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〇22 乙女ゲーム 手紙
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バリン!
しまった。
やってしまった。
怒りに任せてゲーム機を破壊してしまった。
いやだって、納得できるかあんなエンディング。
さっきまで部屋の中でベッドに転がりながら、だらだら乙女ゲームをプレイしてたんだけど、目が覚める思いだ。
エンディングがひどいのなんの。
攻略対象者達が勝手すぎる。
婚約者をあっさりとポイ捨てして、ぽっと出のヒロインになびくなんて、人としておかしいだろ!
くそっ、珍しくしつこく姉貴がすすめてきたゲームだからやってみたけど、胸糞じゃねーか。
なんでどいつもこいつも、彼女(婚約者)がいるのに、そう簡単に捨てられんだよ。
なんて文句を言ってきたら、当の姉貴が部屋に入ってきた。
「で、どうだった。感想聞かせて」
「ぜんぜんダメじゃねーか、このゲーム作った会社クソなんじゃねーのか?」
俺は延々と駄目だった点を姉貴に述べていった。
するとなぜか姉貴は「ふむふむ」とメモ。
何やってるんだ?
一通り愚痴り終えた俺は、姉貴の手元を覗き込む。
俺が言った事ほとんど書いてあるじゃん。
「合格!」
「は?」
「いやー、純情な弟君にプレイさせて良かったよ!しっかり感想くれたしね」
姉貴は、満面の笑顔で答えを述べた。
「実はこれ、試作品なんだよねー」
「なんっ」
「まだ開発中で、手詰まりだから誰か感想くれないかなって」
「んなっ」
「それで、女の子と付き合った事なさそうな弟君に、白羽の矢がたったわけ」
「おまっ」
わずか数秒の間に、公開される怒涛の情報。
俺は言葉をはさむどころか、ついて行くだけで精一杯だった。
ていうか、姉貴がそんなもん作ってるなんて聞いてねーっ。
俺も姉貴もまだ学生だろ!
「じゃあ、弟君はどうやって主人公ちゃんに告るのかな? どうやって元カノをふるわけかな?」
「い、いやそれはっだから」
「んんー?」
姉貴は余裕の表情でこちらをおちょくってくる。
それは、完全におもちゃを見つけた人間の目線だ。
「よし、純情が作った乙女ゲーとして売り出そう。コンセプトはどうて「やめろぉぉぉっ姉貴は俺を殺す気か」」
そうなったら、もはや恥ずかしさのバーゲンセールだ。
俺は必死の思いでメモを奪い取って、ビリビリやぶいた。
「あ、ちょっと何すんの!」
そして、部屋から退出。
もうやだこの姉。
ちょっと外で時間つぶしてこよう。
自分の部屋から出ていった弟の姿を見送った姉は、部屋のごみ箱に捨ててある手紙を見つけてつまみ上げた。
「恋文もらったなら、読まずに捨てるなっての。あんたモテるんだから、この先全部そうするつもり? さて、ゲーム部にいる彼女候補ちゃんにどうやって報告しよっかな」
しまった。
やってしまった。
怒りに任せてゲーム機を破壊してしまった。
いやだって、納得できるかあんなエンディング。
さっきまで部屋の中でベッドに転がりながら、だらだら乙女ゲームをプレイしてたんだけど、目が覚める思いだ。
エンディングがひどいのなんの。
攻略対象者達が勝手すぎる。
婚約者をあっさりとポイ捨てして、ぽっと出のヒロインになびくなんて、人としておかしいだろ!
くそっ、珍しくしつこく姉貴がすすめてきたゲームだからやってみたけど、胸糞じゃねーか。
なんでどいつもこいつも、彼女(婚約者)がいるのに、そう簡単に捨てられんだよ。
なんて文句を言ってきたら、当の姉貴が部屋に入ってきた。
「で、どうだった。感想聞かせて」
「ぜんぜんダメじゃねーか、このゲーム作った会社クソなんじゃねーのか?」
俺は延々と駄目だった点を姉貴に述べていった。
するとなぜか姉貴は「ふむふむ」とメモ。
何やってるんだ?
一通り愚痴り終えた俺は、姉貴の手元を覗き込む。
俺が言った事ほとんど書いてあるじゃん。
「合格!」
「は?」
「いやー、純情な弟君にプレイさせて良かったよ!しっかり感想くれたしね」
姉貴は、満面の笑顔で答えを述べた。
「実はこれ、試作品なんだよねー」
「なんっ」
「まだ開発中で、手詰まりだから誰か感想くれないかなって」
「んなっ」
「それで、女の子と付き合った事なさそうな弟君に、白羽の矢がたったわけ」
「おまっ」
わずか数秒の間に、公開される怒涛の情報。
俺は言葉をはさむどころか、ついて行くだけで精一杯だった。
ていうか、姉貴がそんなもん作ってるなんて聞いてねーっ。
俺も姉貴もまだ学生だろ!
「じゃあ、弟君はどうやって主人公ちゃんに告るのかな? どうやって元カノをふるわけかな?」
「い、いやそれはっだから」
「んんー?」
姉貴は余裕の表情でこちらをおちょくってくる。
それは、完全におもちゃを見つけた人間の目線だ。
「よし、純情が作った乙女ゲーとして売り出そう。コンセプトはどうて「やめろぉぉぉっ姉貴は俺を殺す気か」」
そうなったら、もはや恥ずかしさのバーゲンセールだ。
俺は必死の思いでメモを奪い取って、ビリビリやぶいた。
「あ、ちょっと何すんの!」
そして、部屋から退出。
もうやだこの姉。
ちょっと外で時間つぶしてこよう。
自分の部屋から出ていった弟の姿を見送った姉は、部屋のごみ箱に捨ててある手紙を見つけてつまみ上げた。
「恋文もらったなら、読まずに捨てるなっての。あんたモテるんだから、この先全部そうするつもり? さて、ゲーム部にいる彼女候補ちゃんにどうやって報告しよっかな」
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