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第3章 おてんば姫の冒険録
18 ティアラの宝箱
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♢♢♢
「こういうときこそ、これの出番よね」
ティアラはミハエルから贈られたネックレスを自慢気にビシッと掲げた。ミハエルの魔石で作られた通信の魔道具は、どんなに距離が離れていても特定の人物になら声を届けることができる特別なアイテムだ。
ただし、ミハエル以外と会話したい場合、相手の髪の毛や爪、血液など、個人を特定するアイテムが必要になる。
「なにかアデルさんを特定するアイテムは持ってきた?」
「うん。アデルお兄様からも魔石を貰ってるから」
ティアラは小指の爪ほどの、琥珀色の魔石を取り出す。
「これが師匠の魔石か!さすがの俺も初めて見たな」
「ほほう。これは美しいですな」
「さすがアデル殿ですね。これ程の大きさの魔石を産み出すには相当な魔力が必要なはず……」
メンバーからの称賛にティアラはすっかり嬉しくなった。
「えへへ。凄いでしょ。こっちはカミールお兄様の魔石で、こっちがお父様、こっちがお母様で……」
ティアラが大小様々な魔石を次々と並べていくのをみて、ジャイルが慌てて制止する。
「おい待て、もういい。師匠以外の分はしっかりしまっておけ!」
「こっちがジャイルでこっちがエリック……」
「わーわーわーわー!!!」
「ふーん……」
慌てて隠そうとしたジャイルの魔石をミハエルがヒョイっと取り上げる。ジャイルの炎魔法のように美しい輝きを放つ魔石は一際大きく、親指の爪程もある大きさだ。
「これ、一体何年掛かって作ったのさ」
明らかにいきすぎた大きさの魔石に、呆れたような表情を浮かべるミハエル。
「う、うるさいっ!どうでもいいだろっ!」
「全く、これだって立派な国宝級じゃないか。ジャイルだって、ティアラのこと言えないよ?」
「……最初に魔石を贈ったのはお前だろっ!お前よりデカイのやりたかったんだよ……」
真っ赤になるジャイルの顔をしげしげと覗き込んだミハエルは、ふぅ、と溜め息を漏らす。
「ほんっと、負けず嫌いなんだから」
「うるさい……」
「はい、ティアラ。勝手にさわってごめんね?これ使って、たまにはジャイルにも話し掛けてやってね」
ミハエルの言葉に首を傾げるティアラ。
「わざわざ魔道具を使わなくても、いつも一緒にいるじゃない」
「あー、まぁ……ね。ほら、ジャイルは負けず嫌いだからさ。ティアラがピンチのときに、誰よりも早く駆け付けたいんじゃない?でも、呼ばれたことないって拗ねてるんだよ」
「あはは、ミハエルの魔石をつかってるから、つい困ったことがあると、何でもミハエルに相談しちゃうんだよね。でもありがとうジャイル!ジャイルのことだって同じ位頼りにしてるよ!」
「……おう」
「私の魔石も是非使ってくださいね」
エリックの魔石は、真珠のようになめらかな光沢のある白い石の中心に、黄金の光が見える珍しいタイプだ。
「エリックの魔石、珍しいよなぁ」
「回復魔法と雷魔法が使えるからでしょうね」
「と言うことは、この魔石を使えば回復魔法と雷魔法が使えるようになるのか。……回復魔法をかけるふりして、雷撃浴びせることもできるってことに……」
「こわっ……さすがエリック。やることがエグいな」
「待ってください?私はそんなこと一言も言ってませんからね?」
「いや、その力で、今まで何人か闇に葬っててもおかしくないな」
「エリック様ならあり得ますね……」
「もう!二人ともエリックに意地悪言わないのっ!」
ティアラの言葉にまたミハエルとジャイルが笑い転げる。
「まったくもう!二人とも子どもなんだから。エリックがそんなことするわけないのにね」
ティアラの言葉に綺麗に微笑むエリック。
「お望みなら、今度ジャイルとミハエルには試してみましょうか」
「「こわっ」」
「冗談ですよ。冗談。ふふふ……」
結構心が狭いのであった。
「こういうときこそ、これの出番よね」
ティアラはミハエルから贈られたネックレスを自慢気にビシッと掲げた。ミハエルの魔石で作られた通信の魔道具は、どんなに距離が離れていても特定の人物になら声を届けることができる特別なアイテムだ。
ただし、ミハエル以外と会話したい場合、相手の髪の毛や爪、血液など、個人を特定するアイテムが必要になる。
「なにかアデルさんを特定するアイテムは持ってきた?」
「うん。アデルお兄様からも魔石を貰ってるから」
ティアラは小指の爪ほどの、琥珀色の魔石を取り出す。
「これが師匠の魔石か!さすがの俺も初めて見たな」
「ほほう。これは美しいですな」
「さすがアデル殿ですね。これ程の大きさの魔石を産み出すには相当な魔力が必要なはず……」
メンバーからの称賛にティアラはすっかり嬉しくなった。
「えへへ。凄いでしょ。こっちはカミールお兄様の魔石で、こっちがお父様、こっちがお母様で……」
ティアラが大小様々な魔石を次々と並べていくのをみて、ジャイルが慌てて制止する。
「おい待て、もういい。師匠以外の分はしっかりしまっておけ!」
「こっちがジャイルでこっちがエリック……」
「わーわーわーわー!!!」
「ふーん……」
慌てて隠そうとしたジャイルの魔石をミハエルがヒョイっと取り上げる。ジャイルの炎魔法のように美しい輝きを放つ魔石は一際大きく、親指の爪程もある大きさだ。
「これ、一体何年掛かって作ったのさ」
明らかにいきすぎた大きさの魔石に、呆れたような表情を浮かべるミハエル。
「う、うるさいっ!どうでもいいだろっ!」
「全く、これだって立派な国宝級じゃないか。ジャイルだって、ティアラのこと言えないよ?」
「……最初に魔石を贈ったのはお前だろっ!お前よりデカイのやりたかったんだよ……」
真っ赤になるジャイルの顔をしげしげと覗き込んだミハエルは、ふぅ、と溜め息を漏らす。
「ほんっと、負けず嫌いなんだから」
「うるさい……」
「はい、ティアラ。勝手にさわってごめんね?これ使って、たまにはジャイルにも話し掛けてやってね」
ミハエルの言葉に首を傾げるティアラ。
「わざわざ魔道具を使わなくても、いつも一緒にいるじゃない」
「あー、まぁ……ね。ほら、ジャイルは負けず嫌いだからさ。ティアラがピンチのときに、誰よりも早く駆け付けたいんじゃない?でも、呼ばれたことないって拗ねてるんだよ」
「あはは、ミハエルの魔石をつかってるから、つい困ったことがあると、何でもミハエルに相談しちゃうんだよね。でもありがとうジャイル!ジャイルのことだって同じ位頼りにしてるよ!」
「……おう」
「私の魔石も是非使ってくださいね」
エリックの魔石は、真珠のようになめらかな光沢のある白い石の中心に、黄金の光が見える珍しいタイプだ。
「エリックの魔石、珍しいよなぁ」
「回復魔法と雷魔法が使えるからでしょうね」
「と言うことは、この魔石を使えば回復魔法と雷魔法が使えるようになるのか。……回復魔法をかけるふりして、雷撃浴びせることもできるってことに……」
「こわっ……さすがエリック。やることがエグいな」
「待ってください?私はそんなこと一言も言ってませんからね?」
「いや、その力で、今まで何人か闇に葬っててもおかしくないな」
「エリック様ならあり得ますね……」
「もう!二人ともエリックに意地悪言わないのっ!」
ティアラの言葉にまたミハエルとジャイルが笑い転げる。
「まったくもう!二人とも子どもなんだから。エリックがそんなことするわけないのにね」
ティアラの言葉に綺麗に微笑むエリック。
「お望みなら、今度ジャイルとミハエルには試してみましょうか」
「「こわっ」」
「冗談ですよ。冗談。ふふふ……」
結構心が狭いのであった。
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