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4章 王都
魔法トーナメントと都市伝説
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貴族や王族で、しっかりしているように見えても初等部に通い始めたばかりともなれば、う○こーって言うだけで大喜びするくらいのまだまだちみっこい子供である。
「悪い子はいねがー!!」
「イオリがきたぞー」
「きゃー触わられたー」
「えんがちょー」
というわけでナマハゲイオリくんですコンニチハ。
開き直って王都の繁華街で見つけたゴブリンのお面を改造して目が光る鬼のお面みたいなのを作って、ボロボロに加工したフード付きマントを着てゆるキャラよろしく貴族も平民も関係なく子供達を追っかけまわしております。
子供が率先してお手伝いをする様になったり、大人の言う事を良く聞くようになったと、先生や保護者の方に大変ウケが良かったので、時々こんな事をやっている。
護衛はどうしたのかと言われたら、俺が護衛につくと、ウィル王子が俺にマジビビリしていて、それが他の生徒達にも伝染して授業にならない為シフトを外されてしまったのである。
別に悲しくなんかないぞ?
俺が作った設定ではないが、ナマハゲイオリくんはボロをまとった目が光る醜い鬼で、悪い子に爆発するオナラしてくるモンスターなんだそうだ。
爆破された子供は、何処かに連れて行かれてナマハゲイオリくんにされてしまい、一生さまようらしい。
モンスターというより妖怪だな……。
別に悲しくなんかないぞ?
王都はまだマシとはいえ娯楽の少ないこの世界では、絶好のイベントになるらしくギルドから学園以外の場所でもナマハゲイオリくんの主演の指名依頼が良く来るようになった。
別に悲しくなんかないぞ?
出演依頼を受けて孤児院とか他の教育施設とかで「悪い子はいねがー」ってやってたら、たまたま強盗に出くわしてしまった。
「変な格好しやがって邪魔だどけっ」とか言われて斬りつけられたので、演出用のくっさいスティンクポーションの原液を顔面に投げつけてやった。 あまりの臭いに気絶した強盗を引きずって衛兵の詰め所に持っていったら、悪臭を放つ強盗を引きずっている所を多くの人に目撃され、悪い事をすると大人も連れて行かれるという設定が追加された。
あと、事情をしらない衛兵に追い掛け回されたので、全力で逃げてたら馬よりも早く走るという設定も追加されていた。
しまいには、俺全く身に覚えのない所での目撃談とか、窃盗団がナマハゲイオリくんに壊滅させられたとかいろんな尾ヒレが着いて、本物のナマハゲイオリくんが存在する!という都市伝説にまで発展して噂が広がっていた。
別に悲しくなんかないぞ?
子供が言うことを聞くようになって、一部の地域では治安も良くなったと、感謝状と記念品貰ったし……。
「休みの時酒場とかで、悪人しか襲わないとは言えモンスターだから退治しに行ったが、手も足も出なかった。 悪いことをしていなかったおかげで無事に済んだようだって話を吹聴しまくったからな」
「お前が犯人か、マックス!?」
「はっはっは、煽られたことのちょっとしたお返しだ、甘んじて受けてくれ」
気にするなとか感謝しているとか言いつつ、しっかり根に持ってたんじゃないか。
いや、まあ、俺が悪かったんだけど……。
とまあ、この話は置いといて、俺がそんなことをしている間に学園の方では魔法トーナメントが始まっていた。
トーナメントと言っても、小さな子供たちがメインなのでバトルのようなものは無く、学園内の広場で的当てとか実演とか魔法を使ったお遊戯等にで得点を稼ぐ競技的なものがメインで運動会的なノリに近い。
生徒の親や一般の人も観戦出来るので、ちょっとしたお祭りのようなもとなっている。
子供が一生懸命拙い魔法を使う様は見ていて和むのだろう。
拙いながらも上級生は下級生とは比べ物にならないくらいには魔法を使うので、成長の度合いも見れてなかなか面白い。
演目も進み、終始和やかな雰囲気であったが、飛び入り参加者の出番が来ると、少し空気が変わった。
ヴォルフ学園長が、広場の中央に出てきたからだ。
「新入生の飛び入り参加による魔法の披露を行っておるが、最後に披露される魔法は既存の流派と全く異なる理の解釈をする流派の魔法である。 俄には信じられぬと思うが、一切のタネも仕掛も無いことをこの儂が保証しよう! では、コリンナ・ローデンヴァルト君、前へ!」
拡声の魔法で、歳に見合わないハリのある声が響き渡っり、少し緊張した面持ちのコリンナ様が学園長と交代で広場の真ん中に立つと、場内はザワザワと騒がしくなった。
不正を疑われないようにするためか、ライヒトリーリエではなく元から持っていた練習用の小さな杖を持っているようだ。
コリンナ様は深呼吸をしたあと、呪文詠唱を始める。
「眼前10m地点に地面に対し水平状態を0度として60度から順にプラス5度ずつ長さ1mの筒を生成して設置、高輝度発火物質2gごとに圧縮して100個を均等に球状に生成、中央に爆発物質20g生成、1秒後に発火、直下に圧縮空気100気圧、12回繰り返し。 ファイヤワークス!」
コリンナ様が魔法を発動させると、コリンナ様の足元付近からポンポンと扇状に弾が飛び出し、ドンドンという音とともに、昼の明るさに負けない大輪の炎の花が空一面に広がった。
今回の為に、コリンナ様に教えた花火魔法である。
まあ、俺は花火の仕組みを教えただけで、魔法に組み上げたのはエーリカとコリンナ様自身だ。
練習用の杖では魔力の消費軽減効果もたかが知れているので、流石に肩で息をしている。
とはいえ、既存の流派の並の使い手
では大人でも息切れしてしまう、とエーリカが断言していた。
そう言ったエーリカは、しれっと使えるようになってポンポン連発していたので真偽の程は定かではないが……。
花火の音に驚いたのか、場内は静寂につつまれていたが、ヴォルフ学園長が拍手を送ると、釣られてたように、一人、また一人と拍手をする人が増えていき、総立ちになって割れんばかりの歓声が上がった。
コリンナ様がホッとした表情でペコリとお辞儀をして退場する。
少しふらついているようなので、迎えに行ったのだが、ヘンリエッテさんがすかさず休憩できる態勢を整えていて、ワラワラと同じクラスの生徒達が集まってきて、しきりに労いと賞賛を送っていた。
あー、うん、俺の出番は無い感じだな! ナマハゲだし!
その後トーナメントの結果発表や閉会式が行われ、無事に魔法トーナメントは閉会した。
全くの余談となるが、スリなどを行う小悪党の集団が密かに場内に潜伏していたらしいのだが、とくに被害の報告は無く、閉会後複数のナマハゲイオリくんが犯人らしき人を引きずってどこかに連れて行く姿を多くの人が目撃したらしい。
「コリンナ様の晴れ舞台に無粋なことするんじゃねーよ」
「なあイオリ、警備を手伝うのは構わんが、なんで俺もこんな格好させられてるんだ?」
「様式美だよマックス君」
「わけがわからない」
「悪い子はいねがー!!」
「イオリがきたぞー」
「きゃー触わられたー」
「えんがちょー」
というわけでナマハゲイオリくんですコンニチハ。
開き直って王都の繁華街で見つけたゴブリンのお面を改造して目が光る鬼のお面みたいなのを作って、ボロボロに加工したフード付きマントを着てゆるキャラよろしく貴族も平民も関係なく子供達を追っかけまわしております。
子供が率先してお手伝いをする様になったり、大人の言う事を良く聞くようになったと、先生や保護者の方に大変ウケが良かったので、時々こんな事をやっている。
護衛はどうしたのかと言われたら、俺が護衛につくと、ウィル王子が俺にマジビビリしていて、それが他の生徒達にも伝染して授業にならない為シフトを外されてしまったのである。
別に悲しくなんかないぞ?
俺が作った設定ではないが、ナマハゲイオリくんはボロをまとった目が光る醜い鬼で、悪い子に爆発するオナラしてくるモンスターなんだそうだ。
爆破された子供は、何処かに連れて行かれてナマハゲイオリくんにされてしまい、一生さまようらしい。
モンスターというより妖怪だな……。
別に悲しくなんかないぞ?
王都はまだマシとはいえ娯楽の少ないこの世界では、絶好のイベントになるらしくギルドから学園以外の場所でもナマハゲイオリくんの主演の指名依頼が良く来るようになった。
別に悲しくなんかないぞ?
出演依頼を受けて孤児院とか他の教育施設とかで「悪い子はいねがー」ってやってたら、たまたま強盗に出くわしてしまった。
「変な格好しやがって邪魔だどけっ」とか言われて斬りつけられたので、演出用のくっさいスティンクポーションの原液を顔面に投げつけてやった。 あまりの臭いに気絶した強盗を引きずって衛兵の詰め所に持っていったら、悪臭を放つ強盗を引きずっている所を多くの人に目撃され、悪い事をすると大人も連れて行かれるという設定が追加された。
あと、事情をしらない衛兵に追い掛け回されたので、全力で逃げてたら馬よりも早く走るという設定も追加されていた。
しまいには、俺全く身に覚えのない所での目撃談とか、窃盗団がナマハゲイオリくんに壊滅させられたとかいろんな尾ヒレが着いて、本物のナマハゲイオリくんが存在する!という都市伝説にまで発展して噂が広がっていた。
別に悲しくなんかないぞ?
子供が言うことを聞くようになって、一部の地域では治安も良くなったと、感謝状と記念品貰ったし……。
「休みの時酒場とかで、悪人しか襲わないとは言えモンスターだから退治しに行ったが、手も足も出なかった。 悪いことをしていなかったおかげで無事に済んだようだって話を吹聴しまくったからな」
「お前が犯人か、マックス!?」
「はっはっは、煽られたことのちょっとしたお返しだ、甘んじて受けてくれ」
気にするなとか感謝しているとか言いつつ、しっかり根に持ってたんじゃないか。
いや、まあ、俺が悪かったんだけど……。
とまあ、この話は置いといて、俺がそんなことをしている間に学園の方では魔法トーナメントが始まっていた。
トーナメントと言っても、小さな子供たちがメインなのでバトルのようなものは無く、学園内の広場で的当てとか実演とか魔法を使ったお遊戯等にで得点を稼ぐ競技的なものがメインで運動会的なノリに近い。
生徒の親や一般の人も観戦出来るので、ちょっとしたお祭りのようなもとなっている。
子供が一生懸命拙い魔法を使う様は見ていて和むのだろう。
拙いながらも上級生は下級生とは比べ物にならないくらいには魔法を使うので、成長の度合いも見れてなかなか面白い。
演目も進み、終始和やかな雰囲気であったが、飛び入り参加者の出番が来ると、少し空気が変わった。
ヴォルフ学園長が、広場の中央に出てきたからだ。
「新入生の飛び入り参加による魔法の披露を行っておるが、最後に披露される魔法は既存の流派と全く異なる理の解釈をする流派の魔法である。 俄には信じられぬと思うが、一切のタネも仕掛も無いことをこの儂が保証しよう! では、コリンナ・ローデンヴァルト君、前へ!」
拡声の魔法で、歳に見合わないハリのある声が響き渡っり、少し緊張した面持ちのコリンナ様が学園長と交代で広場の真ん中に立つと、場内はザワザワと騒がしくなった。
不正を疑われないようにするためか、ライヒトリーリエではなく元から持っていた練習用の小さな杖を持っているようだ。
コリンナ様は深呼吸をしたあと、呪文詠唱を始める。
「眼前10m地点に地面に対し水平状態を0度として60度から順にプラス5度ずつ長さ1mの筒を生成して設置、高輝度発火物質2gごとに圧縮して100個を均等に球状に生成、中央に爆発物質20g生成、1秒後に発火、直下に圧縮空気100気圧、12回繰り返し。 ファイヤワークス!」
コリンナ様が魔法を発動させると、コリンナ様の足元付近からポンポンと扇状に弾が飛び出し、ドンドンという音とともに、昼の明るさに負けない大輪の炎の花が空一面に広がった。
今回の為に、コリンナ様に教えた花火魔法である。
まあ、俺は花火の仕組みを教えただけで、魔法に組み上げたのはエーリカとコリンナ様自身だ。
練習用の杖では魔力の消費軽減効果もたかが知れているので、流石に肩で息をしている。
とはいえ、既存の流派の並の使い手
では大人でも息切れしてしまう、とエーリカが断言していた。
そう言ったエーリカは、しれっと使えるようになってポンポン連発していたので真偽の程は定かではないが……。
花火の音に驚いたのか、場内は静寂につつまれていたが、ヴォルフ学園長が拍手を送ると、釣られてたように、一人、また一人と拍手をする人が増えていき、総立ちになって割れんばかりの歓声が上がった。
コリンナ様がホッとした表情でペコリとお辞儀をして退場する。
少しふらついているようなので、迎えに行ったのだが、ヘンリエッテさんがすかさず休憩できる態勢を整えていて、ワラワラと同じクラスの生徒達が集まってきて、しきりに労いと賞賛を送っていた。
あー、うん、俺の出番は無い感じだな! ナマハゲだし!
その後トーナメントの結果発表や閉会式が行われ、無事に魔法トーナメントは閉会した。
全くの余談となるが、スリなどを行う小悪党の集団が密かに場内に潜伏していたらしいのだが、とくに被害の報告は無く、閉会後複数のナマハゲイオリくんが犯人らしき人を引きずってどこかに連れて行く姿を多くの人が目撃したらしい。
「コリンナ様の晴れ舞台に無粋なことするんじゃねーよ」
「なあイオリ、警備を手伝うのは構わんが、なんで俺もこんな格好させられてるんだ?」
「様式美だよマックス君」
「わけがわからない」
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