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4章 王都
使い魔追跡の結果
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「モンスターの追跡だったら任せて」
アリーセが寮の窓から飛び出して行った。
普通に玄関から出ればいいのに……。
グレイさんとヘンリエッテさんをコリンナ様の護衛として残し、慌てて残りのみんなでアリーセを追いかける。
「あ、いたいた。こらアリーセ先走っちゃダメだろ」
「え、ああそうか、ごめん。いつものように先行して発見次第捕獲するか戻って報告するつもりだったわ」
斥候のクセが染み付いているようだ。
「それで、追えていますの?」
「それは大丈夫。ほらココとココに通った形跡があるでしょ?」
アリーセがなんの変哲も無い石畳を指差している。
「ああ、確かに」
「私には何もわかりませんわね。ここはお二人にお任せして邪魔にならないように後ろから着いて行きますわ」
「同じくー」
あ、いや実は俺もわからないけどな。
アリーセが時々立ち止まって地面や路地の角を確認したり、しながらも迷い無く街中を進んで行く。
街並みが途切れ広い公園のような場所に出ると、アリーセはみんなに止まれの合図を出した。
「多分この辺に居るわね」
「ココに潜んでるのか、てっきり親玉の所へ戻ってるのかと思ったのに」
「それは恐らくこの先の貴族街に張られている結界のせいですわね。使い魔と言えどモンスターですから主と一緒でないと貴族街には入れないのですわ」
つまり主人をここで待っているってわけか。
黒幕はこの国の貴族って事は確定で良さそうだな。
「しっ、居たわよ」
アリーセが指し示す先で袋を背負った40cmくらいのクレバーファーラットが草の間からチラチラと見えている。
「捕まえる?」
「ひとまず解析してみて良いか?」
「あ、そうねお願いするわ」
早速とばかりに解析ツールを出してターゲットウインドウを合わせようとしたのだが。
距離が離れていて対象もチョロチョロ動くせいで手前の草にカーソルが行ってしまい、肝心の解析結果がなかなか表示されない。
ターゲットを合わせたものの情報を表示するという特性上仕方がないのだが、この仕様使い辛いな。
毒にも薬にも食用にもならない草のコードなど見てもしょうがないし……。
なんとかターゲットウインドウを合わせようと躍起になっていたら、ガサリと音をたててしまった。
「もきゅっ!?」
クレバーファーラットがこちらに気がついて慌てて逃げ出した。
「ああ、もう何やってるのよ、追うわよ!」
「スマン」
逃げられはしたが、エーリカが言っていた通り、どんくさいようで足はあまり早くなく簡単に追いかけられそうなのは幸いだった。
追跡している俺らを撒こうと草に隠れながら蛇行して走るという賢さはあるようだが、追跡のプロであるアリーセを撒くことは敵わないようだ。
「きゅっきゅっきゅっきゅっきゅっきゅっ!」
さらに、一歩移動するごとに鳴声が漏れているので、俺でも大体方向が解ってしまう。
頭が良いのか悪いのか判断に苦しむな。
「もうしょうがないから捕まえるわね」
「それならおまかせあれー」
ワトスンが筒のような魔道具をどこからともなく取り出すと、ロケットランチャーのように構えた。
「くらえー」
ワトスンが気の抜けた掛け声でランチャーのトリガーを引くと、ドンという音とともに投網が射出された。
ネットランチャーってやつだな。
「もっきゅー!?」
射出された投網は見事にクレバーファーラットを捕らえた。
網に絡まってジタバタしているクレバーファーラットをアリーセがヒョイっと持ち上げてこちらに持ってきた。
「きしゃーっ!」
「おー生意気に威嚇してるな」
「大人しくしないと、食べちゃうわよ?」
「もきゅっ!?」
アリーセがクレバーファーラットに目を合わせてそう言うと、急に大人しくなって、震えだした。
そういやフクロウってネズミからみたら捕食者か……。
大人しくなったクレバーファーラットをターゲットウインドウをあわせて解析をする。
------------------------------------------------------------
名前:-
種族:クレバーファーラット【ファミリア】
主人:エーミール・リッテンハイム・ロットラント
年齢:3歳
レベル:18
HP:64
MP:120
スタミナ:47
筋力:8
敏捷:12
知力:26
器用:36
体力:34
魔力:57
頑健:18
精神:21
物理攻撃力:6
魔法攻撃力:13
物理防御力:3
魔法防御力:7
称号:脱走名人
スキル
パッシブ:人語理解
アクティブ:初級魔法 LV1
伝心 LV 1
各種コード
・
・
・
------------------------------------------------------------
犯人の名前がわかっちゃったよ……。
しかも案の定名前から言って王族関係だなこれ。
「エーミール・リッテンハイム・ロットラントってしってるか?」
「なんですのいきなり? この国第二王子のお名前ですわね。 あまり大きな声では言えませんが、非常に我が強わりに、能力的には凡庸な方で王位継承順位が引き下げられそうだという噂がある方のようですわ」
「はいてんぷれてんぷれ。 権力争いってやつですねー」
無能な兄が周りに期待されている弟を亡き者に~ってやつだな。
「てんぷれ? よくわからないけど、その第二王子が犯人ってことなのかなー?」
「少なくともコイツの主人は同姓同名の奴が居ない限り、その第二王子だな」
「使い魔を鑑定してその主の名前まで鑑定してしまうとか、術者泣かせですわね。 あと、名前に国の名前が入るのは王族、それも直系のみですわ」
間違い無しのようだ。
「犯人は分かったけど、相手が王族じゃあおいそれと手が出せないじゃない。 どうするのよ?」
ウィル王子本人やそのお付に知らせるという手もあるが、自分でやる気満々だったんだなアリーセは……。
とはいえ、そこまで身分が高い相手だと、知らぬ存ぜぬで逃げられたり、秘書的な人が更迭されておしまいとかになってしまいそうだ。
となったら、またアレをやるしか無いじゃないか。
というわけで、俺は黙ってナマハゲイオリくん改め、ウォリクンスーツ4号を人数分取り出した。
アリーセが寮の窓から飛び出して行った。
普通に玄関から出ればいいのに……。
グレイさんとヘンリエッテさんをコリンナ様の護衛として残し、慌てて残りのみんなでアリーセを追いかける。
「あ、いたいた。こらアリーセ先走っちゃダメだろ」
「え、ああそうか、ごめん。いつものように先行して発見次第捕獲するか戻って報告するつもりだったわ」
斥候のクセが染み付いているようだ。
「それで、追えていますの?」
「それは大丈夫。ほらココとココに通った形跡があるでしょ?」
アリーセがなんの変哲も無い石畳を指差している。
「ああ、確かに」
「私には何もわかりませんわね。ここはお二人にお任せして邪魔にならないように後ろから着いて行きますわ」
「同じくー」
あ、いや実は俺もわからないけどな。
アリーセが時々立ち止まって地面や路地の角を確認したり、しながらも迷い無く街中を進んで行く。
街並みが途切れ広い公園のような場所に出ると、アリーセはみんなに止まれの合図を出した。
「多分この辺に居るわね」
「ココに潜んでるのか、てっきり親玉の所へ戻ってるのかと思ったのに」
「それは恐らくこの先の貴族街に張られている結界のせいですわね。使い魔と言えどモンスターですから主と一緒でないと貴族街には入れないのですわ」
つまり主人をここで待っているってわけか。
黒幕はこの国の貴族って事は確定で良さそうだな。
「しっ、居たわよ」
アリーセが指し示す先で袋を背負った40cmくらいのクレバーファーラットが草の間からチラチラと見えている。
「捕まえる?」
「ひとまず解析してみて良いか?」
「あ、そうねお願いするわ」
早速とばかりに解析ツールを出してターゲットウインドウを合わせようとしたのだが。
距離が離れていて対象もチョロチョロ動くせいで手前の草にカーソルが行ってしまい、肝心の解析結果がなかなか表示されない。
ターゲットを合わせたものの情報を表示するという特性上仕方がないのだが、この仕様使い辛いな。
毒にも薬にも食用にもならない草のコードなど見てもしょうがないし……。
なんとかターゲットウインドウを合わせようと躍起になっていたら、ガサリと音をたててしまった。
「もきゅっ!?」
クレバーファーラットがこちらに気がついて慌てて逃げ出した。
「ああ、もう何やってるのよ、追うわよ!」
「スマン」
逃げられはしたが、エーリカが言っていた通り、どんくさいようで足はあまり早くなく簡単に追いかけられそうなのは幸いだった。
追跡している俺らを撒こうと草に隠れながら蛇行して走るという賢さはあるようだが、追跡のプロであるアリーセを撒くことは敵わないようだ。
「きゅっきゅっきゅっきゅっきゅっきゅっ!」
さらに、一歩移動するごとに鳴声が漏れているので、俺でも大体方向が解ってしまう。
頭が良いのか悪いのか判断に苦しむな。
「もうしょうがないから捕まえるわね」
「それならおまかせあれー」
ワトスンが筒のような魔道具をどこからともなく取り出すと、ロケットランチャーのように構えた。
「くらえー」
ワトスンが気の抜けた掛け声でランチャーのトリガーを引くと、ドンという音とともに投網が射出された。
ネットランチャーってやつだな。
「もっきゅー!?」
射出された投網は見事にクレバーファーラットを捕らえた。
網に絡まってジタバタしているクレバーファーラットをアリーセがヒョイっと持ち上げてこちらに持ってきた。
「きしゃーっ!」
「おー生意気に威嚇してるな」
「大人しくしないと、食べちゃうわよ?」
「もきゅっ!?」
アリーセがクレバーファーラットに目を合わせてそう言うと、急に大人しくなって、震えだした。
そういやフクロウってネズミからみたら捕食者か……。
大人しくなったクレバーファーラットをターゲットウインドウをあわせて解析をする。
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名前:-
種族:クレバーファーラット【ファミリア】
主人:エーミール・リッテンハイム・ロットラント
年齢:3歳
レベル:18
HP:64
MP:120
スタミナ:47
筋力:8
敏捷:12
知力:26
器用:36
体力:34
魔力:57
頑健:18
精神:21
物理攻撃力:6
魔法攻撃力:13
物理防御力:3
魔法防御力:7
称号:脱走名人
スキル
パッシブ:人語理解
アクティブ:初級魔法 LV1
伝心 LV 1
各種コード
・
・
・
------------------------------------------------------------
犯人の名前がわかっちゃったよ……。
しかも案の定名前から言って王族関係だなこれ。
「エーミール・リッテンハイム・ロットラントってしってるか?」
「なんですのいきなり? この国第二王子のお名前ですわね。 あまり大きな声では言えませんが、非常に我が強わりに、能力的には凡庸な方で王位継承順位が引き下げられそうだという噂がある方のようですわ」
「はいてんぷれてんぷれ。 権力争いってやつですねー」
無能な兄が周りに期待されている弟を亡き者に~ってやつだな。
「てんぷれ? よくわからないけど、その第二王子が犯人ってことなのかなー?」
「少なくともコイツの主人は同姓同名の奴が居ない限り、その第二王子だな」
「使い魔を鑑定してその主の名前まで鑑定してしまうとか、術者泣かせですわね。 あと、名前に国の名前が入るのは王族、それも直系のみですわ」
間違い無しのようだ。
「犯人は分かったけど、相手が王族じゃあおいそれと手が出せないじゃない。 どうするのよ?」
ウィル王子本人やそのお付に知らせるという手もあるが、自分でやる気満々だったんだなアリーセは……。
とはいえ、そこまで身分が高い相手だと、知らぬ存ぜぬで逃げられたり、秘書的な人が更迭されておしまいとかになってしまいそうだ。
となったら、またアレをやるしか無いじゃないか。
というわけで、俺は黙ってナマハゲイオリくん改め、ウォリクンスーツ4号を人数分取り出した。
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