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第1章
23話 騎士団で突っぱねられる俺
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結局店で注文したのは、3人とも牛肉のタルタルとポテトフライ。この街で住む人がおすすめするものを素直に食べた方がいいという結論に達したし、いい加減お腹が空いていたからだ。
牛肉のタルタルは生の牛肉のたたきにオリーブオイルや刻んだネギが混じったシンプルな料理だ。これにトマトソースやマスタードなどを好みで混ぜて食べる。味付けはシンプルだが、牛肉そのものが美味しい上にいろいろな調味料と混ぜて味の変化を楽しむことができる。
カゴに盛られたバゲットの上に乗っけて、サラダと交互に食べる。うわ~美味しいなあ。
ポテトフライはこの店の自家製らしく、ほんのりと塩味が感じる程度に塩がふられている。これもトマトソースやマスタードをつけながら食べたけど美味しかった。
「牛肉のタルタルというこの料理は確かに美味いな。」
「そうだね。あたしも初めて食べたよ。新鮮な肉じゃないとここまでにはできない。」
「喜んでもらえてよかった。王都には世界中の素材を使った料理が楽しめるから、今度他のおすすめの店も紹介するよ。あ、そうだちなみに滞在場所は決めてあるか?」
初めこそ警戒してしまったが、キーレンはここまでの会話の中でとても気さくな人柄だということがわかった。
フードから垣間見える顔つきはとても整っており、フードを取ったら余程の美男子なのではないだろうか。
王都に辿り着いてからまっすぐギルドに向かったのでまだ宿は取っていない。これだけ大きな街だからどうとでもなると思っていたが、騎士団にいった後では遅いだろうか。
「それなら宿もこの後押さえてから騎士団の庁舎に行こう。値段の割に料理も美味しいおすすめの宿があるんだ。」
「それは助かる。任せてもいいだろうか。」
「もちろんだ。むしろそちらの方がギルバートに頼まれた役目だ。」
美味しいランチを食べ終えた後、キーレンの案内にしたがって一緒に宿に向かって2部屋の予約を1週間分取った。
持っていた荷物を部屋において、身軽になった上で騎士団の庁舎に向かう。
騎士団の庁舎もギルドと同様、カツールに比べてとても大きい。4階建ての庁舎で所々格子が見える。
俺はカツールの騎士団庁舎であったことを思い出して、身じろぎしてしまう。
「大丈夫か、タケル。」
クリスは俺の心情の機微に聡い。俺が困っているとき、嫌がっているときにさっと言葉をかけてくれる。
彼は自身が過酷な人生を歩んできたにも関わらず人には果てしなく優しい。
そんなところに惚れ込んだ。必ず彼を守って平和な世界を築くんだ。
「大丈夫です。ありがとう、クリスさん。」
ふっとクリスに向けて微笑むとクリスもふっと微笑んで俺の頭を撫でる。
「2人はとても仲がいいんだな。」
「タケルは俺の救世主なんだ。タケルは俺が守ると決めた。」
「へえ…そう思うまで何があったのか今度詳しく聞きたいものだな。」
「落ち着いたらな。」
「さあついたよ。キーレンどこに行けばいいんだい?」
庁舎の前でしばらく会話していたところにベレッタが口を挟む。きっと普段は落ち着いて見える彼女も内心では焦っているのだろう。彼女は誘拐事件の関係者でもある。
気を取り直して騎士団庁舎に入る。キーレンは慣れた足取りで入って右手に進んでいく。遅れないように後をついていくと、『生活安全課』と書かれた看板のついた部屋の前にたどり着いた。
コンコンとノックをすると中から「どうぞ」という声が聞こえる。目の前にはカウンターがあり、そこで話をするようだ。
「冒険者ギルドから派遣されたキーレンという。ギルド長より依頼書を預かってきたのであらためて貰いたい。」
カウンターで応対する騎士は不審げな顔でキーレンから渡された依頼書を眺める。しばらく読んでから思案げな表情を浮かべて、依頼書を持ったまま奥の方にいってしまった。
「持っていっちゃいましたね。」
「うん。彼では判断できないからだろう。きっと部署のトップが出てくるよ。」
キーレンの言う通りしばらくすると最初に応対した騎士がかったるそうに戻ってきた。
「課長が対応するとのことなので、あちらの部屋で少しお待ちください。」
いきなり課長が対応するとは、騎士団ではそれなりに大きい扱いなのだろうか。
騎士の指示通り入ってきたドアの反対側にある応接室と書かれた部屋に移動して、10分ほど待った。
「お待たせしましたな。」
ガチャっとドアが空き姿を見せたのは腹の突き出た課長だった。
彼はふうふうと言いながら、汗を拭きつつ正面の席に着いた。
「突然の申し出で悪いが、誘拐事件の情報について共有させてもらいたいんだが。」
「その事件につきましては、騎士団でも極秘に捜査を進めているところでして、みだりに外部には漏らせない情報も多いのです。ギルド長の依頼といえど、外部の民間組織に慎重な対応が求められる本件について提供できる情報はありません。申し訳ありませんがお引き取りください。」
「緊急時の相互協力協定があるはずだが。」
「上層部より本件に関しましては相互協力協定の範囲外と指示されております。従って私の判断で情報を出すわけにはいきません。」
言葉の上では丁寧だが、言っている内容は協定を無視して、大人しく帰れというものだ。
「騎士団が一方的に協定を反故にすると言うことか!?」
「誘拐された子供たちを助けたくないのかい?ここは協力し合って一刻も早く救出するべきだろ?」
キーレンとベレッタが詰問する口調で目の前の課長に詰め寄る。課長は冷や汗をかきながらふうふう言っている。
しかし顔からは明らかに拒絶の顔色を示している。
さて、課長のステータスを確認して彼が今考えていることが何か調べてみよう。
心の中で「ライブラリー」と唱えると、視界にウインドウが立ち上がり目の前の課長のステータスが表示される。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ダンカン・ビアージョ
属性 水 LV 15
王都 騎士団所属 警ら隊 生活安全課長
・
・
・
『あああああ、もう早く帰ってくれ』
『この件に関わるとろくなことにならん!』
『あの方に目をつけられたらおしまいだ』
・
・
・
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
余計な情報は飛ばして、彼の思考に関する部分だけ注目した。
案の定迷惑に感じているようだ。「あの方」?あの方というのが騎士団の内部の人間なのかどうかはわからないが、課長よりも上位の人間であることは間違い無いだろう。
しばらく課長たちと言い合いをしたが、課長の拒絶の姿勢は頑なでしまいには無理矢理追い出されてしまった。
これ以上の情報は集められるわけではなさそうで、今日のところは諦めて帰るしかなかった。
牛肉のタルタルは生の牛肉のたたきにオリーブオイルや刻んだネギが混じったシンプルな料理だ。これにトマトソースやマスタードなどを好みで混ぜて食べる。味付けはシンプルだが、牛肉そのものが美味しい上にいろいろな調味料と混ぜて味の変化を楽しむことができる。
カゴに盛られたバゲットの上に乗っけて、サラダと交互に食べる。うわ~美味しいなあ。
ポテトフライはこの店の自家製らしく、ほんのりと塩味が感じる程度に塩がふられている。これもトマトソースやマスタードをつけながら食べたけど美味しかった。
「牛肉のタルタルというこの料理は確かに美味いな。」
「そうだね。あたしも初めて食べたよ。新鮮な肉じゃないとここまでにはできない。」
「喜んでもらえてよかった。王都には世界中の素材を使った料理が楽しめるから、今度他のおすすめの店も紹介するよ。あ、そうだちなみに滞在場所は決めてあるか?」
初めこそ警戒してしまったが、キーレンはここまでの会話の中でとても気さくな人柄だということがわかった。
フードから垣間見える顔つきはとても整っており、フードを取ったら余程の美男子なのではないだろうか。
王都に辿り着いてからまっすぐギルドに向かったのでまだ宿は取っていない。これだけ大きな街だからどうとでもなると思っていたが、騎士団にいった後では遅いだろうか。
「それなら宿もこの後押さえてから騎士団の庁舎に行こう。値段の割に料理も美味しいおすすめの宿があるんだ。」
「それは助かる。任せてもいいだろうか。」
「もちろんだ。むしろそちらの方がギルバートに頼まれた役目だ。」
美味しいランチを食べ終えた後、キーレンの案内にしたがって一緒に宿に向かって2部屋の予約を1週間分取った。
持っていた荷物を部屋において、身軽になった上で騎士団の庁舎に向かう。
騎士団の庁舎もギルドと同様、カツールに比べてとても大きい。4階建ての庁舎で所々格子が見える。
俺はカツールの騎士団庁舎であったことを思い出して、身じろぎしてしまう。
「大丈夫か、タケル。」
クリスは俺の心情の機微に聡い。俺が困っているとき、嫌がっているときにさっと言葉をかけてくれる。
彼は自身が過酷な人生を歩んできたにも関わらず人には果てしなく優しい。
そんなところに惚れ込んだ。必ず彼を守って平和な世界を築くんだ。
「大丈夫です。ありがとう、クリスさん。」
ふっとクリスに向けて微笑むとクリスもふっと微笑んで俺の頭を撫でる。
「2人はとても仲がいいんだな。」
「タケルは俺の救世主なんだ。タケルは俺が守ると決めた。」
「へえ…そう思うまで何があったのか今度詳しく聞きたいものだな。」
「落ち着いたらな。」
「さあついたよ。キーレンどこに行けばいいんだい?」
庁舎の前でしばらく会話していたところにベレッタが口を挟む。きっと普段は落ち着いて見える彼女も内心では焦っているのだろう。彼女は誘拐事件の関係者でもある。
気を取り直して騎士団庁舎に入る。キーレンは慣れた足取りで入って右手に進んでいく。遅れないように後をついていくと、『生活安全課』と書かれた看板のついた部屋の前にたどり着いた。
コンコンとノックをすると中から「どうぞ」という声が聞こえる。目の前にはカウンターがあり、そこで話をするようだ。
「冒険者ギルドから派遣されたキーレンという。ギルド長より依頼書を預かってきたのであらためて貰いたい。」
カウンターで応対する騎士は不審げな顔でキーレンから渡された依頼書を眺める。しばらく読んでから思案げな表情を浮かべて、依頼書を持ったまま奥の方にいってしまった。
「持っていっちゃいましたね。」
「うん。彼では判断できないからだろう。きっと部署のトップが出てくるよ。」
キーレンの言う通りしばらくすると最初に応対した騎士がかったるそうに戻ってきた。
「課長が対応するとのことなので、あちらの部屋で少しお待ちください。」
いきなり課長が対応するとは、騎士団ではそれなりに大きい扱いなのだろうか。
騎士の指示通り入ってきたドアの反対側にある応接室と書かれた部屋に移動して、10分ほど待った。
「お待たせしましたな。」
ガチャっとドアが空き姿を見せたのは腹の突き出た課長だった。
彼はふうふうと言いながら、汗を拭きつつ正面の席に着いた。
「突然の申し出で悪いが、誘拐事件の情報について共有させてもらいたいんだが。」
「その事件につきましては、騎士団でも極秘に捜査を進めているところでして、みだりに外部には漏らせない情報も多いのです。ギルド長の依頼といえど、外部の民間組織に慎重な対応が求められる本件について提供できる情報はありません。申し訳ありませんがお引き取りください。」
「緊急時の相互協力協定があるはずだが。」
「上層部より本件に関しましては相互協力協定の範囲外と指示されております。従って私の判断で情報を出すわけにはいきません。」
言葉の上では丁寧だが、言っている内容は協定を無視して、大人しく帰れというものだ。
「騎士団が一方的に協定を反故にすると言うことか!?」
「誘拐された子供たちを助けたくないのかい?ここは協力し合って一刻も早く救出するべきだろ?」
キーレンとベレッタが詰問する口調で目の前の課長に詰め寄る。課長は冷や汗をかきながらふうふう言っている。
しかし顔からは明らかに拒絶の顔色を示している。
さて、課長のステータスを確認して彼が今考えていることが何か調べてみよう。
心の中で「ライブラリー」と唱えると、視界にウインドウが立ち上がり目の前の課長のステータスが表示される。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ダンカン・ビアージョ
属性 水 LV 15
王都 騎士団所属 警ら隊 生活安全課長
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『あああああ、もう早く帰ってくれ』
『この件に関わるとろくなことにならん!』
『あの方に目をつけられたらおしまいだ』
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☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
余計な情報は飛ばして、彼の思考に関する部分だけ注目した。
案の定迷惑に感じているようだ。「あの方」?あの方というのが騎士団の内部の人間なのかどうかはわからないが、課長よりも上位の人間であることは間違い無いだろう。
しばらく課長たちと言い合いをしたが、課長の拒絶の姿勢は頑なでしまいには無理矢理追い出されてしまった。
これ以上の情報は集められるわけではなさそうで、今日のところは諦めて帰るしかなかった。
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