異世界に召喚されたが『聖王』じゃなくて『性王』(風俗王)だったので、下品だと追放された。仕方がないのでチート風俗魔法で風俗国家を再建します

横島イクオ

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戦争準備2 クロスボウと管槍と鐙(あぶみ)

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キリリンは袋からとりだしたクロスボウを机の上に置く。

「これはクロスボウといって、非力な者でも弓を討つことができる機械だ。レイナ、試してみてくれ」

「はい、旦那様」

 今度も矢はつがえていない。安全なはずだ。

「ここに足を引っかけて、両手で引っ張るんだ」

「はい。よっと」

 レイナは難なく弦を引っ張り、機械にはめ込むことができた。後は引き金を引くだけで、矢が発射される仕組みだ。

「これすごいね、簡単に引けちゃった」

 足の力は手の三倍あるという。これなら比較的力の弱い女性でも使いこなせるはずだ。

「狙いはもっと簡単だ。標準を合わせて、引き金を引くだけでいい」

 クロスボウの大きな利点の一つが、狙いが簡単な事だ。引き金を引くだけでほぼ水平に打てるので、誰でも命中させることができる。

「しかし、装填に随分と時間がかかりそうですが」

 カノン隊長の言う通り、連射性では大きく弓に劣る。史実でも、強弓とクロスボウの戦いでは、前者が勝つ例も多い。強弓が広く普及した日本では、古代以外はクロスボウは使われてすらいない。

「そこは指揮官の運用でカバーする。300名の弓兵と500名のクロスボウ兵が打ち合ったら、連射性の高い弓兵が勝つだろう。だが、クロスボウ兵が奇襲をかけることができれば初手で全滅させられるはずだ」

「なるほど」

「他にも遮蔽物に隠れた打ち合いなら、隠れる面積の多いクロスボウが勝てる。要は運用、指揮官の問題だ」

 実際、重装甲の騎士の時代を終わらせたのは、簡単に使えるクロスボウだった。騎士に止めを刺したのは火砲の出現だったが。

「さらに300名からなる民衆警察隊を創設し、治安維持にあたらせる」

「さらに300名ですか!?」

 カノン隊長が驚きに声を荒らげる。

「クロスボウの訓練をした民兵に、街を交代でパトロールさせるだけだ」

「しかし、戦争では弓以外も必要になります」

「それも考えている。
 キリリン、槍をだしてくれ」

「はいでごわす」

 キリリンは管がはめられた槍を取り出した。

「これは〝管槍〟と呼ばれる槍だ。この管のおかげで早く槍を突き出すことができるので〝早槍〟とも呼ばれる」

「握ってみてもよろしいですか?」

「もちろん」

 カノン隊長が槍を手に構える。さすがにプロの軍人だけあって、その構えは美しかった。さらに何発か槍を繰り出し、感触を確かめていた。

「確かに握りやすく、槍の速度が上がった気がします」

「現在の親衛隊の主力武器であるハルバードは、習得に時間がかかる。だが突きがメインのシンプルな槍なら、習得は容易だ。これで訓練期間をかなり短縮できるはずだ」

「了解いたしました」

 斧槍(ハルバード)や十文字槍は個人戦では有効だが、集団戦では日本でもヨーロッパでもシンプルな槍に落ち着いている。結局、集団戦では槍が一番使いやすいらしい。

「最後に鐙だ。これも実物を見てもらった方が早い」

 俺は奥の馬蔵から、キリリンに馬を一頭連れてこさせた。

 この国の鞍に加えて、彼女が作った鐙が装着されている。

「これは鐙というもので、乗馬の際に足をかけるものだ。カノン隊長、試しに馬に乗ってくれないか?」
 
「わかりました」

「鐙を足掛かりにすれば、一人で乗れるはずだ」

 ちなみに鐙がない時代は、主に歩兵の背中を足掛かりに馬に乗っていたという。つまり一人では乗れなかったのだ。故に騎士には必ず従者がついていたという。

 だが徒歩の従者をつければ、騎馬の機動力を生かすことはできない。騎馬は騎馬だけで編成してこそ、意味があるのだ。

「これは、すごいです」

 カノン隊長は馬に乗るとすぐに、違いが分かった様だ。鞍だけでなく、鐙を使って両足に体重を乗せることで、安定度が格段に増す。特に馬上で高度な武器を扱えるようになるのだ。

 鐙の発明は4世紀ごろの中国とされている。鐙がない時代は、騎馬は子供の頃から乗馬の訓練をした遊牧民か貴族の子弟のみの技術であった。鐙が発明されて、一般の兵士も訓練次第で乗馬が可能になったのだ。

「これを使って50騎の騎兵隊を編成してほしい」

「はい。しかし、全身鎧はさすがに重いですが?」

「軽装騎兵でいい」

 女騎馬隊の突撃は期待できない。それでも偵察に伝令、要人の護衛等で充分価値があるはずだ。

「姫も乗馬の訓練をしておいてくれ」

「ひ、姫様をどうするおつもりですか?」

 マイヤ事務官が声を荒らげ叫ぶ。 

「どうもしない。敵から逃げる事や、高速で移動する必要がある事態になるかもしれない。念のためだ」

「・・・わかりました。この鐙があれば、わたくしでも馬に乗れると思います」

「姫様、ドレスはどうされるおつもりですか?」

「もちろん男装して乗ります。ドレスなど着替えればいいのです。ただしセイオウ様、一つ条件があります」

「なんだ?」

「セイオウ様も乗馬を学んでください。敵から逃げる事や、高速で移動する必要がある事態になるかもしれませんから」

 なるほど、姫の意見も一理ある。姫が馬で逃げられても、俺が馬に乗れなければ困るだろう。

「わかった、訓練しよう」

 乗馬の経験など無かったが、確かに必要になるかもしれなかった。

「あとこの武器に名前を付けようと思う。〝女弓〟(おんなゆみ)や〝女槍〟(おんなやり)と名付けようと思うが、どうかな?」
 
 俺の言葉に、急にその場の空気が「どよ~ん」と悪くなる。女性全員が嫌そうな顔をしたからだ。
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