っているはずだ。お金に関してはよかったが、大金が入ってまた騙されなければいいけど
今は夏という事もあり、今日のリリスは水色のブラウスと白いふわりとしたスカートだ。メイドから髪を結ってもらうときには、大きな水色のリボンを付けられた。似合わないと言うリリスに母リエは「とても可愛い、似合っている」と笑い掛ける。
どうしよう転移したいんだけど
「お、お母さん、あの転移して行きたいんだけど」
半年ほど一緒にいるが「お母さん」とまだ言い慣れない。2・3ヶ月はあの~とかあ~など誤魔化していた。父も母もなにも言わなかったが、初めて「お母さん」と呼んだ日は泣かれてしまった。
「まぁそうなのね。いいのよ馬車なんてキャンセルすればいいんだから」
馬車は借馬車だ。ユロランの頃のようなボロではなく、黒の光沢の貴族用馬車だ。庶民がかりてもいいのかい?
「ごめんなさい。先に言えばよかったね」
「まぁいいのよ。じゃあ本当に3人なのね。どこかしら楽しみ。一人で大丈夫?」
魔力の事を言っているようだ
一同は貴族用の転移専用の場所まで転移する。そしてスズカを見せた後、王都の外の目的地まで転移する。
「じゃあお願いね」
「うん」
2人を連れて転移した。
場所はレイジュ様の泉
レイジュ様の神木である世界樹は葉を青々と茂らせ、白かった幹はリリスの魔力でハリを取り戻しつつある。最近は魔力を移すのをやめているがそれでも、青々とした世界樹は魔素を薄め、今では広範囲で魔素が薄くなっている。しかし、それも危険な兆候だとレイジュ様は言う。あまり泉の近くだけ魔素を薄めると今度は魔獣が街の方に向かってしまうそうなのだ。
一気に魔素を薄めるためにはやはり、若い木が必要で古木は伐らねばならない。
2人は、予想外のことで固まっている。
「えっと…ここは、え~精霊たちに教えてもらった場所なの。お湯に浸かりたいって言ったらお湯が出ている泉があるよって」
バルの時とは違い正直に話す。
キースとリエは周りを見渡している。
さすがにこんな森深く人里離れているような場所に連れて来られるとは思っていなかったようだ。
キースは精霊が見えていない。見えているのはリエだけだ。そのリエさえも意思疎通は出来ない。精霊におしえてもらったと言うリリスの事を信じるしかないのだがなんとも不思議な場所だと思わずにはいられない。
ここの主、レイジュ様がすっと、世界樹の根っこに現れた。
「あっお父さん、お母さんあそこの根っこの所にいるのが、世界樹の精霊のレイジュ様よ。なんか精霊王ヒース様とも呼ばれているらしいよ」
両親に紹介をする。
「レイジュ様、私の父キースと母リエです」
『おぉそうか。よろしゅうな。ではそろそろかな』
伐られることかな
リエはさすがにびっくりしていた。
「まぁすごいまぁまぁ、わ、わたくしはリリスの母でございます。ニールヴァンス王国の元王女ジュリエットです。今は廃してリエと名乗っております。どうぞ、お見知りおきを」
美しいカーテシーをする。
さすが元王女美しい所作である。リリスに至ってはリエのそばでぼけっと立っているだけである。
それを見たキースも片足を付き、真っ直ぐにどこかを見ながら挨拶をする。
「私はリリスの父キースであります。ルクセルボルン大国の第5部隊、隊長を務めております」
『気楽にせい、ふぉふぉふぉふぉ』
「お父さんどこ向いてるの?」
キースはやや変な方向を向いている。
「え?いや、俺は全然見えていない。でも精霊王様がいらっしゃるんだろう?」
え?見えてない?レイジュ様はみんな見えるんじゃないの?
『まぁそうじゃろうて、魔力の多いもんしか目には見えん』
お父さんは魔力が少ないのね…
「キースは王族ではないのよリリス。王族の家系は魔力が多いのよ。だからジュリエッタが大国のルクセルボルン王国に嫁ぐことが出来たの」
魔力が多いもの同士掛け合わせるのね
「リリス、俺は普通なんだ。リエやリリスがモンスターなんだよ」
「あらっモンスターなんてひどいんじゃない!」
「あはは、ごめんごめん」
なんかイチャ付いている。なるほど、王族の血が魔力を多くしているのか。
あれ?転生チートどこ行った?
「レイジュ様お母さんの魔力って樽何杯なの?」
『ん?そうじゃのう…樽3杯かの』
「私と同じくらい!」
いずれなる魔力量
あれ?全然チートじゃない。ただの遺伝だ。
「樽ってなあに?」
リエが聞いてくる。今までの会話や内容などを話て行く。そして、ここに来た経緯や生まれ育った事や出来事、今までは大きな邸で執事さんやメイドさんたちがいた所では話せなかった。今はレイジュ様しかいない。すべて話すことが出来た。
辛かった事、精霊たちが居てくれた事、どうやって逃げ出したか、イージュレンでの出来事など、キースとリエは泣いたり笑ったりして聞いてくれた。
「よく頑張ったわね」
「えらいぞ」
父と母は褒めてくれた。
今は指名手配中だというジョセフの事も話した。その事はキキが王都に来た時に父と母には報告をしていたようだ。
キースとリエは、リリスを育ててくれたことに対してジョセフにお礼が言いたかった。罪を犯すほど生活が苦しいのだとしたら支援するつもりでもあったようだが、リリスの話を聞いてそんな思いもなくなった。
そういえば指名手配とは聞いていたが詳しい事は聞いてない。なんの罪だろう?
「そのジョセフはギルドのアパートの女性を騙してお金を持って逃げたと聞いたわ。そして、王都に向かった事ことまでは聞いているわね」
キキから詳しい罪状を伝えられていたリエが教えてくれた。キキはリリスには未成年の女の子には刺激が強かろうと両親に伝えるかの判断を任せた。
ギルドのアパートの女性ってアミしかいなかったよね?あいつあんないい子を騙したのか!なんて奴!
アミとは会った時に立ち話をするぐらいの仲だったが、明るくて頑張り屋のいい子だった。そんな子が置いて行かれて今度は騙されるなんて!でもジョセフの魔石代が3分の1入っているはずだ。お金に関してはよかったが、大金が入ってまた騙されなければいいけど
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