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第2章

相談

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 秋も夜になると少し冷え暖炉に火が灯る。ルキは明日早いからと帰って行った。残った4人で暖炉の近くに座り談笑している。

「キキに相談があるんだった。素材なんだけどどうしょうかって。イージュレンのエトに薬草園を広げてもらって王都まで配達するのはどうかって思うんだけど」
「薬草園はいいとして配達は2ヶ月掛れば薬草も新鮮ではなくなるわ。王都で買った方が新鮮よ」
「王都の薬草はどうなっているの?誰か作ってるの?」
「新鮮な物がほしければ、若い冒険者が結界の近くで詰んでくるだけよ。でもどんなに早くても2日は掛るわ。後は、乾燥させた物を農家から仕入れているわね。森に近い農家が結界魔石を自腹で購入してエトと同じように育てているけど、王都まではやっぱり時間が掛るから」
「あ~イージュレンの領主が持っていた。マジックバックって作れないの?劣化しない奴」
「あんなのおとぎ話級よ。そんな簡単に出来ないわ」
「キキなら作れる?」
「え?素材があれば挑戦したいわね…」
「時の精霊と契約してなくても作れるの?なにがいるの?」
「…まず魔石、大きな紫の魔石よ。時の精霊と契約してる者にしか作れないわ。リエやリリスは時の精霊と契約していると思うけど、でもダメ。魔石に魔力を落とすのに何年も掛るわ。少しずつ魔石に落とさないとその人が死んじゃう。だからマジックバックを作るのは10年単位よ。しかも大きな容量なら尚更ムリよ。それに早く魔力を込めないと魔力が消滅しちゃうし、はっきり言って今ある物もどうやって作ったかも想像したくないわ。だからその方法は諦めて」
「…」
 なんかいい物があるな

リリスは自身の収納から取り出しコロンとキキの前に転がした。
「これはどう?」
「…」
キキはサッと拾い、なにかのレンズでそれを見る
「こ、これ…」
キキは真っ青である。
「ロゼ!これどこで手に入れたの!こんな濃い紫の魔石!魔獣の魔石ではないでしょ?紫の魔獣なんてしらないし。これに魔力を落とした人は生きてるの!?」
キキはリリスに詰め寄る。

「大丈夫みたい。お母さんの故郷で生きてるみたいよ」
母の国、なんだっけ?ニールヴォン…?ニールヴァンス王国
「その紫の魔石はまさか…」
リエは息を吞む。

「えっと、誰だっけ?お母さんのお姉さん?ジュリエ…」トではなく…
 
「ジュリエッタ」
リエは真っ青だ。キースはリエを抱き寄せる。
「そうそう。その人の魔力…」
 おや?
みんなが紫の魔石を凝視している。

 あれ?見せてはいけない奴だった?バルが持ってろって言ってたけど早く処分してほしいんだけど。こんなの持っていたくない。

「ど、どどどどうやって手に入れたの?」
 バルみたいになってる
「えっと…」
青くなっているキースとリエを見る。2人の目が真剣だ。

 しまったな。そんなにいやな存在なんだな。そりゃそっか、子供を誘拐されたんだもんね。あの女の話をして辛さが蘇るかも、自分から言い出したんだけど。あ~キキと2人の時に言えばよかった。
 でもキキが知っていて両親が知らないとかは避けたい。

 リリスは当事者だが、攫われた先が…産まれた先が…の違いしかないのであまりつらさが身に染みていない。ジュリエッタに関してもあまり関わっていないせいか割とどうでもよく、まったくもって興味がない存在なのだ。キースとリエに至っては、トラウマだろう。耳にも入れたくないほどの存在なのかもしれない。
 

「リリス、いいの。おしえて。私たちのことは気にしないで」
キキはハッとなる。
「ごめんなさい。私ったら…」
「いえ、きちんと聞きたいわ。おしえてリリス」
リエがリリスを抱きしめる。

 リリスはおよそ1年前の集落で合った出来事を話す。まだ去年の秋の出来事だ。大まかな事は伝えていたが細かくは言ってない。魔力を奪ったなんてもちろん言ってない。

 詳細はジュリエッタが母だと思って会ったが、なんだか襲ってきそうだったので時を止めたのだ。母ではないと知り、事情がわかるまで逃がさない為に魔力を奪ったのだった。後で必要なら返そうと思っていたのだ。

「え~と、母だと思って会ったのになんかそんな雰囲気ではなくて攻撃されそうだったからその時に魔力を奪ったの…だってなんか怖かったから…」
 時を止めれることは誰にも言っていない。この国ではそんな発想がないので言うと混乱しそうだ。なので、なんとなくぼかす。こういう時は子共に戻るに限る。成人してるけど…、でも怖かったのは本当だ。

「わかるわ。怖かったのよね。いいの。いいのよ。ジュリエッタにはいいの」
抱きしめてくれる母。母はリリスのことをなんでも肯定してくれる。

「リリスは他人の魔力を奪えることが出来るのね。そっちの方が大問題なんだけど…そんなこと他の人に言ったり、魔力を奪ったりしてないでしょうね?」
キキは大きな力を持つリリスが心配になる。両親は過保護だし。

「そんなことは言わないし、やらないよ。あれは緊急事態!」
 中身がおばさんなのだ、怒りに任せて人に苦しみを味合わせるなどしないし、その力を誰かに自慢したいとかもない。若い時ならば私だってそれなりに自慢したくて、うずうずしただろうけどね。キキは中身が自分と同世代だと知らないから心配だよね。15歳の力がある子供が野放し状態なのだ。そりゃ心配だ。

「私は魔力が多すぎて身体がつらかったの。だから魔石に魔力を入れてたのよ。そうこうしてたら奪うことも出来た…」
 色々と端追って、辻褄が合わないことを言っているのはわかっている。しかしキキにはまだレイジュ様のことを言ってない。

「ん~もういいわ。リリスに関しては私には手に負えそうもないわ。キースとリエにまかせる。でも決して他の人にはしてはダメよ。それよりこれは…」
 匙を投げられてしまった…
「バルにさ…あっ今の公爵?あの人に渡そうとしたんだけどロゼが持ってろって言うんだよ。私だって持っていたくはないしさぁ。早く処分したいんだよね」

「処分って…」キキは頭を抱える。
公爵ってああ、ロゼ、リリスの叔父って言っていた停留所で見たあの童顔の人…
「そ、その公爵様に連絡は出来る?これを使っていいのか」
「手紙を書いとく」
どうしてロ、リリスは事も無げに…公爵様をそんな適当に…
またキキは頭を抱える。

 紫の魔石はキキ預かりとなった。やっとなんとなく触りたくない魔石がリリスの収納から消えてくれた。助かった。


 しばらくすると、バルからメール便が届きいた。
「使ってよし」

 キキに証拠としてメール便を見せる。

 バルよ、レイジュ様の件はどうなった。

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