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3章 ダンジョンアタック
貰わないといけない雰囲気
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「うーん、こういう場合って、何を貰っても身に余る光栄ですって受け取る物だと思ってたわ……思ってましたわぁ」
つい素で話してしまったアリーセが、取ってつけた様に敬語になった。
目の前にジークフリード様が居るので、振る舞いや言葉遣いに気をつけなければいけないと思い出したようだが、この分ではギルドの講習が追加になりそうだな。
「しかし、元の身分もはっきりとしない者が爵位や土地を頂いてしまうわけにはいかないだろう?」
この相談は、ジークフリード様に聞かせる為に行ってもいる。
何か決められなかったから、やっぱり爵位と領地をーと言われない為の牽制でもある。
「そういうものなの……ものなのです?」
ものなのです。
「俺がこの国の人だったら良かったんだけど、いずれ元の国に帰るってなったときに、じゃあ持っていきますってわけにはいかないだろ?」
「……ここにずっと住めば良いじゃない?」
なぜ睨む?
それも魅力的かもしれないが、まだその覚悟はできていないし、もし、いずれそうなったとしても『帰れない』の『帰らない』では、ずいぶんと話が変わってくると思うからな。
それに、折角の異世界だし、他の国とかにも行ってみたい。
って、ここでその話をしても仕方がない。
「その話は、ひとまず置いて、それ以外だと何なら無難かわからないんだよ。 そうだな、例えばアリーセなら何が良い?」
「……」
アリーセが、真剣な顔で考え始めた。
「……家……かな……。 そうね家よ、住むところが良いと思うわ……あっ、良いと思いますわぁ」
土地とかとあんまり変わらんな。
アリーセは家かあ、ずっと宿ぐらしだからわからんでも無いな。
俺としては、お金の心配が無いわけだから、ご飯も掃除も洗濯もしてもらえるし、白兎亭の方が暮らすのには楽だけど、普通で考えるなら住む場所は欲しいか。
「ふむ、ランクの高い冒険者の中には、パーティで共同で使用する家を確保する場合も少なくないと聞くな。 ヴァルター、確か幾つか空いている屋敷があっただろう? アリーセにはそれを報奨として与えよう」
「ええっ!? 私に……ですか!?」
「無論だ。 通常の3倍以上の距離からの弓とは思えぬほどの広範囲に渡る攻撃で、大多数のモンスターを掃討したという獅子奮迅の活躍は、私の耳にも入ってきている」
まあ、そうだよな。 トリガーハッピーで、狙いも適当に弾をばらまいてた俺と違って、アリーセは連射しているのに効果の高いところをピンポイントで攻撃していたから、数で言えば俺より相当な多いモンスターを倒してたはずだ。
「そんな、私は武器の性能に助けられただけで、そこまでの活躍なんか……」
「な、ほら、いざ貰うとなると困るだろ?」
アリーセに向かって、そらみろとばかりにドヤ顔で言ってやると、ハッとした顔で俺の方を向いた100度くらいの首の角度だ。
「ははは、報奨を貰うのが困るなどと言われたのは初めてだ」
俺とアリーセのやり取りを見ていたジークフリード様が苦笑している。
「あ、え、いえ、その~、そういうわけでは無くてですね、そこまでしていただく程のことはしていませんっていう……ことですわ!」
アリーセが何言ってるかよく分からなくなっているが、困るもんは困るのでしょうがないと思う。
「功を上げた者が等しく評価されねば他の者からも不満も上がろう、そうだな、では、二人の銅像でも建てて広場に飾って讃えようか」
「「やめてください!」」
俺とアリーセの声がハモる。
当のジークフリード様は、何がおかしかったのか笑い出してしまった。
「はっはっは、もちろん冗談だが、なんだろうな、お前たちを見ているとホッとするな」
「ホッとする……ですか?」
なんのことやら?
「貴族同士のような腹の探り合いも無ければ、少しでも利を得ようとするところもなく、媚を売るような真似もしないだろう?」
「それは、確かにする気もないですけど……」
領主ともなると周りにそういう人ばかり集まってくるのだろうか?
「とはいえ、謙虚なのもほどほどにな、大したことをしていない等とと言っては、活躍できなかった者たちからすれば嫌味に聞こえるぞ、それに一番活躍したお前たちが報奨は不要と言ってしまっては、他の者も報奨が受け取りづらくなってしまうだろう」
言われてみればそれもそうか。 会社で上司がアップ休暇を断ったから、他の社員も休暇を断らないといけない雰囲気になるアレと一緒だな。
しかし、何貰うと釣り合うんだろうか?
「差し出がましいようではございますが、先程も出たことですしお渡しする家か土地をお二人の物ということでお渡しするのはいかがでしょうか? それに加え当分の間税を徴収しないとすれば、一応の体面は保たれますし、万が一他国よりイオリ殿について言及があっても、当面の生活の場を提供しただけという建前もとれるかと」
「ふむ、二人共それでどうだろうか?」
とくに思いつかないし、アリーセに押し付けられるから良いか。
銅像は嫌だしな。
アリーセに、OKの旨をアイコンタクトで伝える。
「えと、あ、そうだ……身に余る光栄ですわ!」
「わかりました、謹んで拝領いたします」
非常に調子の良い返答ではあるが、まぁ許してもらおう。
「後日使いのものを出すから、好きな所を選ぶと良いだろう」
豪邸とか掃除が大変そうだから要らないけど、風呂があったら良いな。
で、これで話は終わりだろうか?
「さて、ここからが本題なのだが……」
終わってなかった。
「スタンピードを早期発見特定した、イオリの鑑定能力とアリーセの捜索能力を見込んでの依頼がある」
「指名依頼ですか?」
「そうだ、知っての通り過去に幾度と無く捜索は行って来たが、未だスタンピードの原因であろうダンジョンは発見に至っていない。 二人には、このダンジョンを発見し、発見に至ったらその調査も依頼したい。 もちろん、二人だけで探せとは言わぬ、必要に応じて人員の追加をしてくれ」
ダンジョンを探索してみたいとは思ってたけど、ダンジョンそのものを探すことになるとは……。
つい素で話してしまったアリーセが、取ってつけた様に敬語になった。
目の前にジークフリード様が居るので、振る舞いや言葉遣いに気をつけなければいけないと思い出したようだが、この分ではギルドの講習が追加になりそうだな。
「しかし、元の身分もはっきりとしない者が爵位や土地を頂いてしまうわけにはいかないだろう?」
この相談は、ジークフリード様に聞かせる為に行ってもいる。
何か決められなかったから、やっぱり爵位と領地をーと言われない為の牽制でもある。
「そういうものなの……ものなのです?」
ものなのです。
「俺がこの国の人だったら良かったんだけど、いずれ元の国に帰るってなったときに、じゃあ持っていきますってわけにはいかないだろ?」
「……ここにずっと住めば良いじゃない?」
なぜ睨む?
それも魅力的かもしれないが、まだその覚悟はできていないし、もし、いずれそうなったとしても『帰れない』の『帰らない』では、ずいぶんと話が変わってくると思うからな。
それに、折角の異世界だし、他の国とかにも行ってみたい。
って、ここでその話をしても仕方がない。
「その話は、ひとまず置いて、それ以外だと何なら無難かわからないんだよ。 そうだな、例えばアリーセなら何が良い?」
「……」
アリーセが、真剣な顔で考え始めた。
「……家……かな……。 そうね家よ、住むところが良いと思うわ……あっ、良いと思いますわぁ」
土地とかとあんまり変わらんな。
アリーセは家かあ、ずっと宿ぐらしだからわからんでも無いな。
俺としては、お金の心配が無いわけだから、ご飯も掃除も洗濯もしてもらえるし、白兎亭の方が暮らすのには楽だけど、普通で考えるなら住む場所は欲しいか。
「ふむ、ランクの高い冒険者の中には、パーティで共同で使用する家を確保する場合も少なくないと聞くな。 ヴァルター、確か幾つか空いている屋敷があっただろう? アリーセにはそれを報奨として与えよう」
「ええっ!? 私に……ですか!?」
「無論だ。 通常の3倍以上の距離からの弓とは思えぬほどの広範囲に渡る攻撃で、大多数のモンスターを掃討したという獅子奮迅の活躍は、私の耳にも入ってきている」
まあ、そうだよな。 トリガーハッピーで、狙いも適当に弾をばらまいてた俺と違って、アリーセは連射しているのに効果の高いところをピンポイントで攻撃していたから、数で言えば俺より相当な多いモンスターを倒してたはずだ。
「そんな、私は武器の性能に助けられただけで、そこまでの活躍なんか……」
「な、ほら、いざ貰うとなると困るだろ?」
アリーセに向かって、そらみろとばかりにドヤ顔で言ってやると、ハッとした顔で俺の方を向いた100度くらいの首の角度だ。
「ははは、報奨を貰うのが困るなどと言われたのは初めてだ」
俺とアリーセのやり取りを見ていたジークフリード様が苦笑している。
「あ、え、いえ、その~、そういうわけでは無くてですね、そこまでしていただく程のことはしていませんっていう……ことですわ!」
アリーセが何言ってるかよく分からなくなっているが、困るもんは困るのでしょうがないと思う。
「功を上げた者が等しく評価されねば他の者からも不満も上がろう、そうだな、では、二人の銅像でも建てて広場に飾って讃えようか」
「「やめてください!」」
俺とアリーセの声がハモる。
当のジークフリード様は、何がおかしかったのか笑い出してしまった。
「はっはっは、もちろん冗談だが、なんだろうな、お前たちを見ているとホッとするな」
「ホッとする……ですか?」
なんのことやら?
「貴族同士のような腹の探り合いも無ければ、少しでも利を得ようとするところもなく、媚を売るような真似もしないだろう?」
「それは、確かにする気もないですけど……」
領主ともなると周りにそういう人ばかり集まってくるのだろうか?
「とはいえ、謙虚なのもほどほどにな、大したことをしていない等とと言っては、活躍できなかった者たちからすれば嫌味に聞こえるぞ、それに一番活躍したお前たちが報奨は不要と言ってしまっては、他の者も報奨が受け取りづらくなってしまうだろう」
言われてみればそれもそうか。 会社で上司がアップ休暇を断ったから、他の社員も休暇を断らないといけない雰囲気になるアレと一緒だな。
しかし、何貰うと釣り合うんだろうか?
「差し出がましいようではございますが、先程も出たことですしお渡しする家か土地をお二人の物ということでお渡しするのはいかがでしょうか? それに加え当分の間税を徴収しないとすれば、一応の体面は保たれますし、万が一他国よりイオリ殿について言及があっても、当面の生活の場を提供しただけという建前もとれるかと」
「ふむ、二人共それでどうだろうか?」
とくに思いつかないし、アリーセに押し付けられるから良いか。
銅像は嫌だしな。
アリーセに、OKの旨をアイコンタクトで伝える。
「えと、あ、そうだ……身に余る光栄ですわ!」
「わかりました、謹んで拝領いたします」
非常に調子の良い返答ではあるが、まぁ許してもらおう。
「後日使いのものを出すから、好きな所を選ぶと良いだろう」
豪邸とか掃除が大変そうだから要らないけど、風呂があったら良いな。
で、これで話は終わりだろうか?
「さて、ここからが本題なのだが……」
終わってなかった。
「スタンピードを早期発見特定した、イオリの鑑定能力とアリーセの捜索能力を見込んでの依頼がある」
「指名依頼ですか?」
「そうだ、知っての通り過去に幾度と無く捜索は行って来たが、未だスタンピードの原因であろうダンジョンは発見に至っていない。 二人には、このダンジョンを発見し、発見に至ったらその調査も依頼したい。 もちろん、二人だけで探せとは言わぬ、必要に応じて人員の追加をしてくれ」
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