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03.

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「次は聖女さまにおいで頂きましょう。クリスティーヌ伯爵嬢ここへ」

 私の義妹のクリスティーヌが神父さまに呼ばれた。腰まである銀髪が教会のステンドグラスの光を受けて七色に輝いて見える。さすが、聖女さま。教会の雰囲気まで味方につけるのね。私の黒髪とは正反対ね。人々はあれこそが、聖女さまの証。とかなんとか言うのだけれど。そんなの大噓じゃない。あの子は子供ながらに魔族なんだから。聖女クリスティーヌ。あなたは人ですらない。いいわ。これが私の……二度目の人生になるのなら……今度こそ、その正体を暴いて、しっかりお返ししてあげなきゃ。

 聖歌隊を率いてクリスティーヌが美しい歌声を奏でるので、町人だけでなく私たち来賓席の貴族たちもうっとりとした様子で眺めている。

 はっきり言って悔しい。私だって、聖女になればあれぐらいできるはずなのに。だいたい、魔族なのにどうやって聖女の証がクリスティーヌの手の甲に浮かび上がるのか分からないわ。ほんと、もう信じられない。

「娘が聖女として認められるなんて数か月前まで夢にも思わなかったな」

 そういって、嬉しそうにため息をつく私のお父さま。私より少し高いぐらいの身長。お父さまの髪色は間違いなく私が受け継いだ。それなのに、お父さまはクリスティーヌばかりかわいがる。彼女が聖女になってからよ。

 私とクリスティーヌは屋敷で毎日歌のレッスンを受けたわ。だけど、お父さまには「なんてできの悪い。音痴にもほどがある」と私だけ言われたの。

 だってそうなるしかないじゃない。お父さまは私には歌の先生をつけてくれなかったんですもの。「女神様に心が通じていないからだ」とも言っていたわね。お祈りのことを言うのならそれも仕方なかった。お祈りの種類はたくさんあるの。間違えて唱えると魔力が暴走するとも聞くし。

 ちゃんとした先生に教わらないといけないと思ってさぼっていたのよ。ああ、ほんとう以前の私を叱ってやりたい。このままだと、あなたギロチンにかけられるわよって。
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