3 / 4
3
しおりを挟む
「洸太!」
高校2年1学期の始業式。部活が無いためそのまま帰ろうと校舎を出ると、後ろから声がかかる。
「今帰り?」
一緒に帰ろう、と言う彼の笑顔が眩しく輝く。
部活で交流はあったが、ただのチームメイトという関係だった。
「クラス同じだね」
「うん、よろしく」
「よろしく」
2人で帰るのは初めてだし、悪くはないが特別仲が良い訳ではなかったこともあり、気まずくなってしまうことを心配した。しかし会話は途切れることなく心地よいテンポで続いた。
「うちここだから」
チームメイトの話、新しい担任の噂話、散歩中の犬の話。そんなことを話しているうちに家の前までやって来てしまった。
そういえば、彼の家は何処だろう。まさか逆方向なんてことはないよな?
急に不安になり尋ねると、電車に乗るのだと言う。
「駅に行くんじゃさっきの大通りで曲がらなきゃ!」
「こっちからでも行ける」
「でも遠回りだよ」
「そんなに変わらない。洸太と少しでも長く話したかったんだ」
なんだか照れくさくなる。自分だけではなく、優輝も楽しいと感じてくれていたんだ。
「なにそれ。でも楽しかった」
「うん、また明日」
翌朝、家から出ると優輝の姿があった。確か昨日、朝は何時に家を出るか聞かれた気がするがまさか待っているとは。
それから一緒に登下校することが増えた。毎日くだらない話をして、たまに休みの日に出かけたりもした。
それでも足りず、何かある度に交わすメッセージを眺め、これじゃあまるで恋人だな、なんて考える。
仲の良い友人ではなく、恋人。何故そんな思考になったかなんて簡単だ。俺は優輝のことが、そういう意味で好きになっていた。
◇
「もうかかって来ないかと思いました」
数日後、電話をかけると寂しそうな声が聞こえてきた。優輝の方からかけてきても良いと伝えると、それは不可能だと返ってくる。
「一応番号控えておいたけど、俺からは発信できないみたいで…光さんからかかってきて安心しました」
彼はようやくスマホに替えたそうだ。周りがみんなスマホを持っているのにまだ使えるからという理由で結構粘ったのだ。
番号は変えていないが、電話がかかってきたのはガラケーのほうだったらしい。解約したのに繋がるのは不思議ですけど、という彼の言葉につい笑ってしまう。本当にそうだ。最初は驚いたが、今ではもう慣れてしまって当たり前のようになっていた。
それからも数日に一度、取り留めのない会話をした。優輝からは連絡頻度が低いと小言を言われたが、毎日かけるのは少し気が引けた。
高校2年1学期の始業式。部活が無いためそのまま帰ろうと校舎を出ると、後ろから声がかかる。
「今帰り?」
一緒に帰ろう、と言う彼の笑顔が眩しく輝く。
部活で交流はあったが、ただのチームメイトという関係だった。
「クラス同じだね」
「うん、よろしく」
「よろしく」
2人で帰るのは初めてだし、悪くはないが特別仲が良い訳ではなかったこともあり、気まずくなってしまうことを心配した。しかし会話は途切れることなく心地よいテンポで続いた。
「うちここだから」
チームメイトの話、新しい担任の噂話、散歩中の犬の話。そんなことを話しているうちに家の前までやって来てしまった。
そういえば、彼の家は何処だろう。まさか逆方向なんてことはないよな?
急に不安になり尋ねると、電車に乗るのだと言う。
「駅に行くんじゃさっきの大通りで曲がらなきゃ!」
「こっちからでも行ける」
「でも遠回りだよ」
「そんなに変わらない。洸太と少しでも長く話したかったんだ」
なんだか照れくさくなる。自分だけではなく、優輝も楽しいと感じてくれていたんだ。
「なにそれ。でも楽しかった」
「うん、また明日」
翌朝、家から出ると優輝の姿があった。確か昨日、朝は何時に家を出るか聞かれた気がするがまさか待っているとは。
それから一緒に登下校することが増えた。毎日くだらない話をして、たまに休みの日に出かけたりもした。
それでも足りず、何かある度に交わすメッセージを眺め、これじゃあまるで恋人だな、なんて考える。
仲の良い友人ではなく、恋人。何故そんな思考になったかなんて簡単だ。俺は優輝のことが、そういう意味で好きになっていた。
◇
「もうかかって来ないかと思いました」
数日後、電話をかけると寂しそうな声が聞こえてきた。優輝の方からかけてきても良いと伝えると、それは不可能だと返ってくる。
「一応番号控えておいたけど、俺からは発信できないみたいで…光さんからかかってきて安心しました」
彼はようやくスマホに替えたそうだ。周りがみんなスマホを持っているのにまだ使えるからという理由で結構粘ったのだ。
番号は変えていないが、電話がかかってきたのはガラケーのほうだったらしい。解約したのに繋がるのは不思議ですけど、という彼の言葉につい笑ってしまう。本当にそうだ。最初は驚いたが、今ではもう慣れてしまって当たり前のようになっていた。
それからも数日に一度、取り留めのない会話をした。優輝からは連絡頻度が低いと小言を言われたが、毎日かけるのは少し気が引けた。
0
あなたにおすすめの小説
君に望むは僕の弔辞
爺誤
BL
僕は生まれつき身体が弱かった。父の期待に応えられなかった僕は屋敷のなかで打ち捨てられて、早く死んでしまいたいばかりだった。姉の成人で賑わう屋敷のなか、鍵のかけられた部屋で悲しみに押しつぶされかけた僕は、迷い込んだ客人に外に出してもらった。そこで自分の可能性を知り、希望を抱いた……。
全9話
匂わせBL(エ◻︎なし)。死ネタ注意
表紙はあいえだ様!!
小説家になろうにも投稿
番に見つからない街で、子供を育てている
はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。
異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。
現世の記憶は失われているが、
この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。
街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、
ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。
だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。
再会は望まない。
今はただ、この子との生活を守りたい。
これは、番から逃げたオメガが、
選び直すまでの物語。
*不定期連載です。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
2度目の恋 ~忘れられない1度目の恋~
青ムギ
BL
「俺は、生涯お前しか愛さない。」
その言葉を言われたのが社会人2年目の春。
あの時は、確かに俺達には愛が存在していた。
だが、今はー
「仕事が忙しいから先に寝ててくれ。」
「今忙しいんだ。お前に構ってられない。」
冷たく突き放すような言葉ばかりを言って家を空ける日が多くなる。
貴方の視界に、俺は映らないー。
2人の記念日もずっと1人で祝っている。
あの人を想う一方通行の「愛」は苦しく、俺の心を蝕んでいく。
そんなある日、体の不調で病院を受診した際医者から余命宣告を受ける。
あの人の電話はいつも着信拒否。診断結果を伝えようにも伝えられない。
ーもういっそ秘密にしたまま、過ごそうかな。ー
※主人公が悲しい目にあいます。素敵な人に出会わせたいです。
表紙のイラストは、Picrew様の[君の世界メーカー]マサキ様からお借りしました。
王様の恋
うりぼう
BL
「惚れ薬は手に入るか?」
突然王に言われた一言。
王は惚れ薬を使ってでも手に入れたい人間がいるらしい。
ずっと王を見つめてきた幼馴染の側近と王の話。
※エセ王国
※エセファンタジー
※惚れ薬
※異世界トリップ表現が少しあります
オメガの復讐
riiko
BL
幸せな結婚式、二人のこれからを祝福するかのように参列者からは祝いの声。
しかしこの結婚式にはとてつもない野望が隠されていた。
とっても短いお話ですが、物語お楽しみいただけたら幸いです☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる