14 / 28
第二章 ロルフとリリアの危険な冒険!?
第7話 天使か女神か?ティアラ登場!
しおりを挟む◇◇◇
リリア達がギルドに到着すると、なにやらギルド内がざわついていた。
「ん?なんか今日はやけに騒がしいな」
「ふわぁぁぁ!これが冒険者ギルドですかっ!」
「フェン、いい子にしてないとダメだよ~?」
「はいっ!僕いい子にしてますっ!」
何やら新しく入った冒険者の噂でもちきりらしい。
「おいみてくれよ!俺の腕が元通りになったんだよっ!」
「俺もだっ!潰れてた右目がまた見えるようになったんだよっ!」
「天使だ……天使が舞い降りたんだ……」
「ばかいえ、女神だよ。こんなこと出来るのは女神様に決まってるっ!」
「ああ!女神だっ!俺たちに女神が降臨したんだっ!」
冒険者たちの言葉にリリアとロルフは首をかしげる。
「ねえロルフ、こいつら頭大丈夫?なんか怪しい宗教みたいなこと言い出してるけど。なんか洗脳でもされてんのかな?」
「うん?どうやら冒険者たちのケガが治ったようだが、いったい……」
そのとき、まさしく天使のなりをした少女の姿が目に飛び込んできた。腰まである淡い金髪の髪を高い位置でまとめ、冒険者服に身を包んでいてもその天使のような愛らしさは少しも隠せない。
「ちょっ!みて!ロルフ!天使!リアル天使がいるっ!」
リリアがロルフの首元をガクガクと揺さぶってくるが、ロルフは気にした様子もなく周囲の状況を確認していた。ひとりの冒険者の男が少女の席に近づくと、つられるように次々と冒険者たちが少女の元に集まっていく。
「め、女神様っ!あの、俺、さっき怪我の治療をしていただいたリックです!」
「お、俺はアランです!あの、あの、ありがとうございます!」
「お、俺、なんてお礼をいっていいか……」
荒くれ者の冒険者達が次々と礼の言葉を口にしてはお行儀よく立ち去っていく。どの冒険者もみたことがないくらい明るい表情をしていた。スキップとかしてて若干キモイしヤバい。
「ちょっ!ロルフみて!天使の周りもすごい!なんか光ってる!イケメンパラダイス!」
「ああん?」
ロルフが若干不機嫌そうに目を向けたそのとき、
「お、ロルフじゃねーかっ!」
話題の中心にいるメンバーの一人、赤髪の男が話しかけてきた。
「ん?ああなんだ、アデルか。」
「なんだとはご挨拶だな。久し振りだな!ロルフ!」
ロルフより少し年上だろうか。爽やかな笑顔がまぶしいイケメンだ。
「ねえロルフ、知り合い?」
リリアがこっそり尋ねると、
「お、もしかしてその子がお前が前いってた子か?」
「ん。紹介する。俺のリリアだ」
(俺のリリアってっ!!!)
リリアは顔が赤くなるのを感じながらなんとか挨拶する。
「は、はじめまして、リリアです。こっちはフェンです」
「アデルだ!よろしくな!こっちは妹のティアラだ。今日冒険者登録したところなんだ。色々教えてやってくれよ?」
「ティアラです。よろしくお願いします。あと、こっちは神官のエリックで今日一緒に冒険者になりました。ここにいるみんなとパーティーを組む予定なんです」
「エリックです。新参者ですがよろしくお願いしますね?」
「ロルフだ。よろしくな姫様、神官様」
「え?え?姫様?それに神官様!?」
「ああ、第二王子のアデル王子と第三王女のティアラ姫だ」
「……は?」
「おー!ロルフだ!また今度剣の使い方教えてくれよ!」
「ロルフさんこんにちは!後で新作の魔道具持って行くのでまた感想聞かせて貰えますか?」
「おう。いいぜ?セバスのじいさんも久し振り」
「ロルフの坊ちゃんも久し振りじゃな。」
「坊ちゃんは辞めてくれよな。で、この双子がノイエ王国の第一王子ジャイルと第二王子のミハエル。こっちのじいさんが元王室執事長のセバスだ」
「ジャイルだっ!Cランク冒険者だぜ。よろしくな!」
「ミハエルです。僕もCランク冒険者です。」
「リリア嬢ちゃんにフェン君か。ワシはセバス。同じくCランク冒険者じゃ」
リリアには馴染みのない高貴な人たちだが、どうやらロルフには顔見知りが多いらしい。
「はわわわわ、よ、よろしくお願いします!」
「よろしくお願いします!」
「ちょうど良かった。アデルに相談したいことがあったんだ」
「へえ、ロルフが俺に相談事なんて珍しいな。こいつすげえ奴でさ。何度も騎士団にスカウトしてるんだけど、いっつも振られるんだよなぁ」
「俺に騎士なんてつとまらねーよ。んな柄じゃねーし」
「意外と似合うと思うけどなぁ。ま、気が変わったらいつでも声かけてくれよ!」
「ああ。なるべく極秘で話したいから、わるいけど今度時間作ってくれるか?」
「ん?ならいいぜ!ちょうど冒険者登録も終わったとこだから昼飯食ってからクエストにいこうと思ってるんだ。そこの冒険者の森だから良かったら一緒にいかないか?」
「どうする、リリア、疲れてないか?」
「私は大丈夫だよ?フェンは平気?」
「僕も元気いっぱいですっ!」
「じゃあアデル、俺たちも用事を済ませたら合流させてもらう」
「おう!昼過ぎに森の入り口近くにいるから声かけてくれよな!」
「ああ、サンキュ」
リリアは荒くれ者の冒険者たちの扱いは慣れているが、初めて会う高貴な人達の前ではすっかり緊張していた。普段浴びることのないイケメン&美少女オーラにビビっていたのかもしれない。
そのため、フェンがティアラのことを食い入るようにじっと見つめているのに気がつかなかった。
10
あなたにおすすめの小説
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
銀狼の花嫁~動物の言葉がわかる獣医ですが、追放先の森で銀狼さんを介抱したら森の聖女と呼ばれるようになりました~
川上とむ
恋愛
森に囲まれた村で獣医として働くコルネリアは動物の言葉がわかる一方、その能力を気味悪がられていた。
そんなある日、コルネリアは村の習わしによって森の主である銀狼の花嫁に選ばれてしまう。
それは村からの追放を意味しており、彼女は絶望する。
村に助けてくれる者はおらず、銀狼の元へと送り込まれてしまう。
ところが出会った銀狼は怪我をしており、それを見たコルネリアは彼の傷の手当をする。
すると銀狼は彼女に一目惚れしたらしく、その場で結婚を申し込んでくる。
村に戻ることもできないコルネリアはそれを承諾。晴れて本当の銀狼の花嫁となる。
そのまま森で暮らすことになった彼女だが、動物と会話ができるという能力を活かし、第二の人生を謳歌していく。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
獣人の世界に落ちたら最底辺の弱者で、生きるの大変だけど保護者がイケオジで最強っぽい。
真麻一花
恋愛
私は十歳の時、獣が支配する世界へと落ちてきた。
狼の群れに襲われたところに現れたのは、一頭の巨大な狼。そのとき私は、殺されるのを覚悟した。
私を拾ったのは、獣人らしくないのに町を支配する最強の獣人だった。
なんとか生きてる。
でも、この世界で、私は最低辺の弱者。
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
花嫁召喚 〜異世界で始まる一妻多夫の婚活記〜
文月・F・アキオ
恋愛
婚活に行き詰まっていた桜井美琴(23)は、ある日突然異世界へ召喚される。そこは女性が複数の夫を迎える“一妻多夫制”の国。
花嫁として召喚された美琴は、生きるために結婚しなければならなかった。
堅実な兵士、まとめ上手な書記官、温和な医師、おしゃべりな商人、寡黙な狩人、心優しい吟遊詩人、几帳面な官僚――多彩な男性たちとの出会いが、美琴の未来を大きく動かしていく。
帰れない現実と新たな絆の狭間で、彼女が選ぶ道とは?
異世界婚活ファンタジー、開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる