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4章 王都
入園試験
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なんかヤバイ空気になったので、スタンピードの際に魔晶石の提供の打診をジークフリード様から受け、使用用途の説明に結界発生装置の本体を見せてもらった事を話した。
一応正座して……。
「なんと魔晶石を……」
グレイさんがむむっと唸っている。
「攻性結界がコリンナ様を守る上で、非常に効果的である事はわかりました。 コリンナ様は王族であらせられますからそこは問題は無いでしょう。 我々は今の話を聞かなかったことにしますので!」
その場に居合わせた全員に、グレイさんが皆も良いな?と念をおした。
「むぅ、アイディアの出どころはともかく、仕組みそのものは全部僕のオリジナルですよー。 だから、しれっとギルドに新技術として登録しておけば、万が一攻性結界だとバレても安心かとー」
「ふむ、確かにそうですねイオリさんの話だけ聞かなかった事にします。以後お気をつけください」
「え、あ、はい、スミマセンでした」
ん? そうすると、攻性結界をワトスンが発明した事になるのか?
いや、まあ保身的にはその方が良いし、作ったのはワトスンだから構わないのだが……。
「でも、登録しちゃったら、その技術も出回っちゃうんじゃないの?」
「無いんだなーこれがー。 昔ながらの方式と全然違う革新的で便利な技術って、山ほどギルドに登録されてるんだけど、ぜーんぜん広まらないんだよねー、だから安心していいよー」
真理だな。
前例の無いものは認められにくいものだ。
爆発さえしなければ、革新的な技術とやらを調べに錬金術師ギルドに入り浸っていたかもしれん。
「それはそれでどうなのかしら?」
「アリーセだって、魔導銃じゃなくて弓を使ってるじゃないか」
納得がいかないようなので、アリーセにウンチクを語って聞かせる。
「え? そりゃあ使い慣れた武器を使うわよ、命がかかってるもの」
「まさにそれだよ、使う方は効果が分かっている物の方を欲しがるし、作る方だって生活があるから売れない物を作ってばかりは居られないんだよ」
「そーなんだよねー、いろんな給湯器置いてあるのに僕のお店の売上の8割は携行水と定番の魔道具と薬品類だからねー」
いや、給湯器は売れないだろ……中古な上にヤケに高いんだから。
ひとまず国家機密については皆聞かなかったと言う事にするって事で満場一致の賛成を得た。
物理的に首が飛ぶかもしれない問題ごとなど、誰も抱えたくはないのだ。
「私この先幾つの秘密を抱える事になるのかしら?」
アリーセが遠い目をしているが、俺は悪くないぞ、多分きっとおそらく……。
そして、コリンナ様の入園試験当日になった。
「席順は事前に配布してあります生徒番号と同じ番号の振ってある席に座ってお待ちください。 そばに付く護衛の方は1名のみでお願いします」
護衛は一名と言ってはいるが、護衛がつくような貴族の生徒は一番後方の席に集められていて、他の護衛も近くに待機出来るように配慮がされていた。
両隣と後から2番目の列には誰も座っておらず、他の生徒達とは間が空けてあった。
前の方に座っている平民の生徒達は間を空けずに座っているのでちょっとした隔離といったとこか。
安全上の理由だと説明があったが、意味合いは違うが平民に対しても貴族対しても同じ説明で良いというのは、なかなかトンチがきいた話だな。
貴族は護衛がしやすいようにという安全で、平民は貴族に絡まれないようにという安全ってわけだ。
近くで護衛するのは、グレイさんがやるのかと思っていたのだが、正規の護衛はそれなりに学もあったりするので、不正を疑われないため試験などの時はなるべく近くには寄らないのが通例だそうだ。
なら、エーリカが護衛に付けば良いかな? とか考えていたら、一番頑丈だからという理由で俺が護衛につくことになった。 何かあったら身を挺して守れってことらしい……。
程なくして、指定のある席が埋まり、筆記試験の設問が書かれた羊皮紙が配られた。
ちょっと覗いてみたが、初等部なので難しそうな内容は無く、読み書きが出来るかどうかとマルバツで答えられるアンケートのような設問ばかりだった。
しかも、設問は全部読み上げてくれ、設問の意味が解らなければ聞いても構わないということだった。
おかげで、テスト中もザワザワとうるさい。
「魔法の師匠がいる場合、流派を書く必要があるのですが、イオリ先生の流派って何というのか憶えていますか?」
コリンナ様から小声で質問を受けた。
忘れていたが、そーいや記憶喪失設定だったな。
「論理実証流と言います」
一昨日考えた流派の名前を答えておく。
コリンナ様は、師としてエーリカと俺の名前を書いたようだった。
流派の違いは単純に魔法のイメージの仕方の違いだ。
ぶっちゃけ勘違いだろうが、科学的におかしかろうが魔法を使う本人が信じ込めば何でも魔法は発動する。
ただし、魔法が発動した後は物理法則にしたがうようなので、この時のイメージが科学的に正しいかどうかによって得手不得手が存在するようだ。
以前コリンナ様が才能があるにも関わらず魔法が使えなかったのは、既存の流派で教えるイメージの固め方を信じられなかったからに他ならない。
そんなわけで俺も魔法は使えるのだが、イメージよりも大幅に威力や効果が高くなってしまい、危険極まりないので自重しているのである。
主に自分が吹き飛んだり、吹き飛んだり、吹き飛んだりするのだ。
それとワトスンの金属をうにょうにょ動かす魔法は仕組みがさっぱりわからないので、ぜんぜん使うことが出来なかった。 ものすごく圧力を加えるという方法しか思いつかなかったのである、無念。
学園側の配置にかけた努力のおかげか、想定されたトラブルもなく、無事筆記試験は終了し、会場を屋外に移して実技試験が始まった。
どちらかと言えば、こちらの実技が本番と言えるだろう。
貴族の生徒から順に得意な魔法を複数人の試験官の前で披露し、終わったら帰って構わないそうだ。
待たせないと言う事と、基本的に貴族の場合ある程度魔法が使えるので、お手本的な意味と後に続く平民の生徒の拙い魔法を見て悦に浸らせる意味があるとのことだ。
魔法に自信のなかったり、他に興味のない貴族の生徒は、自分の魔法の披露が終わったらさっさと帰って良いとしている所が苦心のポイントだということだ。
ちなみに、これらの話は初日に案内をしてくれた貴族嫌いの青年から聞いた話である。
「よし、では僕からやろうじゃないか!」
小生意気そうなガキ……じゃなかった、自信に満ちあふれた赤い髪の少年が前に出た。
ゴテゴテとした発動体らしき小さめの杖を持っているし、高そうな服を着ている見るからに貴族だな。
「では、試験番号とお名前を頂戴します。 ご自分の好きなタイミングで構いませんので、攻撃魔法ならば向こうに見える的に、補助魔法ならば自分に、それ以外の魔法でしたら持ち込みの対象物に魔法を発動してください」
「1番! ウィルヘルム・リッテンハイム・ロットラントだ!」
少年が名乗りを上げたところ周囲がざわめいたのが聞こえた。
なんか、名前にココの国の名前が入ってるってことは、王子とかそういう感じだろうか?
「御身を拝見するのは初めてですが、第三王子ですわね。 魔法の才能が高く、将来を有望視されているようですわ」
うわー、お近づきになりたくないわー。
ウィルヘルム王子は、的がある方向に発動体をかざしているので、攻撃魔法を使うつもりなのだろう。
「火精の源よ我が右手に集いて顕現し、行く手を阻む者を焼き尽くせ! ファイヤーボール!」
なんだか言うのが恥ずかしい呪文を詠唱して、ピンポン玉くらいの火の玉がぽーんと一応まっすぐに飛んで行き、的に衝突して焦げ目を残し弾けた。
実際に食らったら火傷くらいは負いそうな感じだが、大袈裟な呪文詠唱だった割にはなんだかしょぼい感じがするな。
「叙事詩流ですな? 発動もスムーズですし流石でございます」
「あの年齢であそこまで魔力を練り上げるとは……」
「これは今年一番なのでは?」
試験官が、口々に王子を褒め称えている。
うーん、露骨なおべっかなのか、この歳なら本当に凄いことなのかの判断がつかないな……。
「はぁ、はぁ、ふっ、当然だ」
呼吸を乱してはいたが、前髪をキザったらしくかきあげて格好をつけている。
まだ子供なので微妙に可愛らしい感じに見えてしまうが……。
あと5年くらいしたら、イケメンに育ってビシっと決まりそうだな。
王子は護衛に促され、この後の他の生徒の試験は見るまでもなかろうと、さっさと引き上げて行った。
まあ、王子の護衛からしたら、さっさと安全な場所に引き上げたいだろうしな。
その後も貴族の生徒達が魔法を披露してゆくが、正直なところ皆しょぼかったので、王子が凄いということがわかった。
「24番、コリンナ・ローデンヴァルトです」
コリンナ様の順番となり、立射の構えでライヒトリーリエを的に向ける。
「大変美しい杖のようですが、向きが反対ではありませんか?」
試験官から、コリンナ様の構えについて指摘が入る。
緊張でやらかしたのかと魔法の披露が終わった生徒から忍び笑いが聞こえてくる。
「いえ、これであっています。 ご心配ありがとう存じます」
コリンナ様は落ち着いた様子で答え呪文詠唱を開始する。
「瞬間発火可燃物質を10g、前方に金属片3g、前方以外を密閉、後方より着火……。メタルバレット!」
あ、それ多分火薬多すぎる。
そう思った瞬間、腹に響くような破裂音が鳴り響き、的が跡形もなく吹き飛び的の後ろにあった壁に大きな穴をあけた。
おそらく対物ライフル以上の威力が出てしまっているのではないだろうか?
コリンナ様自身が大きな反動を受けた様子は無いので、もともとの魔法を飛ばす機能で魔法が発射され、その後に火薬に着火し2段階加速をして推進力が足されたのではなかろうか?
あたりは静まり返り、皆がポカンと口を開けている。
「あれ? やらかしちゃったみたいです」
一応正座して……。
「なんと魔晶石を……」
グレイさんがむむっと唸っている。
「攻性結界がコリンナ様を守る上で、非常に効果的である事はわかりました。 コリンナ様は王族であらせられますからそこは問題は無いでしょう。 我々は今の話を聞かなかったことにしますので!」
その場に居合わせた全員に、グレイさんが皆も良いな?と念をおした。
「むぅ、アイディアの出どころはともかく、仕組みそのものは全部僕のオリジナルですよー。 だから、しれっとギルドに新技術として登録しておけば、万が一攻性結界だとバレても安心かとー」
「ふむ、確かにそうですねイオリさんの話だけ聞かなかった事にします。以後お気をつけください」
「え、あ、はい、スミマセンでした」
ん? そうすると、攻性結界をワトスンが発明した事になるのか?
いや、まあ保身的にはその方が良いし、作ったのはワトスンだから構わないのだが……。
「でも、登録しちゃったら、その技術も出回っちゃうんじゃないの?」
「無いんだなーこれがー。 昔ながらの方式と全然違う革新的で便利な技術って、山ほどギルドに登録されてるんだけど、ぜーんぜん広まらないんだよねー、だから安心していいよー」
真理だな。
前例の無いものは認められにくいものだ。
爆発さえしなければ、革新的な技術とやらを調べに錬金術師ギルドに入り浸っていたかもしれん。
「それはそれでどうなのかしら?」
「アリーセだって、魔導銃じゃなくて弓を使ってるじゃないか」
納得がいかないようなので、アリーセにウンチクを語って聞かせる。
「え? そりゃあ使い慣れた武器を使うわよ、命がかかってるもの」
「まさにそれだよ、使う方は効果が分かっている物の方を欲しがるし、作る方だって生活があるから売れない物を作ってばかりは居られないんだよ」
「そーなんだよねー、いろんな給湯器置いてあるのに僕のお店の売上の8割は携行水と定番の魔道具と薬品類だからねー」
いや、給湯器は売れないだろ……中古な上にヤケに高いんだから。
ひとまず国家機密については皆聞かなかったと言う事にするって事で満場一致の賛成を得た。
物理的に首が飛ぶかもしれない問題ごとなど、誰も抱えたくはないのだ。
「私この先幾つの秘密を抱える事になるのかしら?」
アリーセが遠い目をしているが、俺は悪くないぞ、多分きっとおそらく……。
そして、コリンナ様の入園試験当日になった。
「席順は事前に配布してあります生徒番号と同じ番号の振ってある席に座ってお待ちください。 そばに付く護衛の方は1名のみでお願いします」
護衛は一名と言ってはいるが、護衛がつくような貴族の生徒は一番後方の席に集められていて、他の護衛も近くに待機出来るように配慮がされていた。
両隣と後から2番目の列には誰も座っておらず、他の生徒達とは間が空けてあった。
前の方に座っている平民の生徒達は間を空けずに座っているのでちょっとした隔離といったとこか。
安全上の理由だと説明があったが、意味合いは違うが平民に対しても貴族対しても同じ説明で良いというのは、なかなかトンチがきいた話だな。
貴族は護衛がしやすいようにという安全で、平民は貴族に絡まれないようにという安全ってわけだ。
近くで護衛するのは、グレイさんがやるのかと思っていたのだが、正規の護衛はそれなりに学もあったりするので、不正を疑われないため試験などの時はなるべく近くには寄らないのが通例だそうだ。
なら、エーリカが護衛に付けば良いかな? とか考えていたら、一番頑丈だからという理由で俺が護衛につくことになった。 何かあったら身を挺して守れってことらしい……。
程なくして、指定のある席が埋まり、筆記試験の設問が書かれた羊皮紙が配られた。
ちょっと覗いてみたが、初等部なので難しそうな内容は無く、読み書きが出来るかどうかとマルバツで答えられるアンケートのような設問ばかりだった。
しかも、設問は全部読み上げてくれ、設問の意味が解らなければ聞いても構わないということだった。
おかげで、テスト中もザワザワとうるさい。
「魔法の師匠がいる場合、流派を書く必要があるのですが、イオリ先生の流派って何というのか憶えていますか?」
コリンナ様から小声で質問を受けた。
忘れていたが、そーいや記憶喪失設定だったな。
「論理実証流と言います」
一昨日考えた流派の名前を答えておく。
コリンナ様は、師としてエーリカと俺の名前を書いたようだった。
流派の違いは単純に魔法のイメージの仕方の違いだ。
ぶっちゃけ勘違いだろうが、科学的におかしかろうが魔法を使う本人が信じ込めば何でも魔法は発動する。
ただし、魔法が発動した後は物理法則にしたがうようなので、この時のイメージが科学的に正しいかどうかによって得手不得手が存在するようだ。
以前コリンナ様が才能があるにも関わらず魔法が使えなかったのは、既存の流派で教えるイメージの固め方を信じられなかったからに他ならない。
そんなわけで俺も魔法は使えるのだが、イメージよりも大幅に威力や効果が高くなってしまい、危険極まりないので自重しているのである。
主に自分が吹き飛んだり、吹き飛んだり、吹き飛んだりするのだ。
それとワトスンの金属をうにょうにょ動かす魔法は仕組みがさっぱりわからないので、ぜんぜん使うことが出来なかった。 ものすごく圧力を加えるという方法しか思いつかなかったのである、無念。
学園側の配置にかけた努力のおかげか、想定されたトラブルもなく、無事筆記試験は終了し、会場を屋外に移して実技試験が始まった。
どちらかと言えば、こちらの実技が本番と言えるだろう。
貴族の生徒から順に得意な魔法を複数人の試験官の前で披露し、終わったら帰って構わないそうだ。
待たせないと言う事と、基本的に貴族の場合ある程度魔法が使えるので、お手本的な意味と後に続く平民の生徒の拙い魔法を見て悦に浸らせる意味があるとのことだ。
魔法に自信のなかったり、他に興味のない貴族の生徒は、自分の魔法の披露が終わったらさっさと帰って良いとしている所が苦心のポイントだということだ。
ちなみに、これらの話は初日に案内をしてくれた貴族嫌いの青年から聞いた話である。
「よし、では僕からやろうじゃないか!」
小生意気そうなガキ……じゃなかった、自信に満ちあふれた赤い髪の少年が前に出た。
ゴテゴテとした発動体らしき小さめの杖を持っているし、高そうな服を着ている見るからに貴族だな。
「では、試験番号とお名前を頂戴します。 ご自分の好きなタイミングで構いませんので、攻撃魔法ならば向こうに見える的に、補助魔法ならば自分に、それ以外の魔法でしたら持ち込みの対象物に魔法を発動してください」
「1番! ウィルヘルム・リッテンハイム・ロットラントだ!」
少年が名乗りを上げたところ周囲がざわめいたのが聞こえた。
なんか、名前にココの国の名前が入ってるってことは、王子とかそういう感じだろうか?
「御身を拝見するのは初めてですが、第三王子ですわね。 魔法の才能が高く、将来を有望視されているようですわ」
うわー、お近づきになりたくないわー。
ウィルヘルム王子は、的がある方向に発動体をかざしているので、攻撃魔法を使うつもりなのだろう。
「火精の源よ我が右手に集いて顕現し、行く手を阻む者を焼き尽くせ! ファイヤーボール!」
なんだか言うのが恥ずかしい呪文を詠唱して、ピンポン玉くらいの火の玉がぽーんと一応まっすぐに飛んで行き、的に衝突して焦げ目を残し弾けた。
実際に食らったら火傷くらいは負いそうな感じだが、大袈裟な呪文詠唱だった割にはなんだかしょぼい感じがするな。
「叙事詩流ですな? 発動もスムーズですし流石でございます」
「あの年齢であそこまで魔力を練り上げるとは……」
「これは今年一番なのでは?」
試験官が、口々に王子を褒め称えている。
うーん、露骨なおべっかなのか、この歳なら本当に凄いことなのかの判断がつかないな……。
「はぁ、はぁ、ふっ、当然だ」
呼吸を乱してはいたが、前髪をキザったらしくかきあげて格好をつけている。
まだ子供なので微妙に可愛らしい感じに見えてしまうが……。
あと5年くらいしたら、イケメンに育ってビシっと決まりそうだな。
王子は護衛に促され、この後の他の生徒の試験は見るまでもなかろうと、さっさと引き上げて行った。
まあ、王子の護衛からしたら、さっさと安全な場所に引き上げたいだろうしな。
その後も貴族の生徒達が魔法を披露してゆくが、正直なところ皆しょぼかったので、王子が凄いということがわかった。
「24番、コリンナ・ローデンヴァルトです」
コリンナ様の順番となり、立射の構えでライヒトリーリエを的に向ける。
「大変美しい杖のようですが、向きが反対ではありませんか?」
試験官から、コリンナ様の構えについて指摘が入る。
緊張でやらかしたのかと魔法の披露が終わった生徒から忍び笑いが聞こえてくる。
「いえ、これであっています。 ご心配ありがとう存じます」
コリンナ様は落ち着いた様子で答え呪文詠唱を開始する。
「瞬間発火可燃物質を10g、前方に金属片3g、前方以外を密閉、後方より着火……。メタルバレット!」
あ、それ多分火薬多すぎる。
そう思った瞬間、腹に響くような破裂音が鳴り響き、的が跡形もなく吹き飛び的の後ろにあった壁に大きな穴をあけた。
おそらく対物ライフル以上の威力が出てしまっているのではないだろうか?
コリンナ様自身が大きな反動を受けた様子は無いので、もともとの魔法を飛ばす機能で魔法が発射され、その後に火薬に着火し2段階加速をして推進力が足されたのではなかろうか?
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