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第3章
罪な女
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バルは、今までリアンのお付きを進んで行っていたが、今はもう国王でもない、いち公爵、同じ立場の貴族、本来ならばお付きをする必要もなかった。元陛下というお立場ゆえ世話をしていたがリリスへの行為を目の当たりにしたバルは目が覚めた。
リアンに付いていた影も今ではソロモンに付いている。バルはリアンの様子をメイドから確認する。身体を壊しベッドで生活をしているとの事。国をまとめ上げ、退位して気が緩んだのだろうとされているらしい。息子たちには心配をかけるので黙っているようにとも言われているようだ。バルはメイドに頼み面会を望んだ。
「お久しぶりです、リアン様。体調はいかがですか?」
「白々しい事を言う。誰のせいでこうなったというのだ?」
「リアン様、ご自身かと」
「…言うではないか、リリス嬢に言ってくれないか。精霊を戻すようにと」
「リアン様の精霊が離れたことにより、魔法が解け、セリア様や他の貴族も正常に戻りました。ドリフェス家の嫌がらせも無くなったと言われます」
「可笑しなことを、私が命令したことなどない」
「癒の精霊は、主人の思惑を感じ行動を起こすようです。そのように持って行かれたのでは?」
「…知らんな」
「私とリリスは近く結婚します。そして、国を出ます。もうリアン様とお会いする事もないかと思われます」
「…はあ、やはりか、罪な女よ。で、私の精霊はどうするのだ?」
「元国王様に危害を加えたものをそのままにするわけはないと分かっています。我々が国を出るまで辛抱して頂くことになります」
「別に今ここで拘束するようにと命じても良いのだ。でもしていないだろう?」
「精霊が戻れば、そう命令するでしょう」
「そんな卑怯な事はしない」
「信用出来ません」
「むっ言うようになったな、バルよ」
「守るべきモノが決まりましたので」
「女を癒の精霊で惚れさせようとした元国王がいまさらなにを言っても信用出来ないのは承知している。精霊さえ、戻してもらえたら今後はなにもしないと誓おう。国を出る事もない」
「私はもうお人好しではありません。言葉だけでは信用しません」
「国王を退位した後は静かに暮らすと息子たちには伝えた、そして本当に静かになった。今までは頭が割れそうなほど忙しい日々であったというのに、心にポカンと穴が開いたようであった」
「お察しします」
「あの娘ならば、開いた穴を埋めてくれるような気がした。しかし、娘からは私の心がそこにはないと言われたよ。ひどいと思わないかい?半年も私は誠意を見せていたのに」
「魅了ポーションを使っていたとか…」
「あれは、失敗作だ」
「効けばよいと使ったのでしょう?ジュリエッタと同じです。でもリリスはあなたの過去の功績を無下には出来ないと、セリア様に気にかけてほしいと声を掛けました。あなたにひどい事をされたのに…リリスには効かなかっただけであなたのした事は未遂に過ぎず、未遂は罪にはなりませんか?私はあなたを許せません」
バルは力強くリアンに物申す。リアンはバルに睨まれ項垂れる。もう国王のオーラなど微塵も感じられない。
「…印を結ぼう」
リアンはバルの説得を諦めたのか、ようやく自分から印を結ぶ事を約束した。バルはリアンに高圧的に強制するのではなく納得した上で印を結ぶ事を約束させたかった。
▽
リリスはリアンの精霊の縛りを解く。
『なぜ、こんなことをするの?ひどいよ!』
縛りから解かれた精霊たちは意識を取り戻し、リリスに抗議した。
「それは、本当にごめんなさい。リアンの所に戻っていいから、ちょっとだけお願いを聞いて?」
『なぜ、私たちがあなたの言うことを聞くの?』
「また縛るわよ」
リリスは精霊たちを睨み付け魔力をうねらす。
『ひっ、な、なによ。わかったよ』
「もう、癒で人を誘導しないで。それだけよ」
『それだけでいいの?わかった!』
精霊たちは、ぴゅっと消え去った。リアンの所に戻ったようだ。魔力はそのままだが、そのうち戻るだろう。
バルはリアンと印を結んだという。精霊を返す変わりに今後、バル、リリス、リエ、キースやロイス家、リリスに関わる人たちを罪に問うような事、関わりを持つ事をしないと約束をさせた。
一刻も早く国を出なければならない状況でもなくなった。しかし、リエはそもそも心の準備が出来ていたようで旅を心待ちにしているようでもあった。家族と旅に出てゆっくりとこの世界を見て周るのも楽しいかもしれない。
緊急でもなくなったので時間を掛けて旅の準備をするのもいいだろう。カフェ「リリス」の従業員の事もある。仲良くなった人たちとのお別れもきちんとしたかった。
リアンに付いていた影も今ではソロモンに付いている。バルはリアンの様子をメイドから確認する。身体を壊しベッドで生活をしているとの事。国をまとめ上げ、退位して気が緩んだのだろうとされているらしい。息子たちには心配をかけるので黙っているようにとも言われているようだ。バルはメイドに頼み面会を望んだ。
「お久しぶりです、リアン様。体調はいかがですか?」
「白々しい事を言う。誰のせいでこうなったというのだ?」
「リアン様、ご自身かと」
「…言うではないか、リリス嬢に言ってくれないか。精霊を戻すようにと」
「リアン様の精霊が離れたことにより、魔法が解け、セリア様や他の貴族も正常に戻りました。ドリフェス家の嫌がらせも無くなったと言われます」
「可笑しなことを、私が命令したことなどない」
「癒の精霊は、主人の思惑を感じ行動を起こすようです。そのように持って行かれたのでは?」
「…知らんな」
「私とリリスは近く結婚します。そして、国を出ます。もうリアン様とお会いする事もないかと思われます」
「…はあ、やはりか、罪な女よ。で、私の精霊はどうするのだ?」
「元国王様に危害を加えたものをそのままにするわけはないと分かっています。我々が国を出るまで辛抱して頂くことになります」
「別に今ここで拘束するようにと命じても良いのだ。でもしていないだろう?」
「精霊が戻れば、そう命令するでしょう」
「そんな卑怯な事はしない」
「信用出来ません」
「むっ言うようになったな、バルよ」
「守るべきモノが決まりましたので」
「女を癒の精霊で惚れさせようとした元国王がいまさらなにを言っても信用出来ないのは承知している。精霊さえ、戻してもらえたら今後はなにもしないと誓おう。国を出る事もない」
「私はもうお人好しではありません。言葉だけでは信用しません」
「国王を退位した後は静かに暮らすと息子たちには伝えた、そして本当に静かになった。今までは頭が割れそうなほど忙しい日々であったというのに、心にポカンと穴が開いたようであった」
「お察しします」
「あの娘ならば、開いた穴を埋めてくれるような気がした。しかし、娘からは私の心がそこにはないと言われたよ。ひどいと思わないかい?半年も私は誠意を見せていたのに」
「魅了ポーションを使っていたとか…」
「あれは、失敗作だ」
「効けばよいと使ったのでしょう?ジュリエッタと同じです。でもリリスはあなたの過去の功績を無下には出来ないと、セリア様に気にかけてほしいと声を掛けました。あなたにひどい事をされたのに…リリスには効かなかっただけであなたのした事は未遂に過ぎず、未遂は罪にはなりませんか?私はあなたを許せません」
バルは力強くリアンに物申す。リアンはバルに睨まれ項垂れる。もう国王のオーラなど微塵も感じられない。
「…印を結ぼう」
リアンはバルの説得を諦めたのか、ようやく自分から印を結ぶ事を約束した。バルはリアンに高圧的に強制するのではなく納得した上で印を結ぶ事を約束させたかった。
▽
リリスはリアンの精霊の縛りを解く。
『なぜ、こんなことをするの?ひどいよ!』
縛りから解かれた精霊たちは意識を取り戻し、リリスに抗議した。
「それは、本当にごめんなさい。リアンの所に戻っていいから、ちょっとだけお願いを聞いて?」
『なぜ、私たちがあなたの言うことを聞くの?』
「また縛るわよ」
リリスは精霊たちを睨み付け魔力をうねらす。
『ひっ、な、なによ。わかったよ』
「もう、癒で人を誘導しないで。それだけよ」
『それだけでいいの?わかった!』
精霊たちは、ぴゅっと消え去った。リアンの所に戻ったようだ。魔力はそのままだが、そのうち戻るだろう。
バルはリアンと印を結んだという。精霊を返す変わりに今後、バル、リリス、リエ、キースやロイス家、リリスに関わる人たちを罪に問うような事、関わりを持つ事をしないと約束をさせた。
一刻も早く国を出なければならない状況でもなくなった。しかし、リエはそもそも心の準備が出来ていたようで旅を心待ちにしているようでもあった。家族と旅に出てゆっくりとこの世界を見て周るのも楽しいかもしれない。
緊急でもなくなったので時間を掛けて旅の準備をするのもいいだろう。カフェ「リリス」の従業員の事もある。仲良くなった人たちとのお別れもきちんとしたかった。
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