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戦闘準備 竹と天才技師キリリン
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「これが竹の林だよ。最近増えてきて、困ってたんだ」
レイナが案内してくれたのは、城壁の少し手前の沼地のあたりだった。そこには確かに竹林が生い茂っていた。最近雨が多いのか、一気に増えてしまったという。
「素晴らしい」
「そうなの? 木の実もつけないし、やたらと繁殖するし、結構困ってたんだよ、食べられないしね」
「俺の祖国では若い竹を食べていたな。何時間も煮込んで柔らかくしてだが」
「そうまでして食べなくてもいい気がするけどな~」
レイナの意見もわかる。日本人はなぜああまでして竹を食べようとしたのだろう。
「とりあえず、参考までに一本欲しい」
「では、私が斬ります。下がっていてください」
ミアが剣の柄に手をかけると、二筋の閃光が走る。パサリと竹の棒が、俺の目の前に落ちてきた。
「ミアちゃん、すごい腕」
「このくらい、アサシンなら当然です」
(竹の質も十分。数もこれだけあれば、十分に戦争に仕えそうだ)
俺は確認を済ませると、城へと戻った。
「おお、セイオウ様でごわすか、レイナ殿にミア殿も、昨日ぶりでごわす」
キリリンは、相変わらず嘘くさい鹿児島弁で出迎えてくれた。
「キリリン、ここは武器の製造もできるんだな?」
「むしろ鍛冶が本業でごわす」
「では、この三種類の武器を作ってほしい」
俺は機内モード状態のスマホの写真を、キリリンに見せる。歴史オタでミリオタである俺は、昔の武器の画像を大量に保管していたのだ。
「すごい機械でごわすね。綺麗な絵でごわす」
「まず、この槍を作ってほしい」
「この、槍の柄の真ん中に刺さっているのは、なんでごわすか?」
「これは管だ。〝管槍〟(くだやり)と言われるものだ」
ちなみに槍の先端の形はシンプルなものだ。槍の先端は十文字槍からハルバードまで、洋の東西でいろいろなバリエーションがあるが、最終的にはどの国もシンプルな槍の形に落ち着いている。結局、集団戦ではこれが一番使いやすいらしい。
「管に何の意味があるのでごわす?」
「柄の真ん中の管によって柄が握りやすくなり、素早い刺突が可能になる」
戦国時代の末期に開発された管槍は、早槍とも呼ばれ、卑怯だと武士たちの間で禁止になったほどの代物だ。江戸時代の書物によると、槍の中で最も優れているとされている。
「!? 天才でごわすか?」
キリリンは簡単に説明しただけで、その効果がわかったようだ。
「天才は君だよ」
俺は思わずそう答えてしまう。やはり、キリリンは優れた技師のようだ。
「次に、これも作ってほしい」
俺はスマホで騎馬の鐙の画像を見せる。
「これは、馬の乗り降りのための足場でごわすか?」
「その役割もある。だが本命は、馬上戦闘を優位にする道具だ」
鐙は簡単な発明だが、威力は絶大だ。両足で体重を支えることにより、馬上戦闘が容易に、また強力になる。この世界の騎兵には鐙がないことに、俺は気づいていた。
「これなら誰でも馬に乗れ、馬上で両手を使える。天才でごわす!!」
「そのことを瞬時に理解できる君が、本物の天才だよ」
「つくりたいでごわす。ぜひぜひ、おねがいしたいでごわす!!」
嬉しそうに手足をバタバタとさせるキリリン。
「最後にもう一つ、頼みたいものがある」
「まだあるでごわすか?」
キリリンは目を輝かせている。
最後に、スマホでクロスボウの設計図を見せる。
簡単な機械で強力な弓を弾けるように改造した道具だ。起源は中国と言われ、弩とも呼ばれる。ちなみにボウガンは和製英語だ。
「これは・・・素人でも弓を使える。て、天才でごわすか!? 戦争を変えてしまうでごわす」
「この、足で引けるように取っ手がついたタイプで頼む」
「脚力で重い弓を引く。すごすぎるでごわす!!」
キリリンは、構造を見ただけでその長所を把握したらしい。
クロスボウの最大の長所は、非力な者でも矢を放てること、また狙いを定めるのも容易だ。プロの弓兵には連射速度で劣るため、武士が登場すると日本では使われなくなった武器だが、大陸では長い間、民衆の武器として使われていた。
「君一人に任せて申し訳ない。他の人に頼んでもいいが」
「ぜひぜひ拙者がつくりたいでごわす! 他の人になんて任せたくないでごわす」
「どのくらいかかる? 他の二つはともかく、クロスボウは大変なはずだ」
「試作品でいいのなら、三つまとめて明日夕方には完成させてみせるでごわす。今ある材料で作れそうでごわすから」
そんなに早くか。やはり、技術の方も天才だった。
「金は10万コルでいいか? 足りなかったら言ってくれ」
「十分でごわす、セイオウ様は天才でごわす、一生ついていくでごわす!」
「最後のクロスボウはかなり構造が複雑だ。設計図のスマホを置いていこうと思うが」
「大丈夫でごわす。拙者、一度見た武器の設計図は覚えてしまうでごわすから」
瞬間記憶能力まで持っているのか。ますます、彼女の方がずっと天才だと思う。
「ではよろしく頼む。あと、このことは極秘で頼む」
「了解でごわす。拙者友達がいないから、大丈夫でごわすよ~♪」
「え~、あたしは友達のつもりだよ、キリリンちゃん」
ずっと話を見守っていたレイナが、割って入ってきた。
「うれしいでごわす。今日は人生最高の日でごわす!」
キリリンは嬉しそうににっこりと微笑んだ。
レイナが案内してくれたのは、城壁の少し手前の沼地のあたりだった。そこには確かに竹林が生い茂っていた。最近雨が多いのか、一気に増えてしまったという。
「素晴らしい」
「そうなの? 木の実もつけないし、やたらと繁殖するし、結構困ってたんだよ、食べられないしね」
「俺の祖国では若い竹を食べていたな。何時間も煮込んで柔らかくしてだが」
「そうまでして食べなくてもいい気がするけどな~」
レイナの意見もわかる。日本人はなぜああまでして竹を食べようとしたのだろう。
「とりあえず、参考までに一本欲しい」
「では、私が斬ります。下がっていてください」
ミアが剣の柄に手をかけると、二筋の閃光が走る。パサリと竹の棒が、俺の目の前に落ちてきた。
「ミアちゃん、すごい腕」
「このくらい、アサシンなら当然です」
(竹の質も十分。数もこれだけあれば、十分に戦争に仕えそうだ)
俺は確認を済ませると、城へと戻った。
「おお、セイオウ様でごわすか、レイナ殿にミア殿も、昨日ぶりでごわす」
キリリンは、相変わらず嘘くさい鹿児島弁で出迎えてくれた。
「キリリン、ここは武器の製造もできるんだな?」
「むしろ鍛冶が本業でごわす」
「では、この三種類の武器を作ってほしい」
俺は機内モード状態のスマホの写真を、キリリンに見せる。歴史オタでミリオタである俺は、昔の武器の画像を大量に保管していたのだ。
「すごい機械でごわすね。綺麗な絵でごわす」
「まず、この槍を作ってほしい」
「この、槍の柄の真ん中に刺さっているのは、なんでごわすか?」
「これは管だ。〝管槍〟(くだやり)と言われるものだ」
ちなみに槍の先端の形はシンプルなものだ。槍の先端は十文字槍からハルバードまで、洋の東西でいろいろなバリエーションがあるが、最終的にはどの国もシンプルな槍の形に落ち着いている。結局、集団戦ではこれが一番使いやすいらしい。
「管に何の意味があるのでごわす?」
「柄の真ん中の管によって柄が握りやすくなり、素早い刺突が可能になる」
戦国時代の末期に開発された管槍は、早槍とも呼ばれ、卑怯だと武士たちの間で禁止になったほどの代物だ。江戸時代の書物によると、槍の中で最も優れているとされている。
「!? 天才でごわすか?」
キリリンは簡単に説明しただけで、その効果がわかったようだ。
「天才は君だよ」
俺は思わずそう答えてしまう。やはり、キリリンは優れた技師のようだ。
「次に、これも作ってほしい」
俺はスマホで騎馬の鐙の画像を見せる。
「これは、馬の乗り降りのための足場でごわすか?」
「その役割もある。だが本命は、馬上戦闘を優位にする道具だ」
鐙は簡単な発明だが、威力は絶大だ。両足で体重を支えることにより、馬上戦闘が容易に、また強力になる。この世界の騎兵には鐙がないことに、俺は気づいていた。
「これなら誰でも馬に乗れ、馬上で両手を使える。天才でごわす!!」
「そのことを瞬時に理解できる君が、本物の天才だよ」
「つくりたいでごわす。ぜひぜひ、おねがいしたいでごわす!!」
嬉しそうに手足をバタバタとさせるキリリン。
「最後にもう一つ、頼みたいものがある」
「まだあるでごわすか?」
キリリンは目を輝かせている。
最後に、スマホでクロスボウの設計図を見せる。
簡単な機械で強力な弓を弾けるように改造した道具だ。起源は中国と言われ、弩とも呼ばれる。ちなみにボウガンは和製英語だ。
「これは・・・素人でも弓を使える。て、天才でごわすか!? 戦争を変えてしまうでごわす」
「この、足で引けるように取っ手がついたタイプで頼む」
「脚力で重い弓を引く。すごすぎるでごわす!!」
キリリンは、構造を見ただけでその長所を把握したらしい。
クロスボウの最大の長所は、非力な者でも矢を放てること、また狙いを定めるのも容易だ。プロの弓兵には連射速度で劣るため、武士が登場すると日本では使われなくなった武器だが、大陸では長い間、民衆の武器として使われていた。
「君一人に任せて申し訳ない。他の人に頼んでもいいが」
「ぜひぜひ拙者がつくりたいでごわす! 他の人になんて任せたくないでごわす」
「どのくらいかかる? 他の二つはともかく、クロスボウは大変なはずだ」
「試作品でいいのなら、三つまとめて明日夕方には完成させてみせるでごわす。今ある材料で作れそうでごわすから」
そんなに早くか。やはり、技術の方も天才だった。
「金は10万コルでいいか? 足りなかったら言ってくれ」
「十分でごわす、セイオウ様は天才でごわす、一生ついていくでごわす!」
「最後のクロスボウはかなり構造が複雑だ。設計図のスマホを置いていこうと思うが」
「大丈夫でごわす。拙者、一度見た武器の設計図は覚えてしまうでごわすから」
瞬間記憶能力まで持っているのか。ますます、彼女の方がずっと天才だと思う。
「ではよろしく頼む。あと、このことは極秘で頼む」
「了解でごわす。拙者友達がいないから、大丈夫でごわすよ~♪」
「え~、あたしは友達のつもりだよ、キリリンちゃん」
ずっと話を見守っていたレイナが、割って入ってきた。
「うれしいでごわす。今日は人生最高の日でごわす!」
キリリンは嬉しそうににっこりと微笑んだ。
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