テイマーなのに獣人ばかりにモテすぎて困ってます!~彼女はまだツンデレ獣人に番認定されたことに気付いてない~

しましまにゃんこ

文字の大きさ
11 / 32
第二章 ロルフとリリアの危険な冒険!?

第4話 フェンリルゲットだぜ!?

しおりを挟む
 
 ◇◇◇

 リリアとロルフは、森の中心部に向かっていた。以前迷い込んだことはあるものの、リリアは基本的に森の入り口付近しか探索することはない。森の中心部に行くのは今回が初めてだ。中心部での探索は、ロルフと一緒でなければ叶わないだろう。

「ロルフは森の中心部に良くくるの?」

「そうだな。この森に来るときは手っ取り早く中心部に向かって、目的の魔物を狩り終わったらとっとと帰ることにしてる。森の中心部は特に瘴気が立ちこめてるから、森の中を長く探索することはないな」

「なるほど。短時間で勝負をつけないと瘴気にやられちゃうんだね」

「リリアも無理はするな。危ないと思ったらすぐに撤退するからな。」

「わかった!」

 ◇◇◇

 途中何匹かの魔物に遭遇するものの、すぐに逃げられてしまう。ロルフが強すぎるため怯えているのかもしれない。

「ううー!やっぱり逃げちゃうなぁ」

「瀕死状態にしてやろうか?」

「それは最終手段でお願い。瀕死にしといて仲間になれっていうのは、やっぱりなんか違う気がするし」

「そうだな。そういうのはリリアの属性じゃない気がするな。そもそも攻撃魔法も攻撃系の特技も無いわけだし」

「だよね。やっぱり自然と心が通じ合うパターンじゃないかと……って、何笑ってんのよ。かんじわるっ!」

「ぷっ、いや、ごめん。でもそうだな。リリアは案外本当にそうかもしれない」

「じゃあ笑わないでよね!」

「悪かった」

 ◇◇◇

 後少しで中心部、というところで、少し開けた場所に出た。周りに木がないため、見晴らしのいい場所だ。

「よし、取りあえずここで一旦休憩しよう。飯食ったら再開な?」

「はぁ、もうお腹ペッコペコだよー!今日はよく歩いたよねっ!」

「いや、これからさらに歩くけどな?」

「うう、今は忘れていたかった……」

「一流の冒険者になるためには体力も大事だからな?しっかり休んで少しでも回復させろ」

「うん!今日のお弁当は私の手作りだよ!」

「おっ、うまそ。お前、料理の才能あるよな。猫として飼われてたとき、お前の料理食うのがめっちゃ楽しみだった」

「えへへ、料理には結構自信あるんだー。ギルドの人気メニューも何品か私が任されてるんだよ!」

「凄いな。マスター、結構料理にうるさいんだぜ?昔国外に武者修行の旅に出たことあるっていってたし」

「料理で?」

「料理で。ほんとは料理人になりたかったんだと。で、旅費や食材を仕入れるために冒険者してたら、そっちのほうが忙しくなって、気がついたらギルドマスターまで登りつめてたらしい」

「い、意外な経歴!」

「だからギルドの食堂、上手くて評判なんだぜ?食堂目当てにアリシア王国で冒険者になるやつもいるしな」

「ほえええー。どうりで、美味しいはずだよね。」

 ロルフとリリアが和やかに食事を楽しんでると、不意に草むらから小さな子犬が飛び出してきた。真っ白なフカフカの毛がモコモコしていて可愛い。「くうーん」と鳴くと、リリアのそばにきてぐるぐると回っている。

「あれ、もしかしてお腹が空いてるのかな?ほら、おいで、あげるよ」

「リリア……」  

 緊張し、息をのむロルフ。

「よーしよし、いいこだね。美味しい?もっと食べる?」

「ワンっ!」

 子犬は嬉しそうにゴロンと転がってお腹をみせる。あまりの可愛さにリリアは思いっきりお腹を撫でる。首のあたりから横っ腹までわしゃわしゃともふると、子犬も気持ちよさそうに目を細めている。

「よーしよしよしよし、いいこだね~!はぁ、可愛い。魔物もこのくらい簡単に懐いてくれるといいのになぁ」

「リリア、そいつは、犬じゃない」

 ロルフは注意深く観察しながらはっきりと告げた。

「ヘ?」

「フェンリルだ」

「フェンリル?」

「聖属性を持つ神獣で女神の眷属、白き森の王とも言われている」

「は?……はぁ!?」

「お前は普通の『テイマー』じゃない。『神獣使い』だったんだ。どうりで攻撃魔法や攻撃系特技がないはずだ。ただの魔物に嫌われるのもそのせいだ。聖属性持ちに魔物は服従しない。聖なる魔力を嫌うからな。お前は、聖属性の女神の加護もちだ」

「えっ?えっ?ええーーーーーー!!!」

「子犬とはいえフェンリルが完全服従している。お前のことを主だと認めてる証拠だ。フェンリルは気高い生き物だからめったに人を攻撃してくることはないが、闇属性のテイマーには絶対に服従しない。フェンリルが服従するのは聖属性を持つ『神獣使い』だけだ。」

「いや、待って、情報量が多過ぎてちょっと混乱してるんだけど。」

「魔物を従えるのは闇魔法の魔物使い、神獣を従えるのが聖属性の神獣使い。どちらもテイマーと呼ばれているが、属性は正反対だ。」

「そ、そんな、知らなかった!」

「まぁ、聖属性もちはかなりレアだし、中でも神獣使いは相当珍しいからな。」

「じゃ、じゃあ、この子が私の従魔ってこと?」

「魔物じゃないから従獣ってとこか?」

「うわ!うわわわ!嬉しい!これからよろしくね!」

 リリアがフェンリルを抱き締めると嬉しそうに舌を出してリリアの顔をペロペロと舐めている。完全にただの可愛い子犬にしか見えない。

 ―――だが、喜ぶリリアと裏腹に、ロルフは苦い顔をしていた。

(まさかリリアが神獣使いだったなんて……)

 聖属性持ちの人はとても希少な存在のため、教会で手厚く保護されることが多い。そして、『聖女』や『聖人』の称号を与えられてしまうのだ。そうなると、リリアとロルフが引き離されてしまう可能性も高い。

 長年の想いが通じた今、リリアと離れるなんて考えられない。ロルフは静かな決意を固めていた。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

私、異世界で獣人になりました!

星宮歌
恋愛
 昔から、人とは違うことを自覚していた。  人としておかしいと思えるほどの身体能力。  視力も聴力も嗅覚も、人間とは思えないほどのもの。  早く、早くといつだって体を動かしたくて仕方のない日々。  ただ、だからこそ、私は異端として、家族からも、他の人達からも嫌われていた。  『化け物』という言葉だけが、私を指す呼び名。本当の名前なんて、一度だって呼ばれた記憶はない。  妹が居て、弟が居て……しかし、彼らと私が、まともに話したことは一度もない。  父親や母親という存在は、衣食住さえ与えておけば、後は何もしないで無視すれば良いとでも思ったのか、昔、罵られた記憶以外で話した記憶はない。  どこに行っても、異端を見る目、目、目。孤独で、安らぎなどどこにもないその世界で、私は、ある日、原因不明の病に陥った。 『動きたい、走りたい』  それなのに、皆、安静にするようにとしか言わない。それが、私を拘束する口実でもあったから。 『外に、出たい……』  病院という名の牢獄。どんなにもがいても、そこから抜け出すことは許されない。  私が苦しんでいても、誰も手を差し伸べてはくれない。 『助、けて……』  救いを求めながら、病に侵された体は衰弱して、そのまま……………。 「ほぎゃあ、おぎゃあっ」  目が覚めると、私は、赤子になっていた。しかも……。 「まぁ、可愛らしい豹の獣人ですわねぇ」  聞いたことのないはずの言葉で告げられた内容。  どうやら私は、異世界に転生したらしかった。 以前、片翼シリーズとして書いていたその設定を、ある程度取り入れながら、ちょっと違う世界を書いております。 言うなれば、『新片翼シリーズ』です。 それでは、どうぞ!

異世界召喚されました。親友は第一王子に惚れられて、ぽっちゃりな私は聖女として精霊王とイケメン達に愛される!?〜聖女の座は親友に譲ります〜

あいみ
恋愛
ーーーグランロッド国に召喚されてしまった|心音《ことね》と|友愛《ゆあ》。 イケメン王子カイザーに見初められた友愛は王宮で贅沢三昧。 一方心音は、一人寂しく部屋に閉じ込められる!? 天と地ほどの差の扱い。無下にされ笑われ蔑まれた心音はなんと精霊王シェイドの加護を受けていると判明。 だがしかし。カイザーは美しく可憐な友愛こそが本物の聖女だと言い張る。 心音は聖女の座に興味はなくシェイドの力をフル活用して、異世界で始まるのはぐうたら生活。 ぽっちゃり女子×イケメン多数 悪女×クズ男 物語が今……始まる

【完】麗しの桃は攫われる〜狼獣人の番は甘い溺愛に翻弄される〜

こころ ゆい
恋愛
※完結しました!皆様のおかげです!ありがとうございました! ※既に完結しておりますが、番外編②加筆しました!(2025/10/17)  狼獣人、リードネストの番(つがい)として隣国から攫われてきたモモネリア。  突然知らない場所に連れてこられた彼女は、ある事情で生きる気力も失っていた。  だが、リードネストの献身的な愛が、傷付いたモモネリアを包み込み、徐々に二人は心を通わせていく。  そんなとき、二人で訪れた旅先で小さなドワーフ、ローネルに出会う。  共に行くことになったローネルだが、何か秘密があるようで?  自分に向けられる、獣人の深い愛情に翻弄される番を描いた、とろ甘溺愛ラブストーリー。

ちょっと不運な私を助けてくれた騎士様が溺愛してきます

五珠 izumi
恋愛
城の下働きとして働いていた私。 ある日、開かれた姫様達のお見合いパーティー会場に何故か魔獣が現れて、運悪く通りかかった私は切られてしまった。 ああ、死んだな、そう思った私の目に見えるのは、私を助けようと手を伸ばす銀髪の美少年だった。 竜獣人の美少年に溺愛されるちょっと不運な女の子のお話。 *魔獣、獣人、魔法など、何でもありの世界です。 *お気に入り登録、しおり等、ありがとうございます。 *本編は完結しています。  番外編は不定期になります。  次話を投稿する迄、完結設定にさせていただきます。

追放された薬師は、辺境の地で騎士団長に愛でられる

湊一桜
恋愛
 王宮薬師のアンは、国王に毒を盛った罪を着せられて王宮を追放された。幼少期に両親を亡くして王宮に引き取られたアンは、頼れる兄弟や親戚もいなかった。  森を彷徨って数日、倒れている男性を見つける。男性は高熱と怪我で、意識が朦朧としていた。  オオカミの襲撃にも遭いながら、必死で男性を看病すること二日後、とうとう男性が目を覚ました。ジョーという名のこの男性はとても強く、軽々とオオカミを撃退した。そんなジョーの姿に、不覚にもときめいてしまうアン。  行くあてもないアンは、ジョーと彼の故郷オストワル辺境伯領を目指すことになった。  そして辿り着いたオストワル辺境伯領で待っていたのは、ジョーとの甘い甘い時間だった。 ※『小説家になろう』様、『ベリーズカフェ』様でも公開中です。

こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果

てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。 とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。 「とりあえずブラッシングさせてくれません?」 毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。 そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。 ※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。

酒飲み聖女は気だるげな騎士団長に秘密を握られています〜完璧じゃなくても愛してるって正気ですか!?〜

鳥花風星
恋愛
太陽の光に当たって透けるような銀髪、紫水晶のような美しい瞳、均整の取れた体つき、女性なら誰もが羨むような見た目でうっとりするほどの完璧な聖女。この国の聖女は、清楚で見た目も中身も美しく、誰もが羨む存在でなければいけない。聖女リリアは、ずっとみんなの理想の「聖女様」でいることに専念してきた。 そんな完璧な聖女であるリリアには誰にも知られてはいけない秘密があった。その秘密は完璧に隠し通され、絶対に誰にも知られないはずだった。だが、そんなある日、騎士団長のセルにその秘密を知られてしまう。 秘密がばれてしまったら、完璧な聖女としての立場が危うく、国民もがっかりさせてしまう。秘密をばらさないようにとセルに懇願するリリアだが、セルは秘密をばらされたくなければ婚約してほしいと言ってきた。 一途な騎士団長といつの間にか逃げられなくなっていた聖女のラブストーリー。 ◇氷雨そら様主催「愛が重いヒーロー企画」参加作品です。

「偽聖女」と追放された令嬢は、冷酷な獣人王に溺愛されました~私を捨てた祖国が魔物で滅亡寸前?今更言われても、もう遅い

腐ったバナナ
恋愛
伯爵令嬢フィーア・エメラインは、地味で効果が現れるのに時間がかかる「大地の浄化」の力を持っていたため、派手な治癒魔法を使う異母妹リシアンの嫉妬により、「偽聖女」として断罪され、魔物汚染が深刻な獣人族の国へ追放される。 絶望的な状況の中、フィーアは「冷酷な牙」と恐れられる最強の獣人王ガゼルと出会い、「国の安寧のために力を提供する」という愛のない契約結婚を結ぶ。

処理中です...