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第1章
24話 騎士団長と会う俺
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騎士団の庁舎から厄介者のように追い出された俺たちは、とりあえずそのままギルドに戻り午前中に打ち合わせた情報コーナーの個室で一旦休憩を取ることにした。
こんなことでもなければおすすめのカフェもあるんだがな…と言ってくれたキーレンには悪いけど、こんな話往来の前で堂々と話すわけにも行かない。
代わりにはならないが…とそれぞれにギルドのカフェコーナーで買ってきたコーヒーを持ってきてくれた。
俺はそのままでは飲めないので、多めにクリームとシロップをもらった。
ブラックのままで飲めないということは言ってはいなかったのだが、クリスが聞いてくれて助かった。
「ありがとうございます。よく分かりましたね。僕がブラック飲めないって。」
「タケルはうちで食べた時も甘めの味付けが好きだったから、もしかしたらと思ってな。」
もう、こういうさりげない優しさがいいんだよ…うちのクリスは。
もう一生推します!
「それにしてもなんだかこっちが悪いみたいなあの言い草にはまいったね。話には聞いていたがひどいものだ。まさか協定まで堂々と破るとは思っていなかった。」
「上層部が…みたいなこと言ってけど、あんたはどう思う?あたしはかなり上位の人間が絡んでいると思うんだけどね。」
「そうだな。そうでなければ一課長がギルドの依頼を突っぱねるなんてこと考えられない。組織としての返答だからあれだけの無礼が働けるのだろう。騎士団も所詮は勤め人ということだ。」
そこまで話すとコンコンというノック音が聞こえた。
キーレンがドアの近くにいくとギルドの女性職員が小声で何かを伝えている。
要件を済ませると、さっと職員は戻っていった。
「どうやら今騎士団長がギルドを訪れているらしい。まっすぐギルド長の元に向かったらしいが、おそらく先程の件についてだろうな。」
「騎士団長自らお出ましか…余程調べられては困るらしいな。」
「まあ、もしかしたら直接何か説明に来たかもしれないが…。ちょっと顔を見にいくか。」
キーレンがそういうと飲んでいたコーヒーはそのままにして、騎士団長とすれ違うであろう階段近くまで移動した。
階段が見える場所に到着して間も無く、上からガッガッと大きな足音をさせながら降りてくる音が聞こえた。
おそらく騎士団長だろう。足音に苛立ちが表れている気がする。上での用事を済ませたらしくさっさと帰るらしい。
2階にまで降りてきたところで、俺たちの姿を認めると騎士団長は下に降りようとしたのをやめて、まっすぐこちらに向かってきた。まさか話しかけてくる!?
騎士団長は俺たちの前にまでくると、腰に手をあてて見下す態度を見せながら話しかけてきた。
「お前たちか、あの事件を調査しているというのは。」
「そうだが、騎士団は協力する気はないようだな。」
威圧感たっぷりの騎士団長の前にたってもみじろぎひとつしないクリスは頼もしい。
俺たちの前面に出てまっすぐ騎士団長の顔を見ながら、応対している。
「ふん。お前たち如きだけで調査できる案件ではない。ギルバートも何を考えているのかわからんが、余計な手間をかけさせるな。この事件は我々の方で調査する。お前たちは薬草採取でもしているがいい。」
とてもじゃないが、とんでもない見下した態度に頭がカッと熱くなる。
この…と言いかけたところで、ベレッタが言葉を続ける。
「その割にはあまり本腰で調べているようには見えないけどね。」
ベレッタがボソッと呟くと騎士団長は顔をカッと赤くして、怒号をあげた。
「冒険者如きが、騎士団の調査方法に意見するとはいい度胸だ!ならばお前たちの力だけで解決してみせるがいい。無理だろうがな!」
ベレッタのおかげで一言のおかげで逆に冷静に慣れた俺は心の中で「ライブラリー」と唱えた。
目の前にウインドウが表示される。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
フランク・フライ
属性 風 LV 35
ファーレン王国 騎士団長
・
・
・
『邪魔な奴らだ』
『余計な詮索をしおって』
『明日の引き渡しには近づかせないようにしないと』
『念の為港には警備を多くしておくか』
・
・
・
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「明日引き渡し」「港」だって!?
思ったよりもタイムリミットは近いようだ。心の中にどうしようもない焦りを感じてしまう。
目の前の騎士団長の気炎など気にならないほど俺はガクガクしてしまった。
「なんだそいつは。ちょっと怒鳴ったらビクビクしおって、みるからに弱そうだな?ほんとにギルドは当てにならん。ほれ、さっさと薬草採取の依頼を受けに行け。」
振り払うように手をひらひらとさせながら、フランク騎士団長は笑って階段を降りていった。
「タケル!大丈夫か?」
ガクガク震える俺にクリスが肩を支えてくれた。やばい、時間がない。どうしよう…。
早くこのことを伝えたいが、下手な伝え方をしてしまうと俺の正体がわかってしまう。
さすがに俺の正体がわかったら、クリスも俺のことを普通には見てくれなくなるだろう。
クリスに背中をさすられて落ち着いた俺は、う~んと悩んだ挙句一つの結論に達した。
早く伝える方法、それは「お告げ」しかない。クリスに「お告げ」を伝えることができれば、子供たちの救助に間に合うかもしれない。
だいぶ遠回りな方法ではあるが、気になっていた王都の教会のこともあるしここに向かうように提案してみよう。
「クリスさん!この際神様にお願いをして「お告げ」をいただくというのはどうでしょう?」
「え?突然どうしたタケル?」
「早く子供たちを助けないと遠いところに連れ去られてしまうかもしれません!そうなったら助け出すのはもう不可能です。できるだけ早く助けるためにも神様に手助けを願ってみてはどうでしょうか?やるだけやってみるだけでも!」
自分しか明日がタイムリミットということを知らないことがもどかしい。多少強引だが何より子供たちを助けるためになんとか「お告げ」で今知ったことを伝えないと!
「わかった、タケルやるだけやってみよう。」
「そういえばクリスは神から「お告げ」をもたらされたことがあったのだったな。それならば可能性はある。幸い王都には大聖堂もある。行ってみよう。」
キーレンの後押しもあり、王都の大聖堂に行き直接神に訴えかけることになったのであった。
こんなことでもなければおすすめのカフェもあるんだがな…と言ってくれたキーレンには悪いけど、こんな話往来の前で堂々と話すわけにも行かない。
代わりにはならないが…とそれぞれにギルドのカフェコーナーで買ってきたコーヒーを持ってきてくれた。
俺はそのままでは飲めないので、多めにクリームとシロップをもらった。
ブラックのままで飲めないということは言ってはいなかったのだが、クリスが聞いてくれて助かった。
「ありがとうございます。よく分かりましたね。僕がブラック飲めないって。」
「タケルはうちで食べた時も甘めの味付けが好きだったから、もしかしたらと思ってな。」
もう、こういうさりげない優しさがいいんだよ…うちのクリスは。
もう一生推します!
「それにしてもなんだかこっちが悪いみたいなあの言い草にはまいったね。話には聞いていたがひどいものだ。まさか協定まで堂々と破るとは思っていなかった。」
「上層部が…みたいなこと言ってけど、あんたはどう思う?あたしはかなり上位の人間が絡んでいると思うんだけどね。」
「そうだな。そうでなければ一課長がギルドの依頼を突っぱねるなんてこと考えられない。組織としての返答だからあれだけの無礼が働けるのだろう。騎士団も所詮は勤め人ということだ。」
そこまで話すとコンコンというノック音が聞こえた。
キーレンがドアの近くにいくとギルドの女性職員が小声で何かを伝えている。
要件を済ませると、さっと職員は戻っていった。
「どうやら今騎士団長がギルドを訪れているらしい。まっすぐギルド長の元に向かったらしいが、おそらく先程の件についてだろうな。」
「騎士団長自らお出ましか…余程調べられては困るらしいな。」
「まあ、もしかしたら直接何か説明に来たかもしれないが…。ちょっと顔を見にいくか。」
キーレンがそういうと飲んでいたコーヒーはそのままにして、騎士団長とすれ違うであろう階段近くまで移動した。
階段が見える場所に到着して間も無く、上からガッガッと大きな足音をさせながら降りてくる音が聞こえた。
おそらく騎士団長だろう。足音に苛立ちが表れている気がする。上での用事を済ませたらしくさっさと帰るらしい。
2階にまで降りてきたところで、俺たちの姿を認めると騎士団長は下に降りようとしたのをやめて、まっすぐこちらに向かってきた。まさか話しかけてくる!?
騎士団長は俺たちの前にまでくると、腰に手をあてて見下す態度を見せながら話しかけてきた。
「お前たちか、あの事件を調査しているというのは。」
「そうだが、騎士団は協力する気はないようだな。」
威圧感たっぷりの騎士団長の前にたってもみじろぎひとつしないクリスは頼もしい。
俺たちの前面に出てまっすぐ騎士団長の顔を見ながら、応対している。
「ふん。お前たち如きだけで調査できる案件ではない。ギルバートも何を考えているのかわからんが、余計な手間をかけさせるな。この事件は我々の方で調査する。お前たちは薬草採取でもしているがいい。」
とてもじゃないが、とんでもない見下した態度に頭がカッと熱くなる。
この…と言いかけたところで、ベレッタが言葉を続ける。
「その割にはあまり本腰で調べているようには見えないけどね。」
ベレッタがボソッと呟くと騎士団長は顔をカッと赤くして、怒号をあげた。
「冒険者如きが、騎士団の調査方法に意見するとはいい度胸だ!ならばお前たちの力だけで解決してみせるがいい。無理だろうがな!」
ベレッタのおかげで一言のおかげで逆に冷静に慣れた俺は心の中で「ライブラリー」と唱えた。
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フランク・フライ
属性 風 LV 35
ファーレン王国 騎士団長
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『邪魔な奴らだ』
『余計な詮索をしおって』
『明日の引き渡しには近づかせないようにしないと』
『念の為港には警備を多くしておくか』
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「明日引き渡し」「港」だって!?
思ったよりもタイムリミットは近いようだ。心の中にどうしようもない焦りを感じてしまう。
目の前の騎士団長の気炎など気にならないほど俺はガクガクしてしまった。
「なんだそいつは。ちょっと怒鳴ったらビクビクしおって、みるからに弱そうだな?ほんとにギルドは当てにならん。ほれ、さっさと薬草採取の依頼を受けに行け。」
振り払うように手をひらひらとさせながら、フランク騎士団長は笑って階段を降りていった。
「タケル!大丈夫か?」
ガクガク震える俺にクリスが肩を支えてくれた。やばい、時間がない。どうしよう…。
早くこのことを伝えたいが、下手な伝え方をしてしまうと俺の正体がわかってしまう。
さすがに俺の正体がわかったら、クリスも俺のことを普通には見てくれなくなるだろう。
クリスに背中をさすられて落ち着いた俺は、う~んと悩んだ挙句一つの結論に達した。
早く伝える方法、それは「お告げ」しかない。クリスに「お告げ」を伝えることができれば、子供たちの救助に間に合うかもしれない。
だいぶ遠回りな方法ではあるが、気になっていた王都の教会のこともあるしここに向かうように提案してみよう。
「クリスさん!この際神様にお願いをして「お告げ」をいただくというのはどうでしょう?」
「え?突然どうしたタケル?」
「早く子供たちを助けないと遠いところに連れ去られてしまうかもしれません!そうなったら助け出すのはもう不可能です。できるだけ早く助けるためにも神様に手助けを願ってみてはどうでしょうか?やるだけやってみるだけでも!」
自分しか明日がタイムリミットということを知らないことがもどかしい。多少強引だが何より子供たちを助けるためになんとか「お告げ」で今知ったことを伝えないと!
「わかった、タケルやるだけやってみよう。」
「そういえばクリスは神から「お告げ」をもたらされたことがあったのだったな。それならば可能性はある。幸い王都には大聖堂もある。行ってみよう。」
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