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虹の竜と子どもの心
第四話
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メラミは城の外に出ると、
待っていてくれた
白猫と小鳥の三姉妹に、
パパとママを説得できたことを伝え、
早速、出発の準備に取り掛かった。
黒と白、二つの国ではたった今、
虹の雲から降り注ぐ
『子どもの心』を解放するために、
初めて力を合わせて
虹の竜に立ち向かうことを
決めたのだった。
パパが黒猫国に、
ママが白猫国に出向いて、
剣士と魔法使い、
それぞれ精鋭二十匹、
総勢四十匹を出発隊として選ぶと、
レンガの橋にかかる、
小さな城の前に全員が集合した。
もちろん白猫三姉妹も、
出発隊に選ばれている。
いざ出発、となったその時だった。
「オレたちも行く!」
黒猫のアオとミドリの双子の兄弟が、
メラミの前に走り寄ってきた。
「だめにゃ!」
メラミが大声で制するも、
「オレたちだって、
役に立ちたいんだよ!」
ぷっくりとほっぺをふくらませ、
それでも真剣な眼差しで訴えてきた。
メラミは、なんとか双子をなだめようと、
「子どもを連れては、いけないのにゃ」
と言ったが、双子も負けじと叫ぶ。
「メラミ様だって、
まだ子どもじゃないか!」
「……」
これにはメラミも、言葉が出なかった。
確かに。
メラミはまだ子どもだ。
ほんのついこの間、
十三才になったばかり。
大人になるには、あと五年ほどかかる。
でも竜は、『子どもの心』を
奪う力を持っているのだ。
この双子を港町に連れて行って、
もしその心を奪われたら…と考えると、
とてもじゃないが、
怖くてそんなことできやしない。
頑として、言うことを聞かなそうな
双子に困っていると、
「メラミさんが、
この子たちを
守ってあげればいいんじゃない?」
小鳥のパティーが
メラミの目の前で飛び回り、
羽ばたきながら言った。
「メラミさんのほうきに
この子たちを乗せて、連れていって
あげればいいんじゃない?」
「……」
パティーの表情から察したメラミは、
あっけにとられて何も言えなかった。
さては、双子に出発することを
知らせたのもパティーに違いないのにゃ。
メラミが、無茶をしないか心配で、
双子を連れていけば、
無理なことはしないと考えたのだろう。
メラミの推測どおり、
パティーがメラミの身を案じて
双子に知らせたのだが、それでも、
パティーは知らんふりを決め、
ニコニコしている。
(なかなかの、策士だにゃ…)
メラミは仕方がないにゃ、と諦めて、
ひと息吐いてから言った。
「わかった、連れていくにゃ。
でも絶対に、メラミの傍から
離れないでいるのにゃ」
メラミのその言葉で双子は
「よっしゃあ!」
と、小さくガッツポーズを作り、
パティーは双子にだけわかるよう、
こっそり投げウインクをした。
出発隊は、総勢で四十匹。
黒猫と白猫それぞれペアを組み、
二十組の隊列で出発した。
白猫が魔法で操るほうきに、
黒猫の剣士が一緒に乗り込む。
空を飛ぶため、
白猫の腰に手をまわして
黒猫がつかまる形になるのだが、
最初、猫たちは戸惑いを隠せなかった。
黒猫の剣士、白猫の魔法使い。
互いにいがみ合い、
どちらが強くて賢くて、
と自慢し合っていたような仲だ。
それが今回協力して
虹の竜に挑もうというのだから、
そう簡単には割り切れないだろう。
お互い疑心暗鬼のまま、
港町を目指して飛び進んでいく。
メラミは、自分の剣を腰に携え、
後ろに双子を乗せて空を飛んでいた。
先頭グループにはいるが、
一番の先頭を飛ぶのはパパとママ。
やはりパパは、
黒猫だが魔法が使えるようだ。
魔法で作り出したほうきにまたがると、
いとも簡単に宙に浮かんだ。
そしてママも、
白猫だが剣を扱えるようだ。
魔法で作り出した大剣を背中に背負い、
自分のほうきで飛び進む。
トラばあちゃんの
『旅日記』に書かれていた、
黒猫の子猫が白猫の子猫を、
魔法の力で助けたという記述は、
パパとママの
子どもの頃の話なのかもしれない。
港町は、夕べ見た光景と変わらず、
大量のあめ玉が降り続いていた。
上空は虹色に輝く雲に覆われて、
竜の姿は見えないが、
バラバラと降り止まない
あめ玉の量に皆、息をのむ。
「加護の魔法を発動させよ!」
ママが合図をすると、
白猫たちが加護の魔法を発動させた。
それは、ほうきの後ろに乗る、
黒猫の体をも守る広範囲の魔法だ。
「一同、進め!」
パパの合図で、二十組の猫たちは、
それぞれ行動を開始した。
町の五つのエリア(中央と東西南北)に
四組ずつ分かれて向かい、一つでも
多くあめ玉に閉じ込められた
『子どもの心』の結晶化を解く。
白猫が魔法でほうきを操縦し、
空を駆ける。
その同じほうきの上では、
器用に立ち上がった黒猫が、
得意の剣技で、あめ玉をたたき切り
結晶化を解いていく。
町の中央エリアを任されたメラミは、
双子がほうきから落ちないように
操縦を安定させつつ、
自分も剣を振るってあめ玉を切っていた。
それと同時にメラミは、
同じ中央エリアのパパとママが、
それぞれ単独でほうきを操り、
各々の剣を振るうところを目の端で追う。
メラミは、こんな非常事の中でも
感動している自分に気がついた。
パパとママが
一緒に何かをしている姿など、
生まれて初めて見たのだ。
それも同じ目的を果たすため、
二人で一緒に協力している姿を。
メラミは感動で心が激しく動き、
涙がにじんでくるのがわかったが、
(今は、そんな場合じゃないのにゃ)
と自分に言い聞かせ、
あめ玉を切ることに意識を集中させた。
結晶化を解かれた『子どもの心』は、
煙のように消えていき、
元の持ち主のところへと帰っていく。
誰の心なのかはわからないけれど、
以前と様子が変わってしまった、
その子どもを心配していた誰かが、
きっとこれで安心するのだろう。
東と西、北と南、中央と、
それぞれのエリアにいる
猫たちの働きにより、
多くのあめ玉が
解放されているようだった。
メラミたちが行動を開始してから、
小一時間ほど経過したときだった。
虹色の雲からゴーォと地響きのような
うなり声が響き出すと、
虹色の竜が姿を現した。
港町で起きている異変に、
ようやく気がついたようだ。
初めて見る竜の大きさと
強大な威圧感に、
猫たちは一瞬ひるんで
戦意を喪失しかけたが、
「みんな行動を続けるのにゃ!」
メラミの声で
再び結晶化を解くことに専念し始めた。
それでも虹の竜の
「お前たちは何をしている?」
ほえるような低い大声が響き渡ると、
全員、体が固まったように
その場で動けなくなってしまった。
メラミも、
初めてたいじする強烈な威圧感に、
どう対処していいのかわからない。
「お前たちは、
灰色の猫のまつえいだな」
竜は、口を開けることなく、
直接みんなの頭の中へと言葉を響かせた。
「何故、
また同じ愚かなことをしているのだ?」
愚かなこと、なのだろうか?
メラミたちの先祖である灰色の猫たちは、
『子どもの心』を解放するために行動した。
その結果、竜の怒りに触れ、
体の色を変えられ、国を分けられ、
いがみ合いという
偽物の記憶を植え付けられた。
それは悲しいこと。
そう、とても悲しいことなのだ。
竜は、どうしてそんな
ひどいことをしたのだろう?
自分のエネルギーとなる
『子どもの心』を解放されたくないからだ。
どうして解放されたくないのか?
それは、『子どもの心』が
自分のエネルギーとして必要だからだ。
でもどうしてそれは、
『子どもの心』でなければ
ならないのだろう?
別のもので代用することは
できないのだろうか?
「また自国を滅ぼされたいのか?」
竜が、脅しをかけるように言うと、
「そうはさせない」
なんとパパが竜に向かっていった。
魔法で炎を生み出すと、
それは竜と同じぐらいの
長さにまで成長して、
らせん状の動きをしながら
鎖のように竜の体に巻き付いた。
すかさずママも、
魔法で大きな水の塊を造り出し、
竜に向けて放つと、
竜の体を覆って
身動きが取れないようにした。
すごい!
パパもママもすごいのにゃ、
と思った瞬間。
竜が地鳴りのような
低いうなり声をあげると、
炎の鎖も水の塊も断ち切られてしまい、
パパとママは、その竜の声の圧力で
吹き飛ばされてしまった。
「!」
メラミは双子に、
絶対にほうきから降りないように、
と言い聞かせ、
自分はほうきから飛び降りると、
すぐさま魔法で新たなほうきを
作り出して飛び乗った。
そして再び、
加護の魔法を自分の周りに発動させ、
急いでパパとママを探しに行く。
(どこにいるのにゃ?)
あめ玉は容赦なく降り続けている。
民家の屋根や建物の屋上、
メラミはきょろきょろと見まわして
必死で二人の姿を探す。
怪我をしていたらどうしよう、
早く見つけなくちゃ。
せっかく、パパとママが
仲良くなれそうだったのに。
もしかしたら、
降り積もったこのあめ玉の中に、
落ちてしまったのだろうか?
その時だった。
ふみゃあ、ふみゃあ。
か細い鳴き声がふたつ、
メラミのすぐ近くから聞こえてきた。
(なんにゃ、どこにゃ?)
耳を澄ませると近くの民家の二階、
ひさしのあるバルコニーで、
黒と白、二匹の小さな子猫が
鳴き声を上げているのが見えた。
まさか…と思い近寄ってみると、
二匹は黒と白、それぞれ王家の紋章が
付いた腕輪をつけている。
間違いない、パパとママだった。
どうしよう、
パパとママが、子猫になってしまった。
これも、竜の力のせいなのだろうか?
メラミは、黒と白、
子猫の姿になってしまったパパとママに、
急いで加護の魔法をかけると、
二匹をそっと抱き上げた。
上空を仰ぎ見ると、そこには、
夜空を悠々と旋回している竜の姿があった。
(ダメにゃ……撤退するのにゃ)
メラミは首にかけていた笛を口にくわえ、
大きく息を吸ってピーっと吹き、
あらかじめ取り決めをしていた、
撤退の合図を出した。
待っていてくれた
白猫と小鳥の三姉妹に、
パパとママを説得できたことを伝え、
早速、出発の準備に取り掛かった。
黒と白、二つの国ではたった今、
虹の雲から降り注ぐ
『子どもの心』を解放するために、
初めて力を合わせて
虹の竜に立ち向かうことを
決めたのだった。
パパが黒猫国に、
ママが白猫国に出向いて、
剣士と魔法使い、
それぞれ精鋭二十匹、
総勢四十匹を出発隊として選ぶと、
レンガの橋にかかる、
小さな城の前に全員が集合した。
もちろん白猫三姉妹も、
出発隊に選ばれている。
いざ出発、となったその時だった。
「オレたちも行く!」
黒猫のアオとミドリの双子の兄弟が、
メラミの前に走り寄ってきた。
「だめにゃ!」
メラミが大声で制するも、
「オレたちだって、
役に立ちたいんだよ!」
ぷっくりとほっぺをふくらませ、
それでも真剣な眼差しで訴えてきた。
メラミは、なんとか双子をなだめようと、
「子どもを連れては、いけないのにゃ」
と言ったが、双子も負けじと叫ぶ。
「メラミ様だって、
まだ子どもじゃないか!」
「……」
これにはメラミも、言葉が出なかった。
確かに。
メラミはまだ子どもだ。
ほんのついこの間、
十三才になったばかり。
大人になるには、あと五年ほどかかる。
でも竜は、『子どもの心』を
奪う力を持っているのだ。
この双子を港町に連れて行って、
もしその心を奪われたら…と考えると、
とてもじゃないが、
怖くてそんなことできやしない。
頑として、言うことを聞かなそうな
双子に困っていると、
「メラミさんが、
この子たちを
守ってあげればいいんじゃない?」
小鳥のパティーが
メラミの目の前で飛び回り、
羽ばたきながら言った。
「メラミさんのほうきに
この子たちを乗せて、連れていって
あげればいいんじゃない?」
「……」
パティーの表情から察したメラミは、
あっけにとられて何も言えなかった。
さては、双子に出発することを
知らせたのもパティーに違いないのにゃ。
メラミが、無茶をしないか心配で、
双子を連れていけば、
無理なことはしないと考えたのだろう。
メラミの推測どおり、
パティーがメラミの身を案じて
双子に知らせたのだが、それでも、
パティーは知らんふりを決め、
ニコニコしている。
(なかなかの、策士だにゃ…)
メラミは仕方がないにゃ、と諦めて、
ひと息吐いてから言った。
「わかった、連れていくにゃ。
でも絶対に、メラミの傍から
離れないでいるのにゃ」
メラミのその言葉で双子は
「よっしゃあ!」
と、小さくガッツポーズを作り、
パティーは双子にだけわかるよう、
こっそり投げウインクをした。
出発隊は、総勢で四十匹。
黒猫と白猫それぞれペアを組み、
二十組の隊列で出発した。
白猫が魔法で操るほうきに、
黒猫の剣士が一緒に乗り込む。
空を飛ぶため、
白猫の腰に手をまわして
黒猫がつかまる形になるのだが、
最初、猫たちは戸惑いを隠せなかった。
黒猫の剣士、白猫の魔法使い。
互いにいがみ合い、
どちらが強くて賢くて、
と自慢し合っていたような仲だ。
それが今回協力して
虹の竜に挑もうというのだから、
そう簡単には割り切れないだろう。
お互い疑心暗鬼のまま、
港町を目指して飛び進んでいく。
メラミは、自分の剣を腰に携え、
後ろに双子を乗せて空を飛んでいた。
先頭グループにはいるが、
一番の先頭を飛ぶのはパパとママ。
やはりパパは、
黒猫だが魔法が使えるようだ。
魔法で作り出したほうきにまたがると、
いとも簡単に宙に浮かんだ。
そしてママも、
白猫だが剣を扱えるようだ。
魔法で作り出した大剣を背中に背負い、
自分のほうきで飛び進む。
トラばあちゃんの
『旅日記』に書かれていた、
黒猫の子猫が白猫の子猫を、
魔法の力で助けたという記述は、
パパとママの
子どもの頃の話なのかもしれない。
港町は、夕べ見た光景と変わらず、
大量のあめ玉が降り続いていた。
上空は虹色に輝く雲に覆われて、
竜の姿は見えないが、
バラバラと降り止まない
あめ玉の量に皆、息をのむ。
「加護の魔法を発動させよ!」
ママが合図をすると、
白猫たちが加護の魔法を発動させた。
それは、ほうきの後ろに乗る、
黒猫の体をも守る広範囲の魔法だ。
「一同、進め!」
パパの合図で、二十組の猫たちは、
それぞれ行動を開始した。
町の五つのエリア(中央と東西南北)に
四組ずつ分かれて向かい、一つでも
多くあめ玉に閉じ込められた
『子どもの心』の結晶化を解く。
白猫が魔法でほうきを操縦し、
空を駆ける。
その同じほうきの上では、
器用に立ち上がった黒猫が、
得意の剣技で、あめ玉をたたき切り
結晶化を解いていく。
町の中央エリアを任されたメラミは、
双子がほうきから落ちないように
操縦を安定させつつ、
自分も剣を振るってあめ玉を切っていた。
それと同時にメラミは、
同じ中央エリアのパパとママが、
それぞれ単独でほうきを操り、
各々の剣を振るうところを目の端で追う。
メラミは、こんな非常事の中でも
感動している自分に気がついた。
パパとママが
一緒に何かをしている姿など、
生まれて初めて見たのだ。
それも同じ目的を果たすため、
二人で一緒に協力している姿を。
メラミは感動で心が激しく動き、
涙がにじんでくるのがわかったが、
(今は、そんな場合じゃないのにゃ)
と自分に言い聞かせ、
あめ玉を切ることに意識を集中させた。
結晶化を解かれた『子どもの心』は、
煙のように消えていき、
元の持ち主のところへと帰っていく。
誰の心なのかはわからないけれど、
以前と様子が変わってしまった、
その子どもを心配していた誰かが、
きっとこれで安心するのだろう。
東と西、北と南、中央と、
それぞれのエリアにいる
猫たちの働きにより、
多くのあめ玉が
解放されているようだった。
メラミたちが行動を開始してから、
小一時間ほど経過したときだった。
虹色の雲からゴーォと地響きのような
うなり声が響き出すと、
虹色の竜が姿を現した。
港町で起きている異変に、
ようやく気がついたようだ。
初めて見る竜の大きさと
強大な威圧感に、
猫たちは一瞬ひるんで
戦意を喪失しかけたが、
「みんな行動を続けるのにゃ!」
メラミの声で
再び結晶化を解くことに専念し始めた。
それでも虹の竜の
「お前たちは何をしている?」
ほえるような低い大声が響き渡ると、
全員、体が固まったように
その場で動けなくなってしまった。
メラミも、
初めてたいじする強烈な威圧感に、
どう対処していいのかわからない。
「お前たちは、
灰色の猫のまつえいだな」
竜は、口を開けることなく、
直接みんなの頭の中へと言葉を響かせた。
「何故、
また同じ愚かなことをしているのだ?」
愚かなこと、なのだろうか?
メラミたちの先祖である灰色の猫たちは、
『子どもの心』を解放するために行動した。
その結果、竜の怒りに触れ、
体の色を変えられ、国を分けられ、
いがみ合いという
偽物の記憶を植え付けられた。
それは悲しいこと。
そう、とても悲しいことなのだ。
竜は、どうしてそんな
ひどいことをしたのだろう?
自分のエネルギーとなる
『子どもの心』を解放されたくないからだ。
どうして解放されたくないのか?
それは、『子どもの心』が
自分のエネルギーとして必要だからだ。
でもどうしてそれは、
『子どもの心』でなければ
ならないのだろう?
別のもので代用することは
できないのだろうか?
「また自国を滅ぼされたいのか?」
竜が、脅しをかけるように言うと、
「そうはさせない」
なんとパパが竜に向かっていった。
魔法で炎を生み出すと、
それは竜と同じぐらいの
長さにまで成長して、
らせん状の動きをしながら
鎖のように竜の体に巻き付いた。
すかさずママも、
魔法で大きな水の塊を造り出し、
竜に向けて放つと、
竜の体を覆って
身動きが取れないようにした。
すごい!
パパもママもすごいのにゃ、
と思った瞬間。
竜が地鳴りのような
低いうなり声をあげると、
炎の鎖も水の塊も断ち切られてしまい、
パパとママは、その竜の声の圧力で
吹き飛ばされてしまった。
「!」
メラミは双子に、
絶対にほうきから降りないように、
と言い聞かせ、
自分はほうきから飛び降りると、
すぐさま魔法で新たなほうきを
作り出して飛び乗った。
そして再び、
加護の魔法を自分の周りに発動させ、
急いでパパとママを探しに行く。
(どこにいるのにゃ?)
あめ玉は容赦なく降り続けている。
民家の屋根や建物の屋上、
メラミはきょろきょろと見まわして
必死で二人の姿を探す。
怪我をしていたらどうしよう、
早く見つけなくちゃ。
せっかく、パパとママが
仲良くなれそうだったのに。
もしかしたら、
降り積もったこのあめ玉の中に、
落ちてしまったのだろうか?
その時だった。
ふみゃあ、ふみゃあ。
か細い鳴き声がふたつ、
メラミのすぐ近くから聞こえてきた。
(なんにゃ、どこにゃ?)
耳を澄ませると近くの民家の二階、
ひさしのあるバルコニーで、
黒と白、二匹の小さな子猫が
鳴き声を上げているのが見えた。
まさか…と思い近寄ってみると、
二匹は黒と白、それぞれ王家の紋章が
付いた腕輪をつけている。
間違いない、パパとママだった。
どうしよう、
パパとママが、子猫になってしまった。
これも、竜の力のせいなのだろうか?
メラミは、黒と白、
子猫の姿になってしまったパパとママに、
急いで加護の魔法をかけると、
二匹をそっと抱き上げた。
上空を仰ぎ見ると、そこには、
夜空を悠々と旋回している竜の姿があった。
(ダメにゃ……撤退するのにゃ)
メラミは首にかけていた笛を口にくわえ、
大きく息を吸ってピーっと吹き、
あらかじめ取り決めをしていた、
撤退の合図を出した。
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