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4章 王都
簡易結界発生装置もおつけします
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爆発する方の錬金術師ギルドの本部で素材を入手した俺とワトスンは、早速ホテルに戻ってコリンナ様に渡す発動体ライフルロッドの仕上げにかかった。
ぶっちゃけ俺はワトスンに言われた素材をアイテムボックスから取り出すだけなのだが……。
この世界の錬金術師が全てそうであるのかは不明だが、ワトスンの場所を選ばずにこういった作業が出来るというのは凄いと思う。
「素材もあるし自動的に結界を張る魔道具も組み込んじゃおうかー」
「そうだな、でもどうせつけるなら……」
「イイネー、ならこう言う感じでさー……」
「なんだろう、悪巧みをしているようにしか見えないんだけど?」
ちょうど買い物から戻ってきたアリーセが開口一番そんな事を言ってきた。
「失敬な。 クライアントの要望に応える為に最高の物を作ろうとしているだけじゃないか」
「発動体として最高なのは認めますけど、コリンナ様は冒険者ってわけじゃないですし、発動体を重たくしてまで攻撃手段を増やす必要はありませんわよ?」
後から部屋に入って来たエーリカも釘をさすように言ってきた。
まったく、二人共俺らを何だと思っているのだろうか?
「今作ってるのはとっさの時に身を守る為の結界だから大丈夫だ」
「そうそう、サイズ的にもそこまで大掛かりなものは作れないから大丈夫ー」
「おかしいな、なんで不安がさらにつのったんだろう?」
きっと買い物で疲れてるんだよ。
「それじゃ、ついでに補強もしたいから早速買ってきたオリハルコン出してー」
「オリハルコンだけで良いのか? アダマンタイトも強そうだが」
「アダマンタイトもオリハルコンもどっちも硬い金属なんだけど、ミスリルと一緒に使うならオリハルコンの方が相性が良いんだよー」
「合金にするのか?」
「せっかく純度の高いミスリルを使っているんだから、合金にしちゃったら勿体無いよ、フレームにして使うだけだねー」
目の前でうっすらと青緑に輝く銀色のライフルロッドにワトスンの魔法によってウニョウニョと金色のオリハルコンが巻きついて行く。
「オリハルコンの品質の方は見合ってるのか?」
「君ならおかしな品質のオリハルコン持ってても驚かないけど、オリハルコンは純度が高すぎると硬くなるかわりに脆くなっていくから、これくらいの方がむしろ丈夫なんだよー」
なるほど、鋼みたいなもんか。
って事は、脆いけど硬いオリハルコンと硬さは無いが丈夫なオリハルコンを挟んで日本刀の様に作れば最適な刀剣が作れるんじゃ無いか?
「それは魅力的なアイディアだね。最適な合金の比率の研究は昔からあるけど、その方法だとすぐにでも作れそうだー。 魔法の事を考えないならオリハルコンをアダマンタイトで挟むのも良いかもー、アダマンタイトは硬くて丈夫だけど加工が難しくて重いから、半分程度で使うなら良いかも?」
お、この流れは、俺もとうとう剣が持てるのでは無いだろうか?
日本刀の形にしてもらうのも悪く無いな。
「よーし、ライフルロッド完成ー」
話をしながらも作業の手を止めないのは流石だな。
出来上がったライフルロッドはミスリルの銀色の銃身に蔦を模した様なオリハルコンの金色のレリーフが映える非常に美しい仕上がりになっていた。
肉抜きされた銃床に部分にはエーリカ提供の精霊石がはめ込まれ、宝石の様に様々な魔石が随所にあしらわれていて、光の加減でキラキラと光っている。
無骨なピカティニーレールにも、取り付けに影響が無いように装飾がされていて違和感をあまり感じない。
繊細な仕事だが、材質的に頑丈さも十分そうだ。
「ここまでの物を作ったのは僕も初めてだよー。 それじゃあ名前を考えようかー」
「名前? ライフルロッドだろ?」
「それは、剣で言えばブロードソードとかショートソードっていう感じの種類じゃないか。そうじゃなくてコレにユニークな銘をつけるんだよー」
ああなるほど「刀」とかじゃなくて「コテツ」とか「ムラマサ」とか名前をつけるって事か。
「じゃあ、ベネリエムス……」
「ライヒトリーリエなんてどうかなー? 満月の夜に咲く真っ白な花の名前なんだけどね、花が咲く瞬間を見る事が出来た女の子は一生幸せになれるって言い伝えがあるんだー」
俺の言葉は遮られたが、なんとなく響きが良いし縁起も良さそうなんでそれで良いかな?
「戦争に負けて国を失い逃亡生活中の姫がその花が咲く所を見た後、敵国の大軍を前に一人で出陣、投降を許さず皆殺しにして国を取り戻したっていう話ね」
「勇まし過ぎるし血生臭いな!!」
アリーセが掻い摘んで花にまつわる伝承を教えてくれたが、幸せの定義がなんかおかしい。
「その花の根っこには強い毒があって、舐めただけで死んでしまいますから注意が必要ですわよ?」
「女の子の幸せからは程遠いな!?」
ま、まあ、トリカブトやヒガンバナのように花がキレイでも毒があるってのは珍しくはないから、伝承なんかとズレがあるのは仕方がない……のか?
夕食の前にコリンナ様に渡しに行くと、非常に喜んでくれた。
見た目の美しさから、お付のメイド達からもため息が漏れ、どこへ出しても恥ずかしくない仕上がりだと認めてもらえているようだ。
ライフロッドのライヒトリーリエという銘も、この世界では有名な話らしくすんなりと受け入れられた。
あれか、フランスの国歌的な感じで日本人の感覚と合わないだけなのだろうか?
「ありがとう存じます。 こんな素晴らしい物を頂けるなんて私は幸せ者ですね」
「こんな国宝級の物になるとは思っていませんでしたけど、結果的に王族であるコリンナ様が持つに相応しい発動体になったので制作をお願いして本当に良かったと思いますわ」
一緒に居たエーリカからも発動体として太鼓判を貰えた。
ワトスンが、反り返りそうな程得意気になっている。
「イオリ先生、照準器も取り付けてくださいませんか?」
「あ、はい、可倒式の簡易のものと、光点が映りその光点を対象に合わせるだけのダットサイト、固定倍率4倍の望遠スコープに3倍から10倍に調整出来るスコープがありますよ、今言った順番に重さがありますけど、どれが良いですか?」
素早く、一式取り出して並べ、それぞれの特徴を説明する。
状況に応じて付け替えるのが無難なので、咄嗟に狙うのに便利なダットサイトを普段の携帯時に使用し、試験の際はじっくり狙えるだろうということで4倍の倍率固定のスコープを使いたいと言うことだった。
まあ、せっかくなので試作段階で取り付けていたパーツは状況に合わせて使ってくださいと全部進呈しておいた。
エーリカやアリーセの顔は引きつっていたが、コリンナ様はずっとニコニコしていたので問題ないだろう。
「それと、魔石は使い捨てになっちゃうのですがー、攻撃を受けると自動的に簡易的な攻性結界が展開しますー」
「確かに簡易結界はあると安心ですが、なぜ攻性結界なのですか? 我々が護衛にあたりますから、攻撃せずに防御だけに専念した方が良いのではないでしょうか?」
ワトスンの説明にグレイさんが首を傾げている。
「昔から個人用の簡易結界は防御の強さや効果時間がなるべく長くなるように研究が進められていますが、身分の高い方々がそういった魔道具を身につけている事は珍しくないのですよー。 計画的な襲撃ともなれば結界を打ち消す等の対策を取ってくるはずですので、それらも攻撃であると認識して即座に反撃を行い無力化することで、より身の安全確保できるようになっているのですー。 ついでに攻撃者に対して魔法的にも視覚的にもマーキングをするので特定も容易になってますー」
「この方法なら、万が一結界解除や無効化のアーティファクトレベルのものを使われても対応可能ですし、言い逃れも逃走もさせませんよ」
俺とワトスンがドヤ顔で結界の仕様について説明をした。
「あー、なんかおかしいと思ったら、それやっぱりイオリのアイディアだったのね……」
「いやいや、攻性結界にしようって提案したのは確かに俺だが、別に都市防衛用の結界だって攻性結界なんだしおかしくはないんじゃないか?」
おかしい扱いされたので、別に新発想でも何でもないだろうと言ってみたら、グレイさんが難しい顔をして口を開いた。
「イオリさん、都市防衛結界の話は私も知りませんでした。 おそらくそれ、国家機密的な情報ですよ……」
「え!? マジで!?」
そーいや、なんとかラートアーは領主と一部の人しか知らないとかそんな話をしていたよう……な?
ぶっちゃけ俺はワトスンに言われた素材をアイテムボックスから取り出すだけなのだが……。
この世界の錬金術師が全てそうであるのかは不明だが、ワトスンの場所を選ばずにこういった作業が出来るというのは凄いと思う。
「素材もあるし自動的に結界を張る魔道具も組み込んじゃおうかー」
「そうだな、でもどうせつけるなら……」
「イイネー、ならこう言う感じでさー……」
「なんだろう、悪巧みをしているようにしか見えないんだけど?」
ちょうど買い物から戻ってきたアリーセが開口一番そんな事を言ってきた。
「失敬な。 クライアントの要望に応える為に最高の物を作ろうとしているだけじゃないか」
「発動体として最高なのは認めますけど、コリンナ様は冒険者ってわけじゃないですし、発動体を重たくしてまで攻撃手段を増やす必要はありませんわよ?」
後から部屋に入って来たエーリカも釘をさすように言ってきた。
まったく、二人共俺らを何だと思っているのだろうか?
「今作ってるのはとっさの時に身を守る為の結界だから大丈夫だ」
「そうそう、サイズ的にもそこまで大掛かりなものは作れないから大丈夫ー」
「おかしいな、なんで不安がさらにつのったんだろう?」
きっと買い物で疲れてるんだよ。
「それじゃ、ついでに補強もしたいから早速買ってきたオリハルコン出してー」
「オリハルコンだけで良いのか? アダマンタイトも強そうだが」
「アダマンタイトもオリハルコンもどっちも硬い金属なんだけど、ミスリルと一緒に使うならオリハルコンの方が相性が良いんだよー」
「合金にするのか?」
「せっかく純度の高いミスリルを使っているんだから、合金にしちゃったら勿体無いよ、フレームにして使うだけだねー」
目の前でうっすらと青緑に輝く銀色のライフルロッドにワトスンの魔法によってウニョウニョと金色のオリハルコンが巻きついて行く。
「オリハルコンの品質の方は見合ってるのか?」
「君ならおかしな品質のオリハルコン持ってても驚かないけど、オリハルコンは純度が高すぎると硬くなるかわりに脆くなっていくから、これくらいの方がむしろ丈夫なんだよー」
なるほど、鋼みたいなもんか。
って事は、脆いけど硬いオリハルコンと硬さは無いが丈夫なオリハルコンを挟んで日本刀の様に作れば最適な刀剣が作れるんじゃ無いか?
「それは魅力的なアイディアだね。最適な合金の比率の研究は昔からあるけど、その方法だとすぐにでも作れそうだー。 魔法の事を考えないならオリハルコンをアダマンタイトで挟むのも良いかもー、アダマンタイトは硬くて丈夫だけど加工が難しくて重いから、半分程度で使うなら良いかも?」
お、この流れは、俺もとうとう剣が持てるのでは無いだろうか?
日本刀の形にしてもらうのも悪く無いな。
「よーし、ライフルロッド完成ー」
話をしながらも作業の手を止めないのは流石だな。
出来上がったライフルロッドはミスリルの銀色の銃身に蔦を模した様なオリハルコンの金色のレリーフが映える非常に美しい仕上がりになっていた。
肉抜きされた銃床に部分にはエーリカ提供の精霊石がはめ込まれ、宝石の様に様々な魔石が随所にあしらわれていて、光の加減でキラキラと光っている。
無骨なピカティニーレールにも、取り付けに影響が無いように装飾がされていて違和感をあまり感じない。
繊細な仕事だが、材質的に頑丈さも十分そうだ。
「ここまでの物を作ったのは僕も初めてだよー。 それじゃあ名前を考えようかー」
「名前? ライフルロッドだろ?」
「それは、剣で言えばブロードソードとかショートソードっていう感じの種類じゃないか。そうじゃなくてコレにユニークな銘をつけるんだよー」
ああなるほど「刀」とかじゃなくて「コテツ」とか「ムラマサ」とか名前をつけるって事か。
「じゃあ、ベネリエムス……」
「ライヒトリーリエなんてどうかなー? 満月の夜に咲く真っ白な花の名前なんだけどね、花が咲く瞬間を見る事が出来た女の子は一生幸せになれるって言い伝えがあるんだー」
俺の言葉は遮られたが、なんとなく響きが良いし縁起も良さそうなんでそれで良いかな?
「戦争に負けて国を失い逃亡生活中の姫がその花が咲く所を見た後、敵国の大軍を前に一人で出陣、投降を許さず皆殺しにして国を取り戻したっていう話ね」
「勇まし過ぎるし血生臭いな!!」
アリーセが掻い摘んで花にまつわる伝承を教えてくれたが、幸せの定義がなんかおかしい。
「その花の根っこには強い毒があって、舐めただけで死んでしまいますから注意が必要ですわよ?」
「女の子の幸せからは程遠いな!?」
ま、まあ、トリカブトやヒガンバナのように花がキレイでも毒があるってのは珍しくはないから、伝承なんかとズレがあるのは仕方がない……のか?
夕食の前にコリンナ様に渡しに行くと、非常に喜んでくれた。
見た目の美しさから、お付のメイド達からもため息が漏れ、どこへ出しても恥ずかしくない仕上がりだと認めてもらえているようだ。
ライフロッドのライヒトリーリエという銘も、この世界では有名な話らしくすんなりと受け入れられた。
あれか、フランスの国歌的な感じで日本人の感覚と合わないだけなのだろうか?
「ありがとう存じます。 こんな素晴らしい物を頂けるなんて私は幸せ者ですね」
「こんな国宝級の物になるとは思っていませんでしたけど、結果的に王族であるコリンナ様が持つに相応しい発動体になったので制作をお願いして本当に良かったと思いますわ」
一緒に居たエーリカからも発動体として太鼓判を貰えた。
ワトスンが、反り返りそうな程得意気になっている。
「イオリ先生、照準器も取り付けてくださいませんか?」
「あ、はい、可倒式の簡易のものと、光点が映りその光点を対象に合わせるだけのダットサイト、固定倍率4倍の望遠スコープに3倍から10倍に調整出来るスコープがありますよ、今言った順番に重さがありますけど、どれが良いですか?」
素早く、一式取り出して並べ、それぞれの特徴を説明する。
状況に応じて付け替えるのが無難なので、咄嗟に狙うのに便利なダットサイトを普段の携帯時に使用し、試験の際はじっくり狙えるだろうということで4倍の倍率固定のスコープを使いたいと言うことだった。
まあ、せっかくなので試作段階で取り付けていたパーツは状況に合わせて使ってくださいと全部進呈しておいた。
エーリカやアリーセの顔は引きつっていたが、コリンナ様はずっとニコニコしていたので問題ないだろう。
「それと、魔石は使い捨てになっちゃうのですがー、攻撃を受けると自動的に簡易的な攻性結界が展開しますー」
「確かに簡易結界はあると安心ですが、なぜ攻性結界なのですか? 我々が護衛にあたりますから、攻撃せずに防御だけに専念した方が良いのではないでしょうか?」
ワトスンの説明にグレイさんが首を傾げている。
「昔から個人用の簡易結界は防御の強さや効果時間がなるべく長くなるように研究が進められていますが、身分の高い方々がそういった魔道具を身につけている事は珍しくないのですよー。 計画的な襲撃ともなれば結界を打ち消す等の対策を取ってくるはずですので、それらも攻撃であると認識して即座に反撃を行い無力化することで、より身の安全確保できるようになっているのですー。 ついでに攻撃者に対して魔法的にも視覚的にもマーキングをするので特定も容易になってますー」
「この方法なら、万が一結界解除や無効化のアーティファクトレベルのものを使われても対応可能ですし、言い逃れも逃走もさせませんよ」
俺とワトスンがドヤ顔で結界の仕様について説明をした。
「あー、なんかおかしいと思ったら、それやっぱりイオリのアイディアだったのね……」
「いやいや、攻性結界にしようって提案したのは確かに俺だが、別に都市防衛用の結界だって攻性結界なんだしおかしくはないんじゃないか?」
おかしい扱いされたので、別に新発想でも何でもないだろうと言ってみたら、グレイさんが難しい顔をして口を開いた。
「イオリさん、都市防衛結界の話は私も知りませんでした。 おそらくそれ、国家機密的な情報ですよ……」
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