32 / 32
第二章 ロルフとリリアの危険な冒険!?
最終話 ずっと一緒にいたいから
しおりを挟む◇◇◇
三人がアデイラと別れ、公爵家を後にしたのは、三週間後のことだった。
「……マジで酷い目にあった」
げんなりした表情で呟くロルフに、リリアは思わず笑ってしまう。
公爵家に滞在中の間、アデイラはリリアの体力作りと淑女教育の合間に、暇さえあればロルフとフェンを相手に手合わせしていたのだ。
細い身体で、巨大なモーニングスターをぶんぶん振り回しながら二人を追いかけるアデイラは、実に生き生きしていた。
「でも、お姉様本当にかっこいいよね~。憧れちゃう!」
「……そ、そうか」
どこか複雑そうな表情のロルフを横目に、三人は家路についた。
公爵家の当主であるロルフの両親は、森の管理者として常に各地を巡っているらしい。今回も二人揃って長期の視察に出ていたため、会うことができなかった。緊張していたリリアとしては、少し拍子抜けな結果になったのだが、数日後、視察先からロルフ宛に一通の手紙が届いた。
『アデイラから聞いたわ。素敵な番が見つかって良かったわね。おめでとう、ロルフ。今度絶対に紹介してね!』
「……本当に反対されないんだ……」
手紙を読み終えたリリアが、ポツリと呟く。
「獣人は番第一主義だからな」
ロルフは当たり前だと言わんばかりに頷いた。
「そっかぁ……」
「お互いの両親の許可も取ったし、あとはリリアが成人するのを待って、すぐに結婚しよう!」
「えっ……」
「……もしかして、嫌なのか」
「いや、成人してすぐって、さすがに早すぎない?」
「……じゃあ、どのぐらい待てばいいんだ?」
「えっ!それは……何ていうか、お互いに結婚してもいいかなぁと思ったとき、みたいな」
「……今すぐその気にさせてやろうか?」
「近い近い近い!!!もうっ!」
◇◇◇
その夜。
リリアは一人、静かに考えていた。
ロルフはこのままで良いって言ってくれるけど、私はもっと強くなりたい。冒険者としても、女としても、もっともっと、成長できるはず。
(……このまま、守られてばかりじゃダメだ)
ロルフと、これからもずっと一緒にいるために。 対等に隣を歩くために。
リリアは、ぎゅっと拳を握りしめた。
「……決めた」
◇◇◇
翌朝。
「ロルフ、私、アデイラお姉様に弟子入りします!」
「――は?」
朝食の席で、いきなりそう宣言したリリアに、ロルフは盛大に噎せた。
「ま、待て待て待て! 何言い出してるんだ!?」
「強くなりたいの。ロルフと、ずっと一緒にいるために」
「いや、それは嬉しいけど……!よりにもよって、なんで姉貴なんだよ!」
必死に止めるロルフとは対照的に、リリアの瞳はキラキラと輝いていた。
「だって、アデイラお姉様、めちゃくちゃかっこいいじゃない!綺麗で、強くて、優しいなんて最高でしょっ!私もアデイラお姉様みたいな大人の女になりたい!」
「いや、ならなくていいけど。むしろ、頼むからやめてくれ」
遠くで、誰かがくしゃみをしたような気がした。
「とにかくもう決めたからっ!」
「絶対にだめだっ!!!」
そんな二人のやり取りを見ながら、フェンはくすりと笑う。
――守られるだけじゃなく、守れるくらい強くなりたい。それが、リリアの願いだから。
こうして、リリアの新たな修行生活が、静かに、そして確実に幕を開けようとしていた。
なお、ロルフの苦労は、まだまだ続くのであった。
◇◇◇
おしまい
10
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(3件)
あなたにおすすめの小説
【完結】異世界転移した私、なぜか全員に溺愛されています!?
きゅちゃん
恋愛
残業続きのOL・佐藤美月(22歳)が突然異世界アルカディア王国に転移。彼女が持つ稀少な「癒しの魔力」により「聖女」として迎えられる。優しく知的な宮廷魔術師アルト、粗野だが誠実な護衛騎士カイル、クールな王子レオン、最初は敵視する女騎士エリアらが、美月の純粋さと癒しの力に次々と心を奪われていく。王国の危機を救いながら、美月は想像を絶する溺愛を受けることに。果たして美月は元の世界に帰るのか、それとも新たな愛を見つけるのか――。
山賊な騎士団長は子にゃんこを溺愛する
紅子
恋愛
この世界には魔女がいる。魔女は、この世界の監視者だ。私も魔女のひとり。まだ“見習い”がつくけど。私は見習いから正式な魔女になるための修行を厭い、師匠に子にゃんこに変えれた。放り出された森で出会ったのは山賊の騎士団長。ついていった先には兄弟子がいい笑顔で待っていた。子にゃんこな私と山賊団長の織り成すほっこりできる日常・・・・とは無縁な。どう頑張ってもコメディだ。面倒事しかないじゃない!だから、人は嫌いよ~!!!
完結済み。
毎週金曜日更新予定 00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
喪女なのに狼さんたちに溺愛されています
和泉
恋愛
もふもふの狼がイケメンなんて反則です!
聖女召喚の儀で異世界に呼ばれたのはOL・大学生・高校生の3人。
ズボンを履いていた大学生のヒナは男だと勘違いされ、説明もないまま城を追い出された。
森で怪我をした子供の狼と出会ったヒナは狼族の国へ。私は喪女なのに狼族の王太子、No.1ホストのような武官、真面目な文官が近づいてくるのはなぜ?
ヒナとつがいになりたい狼達の恋愛の行方は?聖女の力で国同士の争いは無くすことができるのか。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
【完結】死の4番隊隊長の花嫁候補に選ばれました~鈍感女は溺愛になかなか気付かない~
白井ライス
恋愛
時は血で血を洗う戦乱の世の中。
国の戦闘部隊“黒炎の龍”に入隊が叶わなかった主人公アイリーン・シュバイツァー。
幼馴染みで喧嘩仲間でもあったショーン・マクレイリーがかの有名な特効部隊でもある4番隊隊長に就任したことを知る。
いよいよ、隣国との戦争が間近に迫ったある日、アイリーンはショーンから決闘を申し込まれる。
これは脳筋女と恋に不器用な魔術師が結ばれるお話。
ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。
由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。
しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。
さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。
そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。
「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」
やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった!
しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って?
いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!
神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました
下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。
そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。
自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。
そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。
小説家になろう様でも投稿しています。
勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
お気に入りに登録しました~
すごく嬉しいです(^O^)ありがとうございます!
フェンリルかわええ……♪
何度読んでもかわええ、好きっ♡
ありがとうございます( ´艸`)
もふもふいいですよね♪
かわいい♡
何度読んでも好き……♡
ありがとうございます(*´▽`*)
すきっ!