ザ・現代文学ジャンル(女性向け) 短編まとめ場所

透けてるブランディシュカ

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+10 手に入らない光は見ない

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 暗い穴の中から手を伸ばしている。

 けれど、光に触れられない。

 穴の外には、光があふれているのに。

 あたたかそうな光。
 まぶしそうな光。

 それはとても幸せで、とても楽しいものなのだろう。

 けれど、どうやってもそれには触れられない。

 だから、その光はとてもつまらないものなのだと、思い込む事にした。

 手にする事ができないのだから、無駄に羨んだって意味がない。

 今ある物で、満足するしかない。

 手に入らないものに、心を焦がす事ほど愚かな事はないのだから。

 だから私は目を閉じて、そんなものを見ないようにした。

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