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4章 王都
ナマハゲ的な何か
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第三王子の護衛であるAランク冒険者のマックスとはわりと打ち解けたと思う。
「王子はあんな感じだが、立場でそのように振る舞ってるってところがあるんだ。 素の王子は何処にでも居る普通の男の子とそう変わらんよ」
「あの歳で王族として振る舞わないといけないとか、身分が高いと大変だな」
というか、貴族の子供たちが傍若無人なのは、周りの大人のせいなんじゃないかなって思う。
近しい者は貴族らしく振る舞えと求めて、学園内をはじめ身分が下の者は貴族であるとして扱う。
たぶん子供として扱って貰えないんじゃないだろうか?
それはそれでかわいそうだなとは思う。
まぁ、絡まれる方はたまったもんじゃないけどな。
「ま、何か出来る事があったら言ってくれ、王子絡みだと出来ることは少ないけどな」
「ああ、よろしく頼む。 この後時間があるなら、一緒に飯でもどうだ?」
サラリーマンの処世術「取り敢えず一緒に飯」である。
古い世代だと「飲み」になるが、昨今は酒を飲まないヤツが多いから必然的に「飯」となるのだ。
元の世界の、それも日本の話ではあるが、そういった人付き合いは大事である。
「良いねえ、冒険者同士親睦を深めようか。 こっちは俺以外の冒険者が居ないから、少し話に飢えてたんだ。 仕事上酒を控えないといかんのが難点だけどな」
交代で護衛についているとは言え、何かあったら駆けつけなければいけないから、酔っ払っているわけにはいかないのは仕方がない。
「あれ? 他にも冒険者の護衛が何人かいたよな?」
「あいつらは、冒険者って事になってるだけで、実質的には正規の護衛達だ」
「なんだそりゃ」
不正行為の臭いがプンプンするぜぇ。
「流石に次の王になるかもしれない人だからな、冒険者に護衛なんて任せられないってことだろ? 俺も体裁上仕方なく雇っただけって感じだしな」
「マックスはそれで良いのか?」
「国から依頼が来て、そうそう断われねーよ。 ま、たまーに王子に着いて行くだけで結構良い報酬が貰えるし、未来の雇い主に顔を売れるからな、断る理由も無いさ」
「それじゃあ、負けちゃまずかったんじゃないのか?」
信用を失ったりとかしてないだろうか?
「普通ならそうなんだが、あの後で冒険者って事になってる護衛もそっちのお嬢さん方に挑まされたんだよ、そうしたら、はじめの掛け声と同時に全員瞬殺されたんで、瞬殺されなかった俺はお咎め無しになったってわけだ」
あーなんか、スマン……。
「それで、あのメンバーの中でイオリが一番弱いんじゃ無いかって話が出たんだけどな」
ですよねー。
こんちくしょうが!
って一瞬思ったが、うちのパーティメンバーに挑むくらいなら、全裸で魔王に挑む方が無事で居られる可能性が高そうだと思ってしまうな……。
「そうしたら、フクロウのお嬢さんが、あんな歩く錬金術師ギルドみたいなのに挑むとか正気を疑う。って言ってな。 他のお嬢さん達も同意するもんだから場内が騒然としたぜ」
ちょっ、アリーセの奴、俺の知らない所で何言ってくれてんだ!?
歩く錬金術師ギルドってなんだよ!?
「だからイオリが俺を訪ねて来た時は、俺も年貢の納め時かと覚悟を決めちまったよ、はっはっはーっ!」
軽く冗談を言って朗らかに笑うイケメンが絵になっていて微妙に妬ましい。
……冗談だよな?
「まあ、王子にはこれ以上絡まないように、よく言っとくよ」
その後少し雑談をし、うちのパーティメンバーも一緒にマックスと飯を食いに行こうと、約束をしてその日は帰ったのだが、途中ですれ違う生徒達が俺を避けているような気がしてならない。
自意識過剰だろうか?
「あ、歩く錬金術師ギルドだ逃げろー」
「いつ爆発するのかな?」
「爆発するんじゃなくて、光ったり異臭を放つんだよ」
「知ってるー、藁とか食べるんでしょー?」
ははは、気のせい気のせい……。
自然と早足になったが、気のせいだから、別にいたたまれなくなったわけじゃない。
藁は食べないし……。
その夜は一人ベッドに潜ってうめいたりした。
翌朝、コリンナ様の護衛につく番が回って来たので、身支度を整えてヘンリエッテさんから護衛を引き継いで、寮からそれほど離れていない教室へと向かっていく。
「いつもならウィル様がみえるあたりなのですが、今日はおりませんね?」
えーと、ウィル様って誰だったっけ?
コリンナ様が教室に入ると、早くもお友達が出来たようで幾人かの女の子達がワラワラと集まってくる。
うむ、孤立していないようで先生安心しました。
きゃっきゃうふふと、コリンナ様が楽しそうに会話をしていると、マックスを連れて第三王子がやって来た。
あ、ウィル様ってコイツか。 すっかり忘れてた。
「げ、歩く錬金術師ギルド!?」
ウィル王子が俺の顔を見るなりそんな事を言った。
げっ、てなんだよ!
マックスも後ろ向いて笑ってんじゃねーよ。
肩震え過ぎで全然隠せてねぇからな!
「おはようございますウィル様」
後ずさっているウィル王子にコリンナ様が素敵な笑顔で挨拶をした。
「あ、ああ、おはようフロイライン・ローデンヴァト。 だ、大丈夫なのか? その、なんだ、そこなる者を護衛にして。 危険は無いのか? 爆発とか……」
明らかに俺の事を言っているようだな!
「おっしゃる意味がよくわかりませんが、イオリ先生が居れば伝説のドラゴンに襲われても大丈夫だと思っています。 スタンピードで出てきた巨大なベヒーモスもお一人で倒してしまったんですよ」
「べ、ベヒーモスを……一人で……!?」
あ、なんかもの凄い引いてる感じが伝わってくるんだが……。
普通そこは、信じられないいい加減なことを言うな!とか、英雄だサインくれ!とかってなる流れじゃないのか?
なんかマックスがニヤニヤしているな。
そっとマックスに近付いて小声で問いただす。
「王子に何を吹き込んだ?」
「いや、たいした事は言ってないぞ、あんまりコリンナ様に突っかかったり、夜遅くまで起きてたり、好き嫌いをすると、夜中に目が光って異臭を放つイオリが来て、爆破されてしまいますよーって言っただけだ」
それ、ナマハゲとか躾けに使うお化け扱いじゃねーか!?
「王子はあんな感じだが、立場でそのように振る舞ってるってところがあるんだ。 素の王子は何処にでも居る普通の男の子とそう変わらんよ」
「あの歳で王族として振る舞わないといけないとか、身分が高いと大変だな」
というか、貴族の子供たちが傍若無人なのは、周りの大人のせいなんじゃないかなって思う。
近しい者は貴族らしく振る舞えと求めて、学園内をはじめ身分が下の者は貴族であるとして扱う。
たぶん子供として扱って貰えないんじゃないだろうか?
それはそれでかわいそうだなとは思う。
まぁ、絡まれる方はたまったもんじゃないけどな。
「ま、何か出来る事があったら言ってくれ、王子絡みだと出来ることは少ないけどな」
「ああ、よろしく頼む。 この後時間があるなら、一緒に飯でもどうだ?」
サラリーマンの処世術「取り敢えず一緒に飯」である。
古い世代だと「飲み」になるが、昨今は酒を飲まないヤツが多いから必然的に「飯」となるのだ。
元の世界の、それも日本の話ではあるが、そういった人付き合いは大事である。
「良いねえ、冒険者同士親睦を深めようか。 こっちは俺以外の冒険者が居ないから、少し話に飢えてたんだ。 仕事上酒を控えないといかんのが難点だけどな」
交代で護衛についているとは言え、何かあったら駆けつけなければいけないから、酔っ払っているわけにはいかないのは仕方がない。
「あれ? 他にも冒険者の護衛が何人かいたよな?」
「あいつらは、冒険者って事になってるだけで、実質的には正規の護衛達だ」
「なんだそりゃ」
不正行為の臭いがプンプンするぜぇ。
「流石に次の王になるかもしれない人だからな、冒険者に護衛なんて任せられないってことだろ? 俺も体裁上仕方なく雇っただけって感じだしな」
「マックスはそれで良いのか?」
「国から依頼が来て、そうそう断われねーよ。 ま、たまーに王子に着いて行くだけで結構良い報酬が貰えるし、未来の雇い主に顔を売れるからな、断る理由も無いさ」
「それじゃあ、負けちゃまずかったんじゃないのか?」
信用を失ったりとかしてないだろうか?
「普通ならそうなんだが、あの後で冒険者って事になってる護衛もそっちのお嬢さん方に挑まされたんだよ、そうしたら、はじめの掛け声と同時に全員瞬殺されたんで、瞬殺されなかった俺はお咎め無しになったってわけだ」
あーなんか、スマン……。
「それで、あのメンバーの中でイオリが一番弱いんじゃ無いかって話が出たんだけどな」
ですよねー。
こんちくしょうが!
って一瞬思ったが、うちのパーティメンバーに挑むくらいなら、全裸で魔王に挑む方が無事で居られる可能性が高そうだと思ってしまうな……。
「そうしたら、フクロウのお嬢さんが、あんな歩く錬金術師ギルドみたいなのに挑むとか正気を疑う。って言ってな。 他のお嬢さん達も同意するもんだから場内が騒然としたぜ」
ちょっ、アリーセの奴、俺の知らない所で何言ってくれてんだ!?
歩く錬金術師ギルドってなんだよ!?
「だからイオリが俺を訪ねて来た時は、俺も年貢の納め時かと覚悟を決めちまったよ、はっはっはーっ!」
軽く冗談を言って朗らかに笑うイケメンが絵になっていて微妙に妬ましい。
……冗談だよな?
「まあ、王子にはこれ以上絡まないように、よく言っとくよ」
その後少し雑談をし、うちのパーティメンバーも一緒にマックスと飯を食いに行こうと、約束をしてその日は帰ったのだが、途中ですれ違う生徒達が俺を避けているような気がしてならない。
自意識過剰だろうか?
「あ、歩く錬金術師ギルドだ逃げろー」
「いつ爆発するのかな?」
「爆発するんじゃなくて、光ったり異臭を放つんだよ」
「知ってるー、藁とか食べるんでしょー?」
ははは、気のせい気のせい……。
自然と早足になったが、気のせいだから、別にいたたまれなくなったわけじゃない。
藁は食べないし……。
その夜は一人ベッドに潜ってうめいたりした。
翌朝、コリンナ様の護衛につく番が回って来たので、身支度を整えてヘンリエッテさんから護衛を引き継いで、寮からそれほど離れていない教室へと向かっていく。
「いつもならウィル様がみえるあたりなのですが、今日はおりませんね?」
えーと、ウィル様って誰だったっけ?
コリンナ様が教室に入ると、早くもお友達が出来たようで幾人かの女の子達がワラワラと集まってくる。
うむ、孤立していないようで先生安心しました。
きゃっきゃうふふと、コリンナ様が楽しそうに会話をしていると、マックスを連れて第三王子がやって来た。
あ、ウィル様ってコイツか。 すっかり忘れてた。
「げ、歩く錬金術師ギルド!?」
ウィル王子が俺の顔を見るなりそんな事を言った。
げっ、てなんだよ!
マックスも後ろ向いて笑ってんじゃねーよ。
肩震え過ぎで全然隠せてねぇからな!
「おはようございますウィル様」
後ずさっているウィル王子にコリンナ様が素敵な笑顔で挨拶をした。
「あ、ああ、おはようフロイライン・ローデンヴァト。 だ、大丈夫なのか? その、なんだ、そこなる者を護衛にして。 危険は無いのか? 爆発とか……」
明らかに俺の事を言っているようだな!
「おっしゃる意味がよくわかりませんが、イオリ先生が居れば伝説のドラゴンに襲われても大丈夫だと思っています。 スタンピードで出てきた巨大なベヒーモスもお一人で倒してしまったんですよ」
「べ、ベヒーモスを……一人で……!?」
あ、なんかもの凄い引いてる感じが伝わってくるんだが……。
普通そこは、信じられないいい加減なことを言うな!とか、英雄だサインくれ!とかってなる流れじゃないのか?
なんかマックスがニヤニヤしているな。
そっとマックスに近付いて小声で問いただす。
「王子に何を吹き込んだ?」
「いや、たいした事は言ってないぞ、あんまりコリンナ様に突っかかったり、夜遅くまで起きてたり、好き嫌いをすると、夜中に目が光って異臭を放つイオリが来て、爆破されてしまいますよーって言っただけだ」
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